★阿修羅♪ > 経世済民75 > 791.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
漂流 東電 (中)ガラス細工の経営公的管理 会長人事難航 社内に広がる挫折感
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/791.html
投稿者 MR 日時 2012 年 4 月 30 日 15:13:45: cT5Wxjlo3Xe3.
 

【漂流 東電】(中)ガラス細工の経営公的管理 
2012.4.30 05:00

 ■電気料上げ・税金…賠償、国民負担懸念

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から2カ月近くたった昨年5月の大型連休。事故収束が見通せないなか、東電社内で幻となった記者会見の準備が進められていた。原子力損害賠償法(原賠法)第3条の免責条項の適用を主張するための会見だ。

 ◆免責主張していれば

 1961年につくられた原賠法は、民間の電力会社に原発事故の賠償について、無限責任を課している。だが、3条には「その損害が異常に巨大な天災地変または社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」という“ただし書き”がある。

 「賠償金がどのくらいになるのか見当もつかない。経営が立ちゆかなくなる」。危機感を強めた経営幹部や顧問弁護士は、いったん免責適用を求めることで合意した。

 だが、会長の勝俣恒久は直前になって会見の中止を決めた。なぜ思いとどまったのか。勝俣に近い経営幹部は「免責されれば、国を含め賠償主体がいなくなると判断したからだ」と、被災者への配慮を挙げる。

 一方で、勝俣本人は後に「裁判で係争になれば勝てないと思った」と打ち明けた。原賠法案の提出当時の国会審議では、免責が適用される事例について、「人類の予想していないような大きなもの」「全く想像を絶する事態」と定義した。

 津波対策の不備、過酷事故対応の不手際、政治の危機管理能力の欠如…。事故は「人災」の側面を否定できない。

東電を敵視した当時の首相、菅直人は「免責はあり得ない」と繰り返した。免責を主張しても世論の批判を浴びるだけだった。それでも、東電関係者は「もし、免責を主張していれば…」と、悔やむ。

 ◆「生かさず殺さず」

 東電が免責主張を検討していたころ、民主党政権の一部では、東電を経営破綻させ、公的資金の投入で「完全国有化」にすることが検討されていた。だが結局、政府は東電を民間会社として存続させ、賠償金の支払いをさせることにした。完全国有化によって、国が賠償負担を無制限に負うことを恐れたためだ。

 「利益はすべて賠償金に吐き出させる。殺しもしないが、生かしもしないシナリオ」と、財務省幹部は解説する。

 東電は賠償額に上限を設定し、上回る部分を国が負担することを求めた。勝俣と親交があり、経済財政担当相だった与謝野馨も賠償問題の関係閣僚会議で、東電擁護の論陣を張った。

 だが、官房長官だった枝野幸男は「東電が上限以上は補償しないことは許されない」と一蹴。国が必要な賠償資金を拠出し、東電と電力業界が返済していくという賠償支援の枠組みが5月13日に閣議決定され、8月3日には「原子力損害賠償支援機構法」が国会で成立した。

 ◆責任、その場しのぎ

 同法には、支援機構が東電への貸し付けだけでなく、出資もできることが盛り込まれた。賠償資金は当面、支援機構からの資金拠出で賄える。だが、福島第1原発の廃炉費用の積み立てや原発停止に伴う代替火力発電用の燃料調達費の増大で、東電は2012年3月期にも債務超過に陥る可能性があった。東電を破綻させずに生かすには、1兆円の公的資金による資本増強が不可欠となった。

「公的資金に見合う議決権は譲れない」。東電を管轄する経産相となった枝野は、国が単独の株主として東電解体もできる3分の2超の議決権を要求。勝俣ら東電幹部は抵抗したが、当初は国が2分の1超の議決権を握り、国の意向で3分の2超に引き上げることができるようになった。

 完全国有化はしないが、公的管理下に置いて政府が経営に口出しするという、責任の所在があいまいな枠組みが、こうして出来上がった。

 東電が今後、利益のなかから返済していく賠償金は、除染費用を含めれば、総額10兆円以上に膨らむ可能性がある。30年かかるとも50年かかるともいわれる廃炉の費用も見通せない。

 東電が進める3兆3000億円の経費削減ではとても足りない。それどころか、黒字を出していくには、柏崎刈羽原発の再稼働に加え、電気料金のさらなる値上げが必要になる可能性がある。結局、賠償負担は、値上げの形か、回収不能となり税金で穴埋めする形で国民負担にツケ回しされる恐れがある。

 ある政府幹部は、公的管理の枠組みが、その場しのぎの弥縫(びほう)策であることを認めた。

 「ガラス細工のようなもの。いつ行き詰まっても不思議でない」(敬称略)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120430/bsc1204300502001-n3.htm

【漂流 東電】(上)会長人事難航 社内に広がる挫折感「誰を信じて進めば…」

3月上旬、中国・北京市内の日系ホテル、長富宮飯店のバーで、2人の日本人が厳しい表情を浮かべグラスを傾けていた。2人は経済産業省出身。1人は原子力損害賠償支援機構の事務局長である嶋田隆、傍らには元事務次官の望月晴文が座っていた。嶋田が周囲に「検査入院」と嘘をついてまで極秘に中国を訪れた目的は、丹羽宇一郎駐中国大使への東京電力会長就任要請だった。

 民主党は政権発足以来、自民党とも近い経団連ではなく、経済同友会の人脈を頼ってきた。伊藤忠商事元会長の丹羽は同友会で活躍し、中国大使への就任要請を引き受けた人物だ。

 民主党で東電問題を取り仕切る政調会長代行の仙谷由人から後任会長人事を託された嶋田の危機感は強かった。東電への公的資本注入などを盛り込んだ「総合特別事業計画」の策定期限は3月末。“表紙”ともなるトップ人事が決まらなければ計画は完成しない。丹羽と親交の深い望月まで担ぎ出し、丹羽の説得を試みた。

 だが、丹羽から色よい返事は得られなかった。その後も人選は進まず、支援機構は3月29日、計画策定の“越月”を決めた。6月下旬に開く株主総会などから逆算すれば、新会長を決める最終期限は4月末だった。最後まで財界からの起用を模索したが、同友会の長谷川閑史代表幹事は4月18日、「(東電次期会長は)経営者の立場からは難しい」と発言。翌日、支援機構運営委員長の下河辺和彦の会長横滑りが決まった。

「枝野の下で働けぬ」

 昨年末に経産相の枝野幸男が東電の実質国有化路線を打ち出して以降、支援機構による経済人への接触は20人以上にのぼった。なかでもトヨタ自動車元社長の奥田碩(ひろし)は就任に前向きだったとされる。だが、社内からトヨタブランドへの影響を危惧され断念。代わりに引き受けた国際協力銀行総裁への就任会見では「一般大衆に商品を売る会社(の出身者)が会長になるのは非常にまずい」と、原発事故対応や電気料金値上げが出身母体製品の不買運動につながる懸念を赤裸々に語った。

 新日本製鉄会長の三村明夫も有力候補だった。環境政策などで民主党政権と対立してきたが、原発依存度の引き下げを議論する資源エネルギー調査会基本問題委員会の委員長を引き受けるなど、経産相の枝野も頼りにする人物だ。

 もともと東電と新日鉄は、国の基幹産業を担う非財閥系の大企業として経団連会長を輩出してきた財界の盟主であり、盟友でもある。周囲には「打診もない」としていた三村だが、ある財界幹部は「東電を救うため家族の反対を押し切って、いったんは引き受ける腹を決めたようだ」と証言する。

 だが、そこに財界の長老が立ちはだかる。「枝野の下で働くことはあり得ない」。枝野は「出資に見合った議決権」といい続け、東電の支配権にこだわった。その一方で、賠償を続けられる経営体制の再構築に不可欠な原発再稼働と料金値上げには後ろ向き。こうした枝野の言動を見聞きするうち、財界には「まともな経営者なら誰も引き受けない」との共通認識が形成されていった。

 民主党が政権奪取後に初めて手がけた日本航空の再建では、国土交通相に就いた前原誠司が自民党政権下で策定された再建案をひっくり返し、自らの後見人である京セラの創業者、稲盛和夫にトップ就任を依頼した。そこには政治主導による「判断」と「人脈」があったが、東電に関しては見当たらない。

首相「よろしく」だけ

 「当初から下河辺先生がふさわしいと思っていた。率直に申し上げて、(意中の候補は)3人ぐらいで、この中の誰かにお引き受けいただければよかった」

 法曹界の先輩でもある下河辺の会長就任を受け、枝野はこう述べた。その口ぶりからは、担当大臣として人事が難航した責任を感じている様子はうかがえない。

 企業向け電気料金値上げや燃料調達など、東電の再建には財界の協力が不可欠。だが、決定的に不仲となった財界との関係を聞かれた枝野は「経済界も国民のワンオブゼム」と歩み寄る姿勢もみせない。対する経団連会長の米倉弘昌も東電再建について「あくまで一企業の話。政府から要請があれば、内容次第で検討する」とにべもない。

 下河辺は周囲に「火だるまになっても東電改革をやり抜く」と語っているという。だが「頭の中は消費税でいっぱいで東電問題は無関心」(政府幹部)な首相の野田佳彦は、官邸を訪れた下河辺に「よろしく」と頭を下げただけ。人事に失敗した枝野の責任に言及することもない。

 「春になればカリスマ経営者の下で、一致団結して頑張れると思っていた。これからわれわれは誰を信じていばらの道を進んでいけばいいのか」。ある東電社員は、社内に広がる挫折感をこう語る。

 東電は当面、働いて利益を上げ、国から支援してもらった賠償費用を返していくだけの会社になる。その中で社員が将来の夢を描くのは難しい。賠償、廃炉、除染、そして電力の安定供給…。どれ一つとっても、社内の士気が停滞すれば支障が出かねない。先の展望が見えない中で、東電の社員流出は続いている。(敬称略)

                  ◇

 東電の総合特別事業計画が27日に政府に提出された。この間、関係者は何を考えどう動いたのか。1年以上に及ぶ攻防を振り返る。

http://www.sankeibiz.jp/business/news/120428/bsc1204280502001-n3.htm  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2012年4月30日 15:37:42 : EszHBBNJY2

早く送電網と配電網を国民に返せ!
発電だけしていろ。



  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民75掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民75掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧