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跋扈するヘッジファンド、株式市場に再び暗雲も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120420-00000001-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 4月20日(金)11時37分配信
今年3月に1万円台に乗せ、年明け以降上昇していた日経平均株価が、4月に入り反落している。10日にはニューヨークダウも213ドル安と急落、11日はアジア市場も全面安となり、世界の株式市場が変調を来している。
1〜3月の株価急上昇の背景には、先進国の金融緩和があった。12月と2月にECB(欧州中央銀行)が3年物のLTRO(長期の担保資金供給オペ)による計1兆ユーロの資金供給を行い、金融危機波及のリスクがひとまず食い止められた。また、1月にFRB(米国連邦準備制度理事会)が2014年遅くまでのゼロ金利政策の継続と2%の「インフレゴール」を打ち出し、日本銀行も2月に「1%のインフレメド」で追随した。
バーナンキFRB議長は株価の動きが危うくなるとQE3(量的緩和第3弾)の実施可能性に言及し、株価が順調だと、これを引っ込めるという微妙な舵取りを行っている。日銀のインフレメドに関しては、インフレ率が1%になるまで国債を買い続ける強力な「インフレターゲット」を行うのだと、ヘッジファンドが誤解した面がある。
これらを材料視したヘッジファンドは昨年11月までの安全資産逃避のポジションを一気に巻き戻し、リスクを取るポジションを積み上げた。すなわち、円売り、株買いだ。
加えて、1〜3月は季節的に米国の景気指標が高めに出る傾向があり、米国の長期金利も上昇した。
しかし、こうした金融相場は「中央銀行の金融政策を示唆する言葉によって大きく振れることに注意が必要」(藤戸則弘三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部長)であり、また、「ヘッジファンドはサヤ取り業者なので四半期ごとにメインのストラテジーを変える。それが相場のターニングポイントになることが多い」(同)という。
■変わらない構造問題
08年9月のリーマンショック以降、毎回のように、金融市場の危機に直面すると、金融緩和で乗り切るが、その後再び、リスク要因が出てきて、金融市場が荒れるということが繰り返されている。10年以降は1〜3月期に株式相場が上昇し、5月ごろに悪材料が出て、下げに転じるという展開だ。日経平均はヘッジファンドを中心とする外国人投資家によって翻弄されており、8500〜1万1000円近辺を往来している。
その理由は、結局、世界の経済が抱える構造的な問題が、リーマンショック以降、変わっていない点にある。金融緩和は金融市場を落ち着かせ、投資家のマインドを改善するが、こうした問題を解決するわけではない。
米国経済の問題は、住宅バブルの崩壊にあり、その調整が終わらないと、中長期で見た回復は始まらない。調整が終わる時期は早くて15年、遅くて17年とみられている。
雇用も問題だ。失業率は低下しているが、かねてバーナンキFRB議長が指摘しているように、失職状態が長引いて、労働市場への参加をあきらめた人が増えたことによる見かけ上の改善でしかなく、雇用者数は増えていない。
欧州はもっと深刻だ。ECBによる資金供給や、債務問題国への救済基金を準備したESM(欧州安定化メカニズム)の発足へ向けた体制整備で、金融危機の波及は防いでいる。だが、為替による調整ができない中、厳しい財政緊縮と、銀行の不良債権の処理という重荷に、南欧の経済は耐えられないとみられ、イタリア、スペインの経済への不安が高まっている。
さらに、中国も問題を抱える。急激な成長の下で拡大した格差の是正のために、経済を輸出依存から内需主導に転換することや、不動産バブルを軟着陸させることが喫緊の課題だ。中国政府はインフレ抑制も重視し、GDP成長率の目標を8%から7・5%に減速させたが、中国に世界経済の牽引役を期待する市場関係者から見れば、これもマイナス材料になる。
追加の金融緩和があれば再び相場は上がるかもしれないが、シーソーゲームは繰り返されるだろう。
(大崎明子 =週刊東洋経済2012年4月21日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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