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アメリカの製造業は復活するのか?
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投稿者 taked4700 日時 2012 年 4 月 11 日 19:52:30: 9XFNe/BiX575U
 

(回答先: 米製造業は「復活」するのか オバマが狙う雇用問題解決は的外れ? 投稿者 taked4700 日時 2012 年 4 月 11 日 19:35:47)

http://blogos.com/article/30424/

アメリカの製造業は復活するのか?

2012年01月27日 09:50

芝山元

このところ、2011年の日本の貿易収支が通年で赤字になったり、アップル社がなぜ中国での製造にこだわるかの記事が話題をよんだり、オバマ大統領が一般教書演説で製造業雇用を増やすと宣言したり、で製造業の話が盛り上がっているので、過去のツイートをまとめておきます。

結論から言うと、ドル安、新興国の賃金アップ、原油高による輸送費上昇等により、米への製造業回帰は進むと思います。しかしながら、賃金は新興国び引っ張られて下がっているという手放しでは喜べない状況です。

まず、アメリカの製造業の立ち位置から。1950年頃には世界の工場と呼ばれたアメリカの製造業ですが、それからズルズルと地位を下げているのが明確ですね。

− 1970年→2009年製造業の国別雇用比率推移:米26%→10%で、大きく雇用を減らしています。先進国はどの国も製造業雇用が激減しているのですが、減少幅が大きいのが英34%→11%、豪24%→9.3%、比較的頑張ってるのが独40%→22%、日27%→17%ですね。
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− 製造業従事者の時間あたりコストの比較 BLS http://t.co/s5WiyVMx ノ$57>瑞$53>白$51>スエーデン$43>独$43>蘭$40>仏$40>米$34>日$32>英$29>韓$17>台$8>比$2。社会保障費・福利厚生でざっと3−5割が企業負担。先進国で企業が正社員採用に慎重になる訳。この数字から欧州素晴らしいと見るか?大丈夫と見るか?

− 米製造業の広義のGDP貢献度は28.5%、若干上昇中 http://on.wsj.com/ozmBLT 製造業の米国回帰や好調な輸出効果が若干垣間見れる。同数値の50年前は41.9%だった。
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- 米製造業雇用は2001年→2011年で 28%減の1214万人。米の産業で最大の下落率。牽引しているのはオイル、ガス、鉱業などのエネルギー関連やや教育やヘルスケア産業。
http://bit.ly/iTLM8H
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− 米、金融危機後の失業が増えた職種 http://t.co/z3d7dp6 2008年から米では550万人の失業増加。建設は200万人、製造業は180万人の失業増。
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- 製造業の生産性は1990年〜2000年に37%、2000年〜08年に19%向上した。しかし雇用は−4.5%、−66.5%の減少。海外への生産シフトが生産性の向上では追いつかない現実。マッキンゼー調査 http://bit.ly/zgBa1y
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− 2011年12月の製造業の時給は$23.80で、米平均の$23.24と同レベルだが、レジャー・ホスピタリティ$13.29や小売り$15.97などのサービス業より圧倒的に高い http://1.usa.gov/Aqy3Ld
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− 2018年の米都市圏ごとの労働階級職の比率予測マップ。濃紺の地域が労働階級職の比率が40%以上の都市圏で、淡黄が20%以下の都市圏です(全米平均は08年の段階で23%)。
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ラストベルト(製造業が強かった中西部)都市圏の現状。これらの都市圏では1960年代から都心部の崩壊と人口の減少が続いています。ピッツバーグやインディアナポリスは下げ止まった感じですが、それ以外の都市では継続的な人口減少が予想されています。製造業職も新規では、規制の少なく、コストの低い南部が大人気。

− 雇用数がピークに戻るのが2020年以降の都市圏と雇用損出数(頁7)http://bit.ly/l8Wqmn クリーブランド-8.4万職、デイトン-3.5万職、デトロイト-24万職、トレド-4.1万職、ヤングスタウン-2.3万職。

− デトロイト関連つぶやきまとめ http://bit.ly/afImZ4

− デトロイト都市圏人口は430万人で1970年から横ばい http://t.co/C1N2lhSZ デトロイト市の人口は1950年の185万人から2010年には71万人まで減少。白人富裕+中間層が郊外に移り住み、黒人比率は82% http://t.co/1ttR38ar

− NY州バッファロー/シラキュースの製造業衰退レポート。共に製鉄と鉄を使った大型機器が一大産業でした。組合が強いから新たな製造業が入ってこないという問題もhttp://t.co/2yXqOdG http://t.co/jvh619v

− NY州バッファローの1902年と2011年の地図比較 http://t.co/Vd9ojN5i 1902年のバッファローの人口35万人でエリー運河中継地+製造業で一番勢いがあった時期。現在の人口は25万人で、自動車社会到来で街中は見事にスカスカに。

− ピッツバーグの再生のWSJ記事 http://bit.ly/bZ6N0h デトロイトを中心とした製造業の廃れた都市の疲弊を書き込んだが、それらの都市でほぼ再生したといえるのが鉄の街、ピッツバーグ。メロンやUP大学の生み出す頭脳で、金融、IT、法律方面に経済を多様化。

アメリカ製造業の昨今のトレンドは以下のとおりです。

− オバマ大統領、一般教書演説で「米国に製造業雇用を保つ企業にはインセンティブを支払うべき」 http://t.co/YX0nOL9A 給料は下がってるけど、製造業を中心に雇用は確実に登り調子。失業率を下げるのは再選には最重要課題なので、必死ですね。

− 2011年12月の製造業(Manufacturing)雇用は1179万人で、前年同月1157万人より22万増加 http://1.usa.gov/xTywOg

− 2011年12月の製造業(Production)従事者の失業率は10.7%で前年同月の11.7%より1ポイント増加。建設関連職16.4%よりは良いが、高学歴の多い管理・専門職4.2%、比較すると相当高い。
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− ラストベルト(中西部)の製造業雇用の伸びは堅調 http://wapo.st/jalG6N 今年に入ってから米の製造業雇用は25万人増加(不況後の人員削減の13%)。しかし、OH州の単純作業給与は時給$7~9程度。恐ろしい現実。

− 米国を待ち受ける「時給14ドル」の日常 日経 米州総局・小高航 http://s.nikkei.com/qTVozk かつては全米自動車労働組合の工場労働者を中心とする組合員の賃金は基本給だけで時給30ドル、福利厚生も含めると時給50ドル強。年収では約10万ドル(770万円)に達していた。しかし「ティア2」(第2階級)と呼ばれる組合員が急増している。同じ仕事をしながらも既存従業員とは異なる賃金体系を適用される。時給はわずか14ドル。1日8時間、週5日働き続けても、年収は約2万7000ドル。

− BusinessWeek11年5月記事⇒熟練技能とチームワークで復活する米製造業 中国の優位性薄れ、米国に製造拠点を回帰する動き http://t.co/imbRrOls

− BCGの「製造業のアメリカ回帰」のレポートhttp://t.co/5Kex3b4U 00年の段階ではパート当たりの労働コスト(運輸費、関税等含む)は米$2.11、中$0.74で中国は圧倒的なコスト競争力があったが、15年には$3.31、$2.00と大幅に縮小

− 多国籍企業:米国に回帰する製造業  エコノミスト誌http://t.co/aDdVbAZ 理由:1)年間17%と予測される中国の給与増加、2)ドル安、3)輸入費増加(=ガス高)、4)サプライチェーンの複雑化、5)リードタイム短縮、6)総コストにおける人件費の低下

− 「アメリカに製造業が戻ってくる」 2011年9月HBR記事 http://bit.ly/y2StyG 米製造業は24ヶ月連続で生産拡大中。賃上げが進み中国の労働コストの価格競争力は、生産性を換算すると米より30%程度しかなくなった。GA、LA、MS、TXといった製造業労働コストの低い州では2015年には中国と同等の製造効率を達成できる。

− 原油高とアメリカ・中国の輸出入の関係について http://bit.ly/j7LSjl 原油価格上昇で、大きく移動にコストがかかる製品に関しては、米に製造が戻る傾向。

− アップル社の製造に50万人が中国で雇用されている⇒iPhoneから紐解く、米製造業の衰退 NYT長尺記事 RT http://t.co/vSTFPDyf アジアに製造拠点を置く理由:1)製造調整が容易で迅速、2)コンピュータ関連サプライチェーンがアジアに集積。日本語への意訳は⇒海外に移る生産拠点--アップルと「iPhone」に見る理由 - CNET Japan http://t.co/auN8gelj

アメリカの製造業が若干盛り返している背景には、中国製造業が給与アップや、労働者への待遇改善で勢いが止まりつつあるという背景があります。

- こういう外圧が中国の民主化に一番効いたりするかも。そして労働者賃金が上がり、製造業がアメリカに帰ってくる⇒アップル社のサプライヤー選定ガイド http://t.co/VJfMRuR8

−「中等收入のトラップ」⇒中国の土地バブル懸念以上に先行き深刻な「中所得の罠」 http://t.co/7L2WFFAK (1)平均年間所得が1.6万ドルに達したとき、(2)世界をリードする経済の平均年間所得の58%に達したとき、(3)製造業のシェアが23%+

− 中国政府が付加価値の高いテクノロジーの国内内製化に躍起になってる、というハーバードBR記事 http://bit.ly/wXczlt iphoneの「組み立て」で一台あたり$6.5しか儲からない図式を見ると、中国政府の焦りもよくわかる。単純労働者の賃上げ圧力は強いしね。

− 【中国】広東で靴業者閉鎖ラッシュ、海外受注減で[繊維]/NNA.ASIAhttp://t.co/vwSQuovn 人件費高騰で靴等の低付加価値製造業は人件費が中国の1/5のベトナムやバングラデシュへという流れでしょうねhttp://t.co/byyWygtS

− 中国の製造業:安い製品の終わり? エコノミスト誌 http://bit.ly/mit84K コモディティ価格高騰と賃金アップで労働集約型製品については年間5%の値上がりも。中国沿岸部は急速に電子機器などのより高度な製品の生産に移行している。

− 高騰続く中国の人件費、生産移転のリスクは?FT http://bit.ly/f50CUD 労働者の月収は$400、ベトナムの5倍。しかし1)生産性も給与と同等に上昇、2)複雑な工業製品の人件費比率は2〜3%、の理由で複雑な製品の工場移転はおこらない。問題は労働集約型製造業

− 中国の労働者賃金上昇と製造業の今後WSJ http://on.wsj.com/lbtr0H Foxconnショックから農工労働者の賃金上昇が顕著。大手アウトソース会社はコンゴ5年間で80%の賃上げ予測。15−34歳労働人口は07年から減少。内陸と低賃金国に工場移転加速。

− 中国に巨大“自殺”工場の余波:日経ビジネスオンラインhttp://t.co/uz0xq6oO この前つぶやいた通り中国は労働者給与是正が急速に進む模様 http://t.co/fDuVg6RV 輸出競争力の下落に直結。

− 中国「新世代・出稼ぎ農民」に悲哀はない- 世界の工場がみるみる「求人難」になった背景 http://bit.ly/e1VN5J 農工民は、沿岸部より給与が下がっても内陸の地元でパラサイト指向。労働集約型の製造はより安い国へ。

− 過熱する中国労働者争奪戦の舞台裏 http://bit.ly/icksXq 沿岸地域の労働者不足で内陸に進出した武漢フォックスコンが月給2800元($420)を提示。沿岸地域の労働争議前の給与の倍近い。中等収入のトラップは間近?http://bit.ly/909I8I

以上、このように製造業は戻っても、賃金はかなり低い水準に落ちつくと思うので、不動産投資先としては、オースティンのように高学歴が増えて、高付加価値産業が栄える都市に集中するほうがベストでしょうね。  

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コメント
 
01. 2012年4月13日 13:34:52 : IOzibbQO0w
米で厳しさ増す製造業誘致 賃金低下に労組消滅(WSJ)

 【マンシー(米インディアナ州)】ジェリー・バンパス氏は40年間、全米自動車労組(UAW)の組合員だった。ゼネラル・モーターズ(GM)の部品工場での時給は28ドル(約2300円)に達し、5年前に60歳でボーナスをもらって退職した。


 最近の日曜日の朝、ここマンシーで、建設機械大手キャタピラーの鉄道機関車の新工場の職を求めて数千人の列ができた。黒い上着を着て履歴書を握りしめたバンパス氏も、その列に並ぶ1人だった。ここでの仕事は、時給は12ドルからスタートする。それに給付金が付く。労働者を代表する組合は無い。


 「自分は仕事に順応できる」とバンパス氏。彼は、わずかな老後の蓄えを増やすため、就職を望んでいる。


 人口7万人の都市マンシーは、様変わりした。自動車産業をはじめとする工場の閉鎖で住宅の5軒に1軒が空き家となった。しかし、その結果、マンシーと「ラストベルト」(中西部・北東部の重工業地帯)の多くの地域で、失業者は期待値を下げ、柔軟性を増した。州政治家も、減税や規制の簡素化など、企業誘致にかつてないほど積極的に取り組んでいる。キャタピラーのような企業は、こうしたチャンスを熱心に利用する。

 少ない雇用を奪い合う相手は、アジアや米南部の州とはかぎらない――北部工業地帯の中心をなす近隣州やカナダの地域さえも競争相手だということに、政治家と労働者が気づき始めている。


 インディアナ州のダン・ハスラー商務長官はこう言う。「我々の課題は、他の中西部の州とは違う存在になることだ。インディアナの目標は極めてシンプル、企業の収益性向上支援だ」


 それが、キャタピラーの思惑とたまたま一致した。キャタピラーは、カナダのオンタリオ州ロンドンにある古い機関車工場を閉鎖する一方で、マンシーの新工場の人員を増強する。オンタリオ工場の組合労働者は、マンシーで支払われる額の約2倍を稼いでいた。


 キャタピラーが2月初め、オンタリオ工場の閉鎖を発表した時、カナダの労働者は激怒した。同工場の機械工、ラフィーク・カーン氏(55歳)は言う。「25年ここでずっと働いてきた。それなのに、アジアの労働者のように『飯一杯』で働けというわけだ」。抗議の意味で、自分達の名前のついた十字架を、工場の立ち入り禁止の金網の外に立てた労働者もいる。キャタピラーは、オンタリオ工場の賃金は高過ぎ、競争力をなくしていると主張している。


 この対照的な2工場の労働者の経験からは、2008年から09年にかけてのリセッション(景気後退)とその後の雇用市場の極度の停滞が、いかに北米労働者の交渉力を弱めたかがわかる。労働省の統計によると、昨年第4四半期の米国の賃金・給与労働者の1週間の収入の中央値(インフレ調整後)は、前年同期から1.8%減少、過去10年でほとんど横ばいとなっている。これは、不景気であっても雇用者が賃下げに動くことは珍しく、中央値は急激な落ち込みを示さないためだ。しかし、雇用が厳しければ、多くの新規採用者は、賃金が低くても働こうとする。それが賃金を抑制する。


 企業は、労組が弱く、賃金が比較的低い州に多くの生産投資を集中させつつある。たとえば、ボーイングは昨年、労組のあるワシントン州シアトルの工場の補完として、サウスカロライナ州に労組のない航空機工場を開設した。サウスカロライナ工場の組立工の時給は14ドル35セントからスタートする。シアトルでは15ドル。ワシントン州の労組従業員は、もっと経験が長く、時給は平均で約28ドルだ。


 労組のある工場で拡張・近代化を図る企業も、組合から譲歩を勝ち取っている。ハーレーダビッドソンはここ数年、ペンシルベニア州ヨーク、ミズーリ州カンザスシティ、ミルウォーキー近郊などで、パートの拡大を含む労働条件の調整を受け入れなければ生産拠点を移転すると労組に言い渡した。労組はこれを受け入れた。


 カンザスシティの国際機械工労組のプレジデント、トニー・ウィルソン氏は、ハーレーの条件を受け入れる以外に選択の余地がないことを労働者が知ったと述べた。


 キャタピラーは過去20年、労組を抑える企業努力の先頭に立ってきた。1994年から95年にかけて、8つの工場で1年5カ月続いたUAWのストでは、ホワイトカラーの社員と臨時社員で工場の稼動に対応した。最後には労組が折れ、医療保険給付などで譲歩を余儀なくされた。


 キャタピラーは、労組の弱い南部での工場開設により、従業員の組合員比率を徐々に減らしてきた。2003年に32%だった組合員比率は、2011年末には27%程度に低下。また同社は、マンシー工場の人事部長の採用で、組合の無い環境での職務経験を条件とするなど、非労組化を目指す戦略を隠そうともしない。


 キャタピラーのような企業には、税の低さと規制コストの安さも重要だ。そこで政治家の出番となる。ラストベルト地帯のすべての州が企業優先の政策を掲げ、製造業の誘致を行っているが、なかでもインディアナ州は特に積極的だ。


 インディアナ州のミッチェル・ダニエルズ知事(共和党)は、州の人員削減などコストカットを断行。これにより昨年、8.5%の法人税を段階的に6.5%に引き下げる法案の州議会通過が可能となった。


 これとは対照的に、イリノイ州は昨年、個人所得税と法人税を引き上げ、キャタピラーから公然と非難された。2月初め、キャタピラーは、同社が本拠を置くイリノイ州ペオリアの州政府の役人に電子メールを送り、“イリノイ州の景気と財政状況全般に対する懸念”などを理由に、新たな建機工場を建設しない決定を通知した。


 キャタピラーは、ジョージア州アセンズに2億ドルの工場建設を発表。大西洋の港への利便性も考慮した結果という。しかし、たとえそうであっても、イリノイ州を工場建設地から外すキャタピラーの決定は、税などの事業コストの引き下げに向けた一層の取り組みが不可欠であることを示している、と州の共和党関係者は指摘する。


 2月初め、インディアナ州は、すべての労働者に組合費の支払いを義務付ける契約を禁じる法律を制定、組合の組織化を困難にした。インディアナは、こうした法律を持つ23番目の州となったが、中西部では初のケースだ。


 インディアナ州の組合員比率は、近隣州よりもすでに低い。昨年のインディアナ州の同比率は約13%。オハイオ州は15%、イリノイ州17%、ミシガン州18%。全米平均は13%ほどだ。1960年代と70年代、UAWは、マンシーの7000人以上の製造業労働者を代表する政治の一大勢力で、公共公園を保有し、運営するほどだった。今やUAWの影は薄い。保安官代理の小さな支部はあるものの、マンシーの製造業労働者にUAWの組合員はいない。


 これまでのところ、インディアナ州の製造業誘致に向けた努力の結果は、勇気づけるものになっている。2011年末時点の同州の製造業雇用者数は47万2500人と、2年前より7.6%増えた。全米では、景気後退期の落ち込みを経て3%の増加だった。過去10年でも、インディアナ州の「成績」は他のラストベルト地帯の州より良好だ。ムーディーズ・アナリティクスのデータによると、過去10年のインディアナ州の製造業雇用者数は20%減少。これに対しイリノイ州は26%、オハイオ州は29%、ミシガン州は35%減だった。


 他の多くの中西部の都市と同様、マンシーも製造業の大規模な流出に悩まされた。自動車のトランスミッションメーカー、ボルグワーナーでの1989年の医療給付の削減をめぐる激しいストの記憶は、今もなお残る。ストは、7週間後に双方が和解し、医療費の削減で合意したものの、企業側は労働者からさらなる譲歩を引き出せず、2009年に工場を閉鎖した。


 ここ数年、マンシーは、風力発電向け部品メーカー、ブレビニ・USAなど、新たなメーカーを誘致した。また、キャタピラーが2010年10月、かつてウェスチングハウス・エレクトリックが保有していたマンシー工場で機関車を生産すると発表した時、町は喜びに沸き返った。地元当局は、税制優遇措置や研修助成金など、2800万ドル規模のパッケージを取りまとめた。


 昨年、小規模ながらも同工場での機関車の生産がスタート。キャタピラーは今、増産に向けて準備を整えている。創業62年のオンタリオ工場の閉鎖で、マンシーとブラジルの新工場にはさらに仕事が舞い込むことが確実だ。


 キャタピラーは今、マンシー工場の人員増強を目指している。時給は12ドル〜14ドル50セントだ。閉鎖されつつあるオンタリオ工場では、大半の労働者に時給30ドル以上が支払われていた。


 昨年7月に運搬作業員としてキャタピラーに入社し、目下溶接工に向けて訓練中のジョン・ベラスケス氏(47)にとって、マンシー工場の低賃金は問題ではない。ベラスケスさんは、景気後退期に住宅建設業界で失業、「仕事があって嬉しい」と言う。


 ダスティン・ピッツフォード氏(24)は、キャタピラーの最近の就職説明会に並んだ数千人の1人だ。ピッツフォード氏は今、タイヤ店で、時給8ドル25セントで働き、子ども2人を養っている。キャタピラーの賃金は「進歩」なのだという。


 マンシーのデニス・タイラー市長の心中は複雑だ。市長は地元の消防士として勤務していた間、ずっと組合員だった。父も、ボルグワーナーの工場で働いていた時分はUAWの組合員だった。「賃金の引き下げは、誰にも何もいいことはない」と市長は話す。


 とはいえ、市長の最優先課題は雇用だ。組合があろうがなかろうが、雇用を創出すれば歓迎なのだ。


 人口36万6000人のカナダ・オンタリオ州ロンドンも、自動車関連の雇用流失に悩み、可能なかぎり製造業の雇用をつなぎ止めたい考えだ。懸念は、昨年春に始まった。キャタピラーがロンドン工場の賃金を約50%削減すると提案したのだ。労組はこれを拒否。2011年末、キャタピラーは、新契約の合意がないかぎり、ロックアウトを行うと明らかにした。従業員は工場の門外に集結、古いドラム缶に木切れを燃やし、24時間体制でピケを張った。


 ロックアウトが行われている間、ロンドンのジョー・フォンタナ市長は、キャタピラー幹部に頻繁に電話をかけ、行政としてできることは何かを尋ねた。「『設備や研究の新たな助成金が欲しいのか』と聞いた」と市長。しかし、キャタピラーの答えは、まず第一に、賃金の問題を片づけること、だった。


 今年2月3日、フォンタナ市長は、キャタピラーの責任者からの電話で工場閉鎖を知った。


 今、カナダの州・連邦当局者は、この地域の競争力向上に向けた方策について検討している。カナダの法人税は米国よりも低い、と当局者は指摘する。しかし、問題は、カナダドル高による輸出競争力の低下だ。


 オンタリオ州のブラッド・デュギッド経済開発革新相は、企業誘致の新たな方法発掘に「我々は極めて熱心に取り組んでいる。我々の試練のひとつは、世界の低賃金地域との競争になるだろう」と話す。場合によっては、その「低賃金地域」には、米インディアナ州が含まれるのかもしれない。


02. 2012年4月13日 13:49:31 : IOzibbQO0w

十分多くの新しいビジネスが生まれなければ、

賃金は低下するか、付加価値の高い労働者以外の雇用は消滅する


名目賃金を下げず、通貨安競争で、労働力を安売りしても

日本のように新興国との泥沼の消耗戦に陥り、確実に敗北する


世界は同一労働、同一賃金に収束していく


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