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焦点:米政権の製造業再生策、半導体の海外移転を阻止できるか
2012年 05月 8日 18:30 JST
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[チャンドラー(米アリゾナ州) 1日 ロイター] 「ファブ42」と味気ない名称で呼ばれているが、米アリゾナ州の砂漠に建設中の米インテル(INTC.O: 株価, 企業情報, レポート)の半導体製造施設は、ありふれた施設ではない。
総工費50億ドルとされるこの施設は、史上最も進んだ半導体製造施設だ。ここで生産されるマイクロチップに搭載されるトランジスタは非常に小さく、1本の針の先に1億個以上を載せることができるほどだ。
またこの施設はインテルにとって、米国が依然モノ作りに適した場所なのかどうかを占う上で、大胆な賭けともいえる。多くの政府高官や企業の幹部が信じているように、製造業が雇用や長期的な経済成長にとって不可欠であるならば、「ファブ42」は心強いシンボルとなり得る。
しかし、インテルの新施設が高度な製造業セクターの最後の砦になるのでは、と懸念する声も多い。高度製造業も、よりローテクなセクターのように、結局はアジアに流出するのではないかというのだ。
このような懸念は、米大統領選に向けた議論にも影響を与えている。問題は、米国政府が製造業を支援するためにできることはあるのか、もしくは、そもそも政府が支援すべきなのか、という昔からある命題だ。
米国から半導体工場が失われているのは、外国の労働力が安価だからではない。むしろ、海外の法人税率の低さや、国際的なサプライチェーンの存在、熟練労働者の豊富さ、といった面の影響が大きいとされる。
オバマ米大統領は、製造業の「インソーシング(内部委託)」を主要な経済政策目標に掲げ、高度製造業の支援策を打ち出している。
大統領は2月に公表した予算教書で、製造業の最高税率を25%に引き下げ、高度製造業の最高税率はさらに引き下げることを提案。研究開発(R&D)費の税額控除恒久化も提示したほか、高度製造業のR&D支援のための予算として前年度を19%上回る22億ドルを確保した。
米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)のエリック・シュミット会長らをメンバーとする大統領直属の科学技術諮問委員会も、「アドバンスト・マニュファクチャリング・イニシアチブ」と銘打つ一段と大胆な措置を提唱。これは、米政府が1980年代、半導体業界を支援するために推進したコンソーシアム「セマテック」を想起させる内容で、同委員会は政府に対し「新技術や設計方法が国内で開発されるよう」投資することを求めている。
ただ、オバマ大統領が打ち出した米製造業再生策には賛否両論ある。反対派は、米国に戻ってくる雇用は大半が低賃金の職だとし、米企業はデザインや発明に力を入れたほうがよい、と主張する。こうした反対派は、製造を行わないアップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)をモデルケースと評価している。
半導体業界の幹部は、高度製造業で重要な点は、直接的な雇用創出ではなく、長期的な成功に不可欠なノウハウを維持することだ、と話す。
インテルの新施設建設は雇用創出とノウハウ維持という両面で役立っている。インテルは製造の4分の3を国内で行っているが、同時に、海外で生産したほうがコストが安いことも認識しており、海外生産の利点がさらに大きくなれば、製造過程の海外移転を加速する可能性がある。
複雑なサプライチェーンを持つ半導体メーカは、工場の新設地を選定する際、さまざまな要素を検討するが、米国では法人税率が最高39%に達する。経済協力開発機構(OECD)によると、法人税の最高税率はアイルランドが12.5%、イスラエルが24%で、米国は不利だ。
台湾やシンガポール、イスラエルなど、海外からの投資誘致に熱心な国・地域は、減税やR&D費の税額控除など、米国内の製造業が得られる恩恵より一段と有利な条件を提示し、投資を呼び込もうとしている。
アパレルなどと異なり、半導体工場が雇用する人員は比較的少ない数で済むため、労務費は小さな要因でしかない。高い技術を持つ人材が必要だが、そうした人材は中国など新興国でも得られやすくなっている。
<半導体製造施設の建設費高騰>
「ファブ」と呼ばれる半導体製造施設の建設費は高騰している。新技術が生まれるたびに、より高価な生産プロセスが必要になるためだ。
このため、多くの米半導体会社は何年も前から、製造を外部に委託し設計に注力する戦略に転換。台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW: 株価, 企業情報, レポート)(TSM.N: 株価, 企業情報, レポート)などアジア勢が、多くは政府の支援を背景に、巨額資金を投じて大規模な施設を建設したことから、外部委託の魅力が一段と増した。
世界の半導体業界の売上高は昨年は約3000億ドルだが、この半分を米企業が占める。ただ国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、世界の半導体製造能力のうち、米国内にあるのはわずか16%。この比率はここ3年間横ばいだが、10年前には23%に達していた。
米貿易統計によると、米半導体輸出は昨年は、30億ドル減の440億ドル。2001年のピークの600億ドルから25%以上も減った。
米半導体工業会(SIA)が委託した調査によると、半導体関連のR&Dの大半は、依然として米国内で行われているが、減少傾向にある。
世界の半導体業界では現在、現在の300ミリウエハーから450ミリウエハーに移行するという、大きなハードルに直面している。ウエハーの大口径化は、半導体チップ1個当たりの生産コストを下げるのに役立つ。そのため各社は微細化競争にしのぎを削るが、巨額の資金が必要となるため、対応できるのはほんの数社に限られるとみられている。
リンクス・コンサルティングの製造業専門家、マーク・サースク氏は「現在、300ミリに対応しているのは35社程度だ。450ミリに移行できるのは多くはなく、おそらく5、6社だろう」と指摘している。
<「個人の交流」も重要な要素>
450ミリに移行できる企業の1社は、間違いなくインテルだ。同社は今年、前年の108億ドルを上回る125億ドルの設備投資を行う。
インテルはアリゾナ州、オレゴン州、ニューメキシコ州、マサチューセッツ州に工場を持ち、半導体のおよそ4分の3を米国内で製造しているが、米国内で製造を選好するのは、それなりの理由があるからだ。
既存の拠点に新たな施設を追加するほうが、まったく新しく建設するよりも、コストがずっと安いほか、完成にかかる時間も最大1年短縮できる。「ファブ42」は、2007年に開設した施設と隣接している。
インテルで技術開発を担う専門家はたいてい、オレゴン州ヒルズボロのリサーチセンターなど国内拠点にいる。新技術の実用化においては、ヒルズボロの各製造拠点にいるエンジニアは、そこで専門家からのトレーニングを受けることになる。経験を共有するというこうした「個人の交流」は、イノベーションにとって計り知れないほどの価値を持つ。
ただインテルは米国に忠誠を誓っているわけではなく、アイルランドやイスラエルにも工場を持っているほか、中国の大連では2010年に工場を立ち上げた。海外生産の利点が大きくなれば、インテルは今後、米国内ではなく、海外拠点の拡張や近代化を優先させるかもしれない。
インテルで製造施設の建設・運営を担当するゼネラルマネジャー、ジョシュ・ウォールデン氏は「世界全体を見ている。例えばアイルランドでは次世代技術への対応に備え投資を行った。アイルランドが次世代技術の拠点になるかもしれないからだ。イスラエルも同様だ」と話す。
インテルによると、税制などの優遇措置があるため、海外での工場建設は、米国内と比べるとコストが10億ドルも安く済む。ウォールデン氏は、専門家がおりインフラも整った米国で工場を建設する利点と、海外のコストの安さをてんびんにかけて、建設地を決定することになる。
インテルや、そのほかの半導体メーカーは、米国の法人税率引き下げや、新たな製造施設の建設認可のスピードアップなどを要望している。
また米国の大学が多くのエンジニアを輩出することや、米国の大学を卒業した外国人が米国にとどまり働けるようにすることを望んでいる。
米国科学審議会によると、2008年の米国の学士号取得者のうちエンジニリングは4%にすぎず、アジアの19%を大幅に下回っている。
<米政府の支援の歴史>
米国では現在、歳出削減ムードが強く、危機に陥っていない産業向け支援を議論する環境ではないかもしれない。ただ米政府は過去、半導体産業の競争力維持に向けた支援を講じており、例えば日本勢の攻勢で米国のメモリーチップ産業が追いつめられた1980年代には、5億ドルを投じ官民共同コンソーシアム「セマテック」の設備更新を支援した。
現在では、シリコンバレーなどを選挙区に抱えるカリフォルニア州選出のマイク・ホンダ議員が、450ミリへの移行が米国内で行われるよう、オバマ政権に支援を要請している。ホンダ議員は「米政府はこれまで、月面着陸からインターネットまで、あらゆる分野において主要な役割を果たしてきた。(半導体製造でも)米政府と業界が足並みをそろえて協力しなければ、世界から取り残されてしまう」との見方を示した。
米政府からは一部、支援の動きも出ている。クオモ・ニューヨーク州知事は、オールバニのエンジニアリング大学に4億ドルを投じる計画を提唱。これはインテルとTSMC、韓国サムスン(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)、IBM(IBM.N: 株価, 企業情報, レポート)、グローバル・ファウンドリーズが参加するコンソーシアム構想の一環であり、コンソーシアムは5年間で44億ドルを投資して新基準確立や試作品の試験を実施、450ミリへの移行にも資金を投じる。
最先端の半導体工場が今後も、米国内で建設されることが必要な理由は、雇用というよりもむしろ、製造するという行為そのものが、さらなる技術革新を生み出し、それが産業の一段の活性化につながるためだ。
米インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDTI.O: 株価, 企業情報, レポート)のテッド・トゥックズベリー最高経営責任者(CEO)は「発明や、高レベルのデザイン機能を国内に維持すれさえすれば、製造が海外に移転しても、米国にとって何ら問題ではない、と主張する向きも多いが、私はそうは思わない」とし「製造から完全に離れてしまえば、イノベーションを行う能力にも影響する。この国にとって非常に危険な方向だ」としている。
(Noel Randewich記者;翻訳 吉川彩;編集 加藤京子)
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