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#現時点で予想できるメインシナリオ
増税も歳出差削減も間に合わず、改革もできないから
実質経済成長は伸びず、国内産業(雇用・賃金)は停滞する
国債の格下げが続き、国内投資家(金融機関や、ファンドなど)も国債保有比率を低下させ
海外のヘッジファンドのカラ売りをきっかけに、国債暴落
日銀による買い支えが急激な円安を進行させる
インフレによって、強制的に実質歳出削減(社会保障、公共投資等の崩壊)に追い込まれ、
結果として、GDP比の債務増大(財政悪化=借金による歳出維持)は終わる
Q: 増税しても財政再建はできない?
◇回答
□中空麻奈 :BNPパリバ証券クレジット調査部
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■今回の質問【Q:1258(番外編6)】
名目成長率を欧米並みの3〜4%にしないかぎり、どんなに増税しても財政再建は
できないという意見(竹中平蔵氏:日経ビジネス2012年4月12日号)があります。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/NBD/20120323/230167/?ST=pc
この意見は正しいのでしょうか。
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村上龍
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■ 中空麻奈 :BNPパリバ証券クレジット調査部長
「机上の空論、あるいは理想論」
国語の問題になってしまいますが、次の文章はどれも似ているようで少しずつ違っ
ています。
(1) 名目成長率を欧米並みの3-4%にしない限り、どんなに増税しても財政再建
はできない。
(2) 名目成長率を欧米並みの3-4%にすれば、増税しなくても財政再建が出来る
かも知れない。
(3) 名目成長率を欧米並みの3-4%にして、増税すれば財政再建は出来るかも知
れない。
(4) 名目成長率を欧米並みの3-4%にした上で、増税できれば財政再建は出来る
可能性が高まる。
(5) 増税した上で、名目成長率を欧米並みの3-4%にできれば、財政再建の可能
性が高まる。
竹中さんの台詞は1ですが、私の考え方に一番近いのはどれかと言えば5です。現
在、消費税を上げることとデフレの進行を止めること=経済成長をさせること、のど
ちらを優先すべきか、といった議論が大変多くなっています。しかしながら、デフレ
進行を止めること、あるいは経済成長をさせることを優先しようとする向きは、あく
までも、机上の空論を述べているだけと考えます。いわば、政治家が選挙で勝ち残る
ことを優先するような“ずるい”考え方です。
増税は間違いなく国民生活に負の影響を及ぼすように思えます。5%の消費税が10
%にあがれば、100円のアイスを買おうとすれば、105円では足りず110円必要になる
わけですから、誰だって嫌になります。100円ショップの買い物も、なんだか高く思
えてしまうかもしれません。でもこれは支払いが嫌なだけ、です。見方を変えれば、
財政再建の第一歩として、お金がないということを国民が共有出来れば、それなりに
価値がある、とも言えるものです。
一方、成長が先です、と論じれば、支持されることも多いでしょうし、気分がいい
ことこの上ない、でしょう。でも、です。そういう方々に、私は心より伺いたい、と
思います。日本はいかに成長していけばいいのでしょうか。ここ20年間、日本の平均
成長率は0.9%でした。1%に満たない成長率を続けてきた我々には、閉塞感が充満し
ているのが現実です。どの分野で成長するのか、どの分野でイノベーションをしよう
というのか、具体的なプランを聞かせていただきたい、と思います。介護でしょうか
?観光でしょうか?介護でどのくらいの成長が出来るのでしょう?
欧米がなぜ名目成長率で3-4%の成長を遂げられるのかも考えておかねばならない
ポイントかもしれません。あくまでも名目ではあれ、成長が出来るのはなぜなのか、
です。おそらくは構造問題でしょう。米国が成長できるのは、移民を受け入れる土壌、
成功を受け入れる土壌があるから、ではないかと考えます。欧州も基本は同じです。
構造的に、我々日本はどちらも排除してきたわけですから、高度成長期が終われば、
不連続な技術でも出てこない限り、成熟期に入るのは当たり前のことです。
要は、財政再建のための秘策として、経済成長が出来れば願ったり叶ったりだとい
うだけのことでしかありません。具体策に欠く机上の空論なのです。デフレをとめて、
経済を成長させてから、増税しても遅くないという人もいるでしょうが、そんなこと
はもう言っていられる状況ではありません。デフレを止めるのにそれこそ策はないわ
けですから、経済成長を待っていても、果たされるはずもありません。
竹中さんの言葉の趣旨が、どんなに増税をしても、名目成長率が伸びなければ財政
再建ができない=増税をちょっとくらいしたところで、名目成長率が伸びなければ財
政再建など覚束ない=増税をちょっとくらいしても、名目成長率を伸ばせない日本は
財政再建など出来ないのではないか、ということを意味しているなら、納得したくな
いですが、納得せざるを得ないということにはなります。
現在、イタリアのモンティ首相は、厳しい財政再建策を提出し財政再建を頑張りな
がらも、常に景況感に目配せをしており、その意味では大変バランス感覚があるとI
MFでも高い評価を受けているようです。これだけデフレ進行や経済成長を優先して
いるのは、増税という嫌なことを回避するための逃げに過ぎないと批判してきた私で
も、そうしたバランスを図りながら舵取りしていただけることが何よりだということ
は理解します。そういうことが出来るなら是非やっていただきたいと思います。ただ
し、これまで見ている限り、そんなことを政局に期待するのは無理でしょう。無理だ
と思う以上、現実を見据え、出来ることからやっていくべきだと考えます。歳出の調
整(社会保障の改革)を考えることも言うに及ばず、歳入増をにらむことも、我々日
本人が日本人自身で着実に実行していける政策です。経済成長を果たすには構造改革
が必要ですが、これまでの失敗を見てきた以上、過度な期待がかけられないことは言
うまでもありません。増税などの不人気な政策を先送りするために、単に、デフレ進
行や経済成長が先と言っている人々には、是非、経済成長3-4%を果たす確実な政策
を展開して欲しいと思います。
BNPパリバ証券クレジット調査部長:中空麻奈
Q: 増税しても財政再建はできない?
◇回答
□杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
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■今回の質問【Q:1258(番外編6)】
名目成長率を欧米並みの3〜4%にしないかぎり、どんなに増税しても財政再建は
できないという意見(竹中平蔵氏:日経ビジネス2012年4月12日号)があります。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/NBD/20120323/230167/?ST=pc
この意見は正しいのでしょうか。
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村上龍
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■ 杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
「極めてまっとうな意見」
ともかく「名目成長率を上げないことには財政再建は不可能である」ということであ
れば、竹中氏の意見に全面的に賛成です。
デフレを放置したまま、消費増税による財政再建路線は、さらに消費を萎縮させデフ
レ亢進させてしまうことでしょう。マクロ経済的に考えると、名目的なGDPが低下
する状況のままでは、所得税・法人税等の税収が縮小してしまいますので、せっかく
消費増税しても財政再建の足元をすくわれることになるでしょう。
企業や個人のミクロ的な行動を考えても、さまざまな費用が名目値で固定されている
なかで、増税による売上げや所得減があると、消費や投資にマイナスのインパクトが
あるのは明らかなことのように思えます。これが、逆にインフレであるのなら、費用
が名目的に固定されていることで、それぞれの経済主体に余裕が生まれるでしょうか
ら、消費増税を受け入れる余地があることになります。どこかの時点で増税は当然か
もしれませんが、ともかくデフレを解消してから実施すべきでしょう。
竹中氏もすこし触れていますが、デフレ下では所得の分配面での調整が非常に困難で
あることにも注目すべきでしょう。仮に高齢者の福祉が手圧過ぎるので抑えたいと判
断しても、デフレ下では名目値で下方硬直性が働くと考えられますので、政治力のあ
る高齢者に納得してもらうのは至難の業です。多少でも物価が上昇しているのならば、
高齢者への名目的な支出を据え置いて、他の世代の支出をインフレ程度に上げてやれ
ば、スムースに調整ができることでしょう。これは、実質値で見れば、一種のごまか
しのようなものに見えるかもしれませんが、政治的に困難なプロセスを避ける巧妙な
手段となります。
竹中氏は、官庁系エコノミストとは一線を画した見識を示したと見るべきでしょう。
生命保険関連会社勤務:杉岡秋美
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