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●「Dデイは5月6日」
( http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/2012/1185.html)
フランス・ノルマンディー上陸作戦(Dデイ)は1944年6月6日であったが、欧州債務問題のDデイは5月6日になりそうだ。
フランス大統領選挙は、マーケットが嫌うオランド氏優勢のまま5月6日の決選投票へ(予想通りの)延長戦入り。
そしてギリシャ総選挙も延び延びになっていたが、やはり5月6日に予定と発表されている。ここでも、マーケットが嫌う(緊縮拒否をマニフェストに掲げる)野党が優勢だ。
フランスでもギリシャでも、マーケットは緊縮断行、財政均衡優先を求めるが、国民は失業改善、経済成長優先を求める。
年金天国、若者地獄も共通する実態だ。
筆者がフランス経済に悲観的にならざるを得ないのは、ひとえに欧州出張の折りに会った元金融マンの「告白」を聞いてしまったからだ。ヒソヒソ声で曰く「パリ現地法人駐在僅か3年で、生涯、毎月1000ユーロ(約10万円)の年金がフランス政府から振り込まれる」と言う。駐在3年で10万円だと、まともに掛け金払った受給者はいったいどれだけ貰えるのか、と思わず考え込んでしまった。こんなおいしい既得権を容易に手放すはずもなかろう。一方、若年層の失業は増加の一途。そこで国民感情は移民排斥へ走る。フランス経済の長期拡大均衡達成には、若い移民層の国内消費が欠かせないことは、米国経済のヒスパニック層の購買力が雄弁に物語っている。しかし、長期低迷のフランス経済においては短期的に職を奪う存在として、力づくで排斥される。明らかに、拡大均衡どころか縮小均衡へのスパイラルに陥っている。最後の頼みはお決まりの富裕層課税強化であり、オランド氏の看板政策ともなっているが、これが企業家精神の芽を摘み、イノベーションの活力を奪うは必定。
結局、どちらの候補も国民に痛みを強いる政策は打ち出せず。短期的にはマーケットにフレンドリー(友好的)な印象のサルコジの敗退シナリオを織り込み、株もユーロも売られてきたので、「噂で売ってニュースで買う」展開が筆者の見立てだ。しかし、長期的には、東ドイツ併合を経て着々と経済構造改革を進めてきたドイツ経済との差は開くばかりだろう。3月のドイツの失業率は6・7%で約20年ぶりの低水準。対して、フランスの失業率は10%超え。フランス国債とドイツ国債とのスプレッドはジワジワ拡大してゆく。欧州経済危機打開に関しては、益々、ドイツ主導とならざるを得ず。こうなると欧州では「ドイツ主導」から「ドイツ支配」への警戒感が強まる。欧州共同債など「欧州団結」へのハードルは高い。
ギリシャも、最低賃金、年金2割カットが目標としてトロイカと合意されたが、その最低賃金が700ユーロ、年金は1300ユーロ。
5月6日の総選挙の結果誕生する新政権が、「民意」を受け、トロイカ(EU,ECB,IMF)との再交渉を謳うは、これまた必定の様相だ。Dデイにギリシャ救済が振出しに戻る可能性をマーケットは危惧する。
かくして、4月危機は5月初めまで水入りの情勢になった。
外為市場で円は陸山会判決と日銀金融政策決定会合の二大イベントが予定される今週がDデイだが、ユーロは日本の連休直後となりそう。
例年、日本のゴールデンウィーク期間に欧米市場は大荒れとなる。筆者も連休は、スペインで同国経済深掘り。5月6日はアテネ、5月7日はパリで現地の空気を吸いつつ、Dデイを迎えることとする。
なお、欧州の新たな火種としてオランダが急浮上。政党間の財政再建をめぐる協議が決裂し、今日にも、首相が総選挙を発表する模様だ。既に2013年の財政赤字が対GDP比で5%を超える見込みで、同国のトリプルA維持が危ぶまれる。
トリプルAとは「絶滅危惧種」になりつつあるようだ。
●3月中銀 金買い支え判明
(http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/list.html )
3月に金価格が急落したが、大方(筆者も含め)の予想に反して1600ドルを割り込まなかった要因が判明した。新興国の中央銀行が、1600ドル割れ寸前で大量の金買いを入れていたのだ。昨日、IMFの統計で発表された。(各国は、外貨準備の一部として保有する公的金準備保有量をIMFに申告することになっている。申告ベースゆえ、隠れ外貨準備もあるが・・・)
さて、件の3月に、金準備増強に動いた国は以下の通り。
〆データによると3月はメキシコが16.8トン、ロシアが16.6トン、トルコが11.5トンなどが目立った。昨年は上半期に99トンの購入が表面化して注目されたメキシコが、今年も購入したことで今後も継続的な購入が考えられそうだ。同様にトルコも昨年の10、11、12月で合計79トン買ったことが判明しているが、今年もここまで3月分を含め14.3トンの購入となっている。今回は登場していないが、注目国として韓国がある。昨年は6月、11月に合わせて40トン買ったが、韓国も保有量を増やす方針と見られる。(http://blog.goo.ne.jp/msi021112/e/1f60ac2816fb9e06ad8f9421aeca394b)
3月の金急落時に、1620ドルまで下がると、V字型の急反発を繰り返し、よほど大きな買い注文が置かれているとの噂は当時から流れており、それほどの買いを継続的に入れるのは民間ディーラーでは無理(ドッド・フランク法の余波で内部リスク管理が厳格化されているため)。となると、公的部門かとの推測も出ていたことは確か。それが、今回のIMF統計で裏付けられたことになる。
メキシコは昨年も、2月に14.8トン、3月には78.5トン、4月には5.9トンの金買いを実行しているので、今年も、その継続性(つまり4月以降も買い続けるのか)が注目されるところだ。
ロシアは2月に金準備が若干減少したので、すわ、ロシア金売却かと、売り材料として扱われたのだが、どうやら一過性の現象だったようだ。
なお、トルコは特殊なケースで、民間商業銀行への流動性供給の担保として、金が中央銀行に預託された模様。
以上が虫の目で見た、中央銀行の金準備増強の現状だが、鳥の目で俯瞰すると、大量の金売却で金価格を1999年には250ドルまで押下げた公的部門(IMF含む)が、2010年には「買い越し」に転じた。
この背景には、勿論、ドル不安、そして、ドルを売って駆け込んだユーロの不安がある。そこで、「無国籍通貨 “金”」に駆け込んできたわけだ。但し、この駆け込み寺は小寺である。収容人員も限られる。
とはいえ、「通貨大空位時代」に、金が通貨として実質的に復権しつつあることを、この統計は物語る。
思い起こせば、90年代は、欧州の主要中央銀行が相次いで金売却に走った。そこで金を売り、買った通貨が米ドルであった。イギリスの場合は、なんと290ドル前後で公的保有金の半分を売り払い、買った通貨が米ドル。結果論とはいえ、投資の世界で言うところの「往復ビンタ」。「国の資産を安値で叩き売った」と、議会の場で恰好の野党の追及材料にされた。なにせ、当時、大量金売却作戦を展開した張本人がゴードン・ブラウン氏だったのだから。
当時、欧州中央銀行が叩き売った金を、粛々と拾って買いためたのがジャパンの個人投資家たち。当時は、日本が世界最大の金投資需要国だったのだ。ロンドンのアナリストたちが首をかしげて「なんで日本はこんなときに金を買うのか」と訝り、金国際会議では質問攻めに会ったものだ。その日本人投資家は金価格1600ドル台の今、粛々と金を売り続け、金投資量が世界で最も少ないことは、4月17日付本欄「ダントツ世界最下位の日本金投資量」に詳述したとおりだ。
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