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インフレターゲットの危険性
最近、日銀がインフレターゲット称し1%のインフレ目標を掲げたが、やっていることは、今迄どおりの低金利、過剰な金融緩和であり、悪いことに公社債をさらに買い入れるそうだ。
デフレにおいて、インフレを目標にすることは当たり前のことだ。政府であろうと、日銀であろうと、経済専門家であろうとデフレを解消するためにインフレ政策を取るのは当然のことである。
しかしデフレでは、このような低金利や過剰金融緩和をいくらしてもインフレにはならない。逆にデフレを促進している。このことはこの20年間日本の低金利から明らかなことである。
生産者側にいくら低金利でお金を融通しても、市場全体にお金が回らない。それは、デフレ市場では消費者がお金を持っていないからである。
購買力のない経済であるにもかかわらず、生産物をたくさん作っても買う金額が増える訳ではない。
それ故、余計なお金が、海外へ流れたり、株式や地価に流れ、本来の最も流れてほしい市場へは回らない。
また公社債の買い入れは、恣意的になりやすく、自然な経済活動による新陳代謝を妨げる嫌いがある。不必要な会社や有効な会社の新陳代謝を妨げる。
日銀などがやると、効果が出ることが大切なため、日経平均の株や公社債を買う可能性が高い。自然な経済競争を大きく歪めてしまうだろう。
これまでも政府や日銀はインフレにしようとしたのであるが、意図する成果を間違った手段を取ったことにより成果がでなかったのである。それどころか悪くしたのである。
この20年間の日銀の所業により、名目GDPは20年前以上に低下させている。
これは今までのやり方の低金利や過剰金融緩和では、インフレにできず、デフレが進むことを証明している。
今回の日銀のやり方もデフレには全く筋違いであり根本的な誤りである。それ故特に金融市場を除く産業経済基盤であるハートランドはより以上に衰退するだろう。
この期に及んでなおも低金利や過剰金融緩和を続けるとは情けないことだ。しかも強力なそして引くに引けないインフレターゲット宣言は、どこまでも日本のデフレ市場を深刻化させ、金融市場でのバブルという強力な副作用を招くことになるだろう。
これにより日銀は、これから先長く徹頭徹尾、低金利と過剰金融緩和を続けるという印象を多くの人達が持った。しかもまずいことに、アメリカも低金利を14年度ぐらいまでは確実に続けるだろうという観測が流れている。
それ故、バブルになる可能性があるという問題である。ここでバブルというのは、実体経済と、金融市場の大きな乖離を言うのであり、同じように両方が膨れることを言っているのではない。
バブルはインフレではない。弾けて再び資金がなくなるデフレの現象である。現在、世界は欧米と日本という巨大な資金源を、金融資産の崩壊から大きく減じている。その結果世界全体で資金が減少している。
資金が減少しているというと、「何を言うか、過剰に融資しているではないかというであろう。」しかし銀行は担保以上にお金を貸すことは無い。
そのため欧米や日本の市場では、売上の下がった企業や資産価値の価格が下がっている企業にはお金が回っていかない。預金金利が下がり、消費力が落ちた市場では活力がないため、市場にお金が回らない。
それ故、余ったお金は金融市場や海外市場へと流れる。
しかもバブルの危険性は日本だけでなく世界的な広がりを持っている。アメリカも、ヨーロッパも、低金利を基調の政策としているからである。
自国で消化しきれない莫大な資金が新興国等に流れ
新興国のバブルが顕著になるだろう。そして新興国で発生した過剰な流動性が、再びブーメランのように回り、資金の流入が活発になり、日本の株価が吊り上がるのである。
バブルが弾けると、一気に株価や地価が下がるため、
借金を返すために資金が使われる。それが市場の資金減少となり金欠状態となり、消費の減退とともに、市場の収縮が始まる。
今現在、円安に振れ、株高を演出しているが、それは、今までの経験から、多くの人達が低金利で過剰金融緩和によって、経済が上昇すると、条件反射的に行動しているに過ぎない。
「デフレ下で実際に起こることは、市場のより深刻な低迷とバブルの再来である。日本で起こらなければ、海外のどこかでバブルが起こり、それが日本か、どこかで弾けることになるだろう。」
これまでは、日銀の低金利や過剰金融緩和では、日本の投資家や企業家はほとんど動かなかった。(リーマンショック前の、リーマンによる東京などの土地のミニバブルは別)
しかし今回、日銀がインフレターゲットを1%にしたことにより、アメリカの低金利の長期化の見込みとあいまって、世界の流れが変わったかのような印象を、与え始めている。
これは多くの株式評論家や、金融筋の専門家が、ここぞとばかり、こぞって株価を上げようと画策し、あらゆる媒体に株価の上昇トレンドのコメントを書いているからである。
彼らの生活苦を救うために、株価を引き上げられては、たまらない。今のところ彼らの思う壷になっている。
特にリーマン後、株価の低迷や金融市場の低迷が続いている。しかし今その基調はなんら変わっていない。
低金利は、税収を増やしてはいない。
そのため、実体経済の不調にもかかわらず、金融市場で、あまりの低金利と、過剰な金融緩和のため、冒険的な資金が金融市場に回る恐れが強いのである。
もし起こらないならば、それはこのようなインフレターゲットにだまされない賢明な投資家や企業家が多かったということか、あるいは、もはやバブルが起こせないほど、深刻なデフレ(金欠)であるということだ。
賢明な投資家や、企業家が多ければ、株価が吊り上がっても、実体経済の貧弱さを見て、それ以上株や社債を買わないから、バブルにならない。ここでバブルと言っているのは、金融市場と、実体市場の遊離を言っている。
デフレ市場の問題点は、ハートランド(産業経済基盤)にあり、そのために市場の消費を増やすような政策が必要なのである。
今回のインフレターゲットを1%としたことは、これ以降これを容易に取り下げることができない事になったということだ。
特に最近の傾向として、インフレターゲットの導入を強く主張する輩は、無制限な資金の投入を支持し、実際の担保に関係なく、無制限な国債の日銀引き受けや、無制限な紙幣の印刷をするよう日銀に圧力をかけている。
もはや普通の感覚とは言えないだろう。この20年間の低金利によるデフレが、彼らを苛立たせているようだ。デフレ下において低金利がなぜインフレに結び付かないかを考えられないらしい。
ごく単純な基本原理だ。デフレは消費が欠落したものである。それ故、生産量を増やしても所得が伸びず、資金が市場に回らないのである。低金利は、我々個人の預金金利を下げ、担保力が減じる。そのため銀行はさらなる貸しはがしをすることになる。融資額が増えることはない。
名目GDPは下がるのである。デフレ下での低金利による過剰融資は、実体経済市場で、名目GDPを下げるように働く。デフレ下では、低金利、過剰金融緩和はデフレを促進しているのである。
現在のように日銀が、低金利で、過剰金融緩和を続けると、実体経済は、低迷を続ける。そのため過剰に融資した資金が、株式などの金融市場に流れ、値上がりをする。
頑迷で野放図な低金利は、投機的で、冒険的、ギャンブル的なお金が株式などの金融資産に回り、価格を吊り上げる。その担保価値は大いに増えるだろう。
しかし日本はアメリカのような金融立国ではない。そのため実体経済の担保価値全体を引き上げる力はない。
日本は国債の大部分を日本の民間や銀行が持っている。そのため他の国より安全という考えで、外国から資金が流れ込むことも考えられる。
このように頑迷なインフレターゲットを目標にするような金融緩和は、今までどおり実体経済を縮小する方向に導き、金融資産を悪戯に膨張させる方向に導く。
一方では、下方へ、他方では、上方へ、そしてその遊離は確実に崩壊をもたらす。大きな差はより大きな借金を増やすことだろう。日本の致命傷になるやも知れない。
現在既に、チデジの失敗による家電や、円高による輸出産業の海外移転により、以前の有力企業が、大きな赤字や、利益減を余儀無くされている。今年の決算発表は多くの有力企業が芳しくない結果となる。しかし株式の値上がりはそのようなことを勘案していない。
あるいは、多くの株式市場や金融市場に関係する評論家は、そのような企業経営の悪さを顧みず、投資家を扇動しているように見える。
最近の低金利過剰緩和主義者の言は目に余る物がある。野放図にお金を刷れとか、日銀の国債引き受けを無限にしかねなくなっている。いくら低金利にしてもインフレにならないのは、低金利という手段が根本的に間違っているからだ。
インフレターゲットは、正しい政策取ればデフレ下の当たり前の政策なのである。しかし馬鹿げた間違った政策手段を取っているため、日本経済はより一層危機的状況下に置かれている。2、3年後にはバブルの崩壊という悪夢が再び来ないことを祈るばかりである。
政府は念には念を入れ、消費税の引き上げを目論んでいる。その実施は格好のバブル崩壊の切っ掛けとなろう。
(インフレターゲット論者にまさか消費税引き上げ賛成者はいないだろう。)これで日銀の総裁が消費税引き上げに賛成すれば大笑いである。
一言主
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotnusi
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