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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34913
スペイン政府：再度ユーロ危機の最前線に
2012.04.05（木） （英エコノミスト誌 2012年3月31日号）
スペインが再びユーロ危機の最前線にいる。
在職期間が100日を経過し、スペインのマリアノ・ラホイ首相のハネムーンは終わった。ラホイ首相は重要な地方選挙で敗北した。国債利回りは再びジリジリと上昇している。
3月29日には予定通り、大規模なゼネストが実施され、一部が暴徒化した〔AFPBB News〕
3月29日には、不満を抱くスペインの労働者が政府の改革と緊縮財政に抗議するためにゼネストを行う予定になっていた。ユーロ圏第4位の経済大国であるスペインは、再びユーロ圏最大の頭痛の種になっている。
ラホイ首相率いる中道右派の国民党は3月25日、世論調査の予想を裏切り、スペイン最大の自治州であるアンダルシア州の主導権を社会労働党から奪うことができなかった。
この結果が国民党にとって痛手なのは、単に大きな獲物を逃したからだけではない。アンダルシア州の選挙結果は、憤慨し、不安を抱く有権者が、4カ月足らず前に発足した政府への信頼を失いつつあることも暗示しているのだ。
早くも失われていくラホイ政権への信頼
昨年11月の総選挙では、アンダルシア州の有権者の46％が国民党に投票した。今回の地方選挙では、その率が41％に低下し、社会労働党が支配権を維持するのを許した（もっとも社会労働党も、議席を伸ばした共産党主導の統一左翼の助けを借りてやっと過半数の主導権を維持できただけだが）。
北部の小さな自治州であるアストゥリアス州で行われた選挙では、国民党は情けないことに第3政党になった。高揚感に沸く左派は既に、ラホイ首相に対する反発の始まりを歓迎している。
左派は今後もまだ、興奮することが多々あるだろう。ラホイ首相はゼネストの翌日に、ユーロ危機が発生して以降、欧州で最も厳しい緊縮予算の1つになる予算案を発表すると見られていた*1。
予算は「相当厳しい内容」になる、とラホイ首相は明言していた（実際、あまりに厳しいため、ラホイ首相は30年間社会労働党の支配下に置かれていた地方で勝利するという虚しい期待を抱いて、アンダルシア州の選挙が終わるまで予算案の発表を遅らせた）。
*1＝政府は実際、予算のカットや増税などで財政赤字を273億ユーロ削減する予算案を発表した。フランコ時代以降、最も厳しい緊縮予算となる
ラホイ首相には、憎まれ役になる以外に選択の余地はほとんどない。何しろ欧州連合（EU）はラホイ首相に、今年新たな節減で200億ユーロを捻出してほしいと思っている。だが、スペインが赤字目標を達成するつもりなら、本当の数字はそれよりもっと厳しくなる可能性がある。
スペインは歳出削減、景気後退、失業、税収減少という悪循環に入るため、優に550億ユーロは節減で捻出しなければならないと話すエコノミストもいる。スペイン国民1人当たり1166ユーロに相当する規模だ。
赤字削減計画はミッション・インポシブル
ラホイ首相がその予測に従ったとすると、スペイン政府は今年、既に12月に発表した150億ユーロに加えて、中央と地方を合わせて400億ユーロ相当の節減を果たさねばならない。アンダルシア州の投票が終わるまで予算を遅らせる決定をしたことは、8カ月間でこれを達成しなければならないことを意味している。
スペイン経済は今年、1.7％縮小すると見られている。失業率は23％に上り、なお上昇している。スペインのエコノミストたちは、「壮大な」苦闘、あるいは単に「ミッション・インポシブル（達成不可能な任務）」について話している。熾烈な削減が行く手に待ち受けている。例えば、ラホイ首相は、各省庁は平均で15％近く歳出を削減しなければならないと話している。
ラホイ首相は、スペインの信頼が危機に瀕していることを意識して、改革を推し進めると断言している。だが、仲間の指導者の中には、首相に対する信頼を失いつつある人もいる。EUの経済担当委員のオッリ・レーン氏やイタリアのマリオ・モンティ首相は、公然と懸念を表明している。
彼らの懸念の中心にあるのは、スペインの財政赤字だ。ラホイ首相は3月初め、2012年の赤字目標を、それまでEUと合意していた4.4％よりいくらか緩やかな国内総生産（GDP）比5.8％にすると一方的に発表した。
3月12日のユーロ圏財務相会合では、ジャン・クロード・ユンカー議長がスペインのルイス・デギンドス財務相の首を絞めるふりをする様子が写真に撮られた。
ジョークだったかもしれないが、根底にあるメッセージは苛立ちだ。スペイン政府はその会合で、目標を5.3％とすることで妥協した。
新たな目標は4.4％という従来の数字ほど厳しくはないが、それでも政府は2013年末までに赤字を3％に減らすことになっている。2年間で行う調整としては、ほかのどのユーロ圏諸国よりも厳しい（図参照）。
また、ラホイ首相は以前、自身が掲げた5.8％の目標が「現実的」であると主張していた。このことは、新たな目標が現実的ではないことを暗示しているのだろうか？
「8カ月間で達成するのは不可能に思える」と、学者のルイス・ガリカノ氏とヘスス・フェルナンデス・ヴィラヴェルデ氏はブログの投稿で書いている。ラホイ首相の問題は、目標よりも、むしろ出発点だ。スペインは昨年、主に放漫財政の地方政府のせいで、6％の赤字目標を2.5ポイントも上回ってしまったのだ。
今懸念されるのは、ユンカー氏らがデギンドス財務相だけでなく、景気回復を目指すスペインの試みの首をも絞めていることだ。シンクタンク、FUNCASのアンヘル・ラボルダ氏は、今年の緊縮財政がスペイン経済から少なくとも2％の成長を奪い取ると考えている。
明るい材料もあるが・・・
マリアノ・ラホイ首相はEUの圧力を前に、憎まれ役を買って出るしかない〔AFPBB News〕
ラホイ首相にとって、もっと明るい材料もある。国民党はスペインの17の自治州のうちまだ11州で権力を握っており、議会では過半数を超える議席を保有している。そのため、最長4年間の安定した政権がスペインに与えられるはずだ。
しかも、アンダルシアとアストゥリアスの投票が終わったことで、ラホイ首相は短期的な選挙の計算をしなくて済む。
経済面では、第1四半期のGDP縮小は従来予想されていたより緩やかなはずだ、とラボルダ氏は言う。1月の輸出は前年同月比3.9％増加した。
他の欧州諸国の景気後退が予想より緩やかであることは、輸出急増を維持する助けになるはずだ。公的債務は、増加しているとはいえ、ユーロ圏の基準で見れば少ない。
ラホイ氏は既に、精力的な首相であることを示している。改革は、欧州中央銀行（ECB）が欧州の銀行に供給した1兆ユーロの低利資金のうちスペインが得た分と相まって、問題を抱える銀行業界の統合を推進する助けになっている。
3月下旬には、カイシャバンクとバンカ・シビカの合併によってスペイン最大の銀行が誕生した。新たな労働改革は、問題企業に労働者を解雇するより賃金を減らすよう促し、失業と給付金支払いの増加に歯止めがかかると政府は期待している。
だが、どう見ても、スペイン人は悲惨な1年に直面する。それが、ラホイ首相が極力早く自身のプログラムを推し進めるべきもう1つの理由だ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34921
モンティ首相のハネムーンの終わり
緊縮策の痛みが広がり、試練の時に突入
2012.04.05（木）
Financial Times：
マリオ・モンティ首相がイタリアの信頼回復を図る、望みの持てるアジア歴訪から帰国するが、同首相率いる実務家内閣は、国内ではハネムーンが終わり、首相にとって最も厳しい政治的な試練が始まることを認識している。
左派系労働組合や中道左派の民主党の反対に遭い、論議となっている首相の労働改革法案は4日にまとめられ、議会に提出される見込みだ。選挙の洗礼を受けていないモンティ政権の生き残りは議会での党派を超えた支持に懸かっている。
国民生活に影響が出始め、労組などが改革に反発
シルビオ・ベルルスコーニ前首相（右）の後を継ぎ、国民に大歓迎されたマリオ・モンティ新首相（左）だが、就任100日間のハネムーンは終わりを迎えた〔AFPBB News〕
「ハネムーンは実に素晴らしい100日間だった」。ある政府高官は匿名を条件にこう語った。「国民はシルビオ・ベルルスコーニを追い出し、イタリアへの信頼が回復するのを見て大喜びした。だが、その段階はもう終わった」
昨年12月に可決したモンティ首相の300億ユーロ規模の緊縮法案は、増税が実行に移されるにつれ、国民がその影響を実感し始めており、そこへガソリン価格の上昇や家計の光熱費高騰が追い討ちをかけている。
世論調査では、内閣支持率が下落してきた。今年の国内総生産（GDP）の縮小幅がわずか0.4％にとどまるとの予測は、信じられないほどの希望的観測に見える。政府関係者や債券アナリストに言わせると、モンティ首相にとって同じくらい懸念されるのは、外国人投資家がイタリア国債の購入に戻ってきていないことだ。
彼らの説明によると、今年に入り国債利回りが急激に低下したのは、イタリアの銀行が欧州中央銀行（ECB）からの低利融資を活用して国債を購入したためだ。その効果は一時的なもので終わる可能性が高いが、イタリア政府はまだ、約4500億ユーロに上る今年の資金調達ニーズの4分の1程度しか確保していないのだ。
まだ残る「感染」のリスク
また、先月モンティ首相が警告したように、スペインからの「感染」の危険はまだ残っている。何しろ、イタリアが投資家の期待値を上回ったのに対して、スペインのマリアノ・ラホイ政権は期待に応えられなかった。
イタリア最大の企業ロビー団体であるコンフィンドゥストリアと自由市場支持者らは3日、モンティ首相に対し、「気骨を示し」、労働者憲章法18条の修正案（企業が従業員を解雇しやすいようにする措置）の希薄化を求める左派の圧力に屈しないよう求めた。
しかし、ユーロ圏の債務危機を凝視している投資家たちにとって、最大の懸念の焦点は、モンティ首相が長期的により大きな影響を持つ労働市場改革を押し通すかどうかというよりは、むしろイタリアで目先、政治不安が生じる恐れの方だ。
政治不安を招きかねない労働市場改革
このような状況では、モンティ首相は、第2政党の民主党を分裂させ、議会における広範な支持基盤を破壊するリスクを冒さずに、第18条に関して妥協する余裕を得られるかもしれない
民主党のピエル・ルイジ・ベルサーニ書記長は、この問題について方針をころころ変え、修正案に反対する意向を表明したかと思えば、民主党は、第18条修正問題を巡って全国ストを実施すると脅している、イタリア最大にして最左派の労組連合イタリア労働総同盟（CGIL）の人質にはならないと主張している。
一部の政府関係者は、労働市場改革に重点を置くモンティ首相の姿勢は戦略ミスになる恐れがあると話している。この問題が、改革の経済的価値に関する本質的な議論ではなく、政治的な戦場と化しつつあるからだ。
議会で最大勢力を誇るものの、来月の地方選挙を前に世論調査で支持率が低迷しているベルルスコーニ氏率いる「自由の人民」は、モンティ首相が自身の立場を堅持し、その過程で民主党を分裂させることを望んでいる。
モンティ首相の続投を望む投資家
仮にそうなった場合、1年後に予定されている選挙の後もモンティ首相が大連立を率いるという、外国人投資家と次第に多くのイタリア人政治家が抱く夢のシナリオは打ち砕かれることになる。
「イタリアが取れる最善策は、モンティ首相とモンティ政権を続投させることだ」と、米国人経済学者のヌリエル・ルービニ氏は言う。先週末にチェルノッビオで開かれた会議で、ルービニ氏は本紙（英フィナンシャル・タイムズ）に対し、「実際、今であれ次の選挙後であれ、モンティ首相が退陣することを望んでいる投資家は1人もいない」と語っている。
By Guy Dinmore in Rome
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE83300S20120404
ユーロ下落、ＥＣＢ総裁の経済見通しめぐる発言などで
2012年 04月 4日 23:26 JST
スペイン国債入札は利回り上昇、ＥＣＢ流動性供給が一定の下支えに
米ＣＦＴＣ、リーマン破綻絡みでＪＰモルガンに訴訟提起へ＝報道
焦点：米共和党本命候補にロムニー氏、本選は「いばらの道」
日経平均が今年最大の下げ幅、追加緩和を催促との見方も
［ニューヨーク ４日 ロイター］ ４日序盤のニューヨーク外国為替市場では、ユーロがドルに対し３週間ぶり安値に下落した。欧州中央銀行（ＥＣＢ）のドラギ総裁が債務危機や商品価格に関連して、ユーロ圏の経済見通しに対する下振れリスクを指摘したことを受けた。
スペイン国債利回りが上昇したことや、前日公表された米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）議事録で追加金融緩和への期待が薄らいだこともユーロを圧迫していた。
ユーロ／ドルは０．６％超安の１．３１４１１ドルとなった。この日の安値１．３１０５ドルは３月半ば以来の水準。
ユーロ／円も一時、１％超安の１０７．８８円と、３月１３日以来の安値をつけた。直近では１０８．１４円で取引されている。
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