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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35144
Financial Times
欧州の統合強化を脅かすユーロ圏の選挙
各地で相次ぐ有権者の反乱
2012.05.07(月)
今から2年近く前、ちょうどユーロ圏の債務危機が激化していた頃、欧州の政府高官の一団が地域の優れた識者たちと秘密裏に会合を開き、統合強化を通じて危機を解決する方法について話し合った。その解決策は、通貨同盟に付随する財政同盟に向かって動くことだった。
ハンガリー系米国人の投資家で慈善家のジョージ・ソロス氏は、話に耳を傾け、警告とともに議論を締めくくった。計画は理にかなっているが、指導者は迅速に行動しなければならない。経済統合を巡る政治は難しくなる一方で、簡単にはならないからだ――。「この先の政治状況は、今より好ましくなくなるだろう」とソロス氏は話していた。
ジョージ・ソロスの予言が現実に
欧州が危機から脱するには、統合強化が不可欠と見られているが・・・〔AFPBB News〕
ソロス氏が警告していた反発が、今、現実になっているのかもしれない。
フランス、ギリシャ、アイルランド、オランダでは、この先、欧州の常識を大きく揺るがす選挙結果が出る可能性が高い。
最近の選挙での反乱の多くは、緊縮政策に対する反発として特徴付けられた。確かにギリシャの場合はそうだ。1740億ユーロの新たな救済策に調印するまでギリシャの政界を支配していた2大政党は、5月6日の選挙で、票の40%を獲得することにさえ苦労すると見られていた。
同様に、EUの新たな財政規律条約が5月31日に国民投票にかけられるアイルランドでは、条約に反対する唯一の主要政党で、ジェリー・アダムズ党首が率いるシン・フェイン党が、反緊縮政策のメッセージで20%近くまで支持を伸ばしている。
政治危機の1年
その他諸国における反欧州連合(EU)感情は、緊縮政策よりも、潜在的にもっと油断のならないものに向けられている。大方のエコノミストやEUの当局者が危機から脱するために不可欠と考える統合強化という考え方そのものに対する反乱だ。
実際、2011年が世界経済を揺るがした金融危機の年だったとすれば、2012年は、急性の政治危機の年になりつつある。
ユーロ圏諸国の半分は過去1年間に政権が倒れたか交代したが、政治的な混乱は、危機に対するEUの政策対応にはほとんど影響を及ぼさなかった。ギリシャ、アイルランド、ポルトガル(いずれも救済措置を受けている)、そしてスペインでは、新たな指導者はせいぜいEUの要求を修正する程度で、要求を上回る対策を講じたケースもある。
ユーロ圏の4400億ユーロの救済基金への拠出金増額を巡る緊張のために指導者が政権の座から追い落とされたフィンランドやスロバキアのような債権国では、新政権がすぐに共同歩調を取るようになった。
だが今は、腹を立てた有権者がより急進的な指導者の下に結集しており、主流派の指導者が、まさに財政同盟の創設に必要な統合に急ブレーキをかけざるを得なくなっている。
債権国のオランダやフィンランドでも有権者の反乱
欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は最近、統合強化に向けた勢いが急速に失われていると嘆いた。
EUに懐疑的な左派と右派双方の政党が大統領選挙の第1回投票で30%近い票を獲得したフランスでは、ニコラ・サルコジ大統領が、バスポートなしで行き来できるEUのシェンゲン協定からの離脱をほのめかし、(ユーロに次いで)最も人目を引く欧州統合の象徴を標的にした。
オランダでは、先月起きた連立政権崩壊で一番得をした政党は、右派のポピュリスト、へルト・ウィルダース氏が率いる反緊縮政策の自由党ではなかった。得をしたのは、ブリュッセルにより多くの権限を委譲することがオランダの社会モデルを破壊すると考え、同国の第2政党になろうとしている極左の社会党だ。
緊縮政策が比較的穏やかなフィンランドでさえ、反EU感情は、非主流から主流へと変わりつつある。ユーロからの離脱を主張して今年大統領選に出馬した元閣僚のパーヴォ・ヴァイリネン氏は、かつてEU支持派だった中央党の次期党首になろうとしている。
今後数カ月間で欧州の危機管理能力を最も低下させるのは、緊縮政策に対する反乱ではなく、こうした統合強化に対する反逆だ。
By Peter Spiegel in Brussels
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