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欧州の成長をめぐるまやかしの議論
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投稿者 MR 日時 2012 年 4 月 26 日 22:36:00: cT5Wxjlo3Xe3.
 

【社説】欧州の成長をめぐるまやかしの議論
2012年 4月 26日 18:07 JST
記事

 成長か緊縮か。それが現在、欧州に突きつけられている選択である――とケインズ主義者は言い続けている。危機が始まった2008年以降、世界の経済会議を席巻してきたこの考え方によれば、「成長」の最大の原動力は財政支出である。

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Associated Press
メルケル独首相
 成長派は、たとえ支出を賄うために増税が必要になったとしても支出増を支持する。一方、ドイツのように支出削減を支持するのは緊縮派、つまり反成長派ということになる。

 これは、経済繁栄の真の原動力を誤解したばかばかしい議論であり、欧州に現在の混乱を招いた一因でもある。本来なされるべきは、どのような政策を講じれば成長を最大限に引き出せるかという議論のはずだ。

 1980年代、世界は70年代の停滞から脱する道は改革であると学んだ(とわれわれは思った)。この改革を通じ、民間投資やリスクテーク、労働力の流動性・柔軟性、価格統制の廃止、資本形成を促す税率の採用などが促進された。現在、世界銀行が提唱している「優れたビジネス環境」の推進である。今般の危機において、欧州はこうした政策を全く試していない。

 欧州人にとって、レーガン元米大統領やサッチャー元英首相を思い起こすのはあまりに時代遅れというのであれば、ドイツはいかがだろうか。90年代から2000年代初めの数年間、ドイツは足を引きずる巨人だった。成長率は常に平均を下回り、失業率は2005年に11.3%と、経済協力開発機構(OECD)加盟国中ほぼ最悪の水準に達した。

 こうしたなか、ドイツ社会民主党のシュレーダー首相(当時)は今日の相対的な繁栄の基礎となる労働市場改革を推し進め、国内の有権者はもちろん、世界中を驚かせた。この改革により、福祉給付は削減され、雇用者は以前より柔軟に労働者と労働時間や報酬について合意できるようになった。

 またシュレーダー政権とその後のメルケル連立政権は、連邦法人所得税を1998年の45%から15%に引き下げた。現在、州税を含めた実効税率は30%程度と、90年代の50%以上から大きく低下している。こうした改革がドイツの競争力を高め、投資や雇用を呼び込み、経済復活の基礎を築いた。同国の失業率は現在5.7%だ。

 メルケル政権は2009年、金融危機の最中、世界にとって良いことをもう一つした。国際通貨基金(IMF)やブラウン英首相(当時)、オバマ米大統領、ガイトナー米財務長官、その他の有力なケインズ主義者らが呼びかけた世界的な財政出動政策への参加を拒否したのだ。

 ドイツのショイブレ財務相は2010年、米国の政策についてこう語った。「彼らは既に果てしない量の資金を経済に注ぎ込んでいる」「結果は惨めなものだ」(2009年3月12日付の社説、"Old Europe Is Right on Stimulus"を参照して欲しい)

 もしメルケル首相とその連立パートナーが、財政均衡を図るために減税公約を撤回し、付加価値税やその他の税金を引き上げたりしなければ、ドイツの復活はもっと力強いものになっていたかもしれない。とはいえ、最大の経済大国が今も強さと信用力を保っていることは欧州にとって幸運である。

 ところがメルケル首相は、債務危機の原因となった政策ミスを回避したことや、ドイツで効果を上げた改革を見習うよう敢えて他国に進言したことを理由に、今やあちこちで非難を受けている。ケインズ主義者は、正しいことをしたドイツを決して許さないのだろう。

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政府債務のGDP比
 いかなる状況であれ、欧州のさらなる大型支出は持続不可能だ。グラフが示しているように、2008年の危機開始以来、先進各国の債務水準は急上昇している。この債務と現在の鈍い回復(あるいは景気の二番底)こそが、ケインズ主義的大型財政出動の結果である。

 今、ユーロ圏周辺国の債券利回りは再び上昇に転じ、欧州の株式指数は低迷し、大陸の大半はリセッション(景気後退)に陥っている。アダム・スミスの「債券自警団」は欧州各国政府に対し、改革によって支出を削減し、民間経済の成長を促進しない限り、欧州諸国はますます危険な賭けの対象になるとのメッセージを送っている。賢明なドイツ人なら理解しているように、債券市場は欧州で真の成長改革を要求することのできる唯一の場なのかもしれない。

 新たな問題や混乱を引き起こしかねないインフレを除けば、欧州が債務危機を脱する道は経済成長しかない。しかもそれは、税制や労働市場、規制、年金などの改革に後押しされた民間主導の成長でなければならない。

 欧州の有権者はこれまでいくつもの政権を追い払ってきた。この動きは今後も続きそうだ。だが本当に追い払わなければならないのは、財政支出が繁栄をもたらすという、世間にはびこる不健全な考え方である。

http://jp.wsj.com/Opinions/Columns/node_433543?mod=WSJFeatures  

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コメント
 
01. 2012年4月26日 23:01:14 : Pj82T22SRI

>福祉給付は削減され、雇用者は以前より柔軟に労働者と労働時間や報酬について合意
>連邦法人所得税を1998年の45%から15%に引き下げた。現在、州税を含めた実効税率は30%程度と、90年代の50%以上から大きく低下している。こうした改革がドイツの競争力を高め、投資や雇用を呼び込み、経済復活の基礎を築いた。同国の失業率は現在5.7%

所得税減税は大して効いてないだろうが
世界的な財政出動政策への参加拒否は正しいし、
労働改革と過剰な福祉削減は非常に重要だった

ただし単純に、これらをすぐ日本で真似するのは政治的に不可能だし
福祉システムが高齢者優先に歪んでいる日本では、福祉カットは
現役層を苦しめることにもなりかねない
構造改革は進めるのも大変だし、成果が出るには時間がかかる

目先のことしか見えない国民のために、どうしても政治家は安直で麻薬的な金融政策や財政政策に頼ることになる


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