http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/108.html
Tweet |
中銀総裁の責務を果たしていない白川氏
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120509/plt1205090718002-n1.htm
2012.05.09 夕刊フジ
バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は4月25日、連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、「学者時代のスタンスと現在のFOMCの政策について矛盾はない」と発言した。
これは、ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン・プリンストン大教授が「ここ地球からバーナンキへ:バーナンキ議長はバーナンキ教授の声に耳を傾けよ」というエッセーをニューヨーク・タイムズ紙に掲載したのを、同紙の記者が会見でバーナンキ議長にしたことを受けたものだ。
クルーグマン教授は、かつてバーナンキ議長がプリンストン大教授であった当時に「日本の金融政策:自己誘導的な麻痺(まひ)の例」という論文において、日本に対しインフレ目標の引き上げや大量の資産購入などを提言していたのを取り上げて、今のアメリカでなぜやらないのか、と批判したのだ。
同紙のコラムでは、バーナンキ議長が宇宙飛行士のヘルメットをかぶり、別世界にいることを揶揄(やゆ)し、題名でもかつての同僚であるバーナンキ教授の意見を聞けと茶化している。
これに対してバーナンキ議長は「日銀の政策について15年前に私が示した見解は現在の自分の見解と異なるとの批判を受けるがそれはまったく間違いだ。今の金融政策は15年前に示した見解と首尾一貫している」と述べた。何より「15年前の日本と今の米国の決定的な違いは、日本はデフレで、デフレとリセッション(景気後退)下ではさらなるデフレを招くという状況だった」と日米の違いを強調した。
クルーグマン教授は、今のアメリカの失業率の高さを問題視して、インフレ目標を引き上げて、失業率を低くすべきと主張している。これに対して、バーナンキ議長は、アメリカでは量的緩和の効果でインフレ率は2%くらいになり、デフレでないのだから、これ以上の金融緩和は弊害になるというものだ。
私は、バーナンキ議長がプリンストン大教授時代に同大学に留学していた。たしかに、日本はデフレなので、デフレで下がった物価指数を取り戻すくらいに、一時的に3〜4%の高いインフレ目標でもいいとバーナンキ「教授」は主張していた。
しかし、今のアメリカはデフレでもなく、取り戻すべき失われた物価指数上昇があるわけでもないので、高いインフレ目標は必要ないというバーナンキ議長の発言は正しい。
一方、日本では4月27日、物価展望リポートが公表され、金融緩和が行われた。物価展望リポートでは2013年度でインフレ率0・7%となっている。これでは、先に発表した「物価安定の目途」の1%に達していない。バーナンキ「教授」に従えば、さらに金融緩和が必要になり、しかも今までも日本はデフレなので、それを取り戻すような高いインフレ目標も必要だ。とても1%の「目途」では足りない。
白川総裁は「1%に到達する時期は14年度も含む」としたが、白川氏の任期は13年4月までだ。結局、総裁任期中でやり遂げられないわけで、中銀総裁の責務を果たしていない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。