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ユーロ解体 Zの「私案」を示そう
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32413
2012年05月05日(土)ドクターZ :週刊現代
依然として危機が続くユーロ。実は発足当初から懐疑論があった。ノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデル教授の「最適通貨圏」理論によれば、経済変動の違いすぎる国が共通通貨を導入するとうまくいかないとされ、ユーロにあってはまさにギリシャがその典型だった。
ギリシャは過去200年で、債務不履行あるいは先延ばしをした期間が50・6%もあった。つまり、2年に1回破綻する破綻常習国だ。ユーロ導入以前はドラクマという独自通貨を持っていて、破綻のたびに通貨調整して乗り切ってきた。
ところが、ユーロ導入でドラクマという調整弁がなくなったというのに、欧州の金融機関はギリシャのリスクを忘れてしまった。そこに、起きて当たり前の破綻が起こり、金融機関がパニックに陥っているというのが、昨年からの構図だ。ちなみに、ユーロ加盟以前のギリシャ破綻は、欧州では些細な問題だった。
政治的にはメンツが立たないだろうが、経済の面から考えれば、ギリシャはユーロから離脱すべきだ。そこで、イギリスの大富豪で貴族院議員のサイモン・ウォルフソン卿が25万ポンド(約3250万円)の賞金を出し、「ユーロ単一通貨を解体する最も優れた計画案」を募っている。7月の最終選考に向けて、400以上の応募の中から5つの案に絞られたそうだ。
応募してはいないが、せっかくなので「ドクターZ私案」を披露しておこう。
新しい通貨への切り替えは、インフレ対策などで多くの国が経験している。日本でも戦後の'46年2月、5円以上の日本銀行券を預金あるいは貯金、金銭信託として強制的に金融機関に預け入れさせて既存の預金とともに封鎖。そのうえで、生活費や事業費などに限って新銀行券による払い出しを認めた。いわゆる「新円切り替え」だ。
切り替え準備は、極秘裏かつ10日間という短期間で進められた。しかし、預金払い戻しに必要な新円の大量製造は間に合わず、応急措置として旧円に証紙を貼った紙幣が新円とみなされて、約8ヵ月間、市中で流通していた。ここがポイントだ。旧通貨の流通量を減少させ、新通貨への移行を短期間でスムーズに行えば、経済混乱はなくなる。
現在なら、電子通貨を活用するのがいい。まず、約1100万人のギリシャ国民全員に電子通貨カード(Suicaのようなもの)を交付する。その段階では、新ドラクマへの切り替えはアナウンスしない。国から国民への交付金処理を円滑に行うためと言っておく。1000円程度でもあらかじめ電子カードに入れておけば国民は喜ぶだろう。
行き渡ったら、ある週のはじめに高額現金は金融機関への預金、残りの現金は電子カードへの預託を強制的に行わせる。期限は週内で新ドラクマへの切り替えはその週末。預金や預託しない場合には、新ドラクマは受けられない。
新通貨の製造が間に合わなくても、電子カードなら対応できる。海外の投資家はすでに債務カットを受けているので、通貨切り替えでの新たな損失はあまりないだろう。
ドラクマを復活させ、独自の金融政策による為替調整力を使えば、いまよりマシな経済運営ができる。事実、英国やデンマーク、スウェーデンはEUにいながらユーロには加盟せず、自前の金融政策によって良好な経済パフォーマンスを上げている。ギリシャが無理にユーロにとどまっても問題が再燃するのは確実。早く離脱したほうがいい。
「週刊現代」2012年5月5・12日号より
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