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みずほ証券、出口見えぬ1000億円の赤字 銀行同様に進まなかった社内合理化の重荷
2012年5月2日 水曜日 馬場 燃
証券大手5社の2012年3月期決算が出揃った。大手5社のうち、野村ホールディングス、SMBC日興証券、三菱UFJ証券ホールディングスの3社の連結最終損益が黒字だった一方で、大和証券グループ本社、みずほ証券の2社は赤字に陥った。
このうち、業績が最も悪かったみずほの最終赤字は956億円。これは米サブプライムローン問題で4000億円を超える大きな損失を出した2008年3月期以来の低い水準だ。欧州危機にともなう本業の低迷に加え、人件費などの高コスト体質が足を引きずり、2期連続の赤字になった。
みずほ証券の連結最終損益
注:2008年3月期と2009年3月期は、旧みずほ証券と旧新光証券の単純合算
2012年3月期はギリシャに端を発した欧州危機が深まり、株式市場や投信販売などが総じて低迷。そのあおりを受け、証券大手5社にとっては厳しい経営環境が続き、最も業績が良かったSMBC日興証券でも最終黒字は200億円弱にとどまった。その中でも、みずほの1000億円近い赤字は群を抜いて悪い。なぜ、ここまで低空飛行を続けているのか。
「毎月ありえないほどの赤字を垂れ流している」
みずほ証券はグループ戦略を見直す一環で、昨秋に持ち株会社であるみずほフィナンシャルグループ(FG)の完全子会社になった。そのみずほFG幹部がため息交じりで語る。「みずほ証券は、人件費をはじめとするコストがとにかく高すぎる。毎月ありえないほどの赤字を垂れ流している」。
みずほ証券は、2000年に旧第一勧業、富士、興銀証券の3社が合併して発足した。2009年には日本興業銀行系列の新光証券も合流している。問題は、銀行と同じように出身会社間の融和が遅れ、経営の合理化が進まなかった点だ。
みずほFGは興銀出身の佐藤康博社長が昨年春のシステム障害を機にグループでただ1人のCEO(最高経営責任者)に就くと、みずほ証券に大ナタをふるい始めた。昨年10月には新光証券との合併後では初めてとなる希望退職を募り、2012年3月期は自然減などを含めて従業員を1100人程度減らした。こうした退職関連の特別損失が1000億円近い赤字に一部反映されている。
4月27日に記者会見したみずほ証券の幸田博人常務執行役員は「2012年度は200億円の人件費削減効果が見込める。今年4月は収支が均衡しており、役員報酬なども削減して会社全体で黒字化に取り組んでいきたい」と語った。その一方で、こう不安も漏らした。「市場の環境は明るい兆しもあるが、一方向でよくなるというわけではない。欧州市場も難しい状況が続く可能性がある」。
大幅な最終赤字となった2012年3月期決算を発表する、みずほ証券の幸田博人常務執行役員(写真左)ら
同社の欧州市場の営業損益は10四半期連続で赤字が続いており、直近の2012年1〜3月期も100億円を超える損失を計上している。企業の売上高にあたる純営業収益は2012年3月期に前の期より13%落ち込んだ。いくら人件費削減を進めても、先行きが見通しにくい市場環境の中、本業が上向かなければ黒字転換の道筋がみえてこない。みずほFG幹部は「本業が厳しいのはわかっている。まずはコストカットを懸命に進めて止血しないといけない」と語る。
みずほFGはグループ全体で経営体制の見直しを進めているが、赤字の出口がなかなか見通せない証券業務が引き続き重しになりかねない。完全子会社となったみずほ証券がグループ全体の収益に貢献する日はいつになるだろうか。
(この記事は、有料会員向けサービス「日経ビジネスDigital」で先行公開していた記事を再掲載したものです)
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