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#海外の労働コストが下がった場合に、代替可能な国内需要は減少するから
バーナンキが間違っているというわけでもないが
一時的な最近の米国の失業率の低下は、逆に通貨安と中国コスト上昇での内需拡大による
投資(雇用)増の効果が大きかったのではないか
さらなる分析が期待される
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2012/04/27/015636.php
小笠原誠治の経済ニュースに異議あり
雇用分析に失敗しているバーナンキ議長
2012/04/27 (金) 13:35
突然ですが、失業にはどんな種類があるかご存知でしょうか? 或いは、何が原因で失業が発生するのでしょうか?
さあ、如何でしょう?
まあ、このような質問をすれば、リストラにあったからとか、今の仕事が嫌になったからなどと答える人が多いと思うです。
もちろん、それも立派な答えではあるのですが、ここは経済学のテキスト流に考えてみて下さい。
「循環的失業と摩擦的失業‥」
では、循環的失業とは何でしょう?
そうです、景気がよくなれば失業者が減り、逆に景気が悪くなれば失業者が増えるということで、景気循環に応じて変動する失業のことであるのです。表現を変えれば、需要不足が原因で起きる失業。
では、摩擦的失業とは、何でしょう?
摩擦的失業とは、求職側の有する求人に関する情報が不十分なことなどの理由で発生する労働移動に伴う一時的失業です。
他の種類の失業はないでしょうか?
「構造的失業というのもある」
そうなのです。構造的失業というのがあるのです。構造的失業というのは、求人側が求める労働者の資格や能力などが求職者側の有する資格や能力などと一致しない、所謂ミスマッチによって発生する失業のことであるのです。
米国では、今でも失業率が8%台となお高水準にあるのですが、その一方で、企業側をインタビューすると、自分の会社は求人広告を出しているが、なかなか希望する条件の労働者がみつからないなんてことが最近よく報道されているのです。つまり、ここ最近、米国では構造的失業が増えている可能性があるのです。
では、失業者を減らすにはどうすればいいか?
そのためには、例えば減税や公共投資を行い、企業が雇用を増やす環境を整備することが考えられるのです。つまり、景気を良くすることによって雇用を増やせばいいと。
確かに、景気を良くすれば失業率が落ちることが考えられるのです。でも、既にお分かりかもしれませんが、失業率が高い原因が構造的失業が増えていることにあれば、幾ら景気がよくなっても、思うように失業者が減るとは限らないのです。
それに敢て言わせてもらえば、失業者の方には、仕事の選り好みが激しくなっている傾向もあるのです。こんな仕事は嫌だ、あんな仕事は嫌だ、と。
では、秀才の誉れの高いバーナンキ議長は、構造的失業が増えているために、米国では失業率が高い水準にとどまっていると考えるのでしょうか?
この問いに直ぐに答えを出すことのできる貴方は凄い! 或いは、私の3月27日の記事をよく読んでくれた方でしょう。
そうなのです。バーナンキ議長は、決して構造的失業が増えていることが大きな理由とは考えないのです。仮に今構造的失業が増えているように見えても、景気がよくなればその構造的失業も減ることが考えられるのだ、と。
何か矛盾した考え方にも見えるのですが、いずれにしてもバーナンキ議長は、構造的失業をそれほど問題視してはいないように見えるのです。
では、バーナンキ議長の立場に立てば、失業率を下げるためには景気を良くする政策を継続すべしということになるのでしょうが、幾らゼロ金利政策を続けても、そして幾ら長期国債の購入という異例の措置を継続しても、失業率は依然として高いままであるのです。
では、バーナンキ議長は、失業率の改善がもっとスピーディに起きて当然と考えるのか?
でも、ここのところが大変にややこしい!
なんとバーナンキ議長は、米国の失業率の最近の低下ぶりは、むしろ驚くほどであるというのです。こんなに失業率が低下するためには、もっと急速に景気が回復していなければならないのに、現実の景気の回復ぶりは緩やかである、と。
もうこうなると、一般の方は、バーナンキ議長が何を言いたいのか、ちんぷんかんぷん。
いずれにしても、バーナンキ議長は大変な秀才であり、また学者でもあるので、どうしても教科書的な発想から抜け切れないところがあるのでしょう。つまり、摩擦的失業を除けば、失業の原因は、需要不足で発生する失業と、労働者の資格や能力に関する求人側と求職側のミスマッチによって起きる失業のどちらかに分類される、と。
皆さんは、このような発想に何かおかしなものを感じないでしょうか?
というのも、失業の原因は他にもあるからです。
それはズバリ、海外の安い労働力の存在であるのです。
つまり、幾ら需要を追加するような政策や景気を刺激するような政策を採用しようとも、企業が生産能力を拡大するために海外の労働者を当てにするような動きに出れば、国内の失業はなかなか減ることはないのです。
このような失業の類型を何と呼んだらよいのでしょう?
海外の低賃金が引き起こす失業ですから、海外要因失業とでも呼びましょうか?いずれにしても、海外の低賃金労働によって引き起される失業もまた、構造的失業と同じく景気がよくなったからと言って直ぐに改善するものではないことに、我々は改めて注意を向けるべきだと思うのです。
その上で、このようなことが原因で発生する先進国側に特有の失業問題について、金融政策当局や政府はどのように対処すべきなのか? じっくりと検討すべきだと思うのです。
なお、バーナンキ議長の最近の雇用問題に関する考え方は、本ブログの3月27日付「バーナンキ議長の雇用理論講義」をご覧ください。
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/475.html
以上
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