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小笠原誠治の経済ニュースに異議あり
日銀のケチャップ購入策
2012/04/28 (土) 14:51
昨日、日銀が追加の金融緩和策を発表しました。どう思います?
多分、どう思うかというよりも、内容がちんぷんかんぷんで分からないという人が圧倒的に多いことでしょう。
まあ、恐らく多くの政治家もそうでしょう。だから、普通の政治家は特にコメントすることはなし。
でも、日銀バッシングが好きなリフレ派にとっては、こんなの緩和策でもなんでもないと映っているのではないでしょうか? 「余りにもtoo little だ」と。
私は昨日思ったのです。何故、この追加の金融緩和策決定がニュース速報で流されるのか、と。
お気づきでしょうか? 昨日のお昼頃、追加の金融緩和策が日銀の政策委員会で決定されたなんてテロップで流れたのです。おかしいとは思いませんか? 殆どの国民がその意味するところが理解できないものを速報で流すなんて。何か深い意図があるのでしょうか。
いずれにしても、私は、何が何でもマイルドなインフレを引き起して景気回復につなげるという考え方に大変懐疑的であるために、今回の措置が合理的であるとはとても思わないのですが、それはそれとして、もし日銀が、世間で評価しているように事実上のインフレ目標値を採用しているというのが本当であるとすれば、やはりリフレ派の言うように今回の緩和策は余りにも意味がない。
まあいずれにしても、今回日銀がどんなことを決定したかをみてみないと皆さんも批判のしようが
ないでしょうから、日銀の資産購入ファンドの変更内容を見てみることに致します。
<資産購入ファンド>
導入時の規模 従来の規模 今回の規模
(2011年12月末目途)(2012年12月末目途)(2012年12月末目途)(2013年6月末目途)
総額 35.0兆円 65.0兆円 65.0兆円 70.0兆円
資産買入れ 5.0兆円 30.0兆円 35.0兆円 40.0兆円
(長期国債) 1.5兆円 19.0兆円 24.0兆円 29.0兆円
(国庫短期証券) 2.0兆円 4.5兆円 4.5兆円 4.5兆円
(CP等) 0.5兆円 2.1兆円 2.1兆円 2.1兆円
(社債等) 0.5兆円 2.9兆円 2.9兆円 2.9兆円
(指数連動型上場
投資信託) 0.45兆円 1.4兆円 1.6兆円 1.6兆円
(不動産投資
信託) 0.05兆円 0.11兆円 0.12兆円 0.12兆円
固定金利オペ 30.0兆円 35.0兆円 30.0兆円 30.0兆円
(期間3か月) 20.0兆円 20.0兆円 20.0兆円 20.0兆円
細かいことは申しません。 簡単に言えば、資産購入ファンドの大きさが、今回65兆円から70兆円に増加したと言われているのですが、実は、それは期間を半年伸ばしたためであり、従来の2012年12月末時点での目標値をみれば、依然として65兆円で変わることはないのです。5兆円増えるのは、飽くまでもそれ以降の半年分の数値を加味した話であるのです。
それから、長期国債の買い入れ額については、2012年12月末の目途でみても、確かに5兆円増えてはいるのですが、その代り固定金利オペの数値は逆に5兆円減っていることに注意する必要があるのです。
ただ大雑把に言えば、今回の見直しによって長期国債の買い入れを増額したことは事実であり、問題は、そのことによってデフレ回復のきっかけをつかめるかどうかにあるのです。
さあ、デフレはこれで脱却できるのか?
もし、その可能性が小さいというのであれば、もっともっと長期国債の買入れを増やしたらどうか
という案が出てきても当然であるのです。
しかし、私の見る限り、世間では日銀がインフレ目標値の採用に踏み切ったみたいなことを言ってはいるのですが、しかし日銀政策委員会の頭のなかは、インフレ目標論者などの考えていることとは全く違うことが窺えるのです。
では、インフレ目標論者はどう考えるのか?
それは、ズバリ、お金の流通量を増やしてマイルドなインフレを起こすことが必要だというのです。
では次に、日銀政策委員の頭の中はどうか?
彼らもマイルドなインフレが起きることを望んでいるものと思われるのですが、それは力づくでインフレを起こすのではなく、景気がよくなった結果としてマイルドなインフレになることを望んでいるに
とどまるのです。
つまり、日銀政策委員は、何が何でもインフレさえ引き起せば取り敢えず成功だとは考えないのです。それに対して、インフレ目標論者は、何が何でも取り敢えずインフレを起こすべきだ、と。
そのように両者の考え方には依然として大きな違いがあり、そしてインフレ目標論者は、何がなんでもインフレを起こすべきだと考えるために、もっともっと大量に長期国債の買い入れを行うべきだと言うのです。否、彼らの夢を実現するためには、実は国債なんか買っていても効果は薄いのです。何故ならば、今の日本の国債は幅広く投資家から歓迎される投資対象であるからです。また、だからこそ10年債の利回りも0.9%程度と、世界でも群を抜いて低い。
つまり、そのように投資家が保有したがる長期国債というのは、例え日銀が購入してくれなくても
希望すれば簡単に市場で換金が可能であり、その意味で通貨に非常に近い性格を有していると言えるのです。或いは、長期国債を担保に入れればいつでもお金を貸してもらえるし、また場合によっては、お金を払う代わりに長期国債を受け取ってもらうことも可能なのです。
つまり、そのようにお金に近い性質を持つ日本の長期国債を日銀が現金と交換したところで、それほど経済にインパクトを与えることは考えられないのです。では、何をすべきか?
それは、なるだけ流動性に乏しい資産を日銀が買い上げることが一番の方策であると言えるのです。つまり、バーナンキ議長が言っていたように、ケチャップを買えばよい、と。
これはたとえ話であるのですが、要するに流動性に乏しいものを買えばよい、と。だから、例えば、不動産などを日銀がバンバン購入すれば確かに現金の流通量は増え、また不動産価格の下支えにもなることが期待できるのです。
こうすれば、インフレ目標論者の願いどおり、マイルドなインフレが起きることでしょう。
ただ、問題もあるのです。それは、日銀がケチャップや不動産をどんどん買うことになれば、所謂不良資産を大量に保有することに繋がり、ひいては日銀が債務超過に陥る恐れがあるのです。そして、日銀が債務超過に陥れば、今度は財政出動で日銀に税金を投入することが必要になり、そうなればまた増税の必要が増す、と。
そして、そうやって仮にインフレの実現には成功しても、日銀が債務超過に陥り財政出動を仰ぐような事態になったとしたら、その時に日銀総裁は歴史に悪名が残るのは確実であるでしょう。だから日銀は、できれば安全な資産しか購入したくないというのが本心であるのです。しかし、安全な資産だけしか買わなければインフレにはならない、と。
以上
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http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2012/04/28/015643.php
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