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アジア
韓国大企業資産ランキングに見る興亡史4大財閥の売上高はGDPの50%超に
2012.04.23(月)
玉置 直司
総選挙投開票日の翌日(2012年4月12日)に発表になったことで韓国メディアでもほとんど話題にならなかったが、韓国公正取引委員会が毎年恒例の「大企業集団」の資産規模などを発表した。サムスンなどおなじみの顔ぶれがずらりと並ぶが、よく見ると韓国の財閥の興亡と構造問題が浮き彫りになっている。
韓国の公取委は資産規模が5兆ウォン(1円=14ウォン)以上の大企業集団に対して相互出資制限など各種規制を課している。このため毎年4月になると、大企業集団の資産規模や収益・負債状況などを詳細に発表している。
オーナー同士のメンツをかけた「規模拡大競争」
■韓国の財閥資産規模ランキング
(韓国公正取引委員会、数字は資産規模、兆ウォン)
【2012年4月】
1 サムスン 256
2 韓国電力公社 166
3 韓国土地住宅公社 159
4 現代自動車 155
5 SK 137
6 LG 101
7 ロッテ 83
8 ポスコ 81
9 現代重工業 56
10 GS 51
11 韓国道路公社 49
12 韓進 38
13 韓国ガス公社 34
14 ハンファ 34
15 KT 32
16 斗山 30
17 STX 24
18 韓国石油公社 24
19 韓国水資源公社 23
20 CJ 23
【1998年4月】
1 現代 74
2 サムスン 65
3 大宇 53
4 LG 53
5 SK 29
6 韓進 19
7 双竜 16
8 ハンファ 12
9 錦湖 10
10 東亜 9
11 ロッテ 9
経済界では、「財閥資産規模ランキング」とも呼ばれる。グループ企業の資産をすべて合計した公式資料で、オーナー同士のメンツをかけた「規模拡大競争」の貴重なデータにもなっている。
2012年4月12日基準のランキングは別表の通りだ。おなじみの名前がずらりと並ぶが、少し違和感があるとすれば公企業の名前が目立つことだ。韓国では公企業も規制の対象であるためだ。
この表を見ると、いくつかの点が特徴として浮かび上がる。
まず1つは、財閥(大企業集団)と言っても、規模の格差が大きいことだ。1位のサムスンと20位のCJの資産規模の差は10倍以上。CJはもともとサムスングループだった第一製糖が分離独立してできたグループで、堅実経営で知られるが、それでもこれだけの格差がある。
サムスンと何かと比較されるLGだが、資産規模は2倍も開いてしまった。
2つ目の特徴は、公企業は強しだ。上位20グループに公企業が6つも入っている。ポスコとKT(韓国通信)も、もともとは公企業で、合わせると8つ。全体の4割を占めることになる。
上位20グループのうち、オーナー経営と公企業(民営化した公企業を含む)を除く、「オーナーがいない民間企業」は造船大手を中核とするSTXだけだ。
熾烈な競争で激変した勢力図
おなじみの名前が並ぶと書いたが、財閥間の競争はもちろん熾烈だ。
IMF危機と呼ばれた通貨経済危機の真っ只中の1998年4月のランキングも見てみよう。このときは、公企業は規制の対象外で、民間の財閥ランキングだが、この間に勢力図が大きく変わったことが分かる。
当時のトップは現代グループだった。ところが、現代グループはこの年の夏にはサムスングループに首位の座を明け渡している。
というのも、創業者である鄭周永(チョン・ジュヨン)氏の子供たちの間で経営権継承を巡り「兄弟げんか」が起こり、有力企業の現代自動車や現代重工業が独立してしまったからだ。
北米市場などで躍進する現代自動車は4位につけたが、現代グループは28位どまり〔AFPBB News〕
2012年のランキングでは、現代自動車が4位、現代重工業が9位と大財閥の地位を維持しているが、現代商船や現代エレベーター、北朝鮮観光事業などが主力になった現代は28位となってしまった。
98年のランキングで3位だった大宇は、この後、経営破綻して消えてしまった。有力系列企業は個別に金融機関の管理下に置かれ、1つずつ売却されている。
背任横領などで有罪になった大宇創業者の金宇中(キム・ウジュン)氏(75)はその後、特赦を受けた。最近、昔の部下などを集めて再起を期しているが、かつての大宇グループの再結集は不可能な状態だ。
98年のランキングにある7位の双竜、10位の東亜グループは、どちらもIMF危機の後遺症で事実上破綻して解体された。12位以下でも、多くの財閥が消えており、すさまじい整理淘汰がこの間にあったことが分かる。
首位サムスンを現代自動車グループが急追
ここ数年の間でも、財閥の競争は激しい。大宇建設や大韓通運の買収で一時は一気にトップ10入りを果たした錦湖アシアナグループは無理な買収がたたって資金難に陥った。結局、錦湖はこの2社を売却することになった。
揚げ句の果てにオーナー会長と実弟の対立が勃発して弟が高収益の石油化学事業を率いて独立した。残ったグループは23位になった。
2004年まで資産規模の首位は、韓国電力だった。韓国の独占電力会社で資産も多く、「不動の1位」と見られていたが、サムスンがサムスン電子の急成長で2005年以降資産1位の座を奪い、格差はどんどん開いている。
財閥間の競争はもちろん、今も熾烈だ。財閥ドットコムが主要財閥(公企業を除く)傘下の上場企業の売上高と営業利益をまとめた結果を発表した。
2011年のグループ決算を見ると、サムスンは売上高183兆ウォン、営業利益15兆ウォンでトップだが、これを現代自動車グループが急追している。2011年の売上高は133兆ウォン、営業利益は12兆ウォンだが、前年比伸び率はいずれも20%超。サムスンは売上高が同1%増で減益となっており、両グループの差は急速に詰まってきた。
「勝ち組」となった大手財閥に経済力が集中
「勝ち組」となった大手財閥は、国内外での厳しい競争を勝ち抜いて、さらに巨大になっている。
公取委の発表資料によると、サムスン、現代自動車、SK、LGの4大財閥の非上場会社を含む2011年のグループ売上高の合計は前年比16%増の640兆ウォン。韓国の2011年の国内総生産(GDP)成長率の3.6%をはるかにしのぐ高成長を維持した。この4大財閥の売上高は韓国のGDPの50%超を占めた。
30年前はこの比率が20%程度だったと言われ、大手財閥への経済力集中も急速に進んでいる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35046
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