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http://diamond.jp/articles/-/18202
過剰期待を寄せる「QEバブル」
日銀が消極的に映る二つの理由
3月の日本のマネタリーベース(現金+日銀当座預金)前年比はマイナス0.2%だった。4月も若干のマイナスか横ばいだろう。これを見て、「日銀の資金供給は消極的過ぎる」と解釈してしまうと大きな誤解になる。
マネタリーベースが伸びていない一つの理由は、流動性不安の後退にある。マネタリーベースの供給量が「緩和的か、緩和的でないか」を判断する際は、それに対する需要の強弱を考慮しなければならない。昨年の3〜4月は震災による流動性不安が市場に存在した。そのようなときは、金融機関は日銀から資金を借りて、流動性のバッファーとしてそれを日銀当座預金口座に退蔵したがる(それ自体は実体経済を何も刺激しない)。しかし、今は流動性不安が存在しないため、マネタリーベースへの需要は特別強くない。
需要の程度を考慮すれば、最近の日銀のマネタリーベースの供給は昨年よりもむしろ一段と緩和的だ。実際、主要通貨の短期金融市場の様子を観察すると、最も緩和的になっているのは円である。企業がこれほどCP(短期社債)を低利で大量に発行できる環境は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、フランクフルトでは見られない。しかし、企業の資金需要が高まってこないのが日本の問題である。
もう一つの理由は、極めて逆説的だが、2月に日銀が国債の買い入れを10兆円増やすと決定したことにある。その追加緩和策を受けて、大半の金融機関は日銀の資金供給オペへの応札を消極化させた(オペの「札割れ」も多発している)。なぜなら、多くの金融機関は既に使わない準備預金を大量に保有している。それがさらに増加したところで、日銀当座預金口座に死蔵される「ブタ積み」が増えるだけだからである。
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準備預金の増加は逆に金融緩和効果を殺ぐ、という議論が米国では行われている。2009年6月のFOMCでFRB幹部は、「準備預金残高が非常に高水準になると、銀行はキャピタル・レシオの過剰な下落を防ぐために、貸し出しや証券購入を抑制する恐れがある」と結論付けた。FRBが準備預金を増加させないオペレーション・ツイストを現在行っている理由の一つは、そこにあるといえる。
FRBは量的緩和策の効果に実は懐疑的であり、それ故、公式には「QE」という名称を政策に一度も採用していない(メディアが勝手にそう呼んでいる)。株式市場や外為市場は過剰な期待を抱いている。ブルームバーグのワシントン支局員・山広恒夫氏は、それを「QEバブル」と呼び、その破裂の反動を懸念している。
(東短リサーチ取締役 加藤 出)
http://diamond.jp/articles/-/18201
壁高い円滑化法の出口戦略
金融庁の新政策に疑問符
金融庁が推進していた円滑化法とは、いったい何だったのか
金融機関に、貸し付け条件の変更などに応じる努力義務を課した中小企業金融円滑化法。その期限切れが来年3月に迫り、金融庁は “出口戦略”に向けた政策パッケージを打ち出した。
その中身は、金融機関に経営指導などコンサルティング機能を一層充実させるよう求めること、そして企業再生支援機構(ETIC)と中小企業再生支援協議会(再生協)の機能や連携を強化することで、再生が難しい企業への支援を行いやすくすることなどだ。
しかし、いずれもその効果には疑問が残る。
まず、金融機関のコンサル機能は、「すでに再生不可能なところも条件変更してしまっている」(地方銀行幹部)ことに加え、そもそも金融機関にそんな能力は「あるはずもない」(中小企業関係者)との指摘が根強い。
一方、日本航空など大型案件に支援が偏っていたETICは中小企業の再生に軸足を移す予定だが、それでも「小規模の企業の支援は無理」(地銀幹部)とみられている。
再生協についても今年度、実績の10倍弱に当たる3000件の計画策定支援を目指し、その対応として人員を増員、処理期間を従来の3分の1に短縮するとしている。が、それは金融機関の情報を利用して資産査定を簡素化するだけの話だ。
結局、金融庁は「円滑化法の期限切れにより企業倒産が急増する責任を問われないようアリバイ作りに必死」(地銀関係者)なだけ。出口戦略は金融機関が地道に進めるしかないが、中小企業の再生は容易でなく、円滑化法の施行から終了までの3年強で、問題が先送りされるだけに終わりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)
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