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「マジ!5年で7割も?」 急上昇する“中間管理職”の死亡率 彼らを救う真のワークライフバランスのあり方
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投稿者 MR 日時 2012 年 4 月 26 日 01:39:42: cT5Wxjlo3Xe3.
 


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「マジ!5年で7割も?」 急上昇する“中間管理職”の死亡率 彼らを救う真のワークライフバランスのあり方

2012年4月26日 木曜日 河合 薫

 中間管理職の方が、ゾッとするような研究結果が発表された。何と「管理職の死亡率が5年で7割も増えている」というのだ。

 「うちの会社の中間管理職も大変そうだもん」
 「そうそう。上からは生産性を上げろ、効率を高めろって、散々言われるのに、ワークライフバランスで残業はできないし、ちょっとでも部下に厳しくするとパワハラだと言われちゃうしね」
 「昔はさぁ〜、部長なんて朝から週刊誌を読んでてうらやましいと思ったけど、今そんな暇こいてる人いないもんね」

 精神的にも肉体的にも、「大変だ!」という言葉でしか表現することのできない中間管理職の方たち。彼らの酷使されている状況が、北里大学公衆衛生学の和田耕治氏らの研究で、“数字”として明らかにされたのである。

 そこで、まずはこの調査結果から紹介しよう。

日本の研究者たちが明らかにした中間管理職の窮状

 英医学誌「BMJ」に報告された内容によると、和田氏らは「1990年代後半に起きたバブル崩壊以降の雇用形態の変化に伴い、働く人々の健康状態の悪化や自殺者の増加した詳しい要因」を探ろうとした。そのために、職種別の死因との関連などを検討したという。

 データには日本の政府統計システムを利用し、30〜59歳の男性の死因および死亡前に就いていた職業のデータなどを、1980年から2005年まで縦断的に解析した(職種は専門職、管理職、事務職、営業職、農林水産業従事者など計10種類に分類されている)。

 その結果、全死因の年齢調整死亡率(年齢の影響を除いた死亡率)とこれに含まれる4大死因(ガン、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中、不慮の事故)を確認したところ、管理職および専門職を除くすべての職種で漸減しているのに対し、管理職および専門職の年齢調整死亡率は、1990年代後半から2000年にかけてそれぞれ約70%増加していたという。

 ちなみに、厚生労働省の「都道府県別年齢調整死亡率」調査で、日本人の死亡率は男女ともに減少傾向が続いていることが分かっている。医療の進歩により、特に死亡率の高い脳血管疾患による死亡者数が減少したためとされている。

 さらに1995年以前は管理職・専門職の主要な死因別の死亡率は、ほかの職種に比べて低かったが、2000年以降はこの傾向が逆転していた。

 また、自殺率については1995年以降、職種を問わず上昇傾向が見られ、特に管理職における増加が著しかった。1980年から2005年の25年で、自殺は271%も増加していたのだ。

 しかも、この調査の分析では、「やっぱりそうか〜」と誰もが納得するデータも示された。

 1980〜2005年に30〜59歳の日本人男性の人口は、ほぼ2500万人前後で推移している。しかし、職種別の人口構成を見ると、管理職は8.2%だったのが3.2%と半分未満に減少していたのである。

 以上の結果を踏まえて和田氏らは、女性の平均寿命は世界トップレベルである一方で、男性の平均寿命は最近悪化の一途をたどっていると指摘。特に管理職や専門職に従事する人への悪影響はほかの職種に比べて明らかで、政策立案者や医療関係者はこの問題の重大性を認識すべきと提言している。

 仕事は増える、人数は減る、プレッシャーはかかる――。今や中間管理職は、命をすり減らしながら働いている。7割も死亡率が増えたという現実が明らかになった以上、「大変だ!」という一言で片づけてしまうわけにはいかないだろう。

 私たちの研究室(東京大学医学系研究科健康社会学研究室)で行った調査でも、40代の中間管理職層がほかの年齢層に比べて、ストレスを強く感じていることが認められている。

 具体的には、「仕事が忙しすぎる」「残業をしなければ終わらせることができない」といった仕事の量的な負担だけでなく、「顧客への対応」「1人でこなさなければならない業務が多い」といった仕事の質の面でもストレスを強く感じていた。

それでも現実を直視しない経営トップたち

 だが、このような結果を示されても、世の中にはいまだに「それはそれ」として受け流す傾向が強い。

 「まぁ、働き盛りの年代だからストレスもあるだろうし、大変なのは仕方がないでしょ」
 「仕事がなくて困っている人がいるんだから、仕事があるなんて喜ばしいことじゃないか」

 こう言って「忙しいのは結構なこと」とばかりに一刀両断するトップたち。健康やメンタルに関する相談の窓口を充実させたり、メンタルヘルス教育を行ったりする会社はあるものの、中間管理職の業務を低減するような試みは極めて少ない。

 自分たちが放つ銃弾に中間管理職が傷ついているのに、銃弾を打つのをやめようとはしない。「何だ、ケガしちゃったのか? バンソウコウならあそこにあるから、使ってくれよ」と、優しいんだか、優しくないんだか、分からないことにしか手を打ってくれないのだ。

 確かに、ヒマを持て余すよりは仕事がある方がいいかもしれない。いろいろなことを任されることは、やりがいにもつながるだろう。実際、裁量権を与えられ、責任を伴う仕事を任され、自分の意見が職場に反映されるようになれば、モチベーションは上がる。これらはすべて、元気な力を引き出す「大きな傘」だ。

 だが一方で、それらのモチベーション要因が過剰となり、自己コントロールの範疇を超えた途端、ストレスの雨を降らす雨雲に姿を変える。あるいは、部下とサポーティブな関係が作れなかったり、上司から仕事に見合った評価を受けられなかったりすると、傘の重みに耐えられなくなり、その傘を差そうとする気力や体力までもが奪われていく。

 つまり、「死亡率が7割も増えた」という実態の背景には、バブル崩壊以降の雇用形態の変化や管理職の減少により仕事が増えたことだけではなく、何らかの職場の人間関係の変化も潜んでいると、十分に考えられるのだ。

 「私も中間管理職という立場になりたての時には、『責任を持たされる』ことにプレッシャーを感じていました。でも、実際に動き出してみると『責任ある仕事に自分が関われる』ことの喜びの方が上回った。モチベーションがすごく高まったんです。部下たちと同じ方向に向かってやっていると実感できた時とか、部下が自分の期待した以上の仕事をしたりすると、すごくうれしかった。マネジメントする喜びっていうんですかね。現場ではなかなか味わえなかった、新鮮な喜びでした」

 「だから、上から『生産性を上げろ、効率を高めろ』とハッパをかけられればかけられるほど、『やってやるぜ!』という気持ちになっていたんです。ところが、人事異動があって上司が代わってからは、しんどさだけを感じるようになってしまった。その上司とは、とにかく合わなかった。僕がどんなに成果を上げてもちっとも認めてくれないし、『部下たちから、キミにパワハラされているとクレームがあった。裁判沙汰にでもなったら大変だから、気をつけろ』とか言われたりして、自信まで徐々になくなってしまったんです」

 「負けたくなかったんで、何とか耐えていたんですけど、身体が悲鳴を上げてしまって、結果的に一カ月の入院を余儀なくされました。精神的にも肉体的にも、限界値を超えていました。自己コントロールできなかったと言われれば、それまでなのかもしれません。でも、実際には弱音なんか吐いている暇などないくらい忙しかったし、自分の身体を気遣う余裕もなかった。中間管理職が大変なのは、仕事の量的な問題だけじゃなくて、職場の人間関係も同じくらい関係しているんじゃないでしょうか」

 こう語ってくれたのは、金融関係の企業に勤める46歳の部長職の男性である。彼によれば、上司が代わって『部下たちから、キミにパワハラされているとクレームがあった』と指摘された時に、「ひょっとしたら……」と不安に思うことがあったのだそうだ。

「ワークライフバランス」が生み出した矛盾

 数年前から男性の勤める企業でも、ワークライフバランスという文言の下、「19時以降の残業」が禁止になった。仮に残業を行わなくてはならない場合には、所属長の印鑑を朝の10時までにもらって提出することが義務づけられた。

 その結果、午後になって新規の仕事が入ったり、何らかのトラブルが発生したりすると、残業をすることが“会社のルール”として許されない。そこで部下たちは仕方なく、仕事を家に持って帰ったり、この男性も1人で仕事を抱え込んだりすることが頻繁にあったという。

 そんな時に、ついつい「頑張るしかないんだ」「とにかくやるしかない」「根性で乗り切るしかない」などと、精神論を部下たちに説いていたのだという。

 「自分でも上司に、精神論で乗り切れ、なんてこと言われたらイヤだと思うんです。なのに、仕事をやり遂げるためにそういう精神論的な言葉が出ちゃっていたんです。部下たちにとっては、ひょっとするとそれがプレッシャーになってしまっていたかもしれない。そう思うと『どこの誰がパワハラを受けたと言っているんですか? そいつと直接話しますから、教えてください』と上司に詰め寄ることができませんでした」

 自分だってやってほしくないこと、自分だって言ってほしくないこと。そんな言動を、ついつい他人にしてしまうことは、誰にでもある。特に、時間的にも精神的にも余裕がなければ、なおさら「ポロリ」とこぼれてしまう。

 その自覚があっただけに、“合わない上司”からの指摘で、部下との関係までなんとなくギクシャクしてしまったというわけだ。

「残業をする自由」まで締め付ける弊害

 この男性のように、ワークラフバランスという本来であれば、働く人々にとって有益となる“はず”の施策が、ネガティブな状況を作り出していることを、最近やたらと聞くようになったと感じている。

 当然ながら、残業を毎日しなくてはならないような状況は改善しなければならないし、ワークライフバランスという施策の下、無駄な残業をしないでいい状況、すなわち強制的に帰宅させることも、時には重要である。

 だが、実際に働いていれば、残業をしなければ終わらないことがある。時には、がむしゃらに仕事をしたいことだってあるだろう。そんな時に1人きりで自宅に持ち帰ってやるよりも、会社でやった方が精神的に楽なことがある。同じように残業で残っている人とたわいもない話をしたり、たまたま残っていた同僚がサポートしてくれたり。ただ一緒にやっているというだけで、効率が高まることだってあるはずだ。

 その「残業をする自由」まで締め付けてしまうことは、ホントに望ましいのだろうか。「強制的に部下を帰宅させなければならない」ことで、部下と話をしたいと思っても、食事や飲みに誘うこともできなくなった、なんてことも実際にはあるのではないだろうか。

 「若い時には、残業の後に上司に飲みに連れて行ってもらって、何となく距離感が縮まって、仕事がはかどるようになったこともありました。でも、今はただでさえ部下を誘うことがタブー視されているうえに、ワークライフバランスだって言われちゃうんで、ますます声がかけづらいんです」。前述の男性もこう語っていた。

時間で区切るだけではダメ

 ワークライフバランス――。「仕事と生活の調和」と一般的には訳されるこの考え方は、働く人たちが心身ともに健康でいるためには、とても重要である。

 しかしながら、ワークライフバランスの施策として、残業を減らし、家庭生活の時間を増やして、24時間を仕事と生活が半々のバランスの取れたものにしようと取り組むことは、ホントの意味のワークライフバランスにはなり得ない。

 いや、正確に言うと、時間で区切ることは必ずしも間違いではない。でも、それだけではダメなのだ。 

 そもそもワークライフバランス施策が広まるきっかけとなった1993年の米フォード財団の研究では、ワークライフバランスが可能となるような「仕事のやり方」を考える必要性を論じている。つまり、「仕事の再設計」をすれば、会社が掲げる業務目標を達成しながら、従業員にも私生活を充実させるだけの時間の余裕をもたらすことができるとしたのである。

 フォード財団の研究は、「どのように仕事のやり方を変えれば期待する成果が出て、同時に私生活を充実させることができるか」という問いから出発し、「仕事の再設計」というトレーニングプログラムを生んでいる。

 完成したプログラムはチーム、個人、管理職、経営トップが一丸となって次の3段階を実行することにより、従業員のワークライフバランスを実現しようというものである。

(1)仕事と理想的な従業員像についての既存の価値観・規範を見直す。
(2)習慣的な仕事のやり方を見直す。
(3)仕事の効率と効果を向上させ、同時に仕事と私生活の共存をサポートするための変革を行う。

 言い換えれば、ワーク(仕事)の時間を短縮するだけではライフが充実することはない。会社も従業員もウィンウィンになるような「仕事の再設計」をして、初めてライフが充実するのだ。

 バブル崩壊、グローバル化などの社会情勢の変化で、中間管理職の数は半数以下にまで減らされ、仕事の質も量も、そして責任も、1990年代以前とは比べられないほど過大になった。この大きな問題にメスを入れることのないままに、ただただワークライフバランスだ、残業はやっちゃダメだ、と騒ぎ立てても、中間管理職たちの負担が軽減されることも、ワークやライフが充実することもないのである。

「人」という変数を入れれば時間の概念も変わる

 「人」という変数を置き去りにして、ルールだけで区切ると、人間関係の潤滑油までもが奪われてしまう。「人」という変数を入れることで「時間=残業」という規制の価値観も変わり、これまでとは異なる時間の使い方も出てくる。

 例えば、日本ではあまりなじみのない「時間」の使い方に、集中労働日(compressed workweek)というものがある。これは、週当たりの労働時間を、平日に均等に消化するのではなく、限られた日に長く働くことで休日を増やすという働き方だ。「この仕事を今日中に終わらせたい」という時や、「金曜日から3連休にしたいから、月曜日から木曜日までは、残業をするぞ!」というニーズにも応えられる。

 また、「ジョブシェアリング」という、1つの職務を共有する2人が互いに能力を補完し合って高いパフォーマンスを出そうという戦略的なやり方もある。ジョブシェアリングは、雇用を増やすための施策であるワークシェアリングと異なり、あくまでも生産性を高めることを目的としている。

1+1=2 という計算も、「人」という変数をうまく組み込めば、1+1=3 に変わるというわけだ。

 少々古いデータではあるが、米経済誌フォーチュンの「働きやすい会社ベスト100」に選ばれた会社のうち、89%が「集中労働日」を、72%が「ジョブシェアリング」を取り入れ、それらの企業のほとんどが、「業績が伸びた」としていた。

真剣に「仕事の再設計」の検討を

 もし、企業が「中間管理職の死亡率が5年で7割も増えている」という現実に正面から向き合い、本気で「どうにかしなきゃ」と考え、「企業も働く人たちもウィンウィンの関係でいたい」と願うなら……。できることはまだまだある。

 「だって、これ以上人数増やすことはできない」
 「だって、企業が生き残るためには仕方がない」
 「だって、仕事があるなんてうれしいことじゃないか」
 「だって、昔に比べれば、労働時間は減っているんだから」

 こう言い訳をしているうち、中間管理職たちの命は削られていく。バンソウコウを準備するだけでなく、是非とも真剣に「仕事の再設計」を考えてほしい。

 そして、「ちょっと疲れちゃった」という方も、「忙しいのに慣れちゃったよ」という方も、「オレはまだまだ大丈夫」という方も、是非ともゴールデンウィークを満喫していただきたい。うん。たくさん休みましょう!仕事のことをすっぱりと忘れて、春の陽気を楽しみましょうよ!

新刊の紹介


 著者である河合薫さんの新刊『話が伝わらなくて困ったときに読む本』が本日発売されました。以下は河合さんご自身の紹介の言葉です。

 「このコラムでも『伝える』ことに苦悩しながら毎回書き連ねていますが、その思いや経験も書き加えた内容になっています」

 「『ちゃんと伝えるのに、スキルはいらない!』――。多くの方に是非とも読んでいただきたいと願い、書き下ろしました。是非、多くの方に手に取っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします」


河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。

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河合 薫(かわい・かおる)

博士(Ph.D.、保健学)・東京大学非常勤講師・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『<他人力>を使えない上司はいらない!』(PHP新書604)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20120425/231382/?ST=print  

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コメント
 
01. 2012年4月26日 11:56:29 : Pj82T22SRI

賃金は大して上がらないのに、労組から外されて、残業もつかなくなる上に

負担ばかり増え、責任も増え

さらに健康も害するのでは

若者が昇進したがらないわけだ


02. 2012年4月26日 16:34:20 : D4z0D8fOpI

特に中小企業では、残業代をケチるための”名ばかり管理職”も多いです。


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