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#救済する価値なし
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35163
韓国で貯蓄銀行4行また営業停止仰天!会長は元偽ソウル大生、中国密航で逮捕
2012.05.09(水)
玉置 直司
韓国の金融委員会は2012年5月6日、経営内容が悪化していた4つの貯蓄銀行を営業停止処分としたと発表した。韓国政府は昨年にも16の貯蓄銀行を営業停止にしており、2年間で20行が営業停止となった。
今回営業停止となった未来貯蓄銀行の会長は、30年前に偽ソウル大生事件を引き起こした張本人。今回は、営業停止処分の直前に中国に密航しようとして漁船に乗り込んだところを海洋警察に現行犯逮捕された。韓国では、「どうしてこんな人物まで会長になっているのか」との驚きの声が上がっている。
営業処分の直前に漁船で密航を試みた会長の正体
まるで映画かテレビドラマのシーンのような捕り物だった。
5月3日午後8時半ころ。ソウル南西部に位置する京畿道の小さな港に黒塗りの乗用車2台が到着し、5人の男たちが降りてきた。このあたりは漁港でたまに夜釣り客も訪れるが5人は旅行かばんなどを持っていて、到底「釣り」とは無縁な格好だ。
待っていた漁船に乗り込むと同時に、付近に隠れていた10人ほどの海洋警察官が漁船に走りこみ、一行を「密航」の現行犯で逮捕した。
取り調べた海洋警察は、一行のリーダーが未来貯蓄銀行のオーナー会長である金チャンギョン氏であることが分かると仰天した。
会長は軽装だったが、旅行かばんの中には1200万ウォン(1円=14ウォン)の現金があった。
金会長は、未来貯蓄銀行に対する営業停止処分が不可避と見て、かねて準備していた密航ルートを使って中国に逃亡しようとした。韓国メディアによれば、金会長の運転手がこれを密告して、海洋警察が張り込んでいたという。
銀行の会長が密航するというのも前代未聞だが、運転手に密告され逮捕されるというのも何ともお粗末な話だ。
逮捕の3日後、金融委員会は未来貯蓄銀行など4つの貯蓄銀行を営業停止処分とした。未来貯蓄銀行の場合、粉飾決算を重ね、「5.67%」と発表していたBIS基準に基づく自己資本比率が実際はマイナス16.2%であることが明らかになった。
金会長の身柄はただちに貯蓄銀行の不正行為を捜査している検察当局に引き渡された。検察によると、金会長は密航を企てた3日に、大手銀行から未来貯蓄銀行の預金200億ウォン以上を引き出していた。このうち70億ウォンはいったん口座に戻したが、残りの130億ウォンについては知人などに渡していたという。
密航が成功した場合、この資金で逃亡生活を送ろうとしていたとの見方もある。
偽ソウル大生、詐欺師から銀行オーナーへの華麗なる転身
ソウル大学の正門(Wikipediaより)
この金会長は、これだけでも「とんでもない会長」だが、実は韓国では30年ほど前に社会を驚愕させた張本人でもある。
軍隊時代にソウル大法学部の学生と知り合った金会長は、実際には中卒であるのに「自分もソウル大法学部生だ」とウソをついて知人になった。
ここまではご愛嬌だが、軍隊生活を終えると、ソウル大生になりすまし、大学に通い始めた。他の学生よりも真面目に講義に出て、同期会長なども務め、同級生の間では有名人になった。
さらに、ソウル大教授の立ち会いのもと、ソウル大の「同級生」を大勢集めて結婚式まで開いている。結局、卒業アルバム作成段階になって「偽学生」であることが発覚し、大きな話題になった。
金会長はそれでも懲りずに、「ソウル大生」生活を続け、家庭教師宅を担保に金融機関から勝手に融資を受けるトラブルを起こしている。
金会長はその後「偽ソウル大生」から事業家に転身する。1980年代後半以降、不動産開発で大きな利益を上げたという。
未来貯蓄銀行は資産規模が1兆8000億ウォンで業界7位の大手貯蓄銀行だ。詐欺師から銀行オーナーへの「華麗な転身劇」だった。
業界トップも巨額粉飾で営業停止に
未来貯蓄銀行とともに営業停止になった業界トップのソロモン貯蓄銀行の林錫(イム・ソク)会長は、業界では猛烈経営者として知られた。
M&A(企業の合併・買収)を通して規模をどんどん拡大させ、資産規模は5兆ウォンを突破。2位の貯蓄銀行に2倍の差をつけた「ダントツ経営」だった。ところが、今回の調査で負債が資産を上回っていることが発覚した。粉飾決算でこうした事実を隠していたことも明らかになった。
林会長も金融界出身ではない。1980年代後半に金大中(キム・デジュン)元大統領の選挙運動を手伝うなどして有力政治家に接近。金大中政権時代に一気にのし上がった。「金大中系」と見られていたが、李明博(イ・ミョンバク)大統領が通う教会にも足繁く通い、現政権の有力者との人脈も築いた。
「2人とも、扱っているのが預金者のお金ということを理解していたのか。金融機関トップとしての適格性に大きく欠けていた」(韓国紙デスク)と言えそうだ。
では、どうしてこういうことになったのか。
IMF危機の混乱に乗じて誕生した銀行オーナーのモラル
貯蓄銀行というのは、もともとは信用金庫のような地元密着型の小規模金融機関だった。地域の個人や中小・零細企業・商店に資金を貸し出すことが役割だったはずだ。
ところが、1990年代末に韓国を襲った通貨・経済危機(IMF危機)のあおりで、98年にはわずか1年間で100以上の貯蓄銀行(当事は相互信用金庫)が経営破綻した。政府は、公的資金を投じて破綻処理するより、新規資金を投じてくれる「買収者」を探していた。この機会を捉えて、多くの「金融機関オーナー」が誕生した。
未来貯蓄銀行の金会長は99年、ソロモン貯蓄銀行の林会長は2000年に買収によって新しいオーナーになった。だから、そもそも金融機関経営者のモラルなど期待できないのだ。
2000年以降、全国で不動産開発ブームが起き、貯蓄銀行は一斉にプロジェクトファイナンス(PF)事業に走った。個人や中小・零細企業・商店を相手にするより手っ取り早く利益が上がるからだ。
新しいオーナーたちは、PFで巨額の利益を上げ、この資金で別の貯蓄銀行を買収してどんどん成長していく。この過程で、時の政権や有力者との密接な関係が力を発揮したと見られる。
建設会社と組んだPFは、貯蓄銀行の典型的な「成長モデル事業」だ。実際、一時は面白いように利益が上がり、韓国内だけでなく、東南アジアの開発プロジェクトにもどんどん資金を供給し続けた。
「一攫千金」モデルが破綻し、粉飾会計が蔓延
「一攫千金」モデルだから、リスク管理も甘い。だから不動産価格の下落などでPFを取り巻く環境が悪化すると、経営は一気に行き詰まる。
高金利をてこに預金集めに走るが、集めた資金は赤字解消のためにあっという間に消えてしまう。それでも自転車操業を続けるしかなく、「粉飾会計」が「蔓延していた」(金融監督委員会)という。
今回営業停止処分を受けた他の2つの貯蓄銀行のBIS基準自己資本比率もそれぞれマイナス1.36%とマイナス37.32%だった。
また、オーナーや大株主も、もともと銀行オーナーとしてのモラルに欠けている例が多く、不正融資や横領などが横行していた。
韓国政府は、2011年初めから貯蓄銀行の経営検査を厳格化し、次々と不良貯蓄銀行を営業停止処分にした。
部下に密告されても仕方ない所業
焦ったソロモン貯蓄銀行と未来貯蓄銀行は、相互にオーナー関係者に不正融資をして、増資によって資本増強することを助け合った。
未来貯蓄銀行の場合、会長が従業員の前で泣きながら経営危機を訴え、退職金を従業員に前払いして増資に応じさせた。その上で、自分は銀行の金を引き出して逃亡しようとしたのだから、部下の運転手に密告されるのも当たり前か。
韓国政府は、こうしたオーナーや大株主の不正行為を厳しく追及する方針だ。ただ、わずか1年半で20もの貯蓄銀行が営業停止になるというのは異常事態で、預金者からは怒りの声も強い。
貯蓄銀行は高い預金金利を武器に主に庶民層から預金を集めていた。このため、「いつも被害に遭うのは庶民層だ」と政府を批判する声も強い。
「5000万ウォンまでの預金は保護されるというが、政府は昨年も貯蓄銀行の危機はこれ以上ないと言っていた。今になってオーナーがでたらめな経営をしていたと言われても、どうして今までこういうオーナーを放置していたのか、預金者は納得できないだろう」(韓国紙デスク)
「大企業や財閥ばかり優遇した」と批判を浴びる李明博政権は、もう1つ頭の痛い問題を抱えてしまった。
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