★阿修羅♪ > 経世済民75 > 580.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
矛盾する統計で視界が曇る中国の成長見通し  農村の急速な変貌 残された老人たちが食料をフル生産  
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/580.html
投稿者 MR 日時 2012 年 4 月 11 日 00:44:59: cT5Wxjlo3Xe3.
 


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34964

矛盾する統計で視界が曇る中国の成長見通し
2012.04.11(水)
Financial Times 

世界のTシャツや「iPad(アイパッド)」、肥料の大半を供給している中国の製造業の健全性は、世界経済の状況を把握したいと思う人にとって極めて重要な指標だ。投資家が各種統計をじっくり調べる中、中国政府とHSBCが公表する競合する生産関連指標がほぼ正反対の状況を描き出し、実態を見えにくくしている。

正反対の内容になった政府とHSBCのPMI


世界の工場と呼ばれる中国製造業の健全性は、世界経済を大きく左右する〔AFPBB News〕

 中国の3月の製造業購買担当者指数(PMI)は53.1に跳ね上がり、1年ぶりの高水準をつける一方、HSBCが算出するPMIは48.3に低下した。50を超える数値は、工場の生産活動の拡大を意味し、50を下回ると縮小を意味する。

 では、中国の製造業は1年ぶりの速さで拡大しているのか、それとも以前より速いペースで縮小しているのか? これが、オーストラリアの鉱業会社から中国人経営者に至るまで、あらゆる人が答えを出そうとしている疑問だ。

 「中国経済は今、苦戦している」。中国自動車業界のある経営幹部は、外国メディアに話をすることで有力な政府高官との関係を損ねたくないとの理由から、匿名を条件にこう語った。「ある程度景気が減速しているのは明白だが、状況が大幅に悪化するかどうかは、3つのことにかかっている。欧州と(国内の)不動産市場、そして政府がインフラ投資を再び増やすかどうか、だ」

 中国の製造業は2008年に金融危機が勃発した頃ほどは輸出型ではないものの、依然として貿易に大きく依存している。多くのエコノミストは、中国にとって最大の輸出市場である欧州の景気後退を、今年の中国の経済成長のリスクと見なしている。

 3月の貿易統計は10日に発表されるが、中国の対欧輸出は2011年12月に前年同期比7%増加した後、2012年1〜2月期には同1%減少している*1。1〜2月期の輸出全体は前年比6.9%の増加にとどまり、12月の13.4%増から減速した。

今後の行方を左右する欧州、国内不動産市場、インフラ投資

 不動産建設への投資は昨年、中国の経済成長の約13%を占めた。だが、政府による厳格な購買制限もあって、不動産の売買件数と価格は落ち込んでおり、新規建設も後に続くと見られている。

 「不動産市場は経済の最も重要な部分であり、ほぼすべての産業に影響を与える」。やはり匿名を条件にこう語るのは、中国の大手木綿加工会社のオーナーだ。「誰もアパートを建設したり購入したりしていなければ、カーテンやシーツも買っていないわけだ。これは当社の事業にとっては本当に大きな打撃だ」

*1=10日発表された3月の貿易統計によると、貿易収支は53億5000万ドルの黒字となった。1〜3月期の対欧輸出は前年同期比1.8%減少した


 2008年の世界金融危機時には、中国の不動産市場が大きく揺らぎ、輸出が急減すると、中国政府が景気刺激策を実施し、経済成長を押し上げるために数兆元相当の銀行融資をインフラプロジェクトに回した。道路、空港、鉄道、アパートが中国全土で次々建設され、製造業はすぐに不況から立ち直った。

 エコノミストの間には、中国政府は今年、同じ対策を講じる可能性が高いと見る向きもある。規模こそ前回より小さくなるものの、金融政策を緩和し、インフラプロジェクトを通じて成長を刺激するという。

 主にこうした景気刺激策への期待から、多くのアナリストが最近、国内総生産(GDP)の成長率予想を上方修正した。2011年の成長率が9.2%だったのに対し、今年のアナリストのコンセンサス予想は8〜9%となっている。

 一方で、政府は今年のGDPの成長率目標を7.5%に引き下げた。目標が8%を下回るのは7年ぶりだ。中国は13日に第1四半期のGDP統計を発表する予定で、世界第2位の経済大国である中国は今年1〜3月期に前年同期比8.4%成長したと見られている。

 だが、地位の高い政策立案者と通じた一部のエコノミストは、中国政府には再び経済を刺激する意思も能力もないと話している。

中国政府にはもう景気刺激策を講じる力がない?

 清華大学の有力経済学者である袁鋼明氏は「中国の経済モデルに従うと、政府が成長を後押しする唯一の方法は金融政策の緩和とインフラ投資の拡大だが、今年それができるわけがない」としたうえで、「銃弾はすべて数年前に使い果たされ、インフラ投資はピークを越え、金融政策は既に緩和されている」と述べている。

 多くのアナリストは、今回はHSBCのPMIの方が恐らく公式PMIよりも正確だとの見方で一致している。政府がPMIを季節変動で調整する方法に問題があるように見える。また、事業会社の利益から電力消費量に至るまで、今年1〜2月期のあらゆる統計の弱さは、HSBCが描くより悲観的な状況を裏づけている。

 世界の工場が再び回転速度を上げ、世界経済が本物の回復に向かっているという兆候を探している人にとっては、これは悪い知らせだ。

By Jamil Anderlini


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34938
行って分かった中国の農村の急速な変貌残された老人たちが食料をフル生産
2012.04.11(水)
川島 博之

中国の農村と聞いて多くの人は暴動や貧困の話なのではと思うかもしれない。しかし、今回は暴動や貧困の話ではない。急速に変貌する中国の農村について書いてみたい。

 2012年3月、北京から西南の方向に車で3時間ほど、河北省の旧省都である保定に近い農村を訪ねる機会があった。

 北京や上海が急速に発展し高層ビルが林立する都市に変貌したことは多くの人が知っていると思うが、農村も急速に変化している。日本の農村が戦後70年かけて行ってきたことを、中国はここ10年ほどで成し遂げてしまった。

 今回の訪問でまず驚いたのが、中国におけるインフラ整備の速さだ。一昔前の中国では車線が明確でないことから、乗った車が遅い車を追い抜くたびに、対向車と正面衝突するのではないかとヒヤヒヤしたものだ。

 しかし、今回はそんな恐怖を体験することはなかった。それは片道4車線もある高速道路が出来上がっていたためだ。路肩には「香港 2253km」などの標識があったから、おそらく香港まで通じているのだろう。入り口にはETCもあった。車線が多くまだ自動車の数が多くないことから、とても快適な旅だった。

1人の農民の耕す農地は決して広くない

 ここで中国の農村について少し説明しよう。日本の農村では農地に農家が点在しているが、中国にはそのような風景はない。農家はある地域に密集しており、その周囲に広大な農地が広がっている。これは農地を効率よく使うためとされる。おそらく人民公社時代にそのような整理を行ったものと思われる。それは農民が1カ所にまとまっている方が管理しやすいという面もあったのだろう。

 農民の生活は豊かとは言えないが、まずまずの水準にある。訪ねた農家にはハイアール製の冷蔵庫と「CHANGHONG」と銘打った液晶テレビが置いてあった。ただ、便所は水洗ではない。中国人はトイレの汚さはあまり気にならないようで、どこに行ってもトイレをきれいにすることが一番後回しになっている。

 中国の農民は土地を所有していない。村が土地を所有しており、農民は村から農地を借りて耕作している。広大な農地が広がっていると言っても、1人の農民の耕す面積は決して広くない。

 今回訪ねた農村では、1人の耕作面積は8.6アールと言っていた。これは1人分だから一家を5人家族とすると、耕作面積は0.43ヘクタールである。そこで主に小麦とトウモロコシを作っている。自分の農地までかなり距離があるために、昔は自転車で今はバイクや自動車に乗って農作業に行くのだそうだ。

少人数の老人たちが大量の食料を生産している

 村の幹部から話を聞くチャンスがあったが、そこで聞いた内容は驚きであった。それを知らないと、現代中国は理解できないと思う。それは、訪ねた農村には1850人が住んでいるが、農業に従事しているのは労働人口の1割に過ぎないという事実である。

 若年労働者はほほ全てが出稼ぎに行っており、それは村の労働人口の4割にも上る。残りの5割は村に住んではいるが農業はしていない。近隣の工場や街で働いている。農業を行っているのは老人だけだと言っていた。

 農家の年間世帯収入は3万元(1元13円として約40万円)程度と言っていたが、農業からの収入は2割程度でしかない。その他は、出稼ぎに行った子供からの仕送りや工場で働いた賃金だと言う。

 これが中国農村の実態である。むろん、これは北京に近い農村であり、中国の平均的な農村とは言えないのかもしれない。しかし、安い労働力を求めて工場が内陸部にまで進出していることを考えれば、多くの地域でこれと似たような状況になっていると考えても大きな間違いではないだろう。

 中国で農村部に住んでいる人は6億人とされるが、実際に農業に従事している人は6000万人程度、それも老人である。その程度の労働力で13億の食料を作っている。

 それには化学肥料、農薬、また農業機械が大きな貢献をしている。今回訪ねた農村でも大型トラクターが行き交う姿を何度も見かけた。農業機械の購入に約3割の補助金がつくようになったために、中国の農村の機械化は急速に進んでいる。

 先ほども述べたように、中国では農地の中に農家が散在していないから、アメリカのような効率のよい農業が可能になり始めている。

 多くの貧しい農民が暮らし、暴動の温床と言われた中国農村は大きく変わりつつある。その原動力は、農業の発展ではなく出稼ぎと兼業だ。

 この事実は我々に多くのことを知らせてくれる。

 まず、化学肥料、農薬、農業機械の発達により、少人数の老人によって大量の食料が生産できるようになったことである。この事実を知る時、日本で「農業の担い手不足」などと言っている議論が、いかに的外れなものであるか分かろう。

 また農業から得られる収入が、低賃金の代名詞とも言える農民工の収入よりも悪いことである。これは取りも直さず食料が過剰生産気味にあることを示している。13億人を擁する中国でも、食料はちょっと努力すれば生産過剰になってしまう。だから食料価格が上がらない。

 そう言っても、食料価格の高騰は中国では大きな問題になっているではないかと反論されてしまいそうだが、長期のトレンドを見れば食料価格の上昇は賃金の上昇を大きく下回っている。だから、農業が割の悪い職業になってしまった。

産業構造の転換を迫られているが・・・

 今回の農村訪問は、期せずして中国経済が大きな転換点に差しかかっていることを知らしめてくれた。中国の農村には農民工の予備軍がいくらでもいると言われてきたが、そのような状況は終わりつつある。

 もはや農村に若者はいない。昨今、中国の農民工の賃金の急上昇が報道されているが、今回の訪問はそれを裏付けるものであった。

 また、都市部だけでなく農村部でも、道路などのインフラ整備が大きく進んだ。中国の経済発展はインフラ整備と安い労働力を使った輸出に依存していたが、今回の訪問では、それが転換点に来ていることを知ることができた。

 中国政府は、賃金上昇がもたらす内需拡大に、経済運営の重心を移しつつあるが、その政策がこれまでのように年率10%を上回る経済成長を可能にするかどうかは、はなはだ疑問である。

 農民がまずまずの生活を送るようになってきたと言っても、北京の人々に比べれば、圧倒的に貧しい。そしてその多くは輸出産業などで農民工として収入を得ている。そのために、賃金が上昇すれば輸出産業の競争力が低下し、農民工が働く場所がなくなる可能性が高い。既に外資系企業は、浙江省や広東省からバングラデシュやミャンマーに工場を移転し始めている。

 中国政府は、より付加価値の高い輸出産業の育成を図ると言っているが、農家の汚いトイレを見る時、それを実現するまでの道のりは遠いと感じざるを得ない。

 中国農民は忍耐強く勤勉に働くとされるが、大きな目で見ると、その民度は決して高くない。暴動が頻発するとされるのも、意見の発信や感情のコントロールが苦手なためだろう。政権批判を力で抑えつけてきたことから、自分でものを考えることが苦手なようだ。

 新興国にはなったが、そこからすんなりと洗練された先進国になれるか、道のりは険しいように思える。中国経済は大きな転換点に差しかかっている。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民75掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民75掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧