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家計債務急増の影響は最低5年続く、景気後退深刻に=IMF調査
2012年 04月 11日 01:12 JST
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[ワシントン 10日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は10日、家計債務が大幅に膨らんだ後に住宅バブルの崩壊やリセッション(景気後退)が起こった場合、その影響は一段と深刻になり、少なくとも5年間は続くとの調査結果を公表した。
調査は過去30年の先進国の動向を分析した。
欧米諸国では、2007年の金融危機以前に消費者債務が大幅増加していることから、今回の調査結果は、欧米経済が深刻な景気後退の影響からようやく脱却に向かい始めたばかりである可能性を示唆している。
調査によると、消費者債務が大きく膨らんだ後に危機が発生した場合、家計消費や国内の生産量はより急激に縮小するとともに、失業率は一段と悪化し家計のデレバレッジ(負債圧縮)もより顕著であることが分かった。
米国、スペイン、アイスランド、アイルランド、英国については、資産価格がすべての国で急上昇しており、その後の資産価格の急落に伴い、多くの家計で資産や収入が減り、債務管理がより困難になったとしている。
その上でIMFは、金融政策は利下げによって家計の返済コストを迅速に和らげることが可能と指摘。1990年代の北欧諸国の例が示しているように、政府は失業手当などの社会保障を手厚くすることで家計の返済能力を高めることができるとし、「これらのプログラムは、住宅価格の下落と総需要の減退というサイクルを軽減する一助となる」と分析した。
一方、プログラムには限界があり、慎重に策定される必要があるとも指摘。中銀は政策金利をゼロから引き下げられず、財政政策も規模が小さければ効果は薄い半面、あまりに広範な財政出動は金融セクターの健全性を損ねる恐れがあるとした。
調査結果はIMFが来週公表する「世界経済見通し」に盛り込まれている。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE83901F20120410
【肥田美佐子のNYリポート】
「シカゴを占拠せよ!」―ウォール街デモ、メーデーに反NATOで結集
2012年 4月 10日 15:24 JST
半年記念のデモを報ずる記事には今も数百のツイート
「オキュパイ・ウォールストリート(ウォール街を占拠せよ)!」(OWS)をキャッチフレーズに米反格差・民主主義デモがズコッティパークで産声を上げてから早半年余り――。
「99%対1%」「私たちは“99%”だ!」「銀行は救済、私たちは投げ売り!」をスローガンにウォール街の公園で始まった市民運動は昨秋、全米、そして世界へと広がったが、11月半ばのズコッティパーク一掃で活動拠点を失い、パワーダウン。現在は、小規模デモやワークショップなどを地道に続けながら、再活性化を目指して奮闘中だ。
誕生半年を記念し、3月17日には、ズコッティパークに一部のプロテスターズ(抗議者たち)が集まり、逮捕者も70人以上に上った。米メディアでも広く報じられ、何百ものツイートを集めた記事もある。米国市民の関心は失せていない。
ミッドタウンの大広場、ユニオンスクエアに足場を築く動きも見られ、複数の既存ウェブサイトに加え、「バーチャル再結集」の場として、OWS自らがニュースを発信する独立系メディアサイト「occupy.com」もスタート。寄付金や参加を呼びかけ、活性化を図ろうと懸命である。
とはいえ、熱狂と興奮のなかで、「ウォール街を占拠せよ!」を合言葉に1万人近い若者や退役軍人、活動家などがマンハッタンのダウンタウンを練り歩いた最盛期の勢いを取り戻すのは、そう簡単ではなさそうだ。
OWSは、フェイスブック上などでの呼びかけで若者を中心に始まった、「ソーシャルメディアの落とし子」ともいえる草の根運動である。だからといって、ウェブサイトを通したバーチャルな関係が主流では、結束力が弱すぎる。
欧米メディアは、OWSの将来や継続性をどう見るか
ドラムサークル(打楽器グループ)の騒音で「総会」の進行が妨げられるなど、ズコッティパークでは、オキュパイアーズ(占拠者たち)が、内部での摩擦やジレンマに苦慮する姿も見られた。だが、公園での触れ合いや夜を徹した議論、セレブリティーや専門家を動員した「ティーチイン」(勉強会)、そして、拡声器代わりに発言者の言葉を全員で繰り返す「人間マイクロフォン」を媒介とし、夜ごと何時間も開かれる総会は、「集団性」や団結を生み出した。
拠点を失って4カ月半余り。最近では、欧米メディアでも、OWSの将来や継続性を論ずるものが目につく。
『ロスアンゼルス・タイムズ』紙(4月5日付電子版)は、「『ウォール街を占拠せよ』は、話し合いや勉強会、テント以上のものになりうるか」と題する記事を掲載。OWSには指導者やアジェンダ、共通の大義がないという保守層の批判だけでなく、選挙区に人を送り込まないかぎり、国を変えることはできないというリベラル派の声もある、と指摘する。カリフォルニアの「オークランドを占拠せよ」は、全米で最も過熱化した占拠運動ともいえ、今年1月終わりにも、デモ隊と警官の衝突で400人以上の逮捕者を出している。
英誌『エコノミスト』(4月7日号)は、「革命について話そう」という記事のなかで、OWSは、中心になる権力機構やイデオロギー、統一された要求をもたない「反ヒエラルキー構造」ゆえ、メディアにとっては、手ごわい取材対象だと分析している。
言い得て妙だ。ズコッティパークで出会ったデモ参加者たちはオープンでフレンドリー、取材にも協力的で、個人的な大義や抱負を飽くことなく語ってくれた。一方、公式に話を聞こうとすると、マンパワーや組織力の不足か、広報担当者や代表役、オーガナイザー(呼びかけ人)をつかまえるのは至難の業だ。締め切りをにらみ、ひと汗もふた汗もかくのが常。記者泣かせである。
「主流メディアの報道は気まぐれで薄情。われ関せずか執心のどちらか」「逮捕者が出ないと、メディアは無関心」――。占拠運動関係者からはこんな不満が聞こえてくるが、自ら「売り込み」の芽をつんでしまってはもったいない。メディアへの露出は、一般市民にOWSを理解してもらう絶好のチャンスだ。共感を呼び起こし、パワーアップを図るには、広報戦略のテコ入れが必須だろう。
NYPDがホームレスを公園に送り込み、かく乱?
分かりにくいと言われる占拠運動だが、本やドキュメント映画も複数登場している。
自己宣伝で恐縮だが、『エコノミスト』が前出の記事で挙げるOWS本3冊のなかには、筆者が翻訳を担当した『私たちは“99%”だ――ドキュメント ウォール街を占拠せよ』(岩波書店)の原書『Occupy! Scenes from Occupied America』も入っている。
これは、デモを支持する映画監督やジャーナリスト、スラヴォイ・ジジェク氏などの著名思想家などが、ズコッティパークでのスピーチやエッセイの形で、運動への思いや理想、葛藤、希望などをつづった「内部記録」ともいえる1冊だ。
たとえば、エッセイ「ホームレスという問題」では、ホームレスや貧困という、国家レベルでも容易に解決できない問題をOWSのアジェンダに加えるべきかどうかで悩む若者たちの姿が描かれている。
同章によれば、あるホームレスの男性は、野宿中、警官にたたき起こされ、ズコッティパークに行くよう「勧められた」という。当時、OWS内部では、ニューヨーク市警(NYPD)がホームレスの人たちを公園に送り込んで、OWSのかく乱をねらっているという噂が出ていた。
U部のルポ編では、NYPDの圧力にも屈せず、数千人がウォール街に集い、「オキュパイ・エブリシング(すべてを占拠せよ)!」と連呼しながらデモ行進した運動最盛期の2カ月間が活写されている。
『エコノミスト』も評するように、T部最終章の「ランドリー・デー」は、エッセイのなかでも、物語仕立ての秀作だ。オキュパイアーズの汚れた洗濯物の山を大型トラックに積み込み、物価の安いマンハッタン北部のコインランドリーまで遠路はるばる洗いにいく様子が、ユーモアと哀愁に満ちたトーンで語られる。クリーニング店は使わない。低賃金労働の移民を搾取することになるからだ。
内部から「変革」を起こすべく、政界を目指す参加者も
すべての人が対等で平等な水平関係をなし、誰もが発言権を持ち、声なき声を救い上げる草の根運動――。サウスカロライナの州都を基盤とする「コロンビアを占拠せよ」からは、州議会の議席をねらうデモ参加者も出ている。シュプレヒコールを上げて取り囲んだ州議会議事堂の内部から「変革」を起こそうというねらいだ。
5月1日のメーデーには、シカゴで大規模なデモが予定されている。当初は主要8カ国首脳会議(G8サミット)がターゲットだったが、オバマ政権が開催場所をワシントン郊外のキャンプデービッドに変更したたため、OWSは、同月20〜21日に開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に照準を移した。
はたして「シカゴの春」は訪れるか。
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『私たちは“99%”だ――ドキュメント、ウォール街を占拠せよ』(肥田美佐子 訳/湯浅誠 解説)は、4月3日、岩波書店から刊行。
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肥田美佐子 (ひだ・みさこ) フリージャーナリスト
Ran Suzuki
東京生まれ。『ニューズウィーク日本版』の編集などを経て、1997年渡米。ニューヨークの米系広告代理店やケーブルテレビネットワーク・制作会社などに エディター、シニアエディターとして勤務後、フリーに。2007年、国際労働機関国際研修所(ITC-ILO)の報道機関向け研修・コンペ(イタリア・トリノ)に参加。日本の過労死問題の英文報道記事で同機関第1回メディア賞を受賞。2008年6月、ジュネーブでの授賞式、およびILO年次総会に招聘される。2009年10月、ペンシルベニア大学ウォートン校(経営大学院)のビジネスジャーナリスト向け研修を修了。現在、『週刊エコノミスト』 『週刊東洋経済』 『プレジデント』などに寄稿。『週刊新潮』、NHKなどの取材、ラジオの時事番組への出演、日本語の著書(ルポ)や英文記事の執筆、経済関連書籍の翻訳にも携わるかたわら、日米での講演も行う。共訳書に『プレニテュード――新しい<豊かさ>の経済学』『ワーキング・プア――アメリカの下層社会』(いずれも岩波書店刊)など。マンハッタン在住。 http://www.misakohida.com
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