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国家が発展するときにはその政治・経済制度が「包括的」であり、没落する時は「収奪的」になるという。格差社会は日本が没落する
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/620.html
投稿者 TORA 日時 2012 年 4 月 15 日 14:22:08: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu261.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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国家が発展するときにはその政治・経済制度が「包括的」であり、没落
する時は「収奪的」になるという。格差社会は日本が没落する前兆だ。

2012年4月15日 日曜日

Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty
http://www.amazon.co.jp/Why-Nations-Fail-Origins-Prosperity/dp/0307719219/ref=sr_1_1?s=english-books&ie=UTF8&qid=1334454671&sr=1-1

◆なぜ国家は失敗する? 書評  地政学を英国で学んだ
http://geopoli.exblog.jp/

Byトーマス・フリードマン

●今読んでいる本がとても面白い。『なぜ国家は失敗するのか』という本だ。

●これを読めば読むほどアメリカがアフガニスタンでいかにアホなことをしているか、そしてアメリカはいかに対外援助戦略を抜本的に見直さなければならないかがよくわかる。

●ところが本書で示されている警告の中で最も重要なものは、アメリカと中国に関するものだろう。

●MITの経済学者であるデロン・アセモグルとハーヴァード大学の政治学者のジェームス・ロビンソンの共著となるこの本は、国家の違いを生み出すのが「制度」であると主張している。

●この本によれば、国家が発展するときにはその政治・経済制度が「包括的」(inclusive)であり、没落する時は「収奪的」(extractive)になるという。

●そして「収奪的」になると、その国家の権力やチャンスはたった少数の人間の手に握られてしまう、というのだ。

●著者たちによれば「少数の人々が多数の人々から富を奪うような“収奪的”な経済制度に比べて、“包括的”な経済制度は所有権を強化し、平等なチャンスを生み出し、経済発展につながる新しいテクノロジーやスキルを生み出す投資を促進する」という。

●「“包括的”な経済制度は“包括的”な政治制度を支え、支えられる」のであり、それが「権力を広く適度に分配して、所有権を守るための基盤となる法と秩序を確立し、“包括的”な市場経済を達成することができる」という。

●それとは対照的に、“収奪的”な政治制度はあまりにも少数の人間に権力を集めてしまい、それが“収奪的”な経済制度を継続させてしまうのだ。

●著者の一人であるアセモグル氏は、あるインタビューの中で、国家が発展している時というのはその国の制度が国民一人一人の潜在力を解き放ってイノヴェーションや投資、開発に向かうようにしているという。

●たしかに東欧諸国と元ソ連のグルジア/ウズベキスタン、イスラエルとアラブ諸国、クルギスタンとそれ以外のイラクなどの違いを生んでいるのはすべて「制度」なのだ。

●著者たちによれば、歴史が教えている教訓は「正しい政治体制がなければ、良い経済は生まれない」ということだ。彼らが「政治のコントロール」と「経済発展」を同時に実現しようとしている中国に悲観的な理由はここにある。

●アセモグルは「われわれの分析によれば、中国は“収奪的”な制度、つまり共産党政府の独裁的な権力の下で人民や資源を大量に動員するというな強引な手段で経済発展をしているが、これは長く続かない。なぜならそこには(革新と高収入に必要な)破壊的創造が生まれないからだ」と述べている。

●「継続的な経済発展にはイノベーションが必要であり、イノベーションは創造的破壊と切り離すことはできない。この破壊は旧制度を新しい経済システムにするために必要であり、しかもそれは既存の権力構造を破壊するものだ」と著者たちは書いている。

●「中国が創造的破壊によって経済体制を変えることができなければ、その発展は長続きしないはずだ」とアセモグルは主張。

●ところが中国の大学の落第生が中国の国家が運営する銀行に支えられている国営企業に対抗できるような巨大な会社を作ることができるだろうか?

●アセモグルによれば、アラブ諸国やアフガニスタンに足りなかったのは民主制度であるという9/11事件後の見方は間違ってはいないという。ところが間違っていたのは、それを簡単に輸出してそこに根付かせることができるはずだ、というわれわれの考えのほうであった。

●民主的な変化というのは、どうしても草の根的な下からの運動からわき上がってこなければならないものだからだ。

●「もちろんだからといってわれわれが何もできないというわけではない」と彼は言う。

●たとえばエジプトのような国に軍事的な支援をするのではなく、その代わりに政治的に発言力を得ることができればよくなるようなところに支援をするべきだというのだ。

●私に言わせれば、エジプト、パキスタン、そしてアフガニスタンのような国にたいするわれわれの対外支援というのは、それらの国々のエリートたちに悪い行動をしないようにお願いする身代金のようなものであろう。ところがわれわれはその身代金を「エサ」にしなければならないのだ。

●アセモグルが提案しているのは、エジプトへの13億ドルにおよぶ軍事支援は一部のエリートに恩恵を与えるだけなので、それ以外の社会層の人々にも発言権をもたせるような委員会を設立し、どの機関ーー学校や病院ーーに対外支援を行って欲しいのかを発言させる、ということだ。

●つまり金を与えるのだったら、その国の草の根運動を強化するようなものにすべきだというのだ。

●支援を与える側というのは、支援することしかできないのであり、「包括的」な制度を確立しようという草の根運動があれば、それを支援すればよいのだ。

●ところがわれわれ自身がその「包括的」な制度をつくることはできないのだ。

●しかもアフガニスタンや多くのアラブ諸国では、われわれは既存の権力を支援してきたことにより、逆に彼らの草の根運動をつぶしてきたようなところがあるのだ。だからそこから何も生まれない。

●ならぜなら、数字のゼロを何倍しても、それは相変わらずゼロだからだ。

●ではアメリカの場合はどうだろう。アセモグルは現在の経済格差がアメリカの「包括的」な制度を崩壊させる方向に動いていることを危惧している。

●「問題の核心は、格差がある程度の規模になると、それが政治の状況に反映されてくることだ」

●たしかにたった一人の人物がある候補者の選挙運動の資金を一人で引き受けることができるようになってしまえば、そこから選ばれた議員が「包括的」に他の声を聞くようになるとは思えない。


(私のコメント)


「株式日記」では小泉構造改革を批判してきましたが、新自由主義経済は格差社会をもたらして、若者にそのしわ寄せが行っている。累進課税はフラット化して高額所得者は所得税が安くなり最低課税限度額が引き下げられた。さらに消費税増税で低所得者に厳しい税制になろうとしている。

1000万円以上の年収のある世帯では、消費税が数%上がったところで負担は数%増えるだけだ。しかし年収=生活費と言う世帯では数%の消費税の引き上げで、今まで買えた物が買えなくなる。今まで105円だったカップラーメンが110円になれば影響は大きいだろう。しかしその事が政治家や財務省の官僚にはわからない。

小泉構造改革によって国の制度が変わってしまったのであり、製造業にも派遣労働が認められて非正規社員化が進んだ。その事によって若い人の生活が成り立たなくなり結婚も出来なくなり子供も作れなくなったから少子化が進んでいる。民主党のマニフェストでは派遣労働廃止や子供手当が公約でありましたが今ではどこかに消えてしまった。

格差社会と言う言葉が出始めてから日本は衰退の道を歩き始めたのであり、一部の輸出大企業が優遇されて法人税も引き下げられてきた。問題の核心は国内消費が伸びないことにあるのですが、お金を一番使う若い世帯の収入の下落が大きく響いているからだ。格差社会で一番目立つのは世代間格差であり老人世帯は年金をもらっているのに若い世代は年金も払う金がない。

新自由主義経済は一人勝ちの世界であり、政治家及び公務員の一人勝ちであり民間人は収奪される存在に過ぎなくなりました。民主党は「国民の生活が第一」とスロ−ガンを打って政権をとりましたが、公務員と民間の格差を無くすことができなかった。民間企業の疲弊は法人税や所得税の低下となり、それに対して財務省は増税でその穴を埋めようとしている。まさに国家のシステムが収奪的になり国民はやる気をなくしている。

本来ならば政治が霞ヶ関の横暴を阻止する役目をしなければなりませんが、今では霞ヶ関の横暴を止める事はできなくなっている。税収が上がらないのは消費が低迷している為であり、高額所得者に財産が集中して金が回らなくなっている為だ。昔は累進課税が所得格差を是正していましたが、今では税制改革で高額所得者の税金が安くなり、そこに財産が貯まるようになってしまった。

いくら働いても豊かになれない社会になると、若い人たちは仕事をやる気をなくして家に引きこもるようになりました。これは国家的な損失であり格差社会の弊害だろう。今では民主党も自民党的になり社会主義政党はほとんど無くなってしまいました。民主党のマニフェストでは社会主義的な政策が盛り込まれていたのに、現在の政権幹部たちは新自由主義者が多い。

しかし公務員だけは新自由主義経済とは無縁の社会であり、国や地方の財政が大赤字なのにリストラが行なわれていない。新自由主義経済は規制の緩和とリストラの代名詞であり、会社の幹部は報酬が大幅に引き上げられ、新卒採用が控えられて人件費の節約をしている。労働組合も機能しなくなり正規社員だけが雇用が守られるようになってしまった。

このようにしてみると、日本もアメリカも中国も格差社会となり、1%の富める特権階級と99%の収奪されるだけの貧しい国民に分かれていくようだ。日本はかつては唯一の社会主義国家といわれるほどでしたが、小泉構造改革の結果、格差社会となり生活保護を受ける世帯が急増している。このような事は日本もアメリカも中国も同じであり、収奪する者と収奪される国民とに別れて行く。

日本の政治家と財務省はもはや経済成長を諦めて財政再建と称して増税路線に命を掛けている。日銀は1%インフレターゲットを掲げましたがやはり元の引き締め路線に戻ってしまったようだ。その方が収奪する特権階級にとっては有利であり、持っている金融資産が増加していくからだ。その結果金が回らなくなって税収は落ち込んでいく。


 

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