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S&Pがスペイン格付けを引き下げ、見通しは「ネガティブ」    デフレ脱却、方向性言える段階でない=古川 日銀頼み=自見
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/769.html
投稿者 MR 日時 2012 年 4 月 27 日 11:37:09: cT5Wxjlo3Xe3.
 

#緊縮だけで成長戦略がなければ財政は悪化する

S&Pがスペイン格付けを引き下げ、見通しは「ネガティブ」
2012年 04月 27日 07:46 JS 


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トップニュース
3月鉱工業生産は前月比+1.0%で予想下回る、先行き一進一退
サムスン電子の営業利益が過去最高4170億円に、スマホ好調
3月完全失業率は横ばい、有効求人倍率は3年5カ月ぶり高水準
ダウ平均113ドル高、好調な経済指標や決算が支援
[ニューヨーク 26日 ロイター] スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は26日、スペインの長期ソブリン信用格付けを「A」から「BBB+」に引き下げた。

S&Pは格下げの理由として、スペインの経済成長および財政状況に対してかなりのリスクがあることを挙げた。

スペインの短期ソブリン信用格付けも「A─1」から「A─2」に引き下げた。長期格付けの見通しは「ネガティブ」。

S&Pは声明で、これまでの予測とは対照的に、経済の縮小を背景にスペインの財政状況は今後悪化する可能性が高いと指摘した。

さらに、国内銀行セクターに対して、政府が一段の金融支援を行う必要性が高まるとし、その結果、スペインの純債務が一段と拡大するリスクが高まっているとの見方を示した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE83P07X20120426

米S&P:スペイン格付け「BBB+」に下げ−財政悪化の公算大 

  4月26日(ブルームバーグ):米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は26日、スペインの長期格付けを「A」から「BBB+」に引き下げた。経済が縮小する中、同国政府が銀行セクターへの追加支援を余儀なくされるとの懸念を挙げている。
S&Pは発表文で、短期格付けを「A−1」から「A−2」に下げたことも明らかにした。長期格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」とした。
失業率の上昇や景気縮小で、ラホイ首相による財政再建の実現を投資家は危ぶんでおり、同国の10年債利回りは今年、約70ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。銀行の不良債権は約20年ぶりの高水準にある。
S&Pは発表文で、スペイン財政の軌道は「マイナス成長を背景に悪化していく公算が大きい」と指摘。「スペイン政府が銀行セクターに追加の財務支援を行う必要が生じる可能性が高まっている。その結果、同国の一般政府純債務がさらに増加する危険性が増大している」と分析した。
今月に入ってからスペインの10年物国債利回りが6%台で取引されたのは7営業日を数え、ギリシャやアイルランド、ポルトガルが救済要請に踏み切った水準に達するとの懸念が強まっていた。
原題:Spain’s Ratings Cut by S&P on Deficit, Bank BailoutConcern(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Cordell Eddings ceddings@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Dave Liedtka dliedtka@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/27 08:01 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M33UUE6KLVR401.html


デフレ脱却、方向性言える段階でない=古川経済財政担当相
2012年 04月 27日 10:26  

ビジネス
3月鉱工業生産は前月比1%上昇、4─6月は一転低下見通し
3月完全失業率は横ばい、有効求人倍率は3年5カ月ぶり高水準
[東京 27日 ロイター] 古川元久経済財政担当相は27日の閣議後会見で、消費者物価の好転でデフレ脱却の兆しが見えるかとの質問に対し「単月だけではなく、トレンドを見なければいけない。他の指標も見て総合的に判断しなければならない」とし、「現時点で方向性が言える段階ではない」と述べた。

今朝発表された2012年3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)は前年比0.2%上昇となった。2カ月連続で上昇し、2月からプラス幅が拡大した。

東京地裁は26日、資金管理団体「睦山会」の土地取引をめぐる事件で、小沢一郎元民主党代表に無罪判決を言い渡した。小沢氏に期待することなどについては「行政府の者としてコメントすることはない」と述べるにとどめた。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE83Q01A20120427


デフレ脱却は国家目標、日銀は歩調合わせてもらえると期待=金融相
2012年 04月 27日 10:24  
[東京 27日 ロイター] 自見庄三郎金融担当相は27日の閣議後会見で、日銀の金融政策のあり方について「国家の目標はデフレからの脱却なので、歩調を合わせてもらえると期待している」と述べた。日銀には独立性があるとの認識を示し、金融政策の要(かなめ)の1つだと指摘した。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE83Q01820120427


3月全国消費者物価+0.2%、ガソリンなど上昇で2カ月連続プラス
3月鉱工業生産は前月比1%上昇、4─6月は一転低下見通し
3月完全失業率は横ばい、有効求人倍率は3年5カ月ぶり高水準  

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コメント
 
01. 2012年4月27日 15:36:25 : 3CNLte9sGM
日銀:長期国債10兆円増、年限3年に拡大−「物価遠からず1%」 (3)

  4月27日(ブルームバーグ):日本銀行は27日開いた金融政策決定会合で、資産買い入れ等基金の長期国債購入を10兆円増額し、対象国債の残存期間を「1−2年」から「1−3年」に拡大することを決定した。株価指数連動型上場投資信託(ETF)も2000億円、不動産上場投信(J−REIT)は100億円増額する。政策決定は全員一致。
日銀の追加緩和は2月14日の決定会合以来。日銀は会合終了後の公表文で、消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)前年比は経済・物価情勢の展望(展望リポート)の見通し期間(2012−13年度)後半にかけて「0%台後半となり、その後、当面の『中長期的な物価安定のめど』である1%に遠からず達する可能性が高い」としている。
日銀は同基金の金融資産買い入れを30兆円から40兆円に増額する一方、固定金利方式の共通担保オペは応札額が提示額に達しないケースが発生している状況を受けて35兆円から30兆円に減額する。今年末時点の基金の規模は従来どおり65兆円とし、70兆円への増額は来年6月末をめどに完了する。買い入れ対象の社債の残存期間も1−3年に拡大する。
日銀は2月の会合で、CPI前年比2%以下のプラス、当面1%を「中長期的な物価安定のめど」と設定。1%上昇を見通せるまで強力に金融緩和を推進すると表明した。市場では午後公表される展望リポートでコアCPI見通しが1%に届かないとして、日銀が今会合で追加緩和に踏み切るとみられていた。ブルームバーグが有力日銀ウオッチャー14人を対象に行った事前調査でも全員が追加緩和を予想していた。
持ち直しの動きが明確に
日銀は公表文で日本経済は「なお横ばい圏内にあるが、前向きの経済活動に広がりがみられるなど、持ち直しに向かう動きが明確になりつつある」と指摘。先行きも「新興国・資源国にけん引される形で海外経済の成長率が再び高まり、また、震災復興関連の需要が徐々に強まっていくにつれて、緩やかな回復経路に復していく」としている。
日銀は「デフレからの脱却には、急速な高齢化のもとでのすう勢的な成長率の低下という長期的・構造的な課題への取り組みが不可欠である」と言明。「強力な金融緩和の推進に当たり、日銀は金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から問題が生じていないかどうかを確認していく」としている。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「今回の追加緩和が実体経済に及ぼす直接の効果は、きわめて乏しいだろう」と指摘。「日銀の緩和が今回で打ち止めになるというような雰囲気はまったくない」とした上で、「むしろ、『4月の次はいつか』という点に、市場の関心は徐々に移っていく」としている。
国債買い入れの増額に懸念の声も
一方、日銀が国債の購入を増やし続けていることに対し、懸念の声も出ている。政府によって日銀審議委員候補に提示されながら、野党の反対から参院で否決されたBNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「大量の国債をあらゆる金融部門が抱え込んでいることを考えれば、いったん巻き戻しが始まれば、結局、金融システムの安定は大きく損なわれることになる」という。
日銀は物価上昇1%を目指して強力に緩和を推進する一方で、金融面の不均衡の蓄積などリスクを点検し問題が生じてないことを、その条件としている。しかし、河野氏は「日銀の金融緩和は当座の国債市場の安定に寄与しているが、公的債務の膨張がこのまま続けば、いずれ持続可能性に対する懸念が広がり長期金利が跳ね上がる」と指摘。国債市場で「金融的不均衡は着実に蓄積されている」としている。
東京外国為替市場では、金融政策決定会合の結果発表後、円買いが先行したが、その後円売りが優勢となった。午後2時11分現在は1ドル=80円80銭前後。
白川方明総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は5月28日に公表される。
金融政策決定会合、金融経済月報などの予定は以下の通り。

 会合開催 総裁会見 金融経済月報  議事要旨
5月22、23日 5月23日 5月24日 6月20日
6月14、15日 6月15日 6月18日 7月18日
7月11、12日  7月12日   7月13日  8月14日
8月8、9日  8月9日   8月10日  9月24日
9月18、19日  9月19日   9月20日 10月11日
10月4、5日 10月5日 10月9日 11月2日
10月30日 10月30日  − 11月26日
11月19、20日 11月20日 11月21日 12月26日
12月19、20日 12月20日 12月21日  未定
  総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、経済・物価情勢の展望(展望リポート)は10月30日。議事要旨は午前8時50分。
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/27 14:16 JST

長期金利が1年半ぶりに0.9%割れ、一時0.895%に低下
4月27日(ブルームバーグ):債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の321回債利回りが、前日比1.5ベーシスポイント(bp)低い0.895%に低下した。2010年10月29日以来の0.9%割れとなる。日本銀行がきょうの金融政策決定会合で追加緩和を実施したことに加えて、大型連休を前にして投資家から買いが入っている。
記事についてのエディターへの問い合わせ先: 山中英典 h.y@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/27 14:14 JST

日銀追加緩和後の金融市場は方向感欠く、円高に振れ日本株は軟化
2012年 04月 27日 15:26 
日銀が追加緩和決定、国債10兆円・ETFなど増額
[東京 27日 ロイター] 日銀が27日決定した追加緩和を受けたマーケットは方向感を欠いた展開となっている。日本株は、資産買入等基金による指数連動型上場投資信託受益権(ETF)の買い取り枠を2000億円増額し1兆6000億円としたことを買い材料視しいったん上昇したが、ドル/円が円高方向に振れると、マイナス圏に沈んだ。

為替市場も気迷いの反応で、ドル/円は追加緩和が伝わった後、急落したが戻し、その後再び円高方向に振れている。

一方、国債先物は強含みの展開。中心限月6月限は一時前日比22銭高の143円07銭と143円台を回復して2月14日以来の水準に上昇。10年最長期国債利回り(長期金利)は同1.5bp低い0.895%と0.9%を割り込み、2010年10月以来の水準に低下した。


日銀の決定は「最小限の緩和姿勢」、追加措置が必要=自民党
2012年 04月 27日 15:17 JST

[東京 27日 ロイター] 自民党「影の内閣」で財務相を務める西村康稔財務金融部会長は27日、日銀がきょう決定した追加緩和策について「最小限の(金融緩和)継続姿勢を示したのみ」だと評した上で、「円高基調に戻しているし、中国などで経済の減速も伝えられている。日本経済を成長路線に戻していくために、大胆な金融緩和策をやってほしかった」と話した。

西村氏は日銀の決定を「金融緩和を継続する姿勢はある程度うかがえるが、小出しの政策だ」とも指摘。追加的な措置が今後「必要だと思う」と述べた。

(ロイターニュース 基太村真司)


日銀の追加緩和を受けて利益確定売りに押される場面もあったが、下値が限定的にとどまったほか「株価や為替の反応が鈍かったことで、短期筋が先物中心に買い戻す動きが出ている」(邦銀)という。
日本株は急伸後再び下げ転換、任天堂安い−日銀好感も連休前で売り (14:15)
円下落、日銀の追加緩和で対ドル一時81円前半−発表直後は円買いも (14:09)
生産指数は2カ月ぶり上昇、予想下回る−経産省「持ち直し推移」 (10:44)


02. 2012年4月27日 15:57:51 : 3CNLte9sGM
http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1204a.pdf
2012年4月27日
日本銀行
経済・物価情勢の展望(2012 年4月)
【基本的見解】1
はじめに
今回の展望レポート(経済・物価情勢の展望(2012 年4月))では、2013
年度までの日本経済の見通しを示す。以下では、まず、わが国経済の先行
きを左右する国際金融資本市場や海外経済の動向を記述し、その後、わが
国の金融環境を評価する。それらを踏まえて、相対的に蓋然性が高いと判
断される経済・物価の見通し(中心的な見通し)を記述した後、それに対
する上振れ要因・下振れ要因を検討する。最後に、金融政策運営の基本的
な考え方を整理する。
2.国際金融資本市場および海外経済
昨年夏以降、国際金融資本市場では、欧州債務問題に対する懸念を主因
に、年末にかけては緊張が高まった。これに対して、各国の政府・中央銀
行は、さまざまな施策を講じてきた。すなわち、欧州中央銀行(ECB)
は、期間3年の大規模な長期資金供給を実施した。債務問題が最も深刻な
ギリシャに対しては、民間債権者保有分の既存債務削減が実施され、それ
を受けて欧州連合(EU)および国際通貨基金(IMF)による第2次支
援策が決定された。財政規律の向上や資金面からの危機対応力の強化につ
いても、EU各国が「財政協定」に署名したほか、欧州金融安定基金(E
FSF)および欧州安定メカニズム(ESM)の融資能力増強に合意する
など、進展がみられた。この間、日本銀行を含む6中央銀行は、昨年11
月末に、国際短期金融市場の緊張への協調対応策として、米ドル資金供給
1 4月27 日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。
2
オペレーションの貸付金利の引き下げなどを公表した。これらの措置等を
背景に、ユーロやドルの銀行間取引における短期金利が低下するなど、欧
米の金融機関の資金調達環境は改善してきており、国際金融資本市場は、
全体として落ち着きを取り戻している。財政状況の厳しい国の国債利回り
は、上昇圧力が根強いが、昨年秋から本年初にかけての局面に比べれば、
低下している。
こうしたもとで、昨年末頃に強く懸念されていたテイル・リスク、すな
わち、国際金融資本市場が動揺し世界経済が大きく下振れる可能性は低下
してきている。また、米国経済の緩やかな改善が続くなど、世界経済には
やや明るい動きがみられるようになってきている。これらを反映して、グ
ローバルな投資家のリスク回避の度合いは、昨年後半に比べて弱まってお
り、各国株価や国際商品市況の持ち直し、米欧社債市場における信用スプ
レッドの縮小などの動きがみられた。極端な「安全資産への逃避」が巻き
戻された結果、為替市場においても、円は対ドル、対ユーロとも、昨年末
頃に比べ幾分円安となっている。
次に、海外経済の動きをみると、2011 年春以降、欧州債務問題の影響に
よる国際金融資本市場の緊張の高まりや、新興国・資源国における既往の
金融引き締めの影響などから、海外経済の成長ペースは鈍化した。最近の
海外経済は、なお減速した状態から脱していないものの、改善の動きもみ
られている。地域別にみると、米国経済は緩やかな回復を続けている。す
なわち、企業部門では、良好な企業収益を背景に設備投資が緩やかに増加
している。家計部門についても、バランスシート調整圧力が引き続き重石
となっているものの、最近は、雇用情勢の緩やかな改善などから、個人消
費は底堅い動きとなっている。欧州経済は、緊縮財政の影響などから停滞
色の強い状態が続いているが、最近では、金融資本市場が幾分落ち着きを
取り戻しているもとで、全体として、停滞感の一段の強まりには歯止めが
3
かかっている。新興国・資源国経済については、総じて高めの成長を維持
しており、このところ、先進国向け輸出が下げ止まっているほか、インフ
レ率が総じて低下傾向にあり、そのもとで内需が底堅く推移していること
から、全体として成長ペースの鈍化傾向が止まってきている。
海外経済の先行きに関する中心的な見通しとしては、国際金融資本市場
が総じて落ち着いて推移するとの想定のもとで、新興国・資源国に牽引さ
れるかたちで、徐々に成長率が高まっていき、見通し期間中の年平均成長
率は、過去の長期平均との比較で高めになると見込まれる2。国・地域別に
みると、米国経済については、バランスシートの調整圧力は残るものの、
緩和的な金融環境などを背景に、緩やかな景気回復を続けると考えられる。
欧州経済については、債務問題に端を発するテイル・リスクが顕在化しな
いとの想定のもとで、緩やかな回復に向かうが、その動きは緊縮財政の継
続などから抑制されたものになる可能性が高い。この間、新興国・資源国
経済については、先進国経済の改善のほか、インフレ圧力の低下やその下
での金融緩和などを背景に、生産・所得・支出の好循環が徐々に強まり、
高めの成長で推移する可能性が高いと考えられる。
3.わが国の金融環境
わが国の金融環境をみると、日本銀行が強力に金融緩和を推進する中、
緩和の動きが続いている。すなわち、市場金利が、長めの金利も含めてき
わめて低い水準で推移するもとで、企業の資金調達コストは緩やかに低下
している。CPの発行環境は、良好な状態が続いている。社債市場につい
ても、経営環境を巡り不透明感が強い電力会社を除き、発行環境は総じて
2 IMFによる世界経済の成長見通し(各国・地域の実質成長率見通しを購買力平価ベ
ースで集計したもの)をみると、本年1月に、昨年9月対比で、欧州を中心に下方修正
された後、4月の改定見通しでは小幅ながら上方修正されている。4月時点の2012 年
の世界経済成長率の見通しは+3.5%であり、2013 年には、成長率は+4.1%に再加速
する見通しとなっている。ちなみに、1980 年以降30 年間の平均成長率は+3.3%であ
る。
4
良好な状態となっている。企業からみた金融機関の貸出態度は、緩和方向
の動きが続いている。企業の資金繰りも、総じてみれば、改善した状況に
ある。資金繰りや企業からみた貸出態度を表わす各種の判断指標は、企業
の規模によって緩和度合いに差はあるものの、いずれも2000 年以降の平均
以上の水準となっている。資金需要面では、運転資金や企業買収関連を中
心に、増加の動きがみられている。企業の資金調達残高をみると、銀行貸
出の前年比は、昨年末にプラスに転化し、足もとではプラス幅が拡大して
いる。CP・社債については、振れを均してみると、両者合わせて前年比
小幅のプラスで推移している。
以上のように、わが国の金融環境は、欧州債務問題を受けて国際金融資
本市場の緊張が強かった局面においても、大きな影響を受けることはなく、
安定を維持してきた。こうした金融環境の安定の背景として、日本の金融
システムが、景気後退、株価下落、長期金利上昇などの負のショックに対
し相応の耐性を備えていることや、日本銀行が強力に金融緩和を推進して
いることが挙げられる。先行きについても、こうした緩和的な金融環境が、
国内民間需要の自律回復への動きを支えていくと予想される。もっとも、
金融資本市場の国際的な連関が高まっていることを踏まえると、国際金融
資本市場の今後の動向次第では、その影響がわが国の金融システムや金融
環境に及ぶ可能性には、引き続き注意する必要がある3。
4.わが国の経済・物価の中心的な見通し
(1)経済情勢
上述の海外経済の動向と内外の金融情勢を踏まえたうえで、わが国経済
の先行きについて、相対的に蓋然性が高いと判断される見通し(中心的な
見通し)を検討する。
3 わが国の金融システムの安定性に関する評価について、詳しくは「金融システムレポ
ート」(日本銀行2012 年4月)を参照。
5
わが国の経済は、リーマン・ショックからの回復の途上において、東日
本大震災により再び大きく落ち込んだ後、昨年秋口までは、サプライチェ
ーンの修復につれて、着実に持ち直してきた。その後、2011 年度後半は、
輸出や生産が海外経済の減速や円高の影響などを受け、景気は横ばい圏内
の動きとなった。2011 年度の成長率は、1月の中間評価時点の見通し通り、
震災後の落ち込みを反映して、小幅のマイナスになったと見込まれる。
最近の景気をみると、なお横ばい圏内にあるが、前向きの経済活動に広
がりがみられるなど、持ち直しに向かう動きが明確になりつつある。こう
した足もとの状況も踏まえつつ、わが国経済の先行きを展望すると、新興
国・資源国に牽引されるかたちで海外経済の成長率が再び高まり、また、
震災復興関連の需要が徐々に強まっていくにつれて、2012 年度前半には緩
やかな回復経路に復していくと考えられる。すなわち、輸出が増加基調に
復するほか、復興需要の増加が公的需要・民間需要の両面で、年度を通じ
て景気の押し上げに寄与すると考えられる。こうしたもとで、生産から所
得・支出への波及メカニズムも徐々に強まるため、2012 年度全体をみると、
比較的高い成長率となることが予想される。2013 年度については、復興需
要による景気押し上げ効果が徐々に減衰していくことなどから、成長率は、
2012 年度対比では幾分鈍化するものの、海外経済が高めの成長を続けるも
とで、潜在成長率をはっきりと上回る成長が続くと考えられる4。1月の中
間評価時点の見通しと比べると、2012 年度および2013 年度の成長率は、
欧州債務問題が金融市場に大きな混乱をもたらすリスクは低下し、市場環
境がやや改善したことなどから、2012 年度を中心に、幾分上振れて推移す
ると考えられる5。企業・家計の部門別にやや詳しく述べると、以下の通り
4 見通し期間中の潜在成長率を、生産関数アプローチに基づく一定の手法で推計すると、
「0%台半ば」と計算される。ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていく
データにも左右される性格のものであるため、相当幅をもってみる必要がある。
5 今回の見通しにおいては、消費税率引き上げとその影響は織り込んでいない。わが国
6
である。
企業部門について、輸出は、なお横ばい圏内の動きとなっているが、タ
イの洪水の影響を受けた落ち込みからは既に回復しているほか、世界的な
情報関連財の在庫調整にも目途がつきつつあるなど、少しずつ明るい動き
がみられ始めている。先行きについては、海外経済が減速局面から脱し、
円高の下押し圧力も徐々に弱まっていくと考えられることから、輸出は再
び増加基調に復していくと考えられる。震災復興関連の需要については、
これまでも、被災した設備の修復や、震災後に一旦抑制された消費関連の
需要の復元、瓦礫の処理や仮設住宅の建設などの動きがみられていたが、
最近では、公共投資についても増加に転じており、今後、さらに強まって
いくと予想される6。こうした内外需要を背景に、生産や企業収益が増加し
ていくとみられ、企業の中長期的な成長期待が下振れしないとの想定のも
とで、設備投資も緩やかに増加を続けていく可能性が高い7。
次に、家計部門について、雇用・所得環境をみると、有効求人倍率が緩
やかに上昇しているなど、改善の動きがみられる。先行きについては、被
災地を含めた地域間、あるいは業種間の違いは残るとみられるものの、全
体としてみれば、生産等の経済活動が持ち直していく中で、その好影響が
雇用・所得環境にも徐々に及んでいくと考えられる。ただし、東日本大震
災、海外経済減速、円高などを受けた2011 年度の企業業績の厳しさが、タ
イムラグを伴って影響する可能性などを考慮すると、雇用・所得環境の改
や各国の過去の経験では、消費税率引き上げ前における駆け込み需要とその後の反動が
相応にみられた。
6 震災復興関連の予算をみると、平成23 年度補正予算と平成24 年度予算の東日本大震
災関係経費をあわせて、「東日本大震災からの復興の基本方針」で示された、当初5年
間で少なくとも19 兆円程度、という事業規模のほとんどが、すでに手当てされている。
これは、日本全体のGDPの約4%、被災4県(岩手県、宮城県、福島県および茨城県)
のGDPの6割強に達する大規模なものである。
7 ちなみに、内閣府の「企業行動に関するアンケート」(調査時点は本年1月)をみる
と、先行き3年間あるいは5年間の平均経済成長率に関する企業の見通しは1%台半ば
となっており、震災前に行われた昨年の調査結果とくらべて、幾分上昇している。
7
善が明確になるのは、2012 年度後半以降になるとみられる。個人消費につ
いてみると、震災後の落ち込みから経済活動や労働需給が回復し、消費者
マインドも改善するもとで、このところ、底堅さを増している。こうした
動きには、自動車に対する需要刺激策の効果などの一時的な要因や、高齢
化に対応した潜在需要の掘り起こしが徐々に進んでいることなども寄与し
ている。先行きの個人消費については、雇用・所得環境が改善に向かうも
とで、徐々に伸びを高めていくと予想される。この間、住宅投資について
は、低金利や復興需要などを背景に、見通し期間を通じて、緩やかに増加
していくと考えられる。
(2)物価情勢
日本銀行は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資
することを理念として、金融政策を運営している。その際、中長期的に持
続可能な物価の安定と整合的と判断する物価上昇率を、「中長期的な物価
安定の目途」として数値で示している。具体的には、「中長期的な物価安
定の目途」については、消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの
領域にあると判断しており、当面は1%を目途としている。こうした「中
長期的な物価安定の目途」を踏まえつつ、物価の動向を点検する。
消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比の推移をやや長い目で
振り返ると、2009 年8月に過去最大の下落幅(−2.4%)となった後、労
働や設備の稼働状況、すなわちマクロ的な需給バランスが緩やかな改善傾
向を続ける中、2009 年末頃から下落幅は着実に縮小を続け、最近では、概
ねゼロ%で推移している。
先行きの物価を巡る環境を展望すると、マクロ的な需給バランスは、上
述の通り、景気が緩やかな回復をたどるもとで、改善していくと考えられ
る。中長期的な予想物価上昇率については、市場参加者やエコノミストの
見方は概ね1%程度で安定的に推移しているほか、家計の見方にも大きな
8
変化はみられず、見通し期間においても安定的に推移すると想定できる。
国際商品市況については、地政学リスクの高まりなどから原油価格を中心
に強含んでおり、先行きについても、新興国の経済成長に伴う食料・エネ
ルギーの需要拡大などを背景に、基調的には緩やかな上昇傾向をたどると
想定される。
以上の環境を前提に、物価情勢の先行きを展望すると、国内企業物価指
数の前年比は、国際商品市況の緩やかな上昇や、マクロ的な需給バランス
の改善を反映して、見通し期間を通じて緩やかな上昇を続けると見込まれ
る。消費者物価の前年比は、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移す
るとの想定のもと、マクロ的な需給バランスの改善を反映して、今回の見
通し期間後半にかけて0%台後半となり、その後、当面の「中長期的な物
価安定の目途」である1%に遠からず達する可能性が高い。
今回の消費者物価の見通しを、1月の中間評価時点と比較すると、景気
の見通しが幾分上方修正されており、その分、マクロ的な需給バランスの
改善も見込まれるうえ、為替円高の修正や原油価格上昇の影響もあって、
幾分上振れしている。
上記のとおり、物価情勢は、「中長期的な物価安定の目途」に向かって
改善しているが、その実現にはなお時間がかかるとみられる8。この点につ
いて、実体経済の強さが物価上昇圧力を生み出すというメカニズムに即し
て整理すると、循環的な要因と構造的な要因の双方が作用していると考え
られる。循環的な要因としては、リーマン・ショックによる景気の落ち込
みがきわめて大きかったため、マクロ的な需給バランスは現在なお改善途
上にあることが挙げられる。このため、先行き景気が緩やかな回復をたど
るもとでも、マクロ的な需給バランスが概ねバランスした状態に達し、マ
8 1990 年代以降の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比の動きを年度ベースでみると、
1年間に約1%ポイント改善したのは、消費税率の引き上げや国際商品市況の大幅な上
昇といった要因が影響した時期に限られている。
9
クロの需給面から物価を押し上げる力がある程度明確になってくるのは、
見通し期間の終わり頃になると予想される。また、構造的な要因としては、
経済成長率が趨勢的に低下してきたことが挙げられる。すなわち、他国に
例をみない急速な高齢化に対して、成長力を強化する取り組みや社会保障
制度の持続可能性を高める見直しが十分に進まなかったことで、企業や家
計の成長期待が弱まり、支出行動が慎重化した。こうした状況が、物価の
下落圧力をもたらす要因として作用してきたと考えられる。
5.上振れ要因・下振れ要因
(1)経済情勢
以上は、現時点で相対的に蓋然性が高いと判断される見通し(中心的な
見通し)である。こうした見通しに対する上振れまたは下振れ要因として
は、以下のような点に注意する必要がある。
第1に、国際金融資本市場や国際商品市況の影響を含めた、海外経済の
動向である。国際金融資本市場が動揺し世界経済が大きく下振れるテイ
ル・リスクは低下したが、そうしたリスクの根源的な原因である欧州債務
問題の解決には、なお多くの課題が残っている。欧州中央銀行の資金供給
等により市場の安定が保たれている間に、周縁国における競争力の引き上
げや、財政の持続可能性の確保といった改革が着実に進めば、市場からの
信認が強化され、世界経済の上振れ要因となる可能性がある一方で、改革
の実行に関する懸念が再燃した場合には、国際金融資本市場における緊張
が再び高まり、世界経済ひいてはわが国経済の下振れ要因となりうる。
こうした国際金融資本市場を通じるルートのほかにも、海外経済にはな
お様々な不確実性がある。欧州経済については、ユーロ圏中核国の国際競
争力の強さなどを背景に上振れる可能性がある一方、周縁国における財政
緊縮や金融環境の悪化から下振れる可能性もある。米国経済については、
バランスシート調整の進捗度合いについて不確実性が大きい。住宅価格が
10
ピークを打ち既に5〜6年が経過していることを踏まえると、バランスシ
ート調整圧力は徐々に減衰してきているとみられる。したがって、雇用の
改善とも相まって住宅市場の底打ちがはっきりしてくれば、景気回復のモ
メンタムが強まる可能性がある。一方、調整がさらに長引き、景気回復の
ペースが想定以上に緩やかなものにとどまる可能性もある。このほか、米
国については、財政政策の帰趨を巡る不確実性も高い。新興国・資源国に
ついては、物価安定と成長が両立する形でソフトランディングできるかど
うか、なお不透明感が強い。潜在需要が強いことや、財政・金融政策によ
り景気を支える余地が大きいことなどを踏まえると、インフレ圧力が速や
かに低下すれば、成長率が上振れる可能性もある一方で、根強い賃金上昇
や原油高などからインフレ圧力が十分に鎮静化されず、成長率が下振れる
可能性もある。
この間、国際商品市況については、地政学リスクの高まりなどによって
原油価格等が一段と上昇した場合、世界経済の下振れリスクが高まるほか、
資源輸入国であるわが国にとっては、交易条件の悪化から企業収益や家計
の実質購買力が下押しされる。一方、国際商品市況の上昇が世界経済の拡
大を反映したものである場合には、輸出拡大等のプラス面が、交易条件悪
化のマイナス面を上回る可能性もある。
第2に、復興関連需要を巡る不確実性がある。復興関連需要については、
最近では、復興計画の策定が進められ、補正予算等の執行が進捗する中で、
資本ストックの復元などに向けた公共投資も含めて、復興関連需要は徐々
に強まってきている。先行きについても、復興関連需要は、一段と明確に
なっていくと予想されるが、一方で、こうした動きが、建設労働者の不足
を始めとした様々な供給サイドのボトルネックによって影響を受ける可能
性もある。また、復興関連需要がどの程度成長率を押し上げるかについて
は、それが一時的な需要増加にとどまらず、地域経済の再生に向けた道筋
11
がよりはっきりし、将来に関する不確実性が低下してくることを通じて民
間需要の継続的な増加につながるかどうかが重要であり、現時点では幅を
持ってみておく必要がある。
第3に、企業や家計の中長期的な成長期待に関する不確実性がある。中
心的な見通しでは、企業や家計の中長期的な成長期待に大きな変化は生じ
ないと考えているが、今後の展開によっては上下双方向に変化する可能性
がある。例えば、グローバル需要の取り込みや内外における立地の最適化
が企業の重要な課題であることを踏まえると、今後も海外での生産や業務
の拡大が見込まれるが、それに代わる新たな国内生産活動が生まれてこな
い場合は、企業や家計の国内の需要や雇用に関する中長期的な成長期待が
低下する可能性がある。電力需給を巡る問題についても、夏場などの電力
需要期において、天候要因等によっては、生産活動への制約となる可能性
があるが、こうした短期的な影響だけでなく、中長期的な成長期待の下振
れにつながりうるという点に注意が必要である。他方、グローバル需要の
開拓、高齢層のニーズや多様化した内需の掘り起こし、業務リスク管理体
制の見直し、エネルギー関連の技術やビジネスモデルの革新など、様々な
分野において、日本経済の成長力強化に向けた取り組みが着実に進められ、
その成果が現れ始めれば、中長期的な成長期待が上振れることも考えられ
る。
第4に、わが国の財政の持続可能性を巡る様々な問題がある。例えば、
高齢化の進行にもかかわらず、近年、家計の貯蓄率が下げ止まっているこ
となどを踏まえると、人々は、政府債務残高の累積から、社会保障制度の
維持可能性や将来の税負担増などへの不安を感じ、支出行動を慎重化させ
ている可能性がある。財政の持続可能性に対する信認が低下するような場
合には、そうした人々の将来不安の強まりから、経済の下振れにつながる
おそれがある。他方、中長期的な財政再建の道筋が明らかになり、また、
12
社会保障制度の維持可能性が高まれば、人々の将来不安は軽減され、経済
に好影響が及ぶと考えられる。なお、金融市場のグローバル化が進展して
いる現状を踏まえると、多くの先進国で公的債務残高への懸念が生じてい
る中で、わが国の財政運営に対する市場の目も厳しくなってきているとみ
られる。そうしたもとで、仮に財政再建に向けた取り組みが不十分である
と市場に評価された場合は、長期金利の上昇を招き、金融機関の経営ひい
ては日本経済全体に悪影響が及ぶと考えられる。
(2)物価情勢
物価情勢の先行きについても、上下両方向の不確実性がある。まず、景
気について、上述のような上振れ、下振れ要因が顕現化した場合、物価に
も相応の影響が及ぶとみられる。また、物価に固有の要因としては、第1
に、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向が挙げられる。消費者
物価の前年比上昇率が1%に達するにはなお時間を要すると判断されるが、
そうした環境のもとで、企業や家計が物価はなかなか上昇しないという予
想を強めた場合、実際の物価にも、賃金とともに下方圧力がかかる可能性
がある。他方、成長力強化への取り組みが成功し、差別化された新たな財・
サービスが広く創出されていけば、潜在需要が顕在化するかたちで価格が
上昇し、中長期的な予想物価上昇率が高まることも考えられる。こうした
シナリオにおいては、経済成長率が上振れるとともに、物価は経済成長率
の上振れから予想される以上に上振れる可能性がある。
第2に、輸入物価の動向である。原油については、地政学リスク等を背
景に、大きく変動する可能性があるほか、それ以外の一次産品の価格動向
についても、上下両方向に不確実性がある。また、為替相場の変動も、実
体経済を通じる間接的な波及経路のほか、輸入物価を通じるより直接的な
経路を通じて、消費者物価に変化をもたらしうる。
13
6.金融政策運営
以上の経済・物価情勢について、「中長期的な物価安定の目途」を念頭
に置いた上で、2つの「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の
考え方を整理する。
まず、第1の柱、すなわち先行き2013 年度までの経済・物価情勢につい
て、相対的に蓋然性が高いと判断される中心的な見通しについて点検する。
上述の通り、わが国経済は、新興国・資源国に牽引されるかたちで海外経
済の成長率が再び高まり、また、震災復興関連の需要が徐々に強まってい
くにつれて、2012 年度前半には緩やかな回復経路に復していくと考えられ
る。消費者物価の前年比は、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移す
るとの想定のもと、マクロ的な需給バランスの改善を反映して、今回の見
通し期間後半にかけて0%台後半となり、その後、当面の「中長期的な物
価安定の目途」である1%に遠からず達する可能性が高い。こうした経済・
物価見通しを総合的に評価すると、やや長い目でみれば、日本経済は、物
価安定のもとでの持続的成長経路に復していくと考えられる。
次に、第2の柱、すなわち、より長期的な視点も踏まえつつ、金融政策
運営の観点から重視すべきリスクを点検する9。景気面では、欧州債務問題
に端を発するテイル・リスクは低下しているが、国際金融資本市場や海外
経済を巡り、なお大きな不確実性が存在する。また、国際商品市況の一段
の上昇が、交易条件の悪化に伴う実質購買力低下などを通じて、国内民間
需要を下押しする可能性もある。さらに、復興関連需要については、今後
の強まり方や経済効果などを巡る不確実性がある。この間、中長期的な成
長期待については、成長力強化への取り組み次第では、上振れ・下振れ双
方向の可能性がある。財政の持続可能性確保へ向けた取り組みも、経済動
9 例えば、発生確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大き
な影響を与える可能性があるリスク要因も含めて、点検を行っている。
14
向に大きな影響を及ぼし得る。物価面では、国際商品市況や中長期的な予
想物価上昇率の動向などを、注視する必要がある。
先行きの金融政策運営については、上述の2つの柱による点検を踏まえ、
強力な金融緩和の推進と成長基盤強化の支援の双方を通じて、デフレ脱却
に向けて適切な政策運営に努めていく。
すなわち、第1に、日本銀行は、当面の「中長期的な物価安定の目途」
である消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるように
なるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強
力に金融緩和を推進していく。ただし、金融面での不均衡の蓄積を含めた
リスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から問題が生じ
ていないことを条件としている。この点、現時点において、過度に楽観的
な期待に基づいて金融的な不均衡が生じているとは考えにくい10。もっと
も、政府債務残高が顕著に累増しているなかで、金融機関は多くの国債を
保有しており、何らかのきっかけで、長期金利が上昇した場合、経済・金
融に大きな影響を与える可能性がある点に留意しておく必要がある。こう
した観点からは、金融政策の運営に対する信認を維持していくことが重要
である。
第2に、日本銀行としては、強力な金融緩和の推進と併せて、わが国経
済の成長基盤強化にも、中央銀行の立場から引き続き取り組んでいく。
わが国経済は、現在、急速な高齢化のもとで、趨勢的な成長率の低下と
いう長期的・構造的な課題に直面している。こうした課題を克服し、新た
な経済成長の基礎を築いていくためには、民間企業が付加価値の創造力を
高め、外需の取り込みや内需の掘り起こしを進める必要がある。また、こ
のような企業の前向きな活動を支えていくために、政府が環境整備に努め
ることや、民間金融機関が成長基盤強化に向けた取り組みを行うことも、
10 詳しくは「金融システムレポート」(日本銀行2012 年4月)を参照。
15
重要である。さらに、政府債務が対GDP比でみて先進国中最大となって
いるもとで、中長期的な財政の持続可能性をしっかりと確保していくこと
も不可欠である。このように、民間企業、金融機関、政府、日本銀行がそ
れぞれの役割に即して取り組みを続けていくことが、重要である。
以 上

03. 2012年4月27日 18:57:02 : 3CNLte9sGM
1%展望する時期は14年度含む、時間軸に対する考え方変わらず=日銀総裁
2012年 04月 27日 18:04 JST  

焦点:欧米企業の中国事業に懸念も、景気減速で業績さえず
アングル:仏大統領候補オランド氏、独首相と成長促進で連携か
13年度物価見通し0.7%、金融緩和を推進=日銀展望リポート
ドル80円後半、日銀追加緩和決定も上値重い
[東京 27日 ロイター] 日銀の白川方明総裁は27日、金融政策決定会合後の会見で、資産買い入れ基金の増額による追加金融緩和を決めた理由について、経済・物価に明るい動きが出ている中で日本経済が持続的な成長に復帰することを確実にするため、と説明した。

その上で今後の政策運営について「毎月、金融緩和をやっていくわけではない」としながら、強力な金融緩和を推進し、デフレ脱却に向けて適切に政策運営していくと語った。日銀が事実上のインフレ目標としている消費者物価の前年比上昇率1%に達する時期について「2014年度も含む」としたが、1%が見通せるまで強力な金融緩和を推進していくとする日銀の時間軸に対する考え方は「まったく変わっていない」と強調した。

白川総裁は、追加緩和に踏み切った理由として、経済・物価で起きている良いモメンタム(勢い)を大事にしたいため、と説明した。日銀は2月に「物価安定の目途」の形で物価上昇率1%が展望できるまで金融緩和を続ける姿勢を明確にしているが、総裁は、同日公表した13年度までの「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、13年度まで1%が展望できないため緩和したわけでない、と述べた。

日銀は現在進めている資産買入基金による「包括緩和政策」を打ち出した2010年10月、企業向け貸出の多くが2年以内との根拠で、買い入れ金融資産の年限を2年以内としていた。今回年限を3年に延長した点について、企業の資金調達を考えると合理的判断、と述べた。中央銀行が買い入れる国債の年限は、それぞれの国の金融構造に即して対応する、とした。

今後は、国債買い入れのペースなど最適なスピードを意識し、経済・物価の展開や金融政策の効果を冷静にじっくり見極め、政策運営する姿勢を示した。また1%の物価上昇を達成した後の政策について語るのは時期尚早と述べた。

総裁は3月以降の2度の訪米の際に講演で金融政策の副作用について強調しているが、副作用があるから金融緩和をするべきでないとは思っていない、と明言した。

資産買入基金について、これまで大きな増額を行ってきている、とした。市場から日銀が財政ファイナンスを行っているとの懸念を持たれないよう、市場が監視できるように基金で買い入れている国債と、通貨供給のための国債買い入れを分別管理している、と強調。日銀は財政ファイナンスを行わないことを信用してほしいと述べた。

日銀には国債買い入れが財政ファイナンスとの懸念を持たれないため、長期国債の残高がお札(日銀券)の発行額以下に抑える自主規定を定めているが、総裁は、今年末か今年度末には、長期国債保有額が銀行券発行残高を上回る、と述べた。

日本経済の現状については、横ばい圏内だが持ち直しに向かう動きが明確になりつつある、との見方を示した。展望リポートでは、前回1月の中間評価と比較し、景気・物価のいずれも上方修正したが、消費税率の引き上げは見通しに織り込んでいない、と述べた。

中期的な物価をみるうえで、中国の賃金上昇や新興国の経済発展に伴う資源価格上昇の影響が一つの注目点、と指摘した。

(ロイターニュース 伊藤純夫、竹本能文:編集 内田慎一)


04. 2012年4月27日 20:15:35 : 3CNLte9sGM
物価目標達成の展望が緩和催促招く可能性、日銀と市場の際限ない心理戦に
2012年 04月 27日 19:45 JST

[東京 27日 ロイター] 日銀が27日の金融政策決定会合で示した多岐にわたる追加緩和と高い物価見通しは、市場の期待に応えるとともにデフレ脱却にもつながる展望を示すことで緩和催促を封じ込める意図があったと専門家は見ている。

しかし現実の経済情勢は日銀が示したシナリオより厳しいとみられており、日銀の大胆な緩和と見通しはかえって追加緩和の憶測を呼ぶことになりかねない。すでに円高傾向がじわじわと進んでいる上、デフレ脱却がままらないとなれば、過剰ともいえる緩和催促は何度でも繰り返され、そのたびにマーケットとの際限ない心理戦が続くことになるとの指摘もある。

<大胆な緩和と高い物価見通し、市場期待を封じ込める狙いも>

27日に日銀が打ち出した追加緩和は、規模は5兆円と予想の範囲内だったが、長期国債以外にも不動産投資信託(J─REIT)や指数連動型上場投資信託(ETF)の増額を決めるなど、内容は多岐にわたり、大胆な緩和と評価する声も少なくない。

さらにデフレ脱却を目指した事実上の物価目標である「物価安定のめど」1%を設定したことから、「展望リポート」で2013年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しを民間見通しより大幅に高い0.7%と打ち出し、「今回の見通し期間後半にかけて0%台後半となり、その後、当面の『中長期的な物価安定の目途』である1%に遠からず達する可能性が高い」とデフレ脱却が展望できることも明示した。1%が見通せるまで強力に金融緩和を進める方針も明確にしたため、金融政策と物価見通しの関係がはっきりとした。

今回、幅広い緩和内容と、強めとも言える物価見通しを打ち出した背景には 金融市場の一部で「緩和中毒」とも揶揄されるほど高まった日銀の追加緩和への期待を封じこめる狙いもあったとみる専門家は少なくない。

JPモルガン証券チーフエコノミストの菅野雅明氏は「意図は明白だ。緩和打ち止め感を出したいということだ」と指摘。市場の期待を裏切らないように日銀は最大限の努力をしたともいえるが、それによりひとまず緩和催促をかわす狙いもあったとみる。デフレ脱却が達成できていなからといって毎回緩和することを意味していないというのが日銀のロジックだ。

白川方明総裁も記者会見で金融政策について「経済・物価を点検し、冷静にじっくり見極めたい」と語り、「上向きのモメンタムを大事にしたいが、毎月緩和をやっていくということではない」と述べている。ある日銀OBは、物価目標に向け政策運営を行うことに枠組みを変えたものの、日銀のこうした精神構造は何ら変わっていないと指摘している。

<経済情勢厳しく市場の催促続く見通し>

一方、今回の措置が逆効果になりかねないとの指摘も聞こえる。

1%の物価目標を達成する手段が検討された気配がなく、「どうやって物価上昇率を計画通りに高めることができるのかと問いたい」(第一生命経済研究所・主席エコノミスト・熊野英生氏)との疑問も浮上している。今回のような大胆な緩和策が織り込まれて高めの物価見通しを作成したのだとすると、物価動向次第では次々と大幅な緩和に踏み切ることを迫られる可能性もある。

また、為替相場の動きがポイントになるとの指摘もある。専門家からは「もはや日銀にできることは、金利低下の限界的な部分よりも、為替相場に働きかけて、デフレを回避することくらいしかない」との声も出ている。そうした意味でも、できるだけゼロ金利解除時期までの時間軸は変えないことが望ましいとみられていた。

白川総裁は「時間軸に対する考え方は全く変わっていない」とするが、クレディスイス証券のチーフエコノミスト、白川浩道氏は「物価1%上昇が14年度には達成される可能性を示唆したと受け止められれば、利上げに向けたアクションが意識され、円高回避に逆効果となりかねない」とみる。

他方、物価情勢からもそう簡単にデフレ脱却ができると見るエコノミストはいないようだ。民間エコノミストの予測を集計した最新のフォーキャスト調査では13年度の平均物価上昇率は0.1%にとどまり、日銀見通しとは大きなかい離がある。14年度に向けた物価の改善テンポは展望リポートのようにはいかないというのが大方の見方だ。

足元の経済情勢は、世界経済の不透明感が強まり、今朝発表の3月鉱工業生産速報でも足元、先行きともに企業の生産計画が下振れていることを示した。

菅野氏は「日銀は高めの成長・物価見通しを示したたが、かえって首を絞めることになりかねない」と指摘する。同氏は「シナリオ達成が難しい情勢と市場が見れば、今後も追加緩和を巡り、今回同様に市場との心理戦が続く局面に入ってしまった」とみている。

(ロイターニュース 中川泉;編集 石田仁志)



05. 2012年4月27日 20:16:55 : 3CNLte9sGM
物価上昇率1%展望できる時期は14年度含む=白川日銀総裁
2012年 04月 27日 20:07 JST

[東京 27日 ロイター] 日銀の白川方明総裁は27日、金融政策決定会合後の会見で、資産買い入れ基金の増額による追加金融緩和を決めた理由について、経済・物価に明るい動きが出ている中で日本経済が持続的な成長に復帰することを確実にするため、と説明した。

その上で今後の政策運営について「毎月、金融緩和をやっていくわけではない」としながら、強力な金融緩和を推進し、デフレ脱却に向けて適切に政策運営していくと語った。日銀が事実上のインフレ目標としている消費者物価の前年比上昇率1%に達する時期について「2014年度も含む」としたが、1%が見通せるまで強力な金融緩和を推進していくとする日銀の時間軸に対する考え方は「まったく変わっていない」と強調した。

<1%展望できないため緩和したわけでない>

日銀は今回公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、前回1月の中間評価と比べて景気・物価いずれも上方修正したにもかかわらず追加緩和に踏み切った。白川総裁は「景気・物価情勢が改善しているなか緩和強化は多くないが、過去になかったわけではない」と指摘。「経済・物価の面で起きているよいモメンタムを大事にし」、「物価安定のもとでの持続的な成長経路に復する蓋然性をさらに確実にしたい」ため、追加緩和に踏み切ったと説明した。

物価については「大きな流れが重要。2009年夏に消費者物価指数が前年比でマイナス2.4%と近年の底を付けて以来徐々に縮小し本日発表された3月の消費者物価指数はプラス0.2%だった。購入頻度の高い、財・サービスは徐々に上がってきている」と指摘した。

日銀が現在進めている資産買入基金による「包括緩和政策」を打ち出した2010年10月以降、基金の規模を「1年強で35兆円、長期国債で25兆円と大変な増額を行ってきている」ことを受け、「経済に前向きなモメンタムが少しずつ働き始めている」との見方を示した。

今後は景気の「上下両方向のリスクに十分注意を払い、景気・物価の展開や金融政策の効果を冷静にじっくり見極めたい」とした。日銀は2月に「物価安定の目途」の形で物価上昇率1%が展望できるまで金融緩和を続ける姿勢を明確にしているが、総裁は、展望リポートで13年度まで1%が展望できないため緩和したわけでない、と述べた。

<「財政ファイナンス行わない、信用してほしい」>

日銀は包括緩和政策を打ち出した2010年10月、企業向け貸出の多くが2年以内との根拠で、買い入れ金融資産の年限を2年以内としていた。今回年限を3年に延長した点について、企業の資金調達を考えると合理的判断、と述べた。

米国の金融債務は家計向けの30年近い不動産担保貸付が多く、社債も発行期限が平均13年と長いため「長い金利への働きかけが有効」と指摘。「日本では期間の長い調達は多くないため従来から3年以下を意識し政策を行ってきた。それぞれの国の置かれた金融構造に即してもっとも有効な金融政策手段が必要」と強調した。

度重なる追加緩和で日銀の国債買い入れが増額を続けているが、総裁は「買い入れは金融政策の目的実現のため、財政ファイナンスが目的でない」、「財政ファイナンスを行わないことを信用してほしい」と強調。その趣旨を明らかにするために、通貨供給のための国債買い入れとは別の「基金という分別管理をし、国民や市場参加者が監視できるようにしている」と説明した。

<長期国債残高、今年度末までに銀行券上回る見通し>

日銀は、通貨供給のため買い入れる長期国債の残高をお札(日銀券)の発行額以下に抑える自主規定を定めているが、総裁は「今年末か今年度末には長期国債保有額が銀行券発行残高を上回る」との見通しを明らかにした。

一方、「国債の買い入れが大量にのぼると、日銀の意思とかかわらず、『財政ファイナンスでないか』との見方が出ることは一般論としてはあり得る」とし、「そうした事態を避けるためにも財政健全化に向けた取り組みをしっかりと進めてほしい」と述べた。

<副作用あるから緩和すべきでないという訳でない>

総裁は3月以降の2度の訪米の際に講演で金融政策の副作用について強調しているが、「世の中には効果だけあってコストがない政策・手段はない。副作用あるから金融緩和するべきでないというわけでなく、副作用が小さくなるよう構造改革の努力をしてほしい」との趣旨だと説明した。

今後は、国債買い入れのペースなど最適なスピードを意識し、経済・物価の展開や金融政策の効果を冷静にじっくり見極め、政策運営する姿勢を示した。また1%の物価上昇を達成した後の政策について語るのは時期尚早と述べた。

日本経済の現状については、横ばい圏内だが持ち直しに向かう動きが明確になりつつある、との見方を示した。展望リポートの物価見通しには、「消費税率の引き上げは見通しに織り込んでいない」と述べた。

中期的な物価をみるうえで、中国の賃金上昇や新興国の経済発展に伴う資源価格上昇の影響が一つの注目点で、同日の会合で指摘があったことを明らかにした。

(ロイターニュース 伊藤純夫、竹本能文:編集 内田慎一)

日銀追加緩和決定、資産買い入れ基金5兆円増額:識者はこうみる
2012年 04月 27日 15:32

1%展望する時期は14年度含む、時間軸に対する考え方変わらず=日銀総裁
日銀の追加緩和、市場動向・経済動向踏まえた適切な判断=官房長官
日銀追加緩和で金融市場は乱高下、短期筋の反対売買が交錯
公的資本の政府議決権比率、総合計画認定時に明らかに=東電社長

[東京 27日 ロイター] 日銀は27日に開いた金融政策決定会合で、資産買入基金による長期国債の買い入れ額を10兆円拡大するとともに、上場投資信託(ETF)を2000億円、不動産投資信託(J─REIT)を100億円それぞれ増額する追加金融緩和を決定した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●安心感誘う、継続的株買いには円安必須

<大和証券 投資戦略部 部長 高橋和宏氏>

国債買い入れ基金の増額を10兆円としたほか、国債・社債の年限を2年以下から3年以下に延長し、市場の安心感を誘った格好だ。また事前に予想されていなかったETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の買い入れ増額はサプライズとして受け止められるだろう。

ただ2月のバレンタイン緩和のように中期的な株価上昇になるかは不透明。ETF買い入れは下値を支える程度で、株価の押し上げ要因にはなりにくい。株価上昇には外為市場での円安進行が必要で、引き続き外部要因にらみの展開を想定している。

●長期国債買い入れはマイルドな増額

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア債券ストラテジスト 長谷川治美氏>

日銀は追加緩和を決定し、基金は5兆円増額だが、長期国債買い入れは10兆円増額となった。国債の買い入れ対象年限も3年へ延長された。ただ、基金買い入れ期限が今年12月末から半年延長されるため、長期国債買い入れについては10兆円増額だが、月額の買い入れ額は今の1.5兆円から1.6兆円程度と比較的マイルドな増額になった。日銀としても国債マーケットをゆがめることがないように慎重に配慮した結果だと受け止めている。

期待インフレ率を押し上げるという意味で、長期国債買い入れにとどまらず、今回は指数連動型上場投資信託受益権(ETF)、不動産投資信託(J─REIT)などのリスク性資産の買い入れも拡大した。

2月の実質的なインフレ目標導入のあと、市場の緩和期待をコントロールすることが難しくなっている。政治的な圧力もあり、今後はコミュニケーション戦略についても熟慮して行く必要があるとみている。

ETF買い入れが増えたことで、株にはプラスに働いている。債券市場では、月額の買い入れ額がさほど大きくないため、金利の低下効果は小さそうだが、失望売りは回避されているようだ。

●現実的な選択、基金の再増額も視野

<東短リサーチ・上席研究員 飯田潔氏>

日銀は追加緩和に踏み切り、現実的な選択をした。資産買入等基金の規模を5兆円増額。札割れが相次ぐ固定金利オペの規模を5兆円減らす一方、長期国債に加えて、ETFなどのリスク資産買い入れを増やした。資金需要に乏しい資産への供給を減らして、市場動向に配慮して割り振りを修正した。短期金融市場では、すでに資金余剰感が強いため、目立った影響はない。

日銀は今後、「中長期的な物価安定の目途」である消費者物価の前年比1%を目指して、さらなる緩和に踏み切る可能性がある。再び基金の増額が視野に入ってくるだろう。

●社債の期間延長に意外感、買入オペの札割れ回避も

<三井住友海上あいおい生命 経理財務部部長 堀川真一氏>

日銀は27日の金融政策決定会合で、資産買い入れ等基金による社債買い入れオペの対象期間を「1年以上2年以下」から「1年以上3年以下」に延長したことは、これまで報道されていなかったこともあって、意外感がある。マーケットは国債の買い入れ延長は想定していたが、社債まで踏み込むとは思っていなかったはずだ。前回の社債買い入れオペで大きく札割れしたこともあって、それに対応した可能性が高い。

社債買い入れオペの対象が広がることで、札割れが回避される可能性が高まる。ただ、銘柄そのものの範囲が拡大するわけではないため、社債市場の需給が大幅に引き締まるところまでには至らないとみている。

●期待封じ込めの印象、物価1%展望言及で時間軸短期化も

<クレディ・スイス証券 チーフエコノミスト 白川浩道氏>

緩和を強く求め続けるマーケットの期待をこれで封じ込めたい意図が感じられる内容だ。長期国債買い取り10兆円増額や他の資産買い取り、買い取り対象国債の残存年限の延長に加えて、「展望リポートの見通し期間後半にかけて物価1%上昇に遠からず達する可能性が高い」と打ち出したことにそれを感じる。つまり、今回の措置をもってデフレ脱却に自信が持てると言っているようなものだ。2014年には利上げ方向にアクションをとらないわけではないことも示唆し、時間軸はかえって短くなるような印象を与えている。このあと発表の展望リポートで、2014年度以降も緩和を続けることを丁寧に説明するかしないかが、1つの注目点だ。

●予想以上の規模だが、今後の緩和不要と読める文言も

<大和住銀投信投資顧問 経済調査部長 門司総一郎氏>

予想以上に大きな規模の追加緩和となった。特に、指数連動型上場投資信託受益権(ETF)や不動産投資信託(J─REIT)などのリスク性資産の買い入れ増額は必ずしもコンセンサスとなっていなかっただけに、株式市場にはポジティブだろう。企業決算が想定より良いことも考えれば、連休明けの株価上昇に期待が持てる。

ただ日銀は声明文の中で消費者物価について、展望レポートの見通し期間後半にかけてゼロ%台後半となり、その後、当面の「中長期的な物価安定の目途」である1%に遠からず達する可能性が高い、と指摘している。「遠からず達する」という文言は、読みようによっては、これ以上の緩和の必要がないとも読める。追加緩和は不要という解釈になれば、今回の緩和効果が薄らぐ可能性も出てくる。

●買入資産の構成に工夫も円安持続は難しい、今後の米金融政策を注視

<ニッセイ基礎研究所 シニアエコノミスト 上野剛志氏>

日銀が打ち出した資産買入基金増額の規模は5兆円ということで最低ラインだが、買入資産の構成を変更するなど工夫がみられた。ETF買い入れの2000億円程度の増額というのは印象として大きいだろうし、札割れが連発している固定金利オペは減らして長期国債の買い入れを増やすということで工夫がみられる。さらに買い入れ対象とする長期国債の残存期間を1年延長したり、包括緩和の基金自体の年限も半年延長したりしたが、総合すると市場が予想していたよりも踏み込んだ内容で、日銀の緩和姿勢の強さを印象づけたとみている。

しかし、円安の持続は難しいだろう。2月から3月にかけてのような大幅な円安の再来の可能性はあまり高くないとみている。米国の経済指標は良くないものが出ているほか、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は追加緩和に含みを持たせており、一方向にドル買いにポジションを傾けづらい。また、4月以降、再び欧州の債務問題がクローズアップされている。各国での重要選挙も控えており、ユーロ圏でもし何かあればリスク回避で円高の流れになりかねない。

次回6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、6月末に期限を迎えるツイストオペ後に何かするのか、やめてしまうのか判断してくるだろう。決定にあたっては、4月米雇用統計など5月に発表される米経済指標が判断材料として非常に重要になってくるため、注目する必要がある。現在は日銀が追加緩和で先行しているイメージがあるが、FRBが再び追加緩和を打ち出してくればドル安/円高のインパクトは大きい。FRBの出方を注視したい。

●アグレッシブな緩和、期待インフレ再評価も

<メリルリンチ日本証券・チーフ債券ストラテジスト 藤田昇悟氏>

日銀緩和の内容はポジティブサプライズ。相次ぐ札割れで実質活用されていない固定金利オペの規模を5兆円減らした分を他資産の買い入れにまわしたことで、基金は実質的に10兆円の増額。予想していなかったETFとREITの買入枠を拡大した。また、基金70兆円を実現するために、国債買入年限の延長、基金買入期限の半年延長などの工夫も施した。

仮に、今回追加緩和を見送っていた場合には、政治、市場、メディアから日銀に対する圧力が増していたことだろう。アグレッシブな緩和に踏み切ったことで、揺らいでいた日銀の独立性を多少なりとも取り戻したのではないか。

追加緩和は、素直に円安・株高の要因とみている。日銀は今後も追加緩和を継続してデフレ解消をコミットするのであれば、期待インフレを再評価し、長期金利の水準を押し上げる要因になる可能性がある。


06. 2012年4月27日 22:55:19 : 3CNLte9sGM
スペイン債、独債とのスプレッドはジャンク級を示唆−ING

  4月27日(ブルームバーグ):スペイン10年物国債のドイツ債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)はジャンク級(投機的水準)の格付けを示唆していると、INGバンクが指摘した。
INGのシニア金利ストラテジスト、アレッサンドロ・ジアンサンティ氏は「スペイン政府は市場の信頼を失いつつある」とし、「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)はスペインの弱さを示している。債務を安定させられないリスクがある」と指摘した。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は26日、スペインの格付けを「BBB+」に引き下げ見通しをネガティブとした。BBB+は投資適格の下から3番目。フィッチ・レーティングスの格付けは「A」、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「A3」でそれぞれ投資適格の下から5番目と4番目。
ロンドン時間午前9時57分現在のスペイン・ドイツ10年債スプレッドは429ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)。昨年11月18日には過去最大の503bpに達した。
原題:Spanish Bond Spread Over Germany Implies Junk Rating, INGSays(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Emma Charlton echarlton1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Daniel Tilles dtilles@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/27 20:37 JST


スペインとイタリア債が下落、スペイン格下げ響く 
  4月27日(ブルームバーグ):27日の欧州債券市場では、スペインを中心にユーロ圏の高利回り国の国債が下落。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によるスペイン格下げが響いた。
また、この日発表されたスペインの失業率は18年で最悪だった。イタリアの入札では借り入れコストが上昇したほか、発行高が59億5000万ユーロと目標上限に届かなかった。
安全資産への逃避でドイツ国債は買われ、2年債と5年債の利回りは過去最低を付けた。
ドイツ銀行のユーロ圏金利戦略責任者、モヒト・クマール氏は「イタリア入札前に市場はスペイン格下げのニュースで浮き足立っていた」として、「市場の不安定を考えると入札結果はそこそこだ」と話した。
ロンドン時間午後0時15分現在、スペイン10年債利回りは12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の5.96%。一時は6%に達していた。2年債利回りは9bp上昇の3.36%。一時は22bp上げ、16日以来で最大の上昇となった。
S&Pはスペインの長期信用格付けを「BBB+」と、従来の「A」から引き下げ見通しをネガティブとした。
イタリア10年債利回りは7bp上昇の5.71%。フランス10年債利回りは3bp上昇し3%。
ドイツ2年債と5年債利回りはこの日、それぞれ0.075%と0.595%の過去最低を付けた。
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Emma Charlton echarlton1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Daniel Tilles dtilles@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/27 20:45 JST


07. 2012年4月27日 23:21:03 : 3CNLte9sGM
【ロンドン市場】ドルは軟調 白川総裁発言で売られた面も
2012/04/27 (金) 20:56


27日のロンドン市場でドルは軟調に推移した。ポンドドルは昨年9月2日以来、豪ドル/ドルは13日以来2週間ぶりの水準までドル安が進んだ。ドル円は80.50台前半まで下落したが、東京時間の日銀会合後に付けた本日の安値80.49近辺には届かなかった。下落していた欧州株が上昇に転じると、ユーロドルも反発、つれてドル安が進む格好となった。特段の材料は出ておらず、週末前のポジション調整のようだ。
ロンドン朝方は昨晩のスペイン債格下げ報道を嫌気して、欧州株は下落、ユーロドルも下値を試す展開で始まっていた。イタリア債の入札があり、ほぼ目標上限を調達、落札利回りは前回より上昇、応札倍率は前回より低下する結果となった。特段市場の反応はなく、流通市場でのイタリア10年債利回りは上昇したまま推移している。

白川日銀総裁は会合後の会見で、早ければ2014年度にも当面の物価目標を見通せるようになるとの認識を示した。また毎月、追加緩和をやっていくわけではないと述べた。市場では、追加緩和への積極的な姿勢は見られなかったとの指摘があり、ロンドン市場でのドル円の下落を誘ったとの見方がある。

Klugアナリスト 鈴木信秀


08. 2012年4月28日 09:39:16 : 3CNLte9sGM
スペイン経済、2014年まで好転せず=経済相
2012年 04月 28日 04:21

成長促進はドイツ危機対策の柱、EU首脳会議でも協議=報道官
伊入札は利回りが1月以来の高水準 スペイン格下げ響く
第1四半期の米GDP速報値は前期比2.2%増、前期から減速
4月米ミシガン大消費者信頼感指数確報値は76.4と横ばい
[マドリード 27日 ロイター] スペインのデギンドス経済相は27日、スペイン経済が好転し雇用が創出され始めるには、2014年までかかるとの見通し方を示した。

また、公的債務は2013年にピークに達すると述べた。

スペイン政府は同日、欧州委員会に提出する経済安定化計画を公表。それによると、公的債務の国内総生産(GDP)に対する比率は2013年に82.3%に上昇し、ピークをつけ、2015年には80.8%に低下する。2011年は68.5%だった。

財政赤字のGDPに対する比率は、2011年の8.5%から2015年に1.1%に低下する。

また、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化は2013年に実現できるとした。

経済成長率については、2012年はマイナス1.7%となるものの、2013年はプラス0.2%、2014年はプラス1.4%、2015年はプラス1.8%になるとした。

失業率は2011年の21.6%から、2012年は24.3%に悪化。その後は2013年に24.2%、2014年に23.4%、2015年に22.3%と、徐々に改善するとの見通しを示した。


09. 2012年4月28日 12:47:21 : 3CNLte9sGM
スペインの失業率24.4%―過去最悪に迫る
2012年 4月 28日 10:25 JST 
 【マドリッド】スペイン国家統計局が27日発表した1-3月期の失業率は2011年10-12月期の22.9%から一段と悪化して24.4%となり、1994年1-3月期に過去最悪を記録した24.6%に迫っている。25歳未満の若年層では約半数が失業中だ。

画像を拡大する

Reuters
マドリードの職業安定所(27日)
 ホセ・マヌエル・ガルシア・マルガージョ外相はラジオのインタビューで、「このような失業率は国民にとっても政府にとっても最悪のニュースだ。スペインはこれまでも、そして今でも、甚大な危機状況にある」と述べた。

 10年続いた住宅バブルがはじけ、予算削減によって深刻な打撃を受けているスペインの雇用市場では、厳格な労働法規の下、賃金引き下げや職務変更を行うよりも解雇する方が容易となっている。スペインの失業率はユーロ圏の平均10.7%の2倍以上で、今では失業者数は560万人に上る。

 格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は26日、スペインの経済・財政見通しの悪化を受けてスペイン国債格付けを「A(シングルA)」から「BBB+(トリプルBプラス)」に2段階引き下げた。同社は、財政の軌道が昨年末から予想以上に悪化していること、不動産関連の損失で打撃を受けている銀行セクターへの政府支援が必要となる可能性が高まっていることなどを格下げ理由として挙げている。

 12月に就任したマリアノ・ラホイ首相率いるスペイン政府はこれまで、過酷な予算削減政策や雇用市場の構造改革、経営が苦しくなっている銀行の不良資産一掃計画などを通して再建に努力してきた。こうした努力は長期的には経済活性化につながるとみられるが、多くのアナリストは、短期的には生産に打撃となり、投資家心理を冷やして国際的な救済が必要になるとの懸念を高めかねないとみている。

 S&Pによる格下げと失業率のニュースが投資家の不安を煽ってスペイン国債は急落し、トレードウェブによると10年物の利回りは前日比0.07ポイント高い5.87%まで上昇した。また、マークイットによると、スペイン国債5年物のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)スプレッドは11bp(ベーシスポイント)拡大し、480bpとなった。一方、スペイン株式市場は当初急落したがその後はプラス圏に戻っている。

記者: JONATHAN HOUSE And DAVID ROMÁN


10. 2012年4月28日 15:19:49 : 3CNLte9sGM

 今週はファイナンシャル・タイムスの一面でも取り上げられたスペイン危機を取り上げたいと思います。日本の記事を見る限りに、このスペイン危機の本質をちゃんと報道しているニュースは見当たりませんので、現在の状況と今後につきまして、私見を交えお話ししたいと思います。

 先に少しだけ余談を話したいと思いますが、ここ最近のファイナンシャル・タイムスを読む限り、世界は大きく動いていると感じます。
2010年のフラットテレビ出荷台数第一位のメキシコ(実は中国でも韓国でもありません)は、コロンビアやチリと経済提携し、中東は、あたらしい経済ユニットを作ろうと動き出しています。このような動向は、ほとんど日本の経済紙では見かけませんし、日本の衰退している家電メーカーのトップが、世界の現状をどこまで理解できているか、僕にはわかりませんが、インタビューを見る限り、失礼を承知でお話しすれば、「ゴルフが上手いオジさん」にしか見えません。グローバルマインドを持ち合わせていないトップの会社が、衰退するのはこの時代当たり前だと思います。

 さて本題。
ここ数週間、世界の金融市場のニュースは、再び欧州金融危機が再燃する恐れが高いと危機感を表しています。ギリシャに続き、今度はスペインが危ないと言われ、スペイン国債のCDSが記録的に上昇しています。

 つい数日前まで、僕自身およそ半月ほどスペインの各都市をまわっていましたが、世界の経済新聞が騒ぐほど、スペイン国内では国家財政破綻の危機感はありません。この辺りは、昨年秋のギリシャとは大きく違います。

 しかし、スペイン国家財政が厳しいのは確かであり、同時にこれは、2004年以降のスペイン不動産バブルのツケをいま払っているからなのは、国民なら誰もがわかっています。2006年の建築申請が10万軒あったのに対し、昨年2011年は1万軒にも満たないほど、スペイン不動産バブルの崩壊は顕著です。

 すでに4000人を超える建築家は海外流出し、その行き先は、同じEU内ならドイツやスウェーデン、南米ならブラジルなど、世界的に見れば、スペインの建築家を必要としている国はまだまだあります。建築家のように移動出来る職業であれば、他国に移り住み、同じ仕事を出来ますが、公務員に代表される「動けない」「転職できない」人たちは、ひたすら緊縮財政に対してデモをするしかありません。この映像が強調されるように報道され、世界的なニュースになっています。

 しかし、そのデモの矛先は、緊縮財政や政権というより、まるで自戒しているようにも見えるのです。いま、スペイン国民が自戒しているのは、本来「豊かな土地」であることを忘れて、ここ十年その土地の上に建てる「箱もの」に邁進してきたことであり、また、過度な国債発行によってヘッジファンドのオモチャになってしまった現状にたいしてです。

 ですので、もう一度「古き良きスペイン」を思い出そうとしている人が多くいます。

 これは、一見人間的に素晴らしいことに見えますが、実は国際金融市場から見ると、大変マズいことになります。なぜなら、スペインこそがEUから離れても、自分たちでやっていけるだけの能力が充分にあるからです。

 その鍵は、食料自給率です。スペインは食料自給率がとても高く、しかも安価です。例えばお米であれば、店頭購入価格は日本の5分の1ほどだと思います。
水は8リットル200円、野菜、そして魚や肉も、デフレと言われる日本とは比べ物にならないほど安いと思います。また、生活必需品には税金がかかりません。病院や教育機関も基本無料ですし、エネルギー生産のトップはすでに風力で太陽光もまだ余力があります。

 つい30年ちょっと前までフランコ将軍の圧政時代には鎖国同然であり、その後も、豊かな食料自給率を背景に、欧州内の下請けと観光業で充分な幸せを享受していました。よって、「スペインらしいスペイン」に回帰しようとするナショナリストが現在台頭しているのです。

 今週のファイナンシャルタイムスにも書いてありますが、スペインの「わがままな17の自治州と中央政府の関係性」が、今後の問題になると記事になっています。なぜなら、ナショナリストと言っても国家に対してではなく、スペインは地域分権が進んだ国家ですので、地域独立に向けてとなります。ですので、ナショナリストや古き良きスペインに戻ろうと考える人たちは、国債がどうなろうと、その機に地域で独立してしまえば良いと考えているのです。その理由のひとつに、南北の経済格差もとても大きいことがあげられます。

 ギリシャと違い、それなりに欧州の大国であるスペインが、EUから分離すると、欧州は確実に崩壊します。今後、スペイン中央政府と自治州の関係が悪化し、さらに地域分権が進み、カタルーニャ州とバスク州だけがEUに残り、残りのスペインの地域がEUから分離するとなれば、いま、世界で信じられている「国家」と言う枠組みが変わる事を意味します。

 もし、国家と言う枠組みが崩壊したら、例えば、日本でしたら「東京独立(千代田特別区は除く)」や「大阪市独立一部セクター国際株式市場上場」などが起きてもおかしくありません。

 国家の未来と地域の未来が共にある理由が世界的になくなるからです。スペインの国債危機は、そのような未来の可能性を示唆しているのです。

 このような動きは、ドイツは、なんとしてもそれを阻止するでしょうが(裏でスペイン国債を購入し買い支えるでしょう)、フランスは、次期大統領次第で方針が決まるでしょう。
そうしなければ、ドイツとポーランドの一部が「ポメラニア」地域として、完全循環エネルギー地域を目指し独立に向かう事もありうるからです。

 「小さな政府」を超えて「小さな地域」へ。一見、ギリシャの次のターゲットになったように見えるだけのスペイン危機は、実は、世界の大きな転機の可能性をはらんでいるのを教えてくれています。

『高城未来研究所「Future Report」』04/20号より抜粋

高城 剛

▓ 高城 剛

日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオ・ビエンナーレ」でグランプリを受賞。総務省情報通信審議会専門委員などの要職を歴任。メルマガ「高城未来研究所」では実際に海外を飛び回って入手した世界情勢や経済情報など豊富な内容で配信。
Mail-Magazine
高城未来研究所「Future Report」
840 円/ 月額
今週はロンドンにいます。つい先日までいた世界一の美食の街「サンセバスチャン」と比べると、この街の食べ物のマズさは、あまりに──
2012/04/20


11. 2012年4月28日 15:22:51 : 3CNLte9sGM

本は欧州を支援すれば、欧州債務危機は簡単に解決できるだろう。

1、中国は欧州諸国の政府債券に投資を続けることを示した
 欧州債務危機発生以来、欧州はずっと巨大な外貨準備高を持っている中国が欧州に支援の手を差し伸べることを望んでいる。中国は欧州諸国に対する信頼感を繰り返し表明した。
 中国対欧州の支援は欧州を助けるだけではなく、同時に自分たちを助けることになる。欧州は中国の1番目の貿易パートナーと主な輸出先であり、中国にとって対欧州支援は多くの利益がある。
 中国の次期最高指導者と目される習近平・国家副主席はアイルランドを訪問した際、欧州を支援する意向をあらためて表明し、国際金融機構を通じて欧州に資 金支援を提供したい。中国は独自の手法で、欧州連合(EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)によるユーロ圏債務危機解決に向けた取り組 みを支える。
 当面、EUがいくつかの困難と挑戦に直面しているほか、世界中で欧州に関する悪口が広がっているものの、EUは困難を克服し、危機を乗り切り、欧州一体 化の成果を維持・推進することに高度な政治的コンセンサスを持っているため、中国はユーロ売りを賛成しない。中国の温家宝首相は2月14日に開催した第 14回欧州連合(EU)・中国首脳協議で、欧州債務危機の解決を中国として支援する用意があるとの立場をあらためて示した。
 首相は「中国は欧州債務問題解決への関与を拡大する用意がある」とし、「EU側と緊密な連絡を取り、協力していく意思がある」と表明した。また、言行一致の構えも強調した。
 中国人民銀行の周小川総裁は2月15日、中国がユーロ圏による各項の改革措置を支援したほか、安全性、流動性、付加価値向上の原則に基づき、EU諸国の 政府債券に投資を続ける、と述べた。かつ国際通貨基金(IMF)、欧州金融安定ファシリティ(EFSF)等の可能な各ルートを通じて、欧州債務問題の解決 に当たる。

2、日本は中国と一緒に欧州を支援する
 近日、日本の安住淳財務相は中国の王岐山副首相と会談し、欧州債務危機への対応などについて意見交換し、日中両国の連携を確認した。欧州問題については、国際通貨基金(IMF)を通じて協調した対応をとっていきたいということで合意した。
 安住淳財務相は、欧州債務危機を巡るIMFの資金基盤強化について、日中で協調してIMFの役割を支える準備があるとの認識で一致したが、欧州諸国のさらなる努力が必要となる、と述べた。欧州債務危機への対応で日中両国は共同行動を取ることで一致した。

3、中国は欧州を支援する理由
 新興市場国家は世界多極化における一団の新手として、欧州支援を選ぶかどうか。当面の欧州債務危機に対し、中国は躊躇せずに支援するほうがいい。
 まず、中国は多くの領域で欧州に助けを求めている。例えば農業、衛生、環境保護、教育など。また、中国と欧州の間に資金と投資の動きが密接に関連し、企 業は互いに投資することが多い。次に、対欧州支援は中国の対外貿易発展を促進させる。過去30年余り、欧州と中国は広範囲に技術交流、貿易金融などの分野 で互に協力していた。欧州は中国商品の主な輸出市場となり、かつ中国も欧州商品の最大の買い手となった。両方の貿易額は兆億ドルに達した。中国が欧州を支 援することは貿易の持続的な発展に有利にする。
 それから、中国に対する輸出規制について、米国と比べて欧州の方は比較的緩やかで、特にハイテク製品、欧州は中国に輸出しやすい。
 最後、金融から見ると、ユーロとドルは世界中で最も注目を集める通貨であり、ユーロが国際通貨システムの中で重要な地位を占めている。もし、ユーロが崩 壊すれば、世界経済と通貨システムの多極化に悪影響を与える。世界経済は極めて緊密に一体化している場合、欧州経済と金融安定は中国ひいては世界経済には プラス効果になるだろう。

4、中国対欧州支援の方式
 目下、欧州は中国からの支援策を期待している。中国による支援は最も必要なところに使用しなければならなくて、欧州関連体制の改革を改善・推し進め、少数欧州国家の「高福祉」を維持するために生じた債務に濫用しない。
 中国は国際通貨基金(IMF)などの機構を巧みに使いながら、欧州中央銀行(ECB)、BRICs諸国を利用し、重点的に欧州債務危機の核心問題を解決する。

<図1:2011年末の世界各国のGDP総量(単位:百万ドル)>

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http://img.mag2.com/o/kinyukeizai/2012/0427/tougaku01.jpg


12. 2012年4月30日 17:43:44 : 3CNLte9sGM
ロンドン外為:ユーロ、対円で3日続落−スペイン経済が縮小 

  4月30日(ブルームバーグ):30日午前のロンドン外国為替市場では、ユーロが円に対して3営業日続落。欧州債務危機の中、スペイン経済が1−3月(第1四半期)にマイナス成長となったことが手掛かり。
ロンドン時間午前8時26分(日本時間午後4時26分)現在、ユーロの対円相場は前週末比0.3%安の1ユーロ=106円06銭。月初来では4.1%下げている。ドルに対しては0.1%下げ1ユーロ=1.3238ドル。前月末比では0.7%安。
ドルは円に対し0.2%安の1ドル=80円13銭。一時は80円08銭まで売り込まれ、2月28日以来のドル安・円高水準となった。
原題:Euro Weakens for Third Day Versus Yen as Spanish EconomyShrinks(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:シンガポール Masaki Kondo mkondo3@bloomberg.net;エディンバラ Lukanyo Mnyanda lmnyanda@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Daniel Tilles dtilles@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/30 16:58 JST


13. 2012年4月30日 17:44:25 : 3CNLte9sGM
イタリア10年債が上昇、利回りは約1週間ぶり低水準付近 
  4月30日(ブルームバーグ):30日午前の欧州債市場ではイタリア10年債が上昇し、利回りは1週間余りの最低に向かっている。この日発表された3月のドイツ小売売上高が増加したことが手掛かり。
スペイン国債も上昇。ドイツ国債はほぼ変わらず。利回りは前週、過去最低を付けた。
ロンドン時間午前8時(日本時間午後4時)現在、イタリア10年債利回りは前週末比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の5.61%。26日には5.57%まで下げ、19日以来の低水準となった。
スペイン10年債利回りは2bp下げて5.86%。ドイツ10年債利回りは1.71%。23日に1.63%まで低下した。
原題:Italian 10-Year Bonds Advance After GermanRetail Sales Rebound(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン David Goodman dgoodman28@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Daniel Tilles dtilles@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/30 16:53 JST

14. 2012年4月30日 17:46:28 : 3CNLte9sGM
スペイン 1−3月GDPは前期比0.3%減−リセッション入り 

  4月30日(ブルームバーグ) スペイン経済は今年1−3月(第1四半期)に予想ほど縮小しなかったものの、2四半期連続のマイナス成長となり、2009年以降で2回目のリセッション(景気後退)に陥った。
スペイン統計局(INE)が30日電子メールで配布した発表資料によると、1−3月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.3%減小した。スペイン銀行(中央銀行)が23日示した暫定値では0.4%減が見込まれていた。GDPは前年同期比では0.4%減。 
 
更新日時: 2012/04/30 16:21 JST


15. 2012年5月02日 20:44:00 : 3CNLte9sGM
アングル:豪ドルは底打ち模索か、大幅利下げで追加緩和観測後退
2012年 05月 2日 19:26 
あすの視点
焦点:アルゼンチンなど保護主義的動き、サプライチェーンに影響か
焦点:米大統領選で鍵握る激戦10州、現職は守勢の中で勝機探る
4月の米ISM製造業景気指数は改善:識者こうみる
アングル:米GMがいすゞに出資打診、新興国開拓のカギ握る商用車
[東京 2日 ロイター] オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の大幅利下げで1日、急落した豪ドルは、良好な米経済指標を受けて同日のニューヨーク時間に対円での下落分を取り戻した。市場では、RBAが早期に追加緩和に踏み切るとの見方が後退、RBAの政策を占ううえで重要になる中国経済も1―3月に底を打って年末に向けて回復するとの見方が出ている。

さらに、中国では上海総合指数.SSECが上昇基調を強めており、豪ドル相場は5月がボトムになる可能性が指摘され始めた。

<RBA、追加緩和の可能性後退>

1日、RBAは0.5%の大幅利下げを決定した。先行して発表された豪州の1―3月期消費者物価指数が市場予想を下回ったことで、RBAの利下げシナリオそのものは「既定路線」となっていたものの、0.5%の大幅利下げはサプライズとなり、発表直後、豪ドルは対円、対ドルで急落した。

しかし、今回の大幅利下げにより、市場では先行きのRBAの金融政策について「当面は様子見」(みずほ総合研究所の苅込俊二主任研究員)との見方が出ている。苅込氏は、RBAの政策運営の重心の変化をもとに今後の金融政策を読む。これまでRBAは物価と景気の両にらみで金融政策を行ってきたが、1―3月期の豪消費者物価指数が弱い結果となったことで景気に配慮した政策運営に軸足をシフトすることが可能になった。今回の大幅利下げは景気のうち内需のてこ入れを狙ったもので、今後は外需の動向がRBAの主たる関心事項になるという。その上で、苅込氏は「夏場から秋にかけて1回の利下げがあるとみている」とした。

野村証券の外国為替ストラテジスト高田将成氏も、今回の大幅利下げによって「先行きの追加緩和の可能性を後退させた」と指摘した。今回の利下げはあくまで物価指標を主たる背景にしたもので、豪州景気に対する悲観的な見通しの強まりによるものではない。「声明文には、足元の景気がRBAが当初見込んでいたより多少下ぶれているという表現がみられるが、もともとRBAはかなり高い水準を見ていた」という。

<中国経済と株価、豪ドルをサポートか>

RBAの先行きの金融政策を見極めるうえで、両氏とも中国の動向に注目している。中国景気については底打ちのタイミングをめぐってなおエコノミストの間で議論が分かれているが、大和証券キャピタルマーケッツ香港リミテッドのチーフエコノミスト、スン・ミンチュン氏は12年1―3月期が中国の実質国内総生産(GDP)のボトムになると予想している。11年10―12月期の前年比8.9%増(実績値)、12年1―3月期の同8.1%増(実績値)に対し、4―6月期が同8.2%増、7―9月期が同8.4%増、10―12月期が同8.7%増と、年末に進むに従って景気が加速する姿を描く。中国景気が順調に回復を続ければ、RBAの追加緩和の余地は大きく縮小することになる。

1日、4月米ISM製造業景気指数が市場予想を上回ってダウ工業株30種.DJIが上昇。指標発表のタイミングで豪ドル/円も上昇し、大幅利下げによる下落分を取り戻す格好となったが、中国株もここに来て再び上昇基調を強めており、「株価敏感通貨」として知られる豪ドルのサポート要因になりそうだ。休場明け2日の上海総合指数.SSECは取引手数料の引き下げを受けて騰勢を強め、2月、3月に付けた高値が位置する2480ポイントどころを上抜ける勢いを見せている。

大和証券キャピタルマーケッツ香港リミテッドの宮内裕子課長代理は、年初から続く中国株の上昇トレンドについて「中国当局が昨年11月に金融緩和に踏み切り、実体経済に緩和効果が出てきたことが大きい」と指摘している。今後、預金準備率の段階的な引き下げで株価は上昇基調を維持するとみている。

<5月がボトムの見方>

「振り返ってみた場合、5月は豪ドルにとって底になる可能性は十分にある」――野村証券の高田氏はこう指摘する。高田氏はRBAの大幅利下げの余韻もあって豪ドルにさらに下げ圧力がかかる可能性が残るものの、対円、対ドルとも下げ基調を強める展開までは見込みにくいとしている。先行き先進国が追加緩和に踏み切った場合でも、RBAが今回大幅利下げを先行実施したことで先進国に追随する形で利下げに踏み切る可能性は低く、今後は金利差の観点からの豪ドル買いも入ってくるとの見方だ。

(ロイターニュース 和田崇彦 ;編集 石田仁志)


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