http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/613.html
Tweet |
御用学者の土居何某が税と社会保障の一体改革で、財源は消費税、財源は消費税と唱えているが、MKウルトラじゃないが、アメリカ留学で洗脳されたのかね?
所得税増税は「勤労者」の意欲を削ぐ、配当課税の増税は、資本市場の育成に害がある、法人税増税は企業利益に反し、国の成長戦略に反する、消費税は公平で平等・・・・
バフェットが金持ちの税金は安いよ、もっと金持ちから税金を取れと発言したことも知らないらしい。そもそも経済学者は数式だけをこねくり回して担税能力とった課税理論も知らない。
もっと歴史や国際政治、社会常識を勉強して発言すべきだろう。
下の書評を読めば、我らが菊池先生はまともなこといっています。
大学生も先生を選ばないと「売国奴」になりますよ。
某大先生のいうことと菊池先生のいうこと、どちらが正しいか「常識」で判断してください。
菊池英博「増税が日本を破壊する」(ダイヤモンド社)から
http://www.shakaishimin.org/index.php?itemid=34&catid=6
日本は「財政危機」ではなく「政策危機」――痛快力作『増税が日本を破壊する 本当は「財政危機ではない」これだけの理由』を読む 2006/01/03
--------------------------------------------------------------------------------
菊池英博さん著・『増税が日本を破壊する 本当は「財政危機ではない」これだけの理由』(ダイヤモンド社/1600円・税別)に目を通しました。筆者は1936年生まれ、東大教養学部卒、旧東京銀行入行。1995年から文京女子大(現文京学院大学)経営学部教授です。
2006年度税制「改正」大綱で、大増税が決まり、さらに消費税増税が検討されています。景気回復が言われているが、一部企業とお金持ちだけで、その回復にさえ、冷や水を浴びせようとしています。 しかし、一方で「増税やむなし」という意見も強い。こうした中でどう考えれば良いのか。必読の一冊です。
■日本は世界の笑いもの
筆者は、NYやワシントンの会議に毎年出席していますが、向こうの要人は「日本が財政危機だ」という認識は全く無いそうです。「日本が国債を買ってくれるのでアメリカは減税ができ、経済が回復している。日本は自分のカネで減税できる。どうして減税して需要を喚起しないのか」というそうです。
東アジアの友人も「日本は世界一の金持ち国家だ。自分のために自分のカネを使えば景気が良くなり税収が増えるではないか」というそうです。
■日本は「財政危機」ではなく「政策危機」
政府や一部の識者は今にも日本の財政が破綻するかのように言っていますが、政府には多額の債務(粗債務)があっても、多額の金融資産があるのです。一国の財政状況は、「純債務」で見るのが国際的にも一般的です。粗債務だけで危機を煽っているのは日本だけです。
そして、粗債務だけで危機を煽って、緊縮財政をして、経済を悪化させ、却って症状を悪くしたのです。橋本構造改革をする前の純債務はわずか21.6%。先進国でも最低レベルでした。それを大騒ぎして、緊縮財政をしたのです。そして、金融恐慌まで生じさせたのです。
純債務(比率)は、2004年には78.4%ですが、これは、2001年から統計上かさ上げしたものであり、それを調整すれば60%前後で、ユーロやドイツ並です。
債務比率が上昇した原因は、もうひとつは、名目GDPがほとんど伸びていないこと です。1995年を100とすると、日本は2004年で101.5。アメリカは155.5。ユーロ地域は140.3。
政府が持っている金融資産を担保に国債を発行するなどすれば景気振興ができるし、実際マレーシアは通貨危機をそれで乗り切ったといいます。
日本でも、たとえば、外貨準備のための円資金を市場で調達するために国債を発行していますが、それを日銀が買い、一方で政府が新規国債を発行するなどしていけば100兆円くらいは資金はすぐ調達できるといいます(外国でも外貨準備は中央銀行の資金でやるのが常識)。
現在は、財政危機ではない。政策危機である。しかし、このままの政策を継続すれば大増税しかない。そうなれば日本の財政そのものが破綻すると、著者は警鐘を鳴らします。
■日本は投資不足
名目GDPが減っている原因としては、投資不足だといいます。
民間の投資がデフレの中で減っている。大手企業の投資は若干回復したが、中小企業は苦しい。
そうした中で、政府が公共投資まで削減している。民需を呼び起こす公共投資をして、民間投資を呼び起こすのは経済政策の王道なのにそれをしないとは政府の存在価値はないといいます。
■国債格下げ劇
日本の国債が格下げされるという事件が2002年にありました。このことは、日本国内では、「だから緊縮財政と増税が必要」であるかのように伝えられていました。しかし、むしろ格下げの理由は、名目経済成長率が低いことでした。そして、ひとつの会社は、「増税が格下げ要因」と見ているのです。
そして面白いことにいつもは、粗債務が大きいことを国民に強調する財務省が、格付け会社に対しては、「純債務」論で反論していることです。
それはすべきなのですが、ならば、きちんと政策転換して債務比率を下げることをすべきではないか、と疑問を呈していますが、当然です。
■過去のデフレ政策の教訓
第二章は「なぜ増税論が出てくるのか」です。橋本元総理は、2001年の自民党総裁選に出馬する際、かつての在任中にデフレ・大不況を招いたことを謝罪しています。当時のデフレ政策を支援したものが、また小泉デフレ政策を応援しているのではないか、一片の良心があるならば責任を認めて引退すべき、と切り捨てます。
日本は、1997年を機に純債務比率が上昇している。橋本財政改革が全ての原点です。そして、その結果、株価が下落し、それを引き金に金融恐慌まで起きた。有価証券の含み益を自己資本に組み入れていたために株価が暴落したらそれがまともに跳ね返ってきたのです(そもそもの問題はBIS規制ですが。)。そしてそれが貸しはがしにつながったのです。
その後、1998年参院選で橋本総理が退陣後、小渕政府は、2000年に掛けては財政再建を凍結。その結果、2000年には税収も50兆円台に戻り、財政赤字も減少傾向に転じました。金融機能も回復しました。不良債権比率も5%前後で、ほぼバブルの後始末は済んだのです。
もし、以後の小泉政府の構造改革が無ければ、政府債務そのものは増えても、GDPが名目では毎年2−4%増えるため、純債務比率は45−40%になっていだろうと筆者は推計します。
2001年から始まった「構造改革」で全てが吹き飛んでしまいます。緊縮財政と不良債権処理を進めた結果、名目成長率はマイナスになり、税収は2003年度には41.8兆円に落ち込みました。
公共投資削減も悪影響を与えました。1.6兆円減らしたのですが、結果は、26兆円もの税収を累計で失う結果となったのです。
こうした、エラーのつけを増税で埋め合わせようという按配です。
名目成長率は伸びていない(実質が伸びていても)ので、債務の負担は重くなる。企業は投資を抑制する。かくて、経済は衰弱するのです。
金融庁の行政も問題です。銀行の貸出先の含み損を表に出させ、若干でも業績が悪いと潰しに掛かる。人員整理をさせる。これでは、雇用が増えるわけがありません。
歴史的にもデフレ下の緊縮財政は成功していません。アメリカの大恐慌ではフーバー大統領が、増税を行った。結果は、名目GNPが半減し、財政赤字と政府債務だけが増えたのです。ルーズベルトは、積極財政を採ったので、1935年には、税収も増え、政府債務増加の伸びも止まったのです。
日本でも、浜口内閣が、金解禁と緊縮財政を実施。大デフレを引き起こしました。その結果、国民は満州侵略を歓迎。そして日本は、戦争へと突き進んでいったのです。
こうした教訓を無視しつづければ税収は激減するはずで、ここで大増税すれば、経済規模がさらに縮小し、却って税収が減り、深い穴倉に落ち込んでいくと、筆者は警告します。
■グローバリズムの罠にはまった日本
そして、グローバリズムという罠に日本ははまったといいます。ペイオフ完全実施と、時価会計と減損会計の導入がそれです。ペイオフ完全実施で、定期預金が激減。銀行は安心して貸し出しを伸ばすことができなくなった。
時価会計の導入は、デフレの元で行われたため、悲惨な結果になりました。有価証券の評価損がもろに出たわけで、企業の業績が悪化した。アメリカの高官に「日本はなぜデフレのときに時価会計や減損会計を導入するのか経済規模が縮小して税収が激減するではないか」と筆者は言われたそうです。
減損会計は、固定資産版の時価会計で保有している不動産が原価の半分以下となれば減損処理が必要となります。しかもその市場価値が上がっても、自動的に資本金に復元できないということです。これも欠陥で、これでは今後税収がどんどん減ることは目に見えています。
■誤解への反論
『増税が日本を破壊する 本当は「財政危機ではない」これだけの理由』99ページからは、巷で言われている誤解について、次々反論しています。
ひとつは、「政府債務は全額返済すべき」という考え方です。これは滑稽です。そもそも、経済とは借りる人と貸す人がいて、債務も増えるが資産も増えて収益が上がるものです。政府には永久に債務があってもよいわけです。
国の財政赤字は家計の赤字と同じというのも滑稽です。しかし、内国債である限り、償還されても日本人に戻ります。日本全体では利用できる資源は不変です。むしろ、国債の発行で資源が早く利用されただけ、国民経済にとってプラスです。
「これから高齢社会になる、だから国債の発行は抑えるべきである」という意見もあります。しかし、むしろいまこそ、労働者一人当たりの資本投入率が高くなるように、すべき投資はすべきときではないか、と筆者は言います。生産性の高い投資先であれば優先して国債を発行して投資すべきなのです。
「国債の発行額を金額で決めるべきだ」という意見に対しては、達成できるわけはない。むしろ、「純債務を名目GDPで割った比率」であり、これが、あるべき財政規律の指標です。
■大増税を招く経済財政諮問会議民間議員
経済財政諮問会議の民間議員も問題です。まず、経済界代表に経団連と経済同友会しかいない。日本の企業の9割以上を占める中小企業の代表である商工会議所の会頭がいないのです。大手企業にだけ、都合の良い政策に偏向する可能性が強まるのです。
また、学者議員では本間正明教授は、「ケインズ幻想があるのは日本だけ」といいます。 しかし、アメリカは、2003年、需要喚起のために大減税をおこない、また投資減税などを行った。デフレ懸念を一挙に払拭したのです。「ケインズ幻想があるのは日本だけ」と思っているのであれば同氏こそ「幻想の経済学」と、菊池さんは切り捨てます。
「幻想の経済学からは幻想の政策しか出てこない」というわけです。これこそが、サラリーマンに大増税をつきつけているわけです。
■無謀な金融改革が招く税収減
第3章は「税収減少を招いた金融改革」です。
今までの日本では、銀行を経営努力により、再生させる方式を取ってきた。これを続けていれば、経済は回復し、税収ものびていたはずなのですが、小泉政府・金融庁は、「金融再生プログラム」で、いかに不良債権扱いして切り捨てるかを政策理念としてしまった。
2001年の緊縮財政で、デフレになり、企業収益は悪化、不良債権は増えたのですが、ここで、政府はいかに不良債権を再生させるかを考えるべきだったのにそれをしなかったのです。
2002年9月の日米首脳会談で、不良債権処理加速化を総理は約束。帰ってくるや否や、柳沢金融大臣の首を竹中大臣に挿げ替えた。「資産査定の厳格化による不良債権処理加速化」「税金繰延資産の圧縮」を二本柱とするプログラムを発表したのです。
しかし、そもそも、加速化の前提とされた「不良債権があるから貸し出しが伸びない」のではない。銀行には100兆円の預金が余っていたからです。資金需要が無いのが問題なのです。
それを強引に加速化を進めた。DCF方式を導入したのです。それから減損会計の手法で資産査定をした。結果は、どんどん、不良債権と認定される企業が増え、銀行の財務内容は悪化したのです。
減損会計では、法人税を払っているような優良な企業まで次々破綻させられた。保有する土地の値段が下がっただけで、本業は儲かっているのに、収益は、マイナスと決め付けられ、貸しはがしが行われたわけです。放っておけば、いずれは借金を返せるのにです。
そして、生き残った企業に対しても引当金を積むために、銀行の自己資本は減り、貸し出しを回収しなければならなくなる。悪循環です。
税金繰延資産(引当金を積んだ場合、法人税を払わなければならないが、貸出先が倒産すれば、損金となって税務署から戻ってくるし、一方で、立ち直れば引当が必要なくなるからこれまた戻ってくる。)の圧縮は、不良債権処理を加速化しておいて、これをするのだから自家撞着です。この手法で、監査法人がりそな銀行と、足利銀行を潰したというのです。
さらに、金融庁は、ダイエー(一年間で1兆円も借金を返した)を潰し、UFJ銀行まで潰したわけです。
ペイオフ実施も禍根を残しました。この結果、銀行の数が少なすぎるため、(日本はオーバーバンキングというのは嘘と、筆者は言う)、全額保証されている決済性預金に預け替えた。銀行は安心してお金を貸せなくなったのです。
需要が無いから、預金が余っているのに、オーバーバンキングと決め付ける。そして、無謀な構造改革を進めた結果、金融の機能は、弱まり、経済は弱まり、雇用も減り、税収は減ったというわけです。
筆者は、ペイオフ制度の廃止、繰り延べ税金資産の圧縮の中止、自己資本規制の撤廃、時価会計・減損会計の中止などを求めています。そして、最終的には金融庁を廃止せよ、と迫っています。正論です。
■投資(公共・民間)を増やせ
『増税が日本を破壊する 本当は「財政危機ではない」これだけの理由』第4章は「増税が国を滅ぼす」です。
そもそも日本は、財政赤字を必要とする経済体質なのです。1970年代以降、貯蓄が増えた。これを国内に循環させるには、民間投資だけでは不十分で、公共投資が必要だったのです。公共投資を行うことで、経済を拡大均衡させたのです。
アメリカでも、1993年以降、クリントン大統領は、積極財政を行い公共投資を増やした。その成果が、1998年の財政黒字化なのです。
公共投資は、財政に貢献しています。参院予算委員会調査室が発表した「バブル崩壊後の経済対策」によると、1992年からの10年間で150兆円の総事業費で景気対策を行い、100兆円のGDP底上げ効果があったというのです。逆にいえば、対策をしていなければ、GDPは100兆円少なかった。当然、税収も遥かに少なく、政府債務の GDP比も大きく増えているということになります。
『増税が日本を破壊する 本当は「財政危機ではない」これだけの理由』は、財政改革が赤字国債を増やしたことも、データで示しています。
また「高齢化で社会保障負担が増える、だから増税しろ」という意見に対しては、デフレの今は、負担を引き上げるべきではないし、名目GDPを増やす政策を取れば、大きな問題にならないということです。
「法人税を下げて(消費税を上げろ)」という財界の要求については、法人税を下げても投資は増えない、下げずに、むしろ投資減税をすべきだと、菊池さんはいいます。
■「量入制出」の重大な欠陥
政府は、緊縮財政の目標を「2012年に基礎的財政収支をトントンにする」としています。しかし、こんなことは不可能だと菊池さんは指摘します。「支出を量って入りを制す」(量出制入)であるべきで、そのために「どうすれば増収できるか」を考えるべきであるのに、政府は「税収が限られているのでそのなかで超過する支出は全てカットせよ(量入制出)」である。これは、「経済は生き物であり、この生き物を 活かして成長させないと税収が増加しない」という考え方が無いのが欠陥だと指摘します。
基礎的財政収支をトントンにするためには、20兆円の増税が必用とされていますが、実際には、30兆円の増税をしないとだめです(GDPが減るため)。そうすると、しかし、名目GDPは43兆円減るわけです。
菊池さんは、増税、GDP減少、金融不安の再発、税収減少、そして増税の悪循環に陥ると警告します。これこそ、本当の財政危機になってしまうのです。 もちろん、その間に円安になり、外資が安い円で日本企業やビルを買い占めることになります。
政府は、財政均衡主義を放棄せよ、また「粗債務」だけで見る見方から脱皮し、「純債務」で財政を把握せよ、緊縮財政をやめて積極財政に切り替えよ、と菊池さんは迫ります。
■アメリカの良いところに学べ
第5章は「今、必要なのは減税政策」です。
まず、菊池さんはアメリカのよさに学べといいます。アメリカは、債務は少し増やしたが、名目GDPを大きく増やしたために、債務比率は減少したといいます。
そして、アメリカは、マクロ的な視野で政策を行う、常に国益を維持し、増大させることを目標としている、一度失敗したことは二度はやらない(大恐慌の失敗は小学校から教えている)、雇用維持と景気対策は大統領の責務である、社会基盤のベースの郵便は国営で、地下鉄、バスなども公営である、ミクロとマクロをうまく組み合わせている、などです。
それを日本は、アメリカのやっているミクロ的政策を、背景も考えずに金科玉条のごとくやっている。ここに問題があるのです。
■クリントン政権の教訓
クリントン政権は、一期目は予算の伸びは年率3.3%、第二期は年率3.6%という積極財政でした。 とくに、地上交通網整備、職業訓練、教育などに投資をしたのです。第一期はとくに軍事費が減らせたので、実質的には年6−7%投資を増やせたのです。一方、義務的経費については、一定のルールをつくって、可能な限り抑えたのです。
景気が力強く、回復してくると、クリントン政権は、高額所得者に対する増税を行い、税収を増やしたのです。日本のように、中間層から下層にかけての増税を行おうというわけではないのです。
日本でも積極財政をしていれば、2003年度の税収は70兆円に達していたはず、ということです。ともかく、名目GDPを4−5%成長にすれば、財政危機など雲散霧消すると菊池さんはいいます。
■どうすればよいか?
日本はどうすればよいか? 「とにかく、自分のカネを自分で使うようにすることだ」といいます。
日本政府は90兆円もの外貨準備を持っていますが、その資金の出所は、FBです。大本は我々の預金です。そこで、外貨準備の出所を日銀の資金に切り替えるのです。具体的には既存の国債(FB)を日銀が買う。その分、政府が国債を発行するというものです。
この他、社会保障の資産を担保にした国債をマレーシアに倣って発行するのも手だといいます。
その上で、「日本再興投資資金枠」100兆円を設け、10年間にわたって支出するのです。
50兆円は投資減税です。法人税減税では投資に回る保証はありません。この投資減税では、法人税を納めていない企業も補助金の形で受け取れるようにするのです。新エネルギーや農業、ナノテクなどを興していく。
50兆円は開発投資で、災害防止、環境保全、新エネルギー開発、などです。これらを併用して、脱石油・脱原子力を進めていくわけです。
これを進めれば、10年後には日本の名目GDPは800兆円に増える。税収は90兆円に増えます。国債も520兆円から630兆円に増えますが、GDP比は、104%から、80%に落ちて財政は健全化します。
国債価格をまた安定化させることも大事だと菊池さんは言います。これは大恐慌後のアメリカが参考になります。中央銀行が国債を売買して金利を安定化させたのです。
その上で金融のグローバルスタンダードは捨てよといいます。ペイオフは適用しない、時価会計と減損会計は日本では適用しない、自己資本比率規制は国内基準行には適用しないというものです。
そして、なにより、日本の伝統をベースにした改革こそ日本に繁栄をもたらすと、菊池さんは言います。私も同感です。
従業員と国内需要を重視した経済政策をとってきたからこそ、産業が成長し、日本国民の9割が中産階級と自らを誇れる国になったわけです。これほど良い国が他にあろうか。日本は理想的な国家ではないか、というわけです。
■感想
構造改革、構造改革、と1990年代後半以降騒がれ、小泉政府の元でそれがとみに加速しました。
「日本的なシステムでは駄目だ」という論調が高まった。そこへアメリカが要求を突きつける。日本は諾々とそれに従う。
その帰結が経済不振、税収低迷であり、大増税が結局出てくることになったわけです。
菊池さんも述べているように、内需の抑制こそが諸悪の根源です。
マスメディアも政府も今にも日本が沈没するようなことを言っている。しかし、その結果、誤った政策が取られ、本当に日本は沈没することになるのではないかと私も危惧します。
国民も、だんだん、増税やむなしとマインドコントロールされてしまいかねない。
しかし、それはおかしい。私自身も、事あるごとにに積極財政を主張して参りましたが、本書の出版で、心強い限りです。
投資減税については、私が主張してきた「雇用減税」(正社員を雇えば減税する)に通ずる部分もあると思います。雇用しようと思えば投資は避けられません。投資すれば雇用は増えます。その辺は、アプローチの違いかとも思います。両方併用しても良いかと思います。景気が良くなり次第、お金持ち減税などを見直せ、庶民には増税するな、というのは私は言ってきたのですが、クリントンも同じ事をしていたのです。
なお、クリントンに習って公務員人件費も削減すべきと菊池さんは言いますが、それはどうか。菊池さんも「今のGDP比は世界的に見ても最低水準にある」と認めています。投資的経費を増やすということには賛成ですが、では、義務的経費を減らすのはどうかとも思います。教育など義務的経費が多いように見えても「投資」になる部分もあるからです。また、給与カットの場合は、民間にも波及し消費を抑える危険もあると思います。筆者は「投資不足」を不況の原因に挙げておられますが、消費不足ももちろん大敵だと思います。この点は私からの異論というか補足です。
積極財政の中身については、これもひとつの考え方だと理解しています。この辺は、また議論していけばよいでしょう。当然、年金や医療の充実も必要とあらばすべきというのが私の立場です。それから、子育て支援、教育など、「人への投資」も充実させたらよいと思います。
いずれにせよ、雇用を増やせば、消費も増えるし、経済はよくなり、消費も増えます。
ともかく、皆様にも是非、だまされたと思って本『増税が日本を破壊する 本当は「財政危機ではない」これだけの理由』を読んでいただきたい。そして、まずは、増税に反対することから行動していただきたいと思います。そして、周りの人に、積極財政にしたほうが財政も改善するということを言っていただきたい。できれば、金融政策面で言えば、時価会計、減損会計はまずい、ペイオフもまずいということを言っていただきたい。
また、増税に反対する野党(共産、社民、国民新党など)の党員・支持者の皆さんも、また、労働組合・市民派の皆さんも理論武装を補強するために、是非読んでいただきたいと思います。
ただ、増税反対だけではもちろん弱い。じゃあ、どうするのか、と問われたとき、歳出削減では駄目です。増税は駄目なのだ。緊縮財政も駄目なのだ。積極財政こそ日本を救う、という立場に立てたとき、すなわち、オルタナティブを提示できたとき、初めて、政党なり政治家の理論的説得力も増すし、政策転換、ひいては小泉政府打倒を求める世論を高めることもできるのではないでしょうか。
<参考リンク>
QT 土居丈朗編著『日本の財政をどう立て直すか』日本経済新聞出版社http://t.co/nINBSrWF が発売!
http://hiwihhi.com/takero_doi/status/173032304854302720
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。