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生活保護“不正受給”驚くべきの裏側!月収30万でも保護費14万
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120425/plt1204251810005-n1.htm
2012.04.25 夕刊フジ
※東京都のデータを元に本紙作成。郡部、島嶼(とうしょ)部は除く。総計は都全体の数字
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/photos/20120425/plt1204251810005-p1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/photos/20120425/plt1204251810005-p2.htm
生活保護受給者が急増している。大阪市では「18人に1人が受給している」との衝撃的なデータが明らかになったが、東京でも実態は深刻だ。背景には長引く不況があるものの、制度の不備につけ込み、不正受給する悪い奴らもうごめいている。実際に、隠れ受給者を直撃すると「最後のセーフティーネット」の驚くべき裏側が見えてきた。
「生活保護を受けようと思ったのは、刑務所仲間に勧められたから。どこに行けば申請ができるか。誰に頼めばいいか。全部教えてくれたよ」
都内某所。下町風情漂う住宅街に建つマンションの一室で、50代のA氏は語り始めた。地元の暴力団に所属し、昨年春、3年間の服役を終えて出所。いまは生活保護を受けている。
だが、その暮らしぶりに悲壮感はない。
セミダブルのベッドに薄型テレビが2台。1台は40インチの最新型だ。携帯電話とファクシミリ、パソコンもある。
どれも自分で買った。なかでも通信機器は「大事な商売道具」になっている。
「副業でやってる闇金融で使うんだ。ほかにも知り合いに紹介してもらって単発の土木仕事に行くこともあるよ。そっちの収入は月に20万〜30万くらい。報酬は身内の口座に入れてもらうようにしてる」とA氏。
受給する月額約14万円の保護費と合わせると、月の収入は40万円を超え、“年収”は約480万円になる。会社員の平均年収412万円(2010年度、国税庁調べ)よりも多い。
生活保護法では、保護費以外の収入には申告義務が発生する。一切の届け出を怠っているA氏の行為は、不正受給に当たる。だが、悪びれた様子はない。
「福祉事務所のケースワーカーが月に数度訪ねてくるけれど、玄関から先には入れない。あれこれ詮索してくるからね」
こう言ってたばこを吹かし、問わず語りで続ける。
「最初に受給申請に行った福祉事務所では、『暴力団に所属していると受給はできない』と言われたんだ。組とは縁が切れてたんだけど、記録上は破門になってなかった。『組を抜けているという記録を持ってきてほしい』と言うんだ。しようがないから、(同じ地域の)別の事務所に行ったら、『結構です』と、あっさり受給が認められた。医者に覚醒剤依存症と診断されていたこともあったけれど、人が変わればこうも違うもんか、と思ったね」
別表は、東京都の生活保護受給状況をまとめたものだ。
5年前の07年、19万8785人だった都内の受給者数は12年には約8万人増え、27万9996人(いずれも1月現在)に膨れあがっている。
都の人口1318万4161人に対する受給(保護)比率は2・12%で、都は1カ月あたり447億7654万円を拠出。単純計算すると今年1年間で、約5373億円が受給者のために費やされることになる。
約130軒の簡易宿泊所が集中する労働者の街、山谷を抱える台東区は、都内で最も受給率が高い。
台東区議で生活保護問題に取り組んでいる阿部光利氏=みんなの党=は「本当に必要な人に届いているのか。必要でない人が受け取っているケースがあまりにも目立つ。申請を受け付ける場所や人によって対応が変わっているのが現状。より適正な審査が求められている」と指摘する。
生活保護の審査と給付を行うのは、市区町村の担当課だ。
だが、増加し続ける受給者を前に「現場の職員が対応しきれなくなっていることが大きい」(阿部氏)。マンパワーが不足し、さまざまな面でほころびが目立つという。
今年2月、大阪市住吉区から6年半にわたり3200万円の保護費を詐取していた40代の男が逮捕された。厚生労働省の調べによると、同様の不正は、全国で2万5355件(10年度)。詐取された金額は約129億円に上った。
「保護費を食い物にする貧困ビジネスに手を染める業者もいる。ホームレスをタコ部屋同然の部屋に押し込めて生活保護費をピンハネする、いわゆる『福祉アパート』などがその一例。病院や福祉事務所とグルになっているケースもある」(厚労省関係者)
こうした現状に、現場も手をこまねいているばかりではない。受給率の高止まりに危機感を抱く台東区では、不正受給阻止のため、積極的な取り組みを続けている。
「暴力団関係者の不正受給ではないのかなど警察への照会は、何度も行うようにしている。保護費の二重取りを防ぐため、課税調査による収入と申告との突き合わせも徹底。疑わしい場合は、隠し口座の存在も想定して調査に当たっている」と同区保護課の職員は説明する。
だが、受給者の口座情報を知り得るのは難しい。金融機関に回答義務はなく、「完全な把握は困難なのが現状」(同職員)。それも不正受給者が減らない遠因だ。
阿部氏は「若年層の受給者が増えていることに危機感を覚える。これからの日本を支える若者が、『働くより生活保護を受けたほうがいい』と思ってしまうのが怖い。働き損になるような社会にしないように制度設計を見直すことが必要」と訴える。
弱者救済の法が、亡国の法になりつつある。
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