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Financial Times
気紛れな政治論争と化す米国雇用統計
2012.04.10(火)
エコノミストはかねて、米国の雇用者数に関する月次データが公表される第1金曜日に大きな赤い丸印をつけていた。今や政治家も同じことをやっている。
雇用創出と失業率を測る月次統計は、オバマ政権の経済運営の成果を測る代理指標となっているが、エコノミストが気紛れで信頼できないこともあるデータを慎重に取り扱っているのに対し、政治家は雇用統計を相手を殴る鈍器として使っている。
統計悪化で攻撃に出る共和党
雇用者数を分析する人は大抵、単月の統計を深読みし過ぎた挙句、翌月に矛盾する結果を突きつけられることになる。バラク・オバマ大統領と、共和党の対立候補となることがほぼ確実なミット・ロムニー氏にとっての難題は、雇用情勢に関して、毎月の雇用統計に一貫して当てはまるストーリーを描くことだ。
失業率を昨年8月の9.1%から今年3月の8.2%へと低下させた一連の力強い統計値は、オバマ大統領の支持率回復と合致してきた。しかし4月6日、3月の雇用増が予想を下回る12万人にとどまったという統計の発表とともに、攻撃の向きが変わった。
「これは雇用市場が低迷したままであることを示す、弱く、厄介な雇用統計だ」。ロムニー氏は6日、こう語った。「何百万人もの米国人がオバマ大統領の経済政策の高い代償を払っている。そして、やる気をなくしたあまり、完全に労働人口から脱落する人が増えている」
民主党は、統計は改善傾向の継続を示していると主張したが、守勢に立たされている。民主党全国委員会の委員長を務めるデビー・ワッサーマン・シュルツ議員は8日、CNNに対し、「本当に厄介なのは、議会の共和党議員やミット・ロムニー氏が経済崩壊を熱烈に求めているようにさえ見えることだ」と語った。
当てにならない武器
雇用統計は、巨大な数字の小さな変化を測ろうとするものだ。2月の2億4240万人の雇用者数と3月の2億4260万人の雇用者数の間の違いである。統計では、失業率の算出には6万世帯を対象とした家計調査を使い、月次の雇用創出の測定には14万1000社を対象とした事業所調査を利用している。
どちらの調査も特に精度が高いわけではない。多少の統計的有意性が生じるには、家計調査で40万人、事業所調査で10万人の雇用の変化が必要になる。
統計値は必ずと言っていいほど改訂される。後になって多くの調査結果が戻ってくるからだ。また、統計値は通常の季節変動パターンに応じて調整されているものの、天候の良し悪しで数字が上下する。
「3月の米国の非農業部門雇用者数の増加は、がっかりするほど小幅な12万人どまりで、2月の24万人増のちょうど半分だった。主としてこれは季節外れの暖冬の反動だ」と、トロントのキャピタル・エコノミクスのポール・アシュワース氏は言う。
ロムニー氏は就職をあきらめて労働市場から脱落する人の数を取り上げることで、確実な攻撃に近づいている。労働人口は3月に減少したが、その前の2カ月間で100万人近く増えており、米国経済が成長を持続すれば、事態は好転するだろう。
もっと確実な標的になるのは、労働市場への参加率だろう。2009年以降、労働参加率は2%(約500万人に相当)低下した。ベビーブーム世代の引退は、回復が極めて緩慢なものになることを意味している。
大統領は失業率低下ではなく、広範な雇用創出をアピールしろ
オバマ大統領にとっては、失業率の低下を誇示したいという衝動が強いに違いない。しかし、もっと大勢の米国人が職探しを始め、その結果、失業者として数えられるようになると、大統領は行き詰まることになる。
大統領はむしろ、2011年の初め以来、月平均で2万4000人に上る製造業の新規雇用など、広範で着実な雇用の増加を指摘した方がいい。大惨事が起きなければ、米国経済は雇用を創出し続けるだろう。
By Robin Harding
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