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http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/29288085.html
タイトル:エルピーダへの米外資による乗っ取り劇:30年続く日米半導体技術覇権戦争“失敗の本質”
1.日の丸半導体企業エルピーダ、遂に米国ライバルに乗っ取られる
2012年5月6日の日経新聞スクープにて、半導体大手のエルピーダメモリが米マイクロン・テクノロジーに2000億円で買収される見通しとのこと(注1)。マイクロンの支援総額は合計3000億円のようです。このエルピーダはNECと日立と三菱電機のメモリー半導体事業部門を統合した典型的日の丸企業でした(注2)。
エルピーダは周知のように、今年2月に経営破綻しています(注2)。総資産は9600億円ですから、ある意味、安い買い物でしょう、マイクロンにとって・・・。
一方、米マイクロン(注3)はインテル、テキサス・インスツルメンツ(TI)、ナショナル・セミコンなど、米半導体業界によって支えられてきた米の戦略的半導体企業です。その核はセマテック(注4)(当初はテキサス大学オースティン校に設置)にあります。セマテックは80年代末に結成された米産官学コンソーシアムですが、当時、米半導体業界にとって、脅威となっていた日本の半導体業界との競争に打ち勝つために結成されています。
セマテックのリーダー格であったインテルはその後、メモリー半導体事業から撤退し、PC用のマイクロ・プロセッサー事業に特化する羽目となりました。
セマテックを発足させたインテルの故・ロバート・ノイス博士(注5)の日本ライバル企業(NEC、富士通、日立、東芝、三菱電機など)への恨みは半端ではありませんでした。なぜなら、インテルが開発したメモリー半導体技術を日本勢に奪われたからです。
この恨みは今日に至るまで、米半導体業界の中で脈々と生きています。彼らの執念深さは半端ではありません。
上記、マイクロンは米国で生まれたメモリー半導体技術のタネを米国内に残すために採算度外視で温存されてきた特別の戦略的企業とみなせます。なぜなら、米国の軍事的技術覇権維持にとって、メモリー半導体技術は軍事的覇権技術のひとつとして位置づけられているからです。
その意味で、80年代末、日本企業はすでに、米国の軍事的技術覇権主義者の虎の尾を踏んでいたわけです(注6)。
2.日本の先進技術企業・エルピーダの乗っ取りはすべて、米国技術覇権主義者のシナリオ通り
本ブログでは、すでに日本の先進技術企業の典型・エルピーダの倒産事件について取り上げています(注7)。
エルピーダは破綻前から、ゴールドマン・サックスなど国際金融資本から狙われており、空売りのターゲットにされていました(注8)。
エルピーダの経営が危機的になって、経産省が280億円の公的資金を注入していますが(注9)、この件に関与した経産省官僚は悪名高い東京地検特捜部によりインサイダー取引容疑で逮捕されています(注10)。
ちなみに本ブログでは、東京地検特捜部は日本の組織ではなく、実態は米CIAの日本派出所とみなしていますから、この愛国的経産官僚の国策逮捕は宗主アメリカ様の闇指示である可能性が極めて濃厚です。
なぜ、経産省がわざわざ公的資金で、一民間企業に過ぎないエルピーダの救済を行なったかといえば、エルピーダのルーツは、通産省(MITI)主導の産官学コンソーシアム“超LSI技術研究組合”(注11)にあるからです。
ちなみに、上記、米セマテックは日本の国策コンソーシアム“超LSI技術研究組合”に対抗して設立されています。
その意味で、今の経産省にとって、国策企業エルピーダの破綻は、80年代より今日まで30年に及ぶ日米半導体技術覇権戦争における敗北の象徴なのです。
そして、米国にとってノトリアス(悪名高い)であった、かつての愛国官庁MITIに復讐を誓った米国技術覇権主義者はシナリオ通り、MITIに仕返ししたととらえることができます。要するに、80年代より続いた日米半導体技術覇権戦争の最終決戦、それが、MITIの象徴・エルピーダの乗っ取り作戦であったということです。
3.エルピーダを乗っ取った米マイクロンの日本子会社とは
今回、エルピーダを乗っ取った米マイクロンの日本子会社のルーツはKTI(神戸製鋼・テキサス・インスルメンツ合弁会社)ですが、エルピーダの坂本社長はTIおよびKTIの出身ですから、マイクロンの乗っ取り劇は出来レースとみなすべきでしょう。
エルピーダが設立されたのは1999年ですが、TIおよびKTI出身の坂本社長がエルピーダの社長に就任したのが2002年です。
日本大企業の常識ではNECと日立がつくったエルピーダの社長はNECと日立から交互に天下り人材が来て社長になるのが普通ですが、坂本氏のエルピーダ社長就任はその常識を破った異例の社長人事だったのです。その当時、筆者はあのNECや日立がなぜ、外部から無名の坂本氏をリクルートしたのか実に不可解でした。
今、振り返ってみると、米国半導体業界が日本政府経由(当時は悪名高い隷米・小泉政権時代)にて、NECと日立に対し、坂本氏(TIのエージェント?)をエルピーダの社長にするよう圧力を掛けたのではないかと推測できます。
つまり、2000年代初頭の隷米・小泉政権時代にすでにエルピーダは米国半導体業界の乗っ取りターゲットであったとみなすことができます。
以上の分析より判明するのは、日米太平洋戦争は2012年の今日まで、技術覇権戦争のカタチをとって依然、続いているということです。そして、日本勢の対米技術覇権戦争の”失敗の本質”がいまだに繰り返されているということです。
注1:日経新聞“エルピーダ、米マイクロンが買収へ 3000億円支援”2012年5月6日
http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C93819696E2E7E2E1908DE2E7E2E7E0E2E3E09F9FEAE2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2
注2:エルピーダメモリ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%A1%E3%83%A2%E3%83%AA
注3:マイクロン・テクノロジー
http://en.wikipedia.org/wiki/Micron_Technology
注4:セマテック
http://en.wikipedia.org/wiki/SEMATECH
注5:ロバート・ノイス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%82%B9
注6:拙著[2003]『日米技術覇権戦争』光文社、絶版
注7:本ブログNo.541『半導体大手エルピーダ倒産事件:日本国家の新産業戦略を打ち出せない経団連企業群全体に責任あり』2012年2月28日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/28618715.html
注8:本ブログNo.542『ハゲタカの餌食になった長銀からライブドア、オリンパス、エルピーダまで:国際金融資本が日本でやりたい放題、怒れ!われら国民は舐められ切っている』2012年2月29日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/28630362.html
注9:日経新聞“エルピーダ更生法申請、公的負担最大280億円 経産相が認識”2012年2月27日
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381949EE0E5E295E78DE0E5E2E0E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2
注10:産経ニュース“経産省元審議官を逮捕 インサイダー取引容疑 東京地検特捜部”2012年1月12日
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120112/crm12011214330013-n1.htm
注11:泉谷渉[2006]『日本の超LSI技術研究組合の意義』
http://www.komazawa-u.ac.jp/~kobamasa/reference/gazou/icind1/izumiya_semicondjp.pdf
ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm
テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.elmstadt.com/news/techventure.html
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html
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