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増税派4つの論拠のウソ(編集委員・田村秀男)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120429/fnc12042909380000-n1.htm
2012.4.29 09:38 産経新聞
■消費増税こそギリシャ化招く
「社会保障と税の一体改革」関連法案の衆院特別委員会が設置され、消費増税の国会審議が連休明けから始まる。増税実現に奔走する財務官僚が描くシナリオに民主、自民両党が乗ったわけだが、責任ある政治家なら肝心な論点を思い起こしてほしい。多くのメディアが念仏のように唱える「消費増税で経済も生活も良くなる」とは本当にそうなのか、である。
■政府債務が原因?
増税派の論拠は大きく分けて4点ある。消費増税で(1)景気がよくなる(2)社会保障財源が確保できる(3)財政均衡が実現できる(4)日本のギリシャ化は免れる−。いずれも、財務省寄りの経済学者・エコノミストやメディアを通じて繰り返し流され、野田佳彦首相や多くの与野党議員の頭の中に刷り込まれてきた。
野田首相は「消費税を引き上げることで社会保障の将来像に不安がなくなる。消費が喚起され、経済が活性化される可能性もある」と3月29日の参院総務委員会で答弁した。メディアでは日経新聞が4月5日付の朝刊1面で、「政府債務が増えるほど、現役世代は消費を抑える傾向がある」という外資系証券エコノミスト、河野龍太郎氏のコメントを引用し、「国が借金を膨らませる状況では、現役世代は将来の負担増を懸念して生活防衛色を強める」と断じている。
白川方明日銀総裁も21日に出張先のワシントンで、「人々は将来の財政状況への不安から支出を抑制し、そのことが低成長と緩やかなデフレの一因になっていると考えられる」と言ってのけた。
政府債務の増加のせいで家計が消費を手控え、需要が不足してデフレになるとはもっともらしいが、実際のデータをチェックしてみれば「ウソ」だとすぐ分かる。現役世代が消費を抑えるのはほかでもない。デフレ下で家計が自由に使える可処分所得が減ったからであり、デフレは結果ではなく原因なのである。
■実質消費は減らず
幸い、インターネットのおかげで、政府機関の統計からいとも簡単に必要データはダウンロードできる。その産物が本稿のグラフである。
平成9年の橋本龍太郎政権による消費増税・緊縮財政以降、日本は慢性デフレの泥沼にはまりこんだ。勤労者世帯の23年の1カ月当たりの可処分所得は9年に比べて15%、7万6700円減った。この間の消費者物価下落幅は3・3%、家計消費は3%減にとどまっている。
つまり、物価下落分を加味した家計の実質消費は下がらず、所得だけが大きく落ち込んできた。倹約に努める勤労者世帯はこれ以上、消費を切り詰めるわけにいかない。やむなく、老後や子供の将来の大学進学に備えた貯蓄を削って、衣食面で子供たちに不自由をかけないようにする。
日銀傘下の「金融広報中央委員会」の預金調査では、預金ゼロの家計の割合は23年には29%で、実に3世帯のうち1世帯近くが「無金融資産」階層になった。統計が始まった昭和38年は22・3%で経済成長とともに減り続け、62年には3・3%まで下がった。慢性デフレが始まった平成10年に再び2桁台に上昇して以来、比率は上がり続けている。
高齢世代を養わなければならない勤労者階層が無産化している。なのに、財務官僚にそそのかされるまま、野田政権と民主党執行部は消費増税に血道を上げる。グラフが示す通り、消費水準は増税しても下がらず、消費税率引き上げ分だけ増収が見込めるからだ。年収300万円の世帯の総負担は復興増税や消費増税、住民税などのアップで実に毎月2万円以上も増える。家計はこれまで貯蓄を削って済んでいたが、今度は乾いたタオルを絞るように、消費を減らすしかなくなる。では、所得の少ない階層に現金を給付、つまりばらまけばよい、とは安易すぎる。
■デフレ不況を加速
増税が消費を減らし、デフレ不況を加速する。家計の所得はさらに下がる。橋本政権の増税後のデフレで所得税収と法人税収が激減し、減収合計額は消費税の増収分を上回ってきた。この悪循環がもっとひどくなる恐れがある。
10%の消費税を全額社会保障に回しても必要額に追いつかないことは周知の事実だが、税収減では財政均衡どころではない。増税デフレで財政赤字がさらに進行する半面で、官僚は既得権益に浸る。
つのる財政不安の中で、日本国債は突如、投機売りにさらされる。日本のギリシャ化は、デフレを無視した増税政策によってもたらされる恐れが強いのだ。
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