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いつ引退するか−夫と妻の思惑に大きな隔たり
2012年 4月 11日 17:44 JST
もしあなたが熟年を迎えたとき、なんとか離婚せずに、あるいは再婚していたとしたら、結婚の与えるさらなる試練に耐えられるよう身構えておいたほうがいい。
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Lou Brooks
夫と妻は、引退についての考えが異なる可能性が高いからだ。フィデリティ・インベストメンツの調査によると、結婚したカップルのうち62%がいつ引退するかで夫妻の意見が異なるという。
デボラ・ユーイングさん(55)は家族法専門の弁護士だ。彼女の夫パトリック・ヒッキーさん(62)は税金関係のソフトウエアのプログラマーをしている。パトリックさんは毎日パロスベルデス・エステーツの自宅からロサンゼルスのオフィスに往復2時間以上かけて通勤、疲れを感じており、「できるだけ早く引退したい」と考えている。
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結婚したカップルのうち62%がいつ引退するかで夫妻の意見が異なる
だが、それは許されない。「4年後に末っ子が大学を卒業するまで働き続けてちょうだいといっている」と妻のデボラさん。「わたしは一生懸命じゃない人がイヤなの。彼の方が年上なのは分かっている。でも(引退は)前向きじゃないという気がする。家でブラブラするなんて」と夫の引退に強く反対している。
デボラさんは、父親が引退したときと比べてパトリックさんは健康だし働き続けられると考えている。「引退した人たちは、のんびりとしてしまい、生産的でなくなると思う。経済的にも余裕がなくなる」と述べる。「わたしはできるだけ長く働きたい」とデボラさん。
新しいスタイル
彼らの議論は行き詰っている。少なくとも今のところ。「彼女はわたしが早く引退しすぎて面白おかしく暮らしているうちに、お金がなくなってしまうと心配している」とパトリックさん。「彼女が嫌でもわたしは辞めるかもしれない」と話す。
夫が65歳で自動的に仕事を辞め、企業年金をもらい、妻を引き連れフロリダのゴルフコースに出かけるという典型的な引退のイメージは、もうない。引退年齢に近い女性の多くは働いている。また夫とは別の引退用資金を持ち、夫とは引退に対する考え方が異なる。
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退職後も働き続けるかどうかでは47%で意見が衝突
「多くの女性は働き始めたのが遅く、男性がスローダウンしてきたときにキャリアのピークにいる」と語るドリアン・ミンツァー氏。ミンツァー氏は「夫婦の引退問題」という著作の共同執筆者で、「引退のタイミングは、けんかの種になりうる」と指摘する。
ワシントンのシンクタンク、アーバン・インスティチュートのシニア・リサーチ・アナリストのリチャード・ジョンソン氏によると、どちらかの引退後2年以内に退職する配偶者は半分しかいない。
退職年齢前後の夫は、妻より平均約4歳年上だ。年齢差が大きいほど退職する時期が遅くなる傾向があるという。
「昔に比べると話し合わなければならないことが増えた」とマサチューセッツ・ボストン大学のマクシミリアン・シノバス教授。団塊の世代の多くはパートタイムやいくつかの職を転々として段階的にしか引退しないため、その話し合いが延々と続く場合もあるようだ。
すべてのことについて議論する
引退後にどこに住むかという問題に比べ、いつ引退するかは微妙で難しい問題のようだ。いつ、という問題には、結婚生活の幸福度や一緒にいる時間が増えることについての考え方に加え、資産面や夫婦の年齢差、仕事への満足度、性別による役割の違いについての考え方が絡んでくる。
セラピストは、当然ではあるが、計画の重要性、明確なコミュニケーション、妥協の必要性を強調する。「場合によっては、意見が合わないということに合意することだ」とミンツァー氏。同氏と共著者のロバータ・テイラー氏は、退職年齢の夫婦が「将来見通しを共有」できるように支援している。
結構なことだ。だが、お互いの言い分に耳を傾けられる夫婦がどれだけいるだろうか。(プロの手助けがなくてという意味だが)
この問題について、わたしが取材しようとした友達の多くはコメントを控えた。かつてオープンに、年上の夫が引退して家にいることのストレスについて話してくれたある友達は、わたしが留守電にメッセージを残したのに電話を返してくれなかった。わたしがかけ直したとき、彼女は「彼は話したくないのよ」と語った。
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ライフスタイルについては33%の夫婦が異なる考え
また多くの夫婦が、夫婦間で議論する以上にわたしと話をしたと明かした。
昨年、リン・ベレットさん(73)は、妹が体調を崩したときセラピストの仕事を辞めた。彼女はニューヨーク州ドブス・フェリーのマーシー大学で音楽を教える夫のジョシュアさん(74)が4年前の70歳のときに退職するかもしれないと思っていた。
彼女がこの問題を持ち出したとき、夫は「今はその話はできない」と断った。「容易なことじゃない」とリンさんは語った。「わたしは、それぞれが自由でありたいと思っている」と話す。彼女はカリフォルニアとワシントンDCに孫がおり、孫の元にゆっくりと滞在したいと思っている。
しかしジョシュアさんは音楽史と音楽鑑賞を教える仕事に情熱を傾けており、「仕事を続けるかどうかは、わたしにとって極めて重要な問題だ」と語る。ただ段階的に引退することは考えており、向こう1年で引退する決意がつくかもしれないと語った。リンさんは懐疑的で、「そのうち分かるでしょう」と言う。だが、インタビューの彼の答えを聞いた後、彼の考えへ理解を深め、「びっくりした」と語った。
新しい役割を演じる
夫は通常、妻よりも年上だ。だからメディケア(高齢者向け医療保険)など退職に伴う恩恵を受ける資格を早く手にする。だが妻は働き続けたいと考えている。収入が家族のために重要で健康保険も失いたくないからだ。
伝統的な性別による役割分担(難しい話題だ)も話を複雑にする。先に退職した男性は主夫の役割を期待される。妻は、夫が料理をし、掃除をし、夕食を作って待っていてくれることを期待する。また夫は近所付き合いの経験がないため、家に一人でいることが多くなる。
アーバン・インスティチュートのジョンソン氏は、「妻と一緒に引退した夫よりも先に引退した夫の方が満足度が低い」と指摘する。夫が先に引退した方が、妻が先に引退した場合よりも問題が多い。その結果、妻より5歳以上年上の夫は長く仕事を続ける傾向がある。
ロバート・カラジャンさん(66)はカリフォルニア州ロングビーチに住む麻酔専門医だ。彼は妻のパットさんが引退したらすぐに引退しようと思っている。しかし、彼女はカリフォルニア州立大学の学際研究の准教授で仕事好きだ。彼女は、自由がきくスケジュールで働いており、引退は「非生産的」と考えている。
そのためロバートさんは休みを週4、5日にして働いている。空いた時間にヨガをしたり、瞑想のための椅子の開発を手掛けている。ロバートさんは先に引退するのは変な感じだという。「文化のせいだと思う。男は食いぶちを稼ぐものだという考えがしみついている」と語る。
二人が家で過ごす時間が増えると、誰が昼食を作るかという問題が頻繁に生じた。解決法は、それぞれが自分の昼食を用意するというものだった。
女性の場合、特に家に一人でいることの多かった女性にとっては、夫がやることもなく、日がな一日家にいるということが途方もないストレスになる。「夫は妻と一緒にいたがるが、妻はすでに夫に依存しない生活を確立している」。ミンツァー氏は、夫婦にどのぐらいの時間を一緒に過ごしたいと思っているかを確認するという。
計画を立てる
あらかじめ計画を立てておくことはいいことだ。
ボストンの弁護士、デービッド・スレード氏は、昨年65歳の誕生日に引退する予定だった。しかし誕生日が近づくと9年前に引退し、健康問題を抱えている妻のジュディさん(71)が、退職を待たないかと提案した。「65歳はまだ若い」というのだ。
ジュディさんは二人とも家にいるようになることを懸念したのだ。何の予定もなしに。「わたしは家に自分の世界がある。もし彼が打ち込めることがなければ、それはいい状態だとは言えない」と話す。
デービッドさんは、妻の懸念や健康問題、経済的な不確実性などのため退職を遅らせたと話す。「家計を健全にしたかった」と述べる。
夫妻は、ミンツァー氏、テイラー氏のアドバイスを受けた。デービッドさんは、ネパールの孤児の支援などさまざまなボランティア活動を考えている。
いつ退職するかという問題は他のあらゆる問題と密接に関わっている。家計的に可能かどうかの確信なしにいつ退職するかを決めるのは難しい。家を売れば資金が捻出できるかもしれない。しかし売るかどうかで夫婦が合意できないかもしれないし、もし売ったときどこに行くかを合意できないかもしれない。
議論が延々と続くのも仕方のないことだ。心臓専門医のジム・カッツさんは、最近悪性の皮膚がんと診断された。妻のゲイル・ブリューワーさんは、夫にすぐに引退して欲しいと思っている。しかしジムさんは退職後の資金の懸念をしている。ゲイルさんは家を売ればいいと思っているが、ジムさんは嫌がっているのだという。ゲイルさんは北カリフォルニアに家を建てる夢を持っている。だがジムさんは違う。彼は家の値段を懸念、不動産税が高いところに引っ越すことにも慎重で、カリフォルニアより地価が安いアーカンソーの山の中に中古住宅を買うことを考えている。
ジムさんは、夫婦間の議論は、クローゼットの中のボールのようだという。「ときどき出してきてキャッチボールをし、またクローゼットにしまう」ということを繰り返しているからだ。
そして、その間、彼らはずっと働き続けている。
記者: Kathleen A. Hughes
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http://jp.wsj.com/Life-Style/node_424551?mod=WSJFeatures
「高齢化するひきこもり家族」のサバイバルプラン――もしものときの公共料金や税金の支払いにどう備える?
「お金」見直し応援隊
ファイナンシャルプランナー 畠中雅子
2012年 4月10日
高齢化するひきこもり家族の相談が増えている
鈴木貴志さん(仮名)は、現在76歳。奥様は74歳。鈴木さんには一男一女がいる。長女(48歳)は嫁いで近所に住んでおり、大学生と高校生の子供がいる。
鈴木さんが胸をいためているのは、長男の貴之さん(仮名・45歳)のことだ。貴之さんは大学を中退し、アルバイトの経験は何度かあるものの、正社員として働いた経験はない。20代の前半までは、就業のための努力もしていたが、27〜28歳頃から外出もほとんどしなくなり、現在に至る。
40代に入ってからは、自室でボーっとテレビを見て過ごす時間が長くなり、“ひきこもり歴”はもうすぐ30年を数える。最近は、お風呂に入るのも、1カ月に1度くらい。鈴木さんは、生気もなくなってきている息子が不憫でならない。
当然、貴之さんの生活費は親の年金と蓄えで賄っている。本人名義の貯蓄は、100万円程度。夫婦で個人年金に入っていたので、親が生きている間は、生活費は赤字にならずにすんでいるが、「自分が死んだら、貴之はどうやって暮らしていくんだろう」と心配になる。最近は寝ても覚めてもそのことが頭から離れない。
親が亡くなった後、息子が暮らしていくためにはどうしたらいいのだろうか――。
2年ほど前にも当コラムで、ひきこもっているお子さんがいる家庭のライフプランについて書いたが、最近は上記のような相談を受ける機会が非常に増えている。今回は、前回の記事では触れていない内容をパート2としてご紹介していこう。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20100219/211733/
中心年齢は40代以上、「50代半ばのお子さん」のケースも
再度、ひきこもりのお子さんを持つご家庭向けのアドバイスを書く理由は、最近のご相談を受けるお子さんの中心年齢が40代以上になってきているからだ。最高年齢は「50代半ばのお子さん」だ。
お子さんの年齢が40代以上になっているということは、親の年齢は70代から80代になる。
ところが、相談を受ける中で強く感じるのが、親亡き後の生活設計を具体的に立てているご家庭は少数派という現実。長年のひきこもりにより、親は疲弊しており、「どうしたら子どもが生きていけるのだろうか」という強い不安感は持っていても、具体的な方法を模索していないのが現状といえる。
身体的な病気と違い、緊急性がないのが、生活設計を立てるまでに至らない理由かもしれない。今ではなく、1年後に生活設計を立てたとしても、状況にそれほど変化がないという現実があるため、「急いで、プランを立てねば」という気持ちがわきにくいのだと感じている。
とはいえ、10年、あるいは20年を超えるひきこもり歴のあるお子さんが、正社員として働くのは難しい。そこで私は、お子さんが働くことをあきらめるという前提に立ち、親が持つ資産で、お子さんの老後の生活まで成り立たせる「サバイバルプラン」を考えている。そんなサバイバルプランの中から、今回はまず公共料金の支払い方法からご紹介しよう。
贈与税の基礎控除額である年間110万円以下を活用する
親亡き後、住まいが残されたとしても、生きていくためには電気代、ガス代、水道代などのライフラインの費用を支払わなければならない。ひきこもっているお子さんが将来、ひとりで暮らしていくには電気代、ガス代、水道代だけでも1カ月2万円くらいはかかる。
ところが、ひきこもりのお子さんの中には、ライフラインにかかる費用を認識していない人も多く、公共料金の支払いをしたことがないのが一般的だ。
親が亡くなって、死亡届を提出すると、相続内容について相続人の同意が取れるまでは銀行口座などが凍結される。親の口座から自動引き落としになっていたライフラインの費用が、相続問題が片付くまでは、引き落とし不能になってしまうわけだ。
そうなると、自宅に郵送で支払い通知などの書類が届くはずだが、その書類を読み込んで毎月電気代などをきちんと支払うかは疑問が残る。開封すら、されない可能性もあるだろう。
料金を支払わないと、電気、ガス、水道などの順に、止まってしまうことになる。立派な家は残されたが、ライフラインが機能しない「在宅ホームレス」のような状態になる可能性が少なくないと思われる。
そのため、ご相談にいらした方には、公共料金の支払口座をお子さん名義の口座に変更してもらうように促している。電気代などの支払い口座は、「世帯主でなければならない」といった制限はないからだ。
また、生活費に使うお金であれば、贈与税がかかる心配も少ない。贈与税のことが心配であれば、贈与税の基礎控除額である年間110万円以下をお子さんの口座に入金するのがおすすめ。親が生きているうちに、お子さんのライフラインを確保すれば、お子さんの生活が成り立たなくなる危険性を排除できる。
固定資産税や国民健康保険料の支払いに備える
固定資産税や国民健康保険料などの支払いをどのように継続していくかも、検討しておく必要がある。電気代などはお子さん名義の口座に変更できても、固定資産税については所有者名義の口座でないと支払えないからだ。
国民健康保険料についても、所得のないひきこもりのお子さんは親の扶養家族として加入しているので、現在は親名義の口座から支払っているはず。親が現役であれば、会社の健康保険の被扶養者になっているはずだ。ところが、ひきこもりのお子さんがひとりで残された場合は、世帯主となって、国民健康保険料を払わなければならない。
国民健康保険料を払うといっても、所得のない状況が続けば、「均等割」(自治体によっては「世帯割」「標準割」などの負担もある)という、加入者全員が支払わなければならない分だけを支払えばすむ。国民健康保険料には、さまざまな減免制度も設けられているため、負担は少額ですむはずだが、保険料を支払わないと、1割や3割負担で医療を受けられなくなってしまう。医療費が全額自己負担(10割負担)になると、年を取って病気でもしたら、費用負担は大変だ。
公共料金のように、親が存命中にできる口座変更は早めにしておきたいところだが、親亡き後でないとできない対策は、誰に、どのように頼むのかを、早いうちに検討しておく必要があるだろう。
ご飯の炊き方トレーニングを
次は、お子さんの食事について。ひきこもりのお子さんの中には、ご飯を作ったことがないケースが多い。そのため、親が亡くなったら、毎日の食事に事欠くことが想定される。また、食費は1カ月当たり4万円ほどと見積もっても、ある程度自炊しなければとてもこの範囲では収まらない。
そこで私は、今のうちからご飯の炊き方を教えるようにアドバイスしている。具体的には、週に1〜2回でいいので、4〜5合程度のご飯を炊き、ラップに包んで冷凍保存する練習をしてもらうように促している。
なぜ、ご飯の炊き方を教えるのか。節約効果以外に、理由は二つある。一つは、ご飯さえあれば、おかずは缶詰やビン詰めなどでも、何とか生き延びることができると考えているからだ。
二つめの理由は、ゴミの問題。ひきこもりのお子さんは、お昼頃から午後にかけて起きる人が多いので、朝、ゴミを捨てられない。レトルトパックのご飯や冷凍食品、お弁当類ばかりだと、定期的にゴミを捨てないひきこもりのお子さんがひとりで暮らしていると、家の中にゴミが大量に溜まってしまうことにもなりかねない。ご飯を炊くとともに、ゴミを出せる曜日や時間なども、紙に書いて目立つところに張っておくのが望ましいだろう。
お米などの買い物は、自宅近くのネットスーパーなどを利用すれば、出かけなくてもすむ。パソコンを使っているお子さんも多いが、親亡き後、パソコンを買い替えたり、プロバイダーの費用を払い続けられるかはわからないので、電話1本で届けてくれるお店を調べておくのも重要だ。
サバイバルプランの中には、こうした生きていくための生活能力を磨いてもらう方法も含まれている。
銀行や役所に連れて行く
ひきこもり期間が長期化すると、外出を極端に嫌がるお子さんも多いはずだが、親亡き後に備えて、お子さんを銀行や役所にできるだけ連れ出す努力をして欲しい。銀行などの窓口で、親がおこなう手続きを「見てもらう」のが、とりあえずの目的である。
銀行などの金融機関では、窓口の手前に女性の案内係が立っていることが多い。ひとりで金融機関に出向いた時、女性に声を掛けられたら驚いてしまい、店舗から逃げ出してしまう可能性もあるので、「女性から声を掛けられたら、用件を伝えれば適切な窓口を教えてくれる」ということを、銀行の店舗内で教えておこう。
役所でも同様である。国民年金保険料の申請免除など、お子さんがひとりになったとき、しなければならない手続きについても、親が担当の課まで連れて行くのが望ましい。自治体によっては、役所でもひきこもりのお子さんの相談を受け付けてくれるところがある。住んでいる自治体の役所に親子で行き、「子どもがひきこもっているのですが、相談にのってくれる課はないですか?」などと聞いてみるのもよいだろう。
担当してくれる課があれば、「困ったら、○○課に行って相談するように」とか、「ひきこもり支援センターに行けば、相談にのってくれるはず」など、お子さんが困ったときの手がかりになるような場所があれば、できるだけその場に一緒に行ってみて欲しい。
ひきこもりのお子さんが、昼間、外に出たがらず、他人にも会いたがらないのは承知の上だが、ひとり残されて、困ってもSOSが発せない状況を防ぐには、嫌がるお子さんを外に連れ出すことも必要だろう。
ニート家庭のほうが、問題の根は深い!?
ニートやフリーターのお子さんを持つご家庭にも、サバイバルプランは応用できると、前回の記事でもご紹介した。だが、働いていないお子さんを持つご家庭の相談を受ける機会が増えるほど、ニートのお子さんをお持ちのご家庭のほうが、「もしかしたら問題の根は深いのではないか」と感じる機会が増えている。
なぜなら、ひきこもりのお子さんの場合には、障害年金を受給できているケースもあるし、生活設計を立てていないまでも、親が問題に正面から向き合っている。
ところが、ニートやフリーターのお子さんの場合、「いつか、きちんと働いてくれるのでは?」という期待感を持っている方が少なくない。その結果、サバイバルプランの話をしても、受け入れてもらえないのが一般的となってしまう。つまり、先送りの構造から抜け出しにくくなっているのだ。
ニートやフリーターのお子さんをお持ちのご家庭で先送りをしても、問題の根は深くなるばかり。少なくとも、お子さんが40代に入ったら、サバイバルプランを立ててみるべきだと考えている。働いていない子どもを残して死ねないからと、「自分が死ぬ時は、道連れにして……」などという物騒なことを考える前に(実際、相談の場で口にする方が少なくない)、親が持つ資産でどこまで生活できそうかを、真剣に考える必要があるだろう。
■変更履歴
4ページ目の第3パラグラフ冒頭で「国民年金保険料」としていましたが、「国民健康保険料」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/4/11 12:10]
「お金」見直し応援隊
厳しい社会情勢を受け、家庭の「お金」をどう考えていけばいいか提案を続けるファイナンシャルプランナーや税理士、社会保険労務士などの会。積極的な発言を続けている。
畠中 雅子(はたなか・まさこ)
ファイナンシャルプランナー、生活経済ジャーナリスト
畠中 雅子 3児の母。大学在学中にフリーライターとなり、女性誌、週刊誌、旅行誌などで活躍。マネーライターを経て、長女出産の翌年(1992年)、ファイナンシャルプランナーになる。新聞・雑誌・イン ターネットなどで多数の連載やレギュラー執筆記事を持ち、セミナー講師、講演、個人のマネー相談、金融関連調査、アドバイザー業務等を手掛ける。
得意分野は「生活設計全般」「教育資金設計」「生命保険の加入&見直し」「住宅ローン設計&見直し」など。40代以上のひきこもりの子を持つご家庭に向けた、生活設計のアドバイスにも力を入れている。2011年には、内閣府発行の「ひきこもり支援者読本」の執筆者にも加わる。
著書は、『お金のきほん』(オレンジページ)、『私たちの年金生活実例18』『年金家計簿』『子ども手当』(いずれも主婦の友社生活シリーズ)、『老後が危ない!年金月額16万円時代の生き残り術』(講談社)など、40冊を超える。 近々、『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』(近代セールス社)を上梓する予定。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20120410/305180/?bpnet
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