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役者だったバーナンキ議長
2012/04/07 (土) 11:26
米国で定例の雇用統計が発表になりました。結果は、3月は12万人の雇用者数の増加にとどまり、思ったほど雇用者数は増えなかった、と。但しその一方で、3月の失業率は前月の8.3%から8.2%にさらに低下した、と。
どうも米国の雇用統計というものは、いつも釈然としないのです。
雇用者数の増加が微々たるものなのに、失業率は低下する、と。
何故なのでしょう? いつもいつもアメリカ人はそのような疑問を投げかけるのです。
そしてその答えは、雇用統計は企業を調査対象とする統計と家計を調査対象とする二つの統計からなり、雇用者数の増加は前者の統計から算出されるのに対し、失業率は後者の統計から算出されるからなのだ、と。
まあ、いずれにしてもアメリカの失業率が8%台と依然高い水準にあることは事実。だからこそ、
大統領選でも雇用問題に関心が集まっているのです。
では、こうした状況にあるとき、ある偉い人が最近次のように言ったのを憶えていらっしゃるでしょうか?
「オークンの法則の最新版に従えば、1年間で失業率を1%ポイント引き下げるためには、実質GDPを潜在GDPよりも概ね2%以上上回って増やすことが必要であるとされる。この結果、もし潜在成長率が2%であるのならば、オークンの法則は、失業率の1%の低下を実現するためには、GDPが年率約4%で拡大しなければならないと述べているということになる。この歴史的な規則性に鑑みるとき、昨年の比較的控えめなGDPの成長率と、雇用市場の相当の改善の関係は1つの謎と言える」
これ、もう少し分かりやすく言えば、次のようなことになるのです。
「最近のアメリカの雇用回復のペースは非常に速い。何故ならば、雇用が回復するためには、実際の経済成長率が潜在成長率を上回ることが必要であるが、最近のアメリカの経済成長率はそれほど高くないからである」
さあ、この発言をしたのは誰でしょう?
答えが分かった貴方は鋭い!
実は、この発言はFRBのバーナンキ議長が3月26日に行ったスピーチの一節であるのです。
ひょっとして今貴方は、バーナンキ議長は心底学者だな‥なんて感じていませんか?
アメリカの雇用を一刻でも早く回復させる必要があるときに、最近の雇用回復のスピードは速すぎるのでは、などという発言がよくできたものだ、と。しかも、まだ失業率は8%台にあり、バーナンキ議長自身が、雇用が正常化したという水準とは程遠いと言っているにも関わらず、です。
まあこの発言、日本に譬えると、次のような発言と同じになるかもしれません。
「日本の少子高齢化の現実を踏まえると、最近の日本の経済成長率は高すぎるのではないか」
こんな発言をする人がいたら、その人が仮にノーベル経済学賞を受賞した人だとしても、袋叩きに遭うでしょう。日本がデフレで苦しんでいるのに、なんてことを言うのだ、と。
しかし、その偉い人は次のように言うかもしれないのです。
「日本の人口減少は思った以上に進んでいると考えた方がいい。確かに人口数でみると、未だ減少幅なそれほどではないが、勤労者層の人口だけで比べれば著しく減少している。つまり、それだけ生産能力が落ちているのだから、国内総生産が名目にしろ実質にしろ、もう少し減少してもしかるべきなのだ。それが、かろうじてプラスを保っているということは、大変な驚きなのだ」
まあ、そんな発言を聞いても多くの人々は憤慨したままでしょうが、しかし、一部には、なるほどそういう考え方もあるのか、と思う人がいるかもしれません。
バーナンキ議長の発言は、理詰めで考えればそのとおり。しかし、そんな発言は今のアメリカでは期待されていないのです。そんなことよりも、どうしたらもっと雇用を回復させることができるか、と。
では、何故あれだけ聡明なバーナンキ議長が世間受けするはずのない発言をしたのか?
それは、バーナンキ議長が雇用について明るい見通しを持っていないからに違いありません。というのも、バーナンキ議長は、2014年末までは現在のゼロ金利政策が続くと思ってよいと人々に断言しているからです。
ゼロ金利政策をそんなに長く続けるということは、それまでは経済が力強く回復することはないだろうと予想をしていることの裏返しであり、そして前述の如く、雇用の回復のためには潜在成長率を上回るほどの成長の勢いが必要であると言っている訳ですから、結局、雇用の力強い回復は期待しがたいということになるのです。
つまり、現実は大変厳しい状況にあるということを人々に認識させ‥従って、人々の期待値を低いものにすることによって、FRBに対する失望や批判を封じ込めようとしているのではないでしょうか。
今後大統領選が本格化すれば、益々ホワイトハウスからも注文が付くことが予想されるのですが、現在ほどの雇用の回復でも大変にありがたいものなのだ、と人々に暗示することによって機先を制しているのです。
一見、バーナンキ議長は、学者臭くてどうしようもない人物を装いながらも、一流の役者であったということなのです。
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2012/04/07/015461.php
バーナンキFRB議長の警告、米雇用統計が確かさ裏付けたか
4月6日(ブルームバーグ):バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先月、企業は緩やかな経済成長という局面に合わせて労働力を調整するため、雇用の伸びは鈍化する可能性があると警告していた。6日に発表された米雇用統計は、その確かさを裏付けたかもしれない。
3月の非農業部門雇用者数は前月比12万人増と、この5カ月で最も低い伸びとなった。職探しを休止する人が増えたことから失業率は8.2%と、前月の8.3%から低下した。
ブッシュ政権で財務次官補を務め、現在はメリーランド大学で教えるフィリップ・スウェーゲル氏は、「バーナンキ議長は世界で最も大きな『ほらね、言った通りでしょう』の言葉を発しているはずだ」と指摘。「FRBにとっては、現行の緩和的スタンスを継続することへの一定の安心感が生まれたに違いない」と続けた。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのチーフエコノミスト、ジョン・シルビア氏は、この日の雇用統計を受けてFRBが次回24、25日の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入拡大を決定したり、2014年遅くまで政策金利をゼロ近辺に維持する方針を変更することはないとの見方を示す。
シルビア氏はその上で、4月と5月の雇用関連指標が失望を誘う内容となった場合は、6月のFOMCで追加緩和を決める可能性が高まるかもしれないと指摘した。
今回の雇用統計に対する米金融当局の反応をより深く知る機会は、8日の週に訪れる。イエレンFRB副議長は11日にニューヨークでスピーチする。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は12日にシラキュースで講演予定。バーナンキ議長は9日、金融安定をテーマとした講演を行う。
原題:Bernanke Warning on Jobs Vindicated by March PayrollsReport(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 Craig Torres ctorres3@bloomberg.net;New York Alexander Kowalski akowalski13@bloomberg.net;Washington Lorraine Woellert lwoellert@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2012/04/07 18:48 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M23RLF6TTDS201.html
*国際収支-経常収支(2月)8:50
結果 11778億円
予想 11200億円 前回 -4373億円
結果 8541億円
予想 6500億円 前回 1352億円(1156億円から修正)(季調済)
*国際収支-貿易収支(2月)8:50
結果 1021億円
予想 1043億円 前回 -13816億円
http://www.gci-klug.jp/fxnews/detail.php?id=143991
#当面 円高・株安へ回帰
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