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人民元まで安値誘導?
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2012年04月17日 闇株新聞
中国の中央銀行である中国人民銀行は先週末(4月14日)、米ドルに対する変動幅を従来の基準値の上下0.5%から1%へ拡大すると発表しました。表向きの説明は「中国の外国為替市場をより発展させるために、人民元の相場形成を促し、人民元の両方向の弾力性を高め、変動相場制を推し進めるため」となっています。
要するに「人民元に国際通貨(ハードカレンシー)としての機能を持たせるため」と読めるのですが、実際は「人民元を相場に任せて下落させるため」、少なくとも「必要な時に人民元を速やかに安くするため」のような気がします。
その理由は、中国経済が構造的に曲がり角に来ているからです。
そもそも中国経済とは、安い人件費と割安に維持される人民元による貿易黒字と、高い成長を期待した外資の流入による過剰流動性をもとにして、過剰とも言える設備投資と不動産などの資産価格上昇に支えられてきました。
しかし、気がつけば日米欧すべての先進国の経済が急減速し、年率15%もの賃金上昇は国際競争力を奪い、過剰設備や過剰不動産投資や株安が重くのしかかってきているのです。
まず、先週発表された中国の2012年・第1四半期GDPは物価変動を除いて年率8.1%と2008年の世界金融危機以降最も低く、また3月の消費者物価も前年同月比3.6%の上昇となり政府の目標である4%を下回っています。
かねてから思っているのですが、あれだけ広い国土の中国でこれだけ早く経済統計が集計できるはずがなく、基本的には信用できないと思っているのですが趨勢は読みとれます。
まず2011年通年の中国の名目GDP(物価上昇が大きいので実質はあまり意味が無い)が45兆8200億元です。これは昨年末の人民元レート(1人民元=12.20円)を当てはめると559兆円となり、同じ2011年の日本の名目GDP・469兆円を大きく上回っています。
余談ですが、この日本の名目GDP・469兆円は1991年と全く同じで、まさに失われた20年なのです。さらに日本の名目GDPのピークは1997年と2007年の515兆円ですが、偶然ではなく1997年も2007年も円安で大体120円台でした。やはり円高より円安の方が日本経済が伸びるのです。
中国に話を戻しますが、中国のGDPの内訳は消費が35%(日本は57%)、資本形成(つまり投資)が45%(同24%)で、はっきりと投資が主導している経済なのです。ここへ、人件費が急騰して世界経済が不況になったら影響は大きいのです。
断片的なニュースでは、中国の工場の経営者が夜逃げをしたり、高級マンションが売れ残ったりしているようです。だからとは言えないのですが、共産党幹部の汚職なども急に目立つようになり社会が落ち着かなくなってきています。これは急に汚職が増え始めたのではなく、経済が行き詰まってきたので発覚するケースが増えてきているのです。
ここは、中国も自国経済のために自国通貨(人民元)を緩やかにでも安値に誘導する政策に切り替えたと考える方が自然なのです。世界の通貨引き下げ競争(量的緩和競争)に強力な参加者が出現したのです。
やはり先週、中国の3月末の外貨準備が発表されてのですが、3兆3050億ドル(268兆円)と史上最高を更新していました。昨年の第4四半期では205億ドルのマイナスと記録公表以来初めてのマイナスだったのですが、今年に入ってから1239億ドル(10兆円)も増えていました。
この期間は世界の金融市場のリスク許容度が一時的に上昇したことは確かなのですが、これも人民元を安値に誘導して海外の需要を獲得し、さらに一層の外貨流入を図り、中国人民銀行がこれらの外貨を一元的に買い入れて(外貨準備が増える)国内に見返りの人民元を供給することが非常に理に適っているのです。
一党独裁の中国の方が、はるかに自国経済のことを真剣に考えているのです。
翻って日本の方は、これも週末にIMFの増資に600億ドル(4兆8000億円)もポンと応じることにしたと突然に発表されました。これは欧州債務危機への対応で米国は応じません。IMFの目算では欧州内で2600億ドル、日本と中国で1000億ドルとなっていますが中国も簡単に応じるとも思えません。
IMFの篠原副専務理事は財務省出身で、勝栄二郎事務次官と同期です。いい顔をさせてあげたいのでしょうが「国策なき浪費」です。600億ドルは反故になりそうな年金の国庫負担の2年分なのです。
金正恩が失敗したミサイルで国民の1年分の食糧を燃やしてしまったのと大差がないような気がするのですがね。
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