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消費税増税には断固反対する
既得権益をほしいままにする大手メディアよ恥を知れ
2012.04.02(月)
川嶋 諭:プロフィール
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日本の大新聞は右も左も消費税増税大歓迎である。3月31日の日本経済新聞の社説は「首相はぶれずに突き進め」と増税反対派を牽制しているし、同じ日の朝日新聞は「やはり消費税増税は必要だ」の見出しで日本のためにはこれしかないという口調である。
しかし、大新聞の消費税増税大合唱には首を捻らざるを得ない。
前にも書いたが新聞協会は自分たちだけ消費税増税の適用除外を申請しているようだし、そもそも新聞は全国一律の定価販売が強制的に認められている。お役所から世界的にも稀な既得権益をたっぷり与えられているわけである。
さらには、日本独特の記者クラブ制によってさらなる特権的立場を与えられている。こうしたぬるま湯にいながら財務省主導の消費税増税に反対できる方がおかしい。消費税問題に関して新聞の書くことを信じるのはあまりに危険と言わざるを得ない。
消費税は本当に公平なのか?
そもそも消費税増税が必要だと言いながら、その根拠はかなり苦しい。例えば3月31日の朝日新聞の社説。消費税増税が必要な理由として3つを挙げている。
1つはなぜ消費税なのか。その答えとして次のように書いている。
「社会全体で支えあう社会保障の財源には、一線を退いた高齢者から、働く現役組まで幅広い層が負担し、税収をも安定している消費税がふさわしい」
クロヨンと呼ばれる極めて不公平な日本の税制に根本的なメスを入れるわけでもなく、公平だから必要だという論理のどこに正当性があるのか。
そもそも、消費税が公平だと言うが、これから結婚、子育てと続く若い世代の消費税負担率は定年後の世代よりはるかに重い。
しかもこれは時間の関数でもある。若い人たちは長い間、高い消費税を払い続けなければならないうえに、今後消費税率が加速度的に上がっていけば、最も不公平な扱いを受けるのが彼らである。
朝日新聞は第2の理由として、消費税以外の財源がないと言う。
「歳出削減に限界があるのも事実だ。一般会計の教育・科学関係費や防衛費、公共事業費、国家公務員の人件費は、それぞれ5兆円前後。大なたをふるっても、多額のお金が出てくるわけではない」
しかし、メスを全く入れずに消費増税を実施すれば、竹中平蔵・元金融大臣が指摘しているように、ザルの中に水をまくようなもので、いくら消費税を上げても足りなくなることは目に見えている。
イタリアの二の舞になりたくなければ安易な増税はすべきでない
3つ目の理由としては、低成長が続く中での消費税アップは景気に悪い影響を与えかねないが、早くやらないとさらに景気には悪い影響を与えるという。その理由としてイタリアの例を挙げている。
「欧州の債務危機では、主要先進国の一角であるイタリアまでが国債相場の急落(利回りの急上昇)に見舞われた。財政は日本よりはるかに健全なのに、投機筋の標的になった」
「市場に追い込まれる形での財政再建は厳しい」
しかし、イタリアは根本的な構造改革に全く手をつけず、今まで安易な消費増税やガソリン税のアップによって税収を確保してきた。その規律のなさがイタリア経済を苦境に追い込んだと言える。
もしイタリアを例に出すなら、消費税率を安易に上げることの危険性を説くべきであって、消費税率を上げる口実に使うのはおかしい。逆である。
大手メディアを含めて日本を食い物にしている既得権益者たちの規律を正すことなしに消費税を上げることは、実はイタリアの二の舞をイタリア以上のスピードで経験するであろうことを肝に銘じるべきである。
JBpressとしては、規律のない消費税増税には断固として反対する。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34893
ホント?−−経常収支が赤字化し、財政赤字を支えられなくなる
経常黒字が減少しても国債は暴落しない
デフレギャップを拡大させ、金利の低下をもたらす
2012年4月2日 月曜日
吉本 佳生
この回では、経常黒字の減少(もしくは経常赤字への転落)とデフレギャップとの関係を分析する。筆者は、経常黒字の減少は、1)デフレギャップを拡大させる、2)それに金利を低下させる圧力となる、3)従って、国債の暴落にはつながらない、と考える。以下、この論理を説明する。
国民経済計算も複式簿記の考え方に基づく
統計データで見た貯蓄・投資バランスは、国民経済計算に基づいている。そして国民経済計算も、国際収支統計と同様に、複式簿記の考え方に基づく。どちらの統計も、すべての経済取引を実物経済面と金融面の両方(2面)から把握する。だから、基本構造を示す式は、実物経済と金融の両面で解釈できる。平たく言えば、モノ(商品あるいは財と、サービス)とお金の両面で解釈できるのである。
具体的には、国際収支統計でも国民経済計算でも、モノが余っている時には、お金も同額が余っている。お金が不足している時には、モノも同じだけ不足している。国際収支統計がそうなっていることは、「なぜ経常赤字を見て、資本収支の黒字は見ないの?」の回で説明した式で分かる。
経常収支 + 資本収支 + 外貨準備増減 + 誤差脱漏 = 0
国際収支統計で外貨準備の増減と誤差脱漏を無視すると、「経常収支黒字 = 資本収支赤字」の関係が成り立った。この式は「海外に出て行くモノの金額 = 海外に出て行くお金の金額」を意味する。経常収支が赤字になれば、「経常収支赤字 = 資本収支黒字」、すなわち「海外から入ってくるモノの金額 = 海外から入ってくるおカネの金額」という関係に変わる。
貯蓄・投資バランスを示す式でも、同じことが言える。まずは、政府と海外の両部門を無視して、下図で基本構造を見てみよう。
マクロ経済における「貯蓄」の定義は、日常生活で言う“貯蓄”とは異なる。経済活動がある期間において生産したものが、同額の所得を生む。そのうち、その期間中に消費されなかった部分が「貯蓄」である。実物経済面を見れば、「貯蓄」はそれだけモノが余ることを意味する。金融面を見れば、「貯蓄」はそれだけお金が余ることを意味する。そのお金を企業などが借りて、それでモノを買って生産設備などとして使う。これがマクロ経済における投資だ。
貯蓄が投資より大きい時、「貯蓄過剰」の状態になり、モノとお金が同時に同規模で余る。もし、政府が余ったお金を借りて、それでモノを買って公共投資に使えば、モノとお金の両方を吸収できる。あるいは、海外にモノを輸出すれば、海外主体が支払いのための外貨を借りようとするから、輸出金額と同規模のお金を海外に貸すことができる。モノとお金の両方が海外に出て行くのが、経常収支黒字の国の基本パターンだ。
デフレギャップはモノ余り、カネ余り、金利低下の圧力
デフレギャップは、実物経済面でモノが余っていることを示し、失業や企業倒産の原因となる。これを金融面から見ると、金融市場全体で資金供給が資金需要を上回っている状態だから、金利低下(あるいは低金利)の原因となる。金利は、金融市場の需給を調整する価格だから、供給が大きすぎるなら、下落してそれを調整しようとするのだ。
つまり、貯蓄・投資バランスに注目する分析では、デフレギャップは「(実物経済面での)失業・企業倒産の原因」であると同時に、「(金融面での)金利低下の原因」となる。デフレギャップがある限り、金利には低下圧力が働く。
もちろん、金利は他の要因からも影響を受ける。しかし、経常収支の黒字・赤字と財政赤字の関係を、日本国内の貯蓄・投資バランスに絡めて分析するのであれば、「デフレギャップ = 金利低下の原因」が基本原理となる。
経常黒字が減少すれば、デフレギャップが拡大し金利が下がる
これを意識しながら、計画段階での貯蓄・投資バランスの関係を、今の日本経済を前提に示して再検討しよう。既に説明したように、次の式で表現できる(図も示す)。あくまで計画段階での貯蓄・投資バランスで考える。
まず言えることは、民間部門の貯蓄過剰が変化しない場合、経常黒字が減少すれば、デフレギャップが拡大し金利が下がる、ということだ。
民間部門の貯蓄過剰 = 経常収支黒字 + 財政赤字 + デフレギャップ
もし、近い将来に、経常収支黒字が大幅に減少したとして、それが民間部門の貯蓄過剰と財政赤字の大きさに影響を与えないなら、デフレギャップは拡大する。外需が減るのだから、当然のことだ。ただし、不況の深刻化に対して、日本政府は財政支出を拡大させるだろうし、税収は減るだろうから、財政赤字は実際には拡大するだろう。
そして、経常収支が赤字化すると、次の図のように変わる。
さらに外需が失われたことに対応して、財政赤字が拡大すると想定した図にしている。
こうして図にすると、金利低下の原因となるデフレギャップが、そう簡単にはなくならないことがよく分かる。仮に、10兆円の経常収支黒字が5兆円の経常収支赤字に転じるとすれば、差額である15兆円の外需が失われたことになる。これをすべて、財政政策で補った――結果として財政赤字を拡大する――として、それでもなお、民間部門の貯蓄過剰の大きさが変わらないなら、デフレギャップの規模も変わらない。強力な金利低下要因は残されたままだ。
これまでの日本は、財政政策ではデフレギャップをなかなか消せないからこそ、外需に頼って不況圧力を弱めてきた。そして、アメリカなどの海外政府から時に批判されてきた。そんな国が、外需の激減――すなわち経常黒字の激減、もしくは経常赤字への転落――に直面したからといって、それを財政政策ですべて補えるはずがない。だから、もし日本の経常収支黒字が赤字に転じれば、デフレギャップが激増し、より一層の金利低下圧力が生じる。従って、国債が暴落することは考えづらい。
外需が激減しても貯蓄過剰は変わらない〜金利は下がる
ここまでの議論は、民間部門の貯蓄過剰が変化しないことを前提にしている。実際には、外需の激減は民間部門の貯蓄過剰も変化させるだろう。この点を考慮すると、話はいきなり複雑になる。ただ筆者は基本的には、外需の激減が、計画段階での貯蓄過剰を強める可能性が高いと予想する。
まず、家計はより多く貯蓄しようと計画するだろう(計画段階の話だから、所得の減少は想定しない)。予想がさらに難しいのは、企業の方だ。利益率が高い海外市場での売り上げが減るのだから、貯蓄に回す原資が減る。一方、海外でも売れないとなれば、設備投資をさらに減らすはずだ。企業部門については、貯蓄と投資のどちらがより大きく減るかがポイントになる。
結論として、経常収支黒字が赤字に転換するほど外需が激減しても、その効果をすべて打ち消すほど劇的に、民間部門の貯蓄過剰が減少するとは思えない。だから、経常収支はデフレギャップを拡大させ、むしろ日本国債の金利低下圧力を強めるのではないかと、筆者は予想する(もともと、経常収支は赤字化しないと思う。この点は次回で根拠を示す)。
インフレギャップが生まれない限り、金利は上昇に転じない
結局、日本の経常収支黒字の減少を、日本国債の暴落不安に結びつける意見は、日本の民間部門の貯蓄過剰が劇的に縮小し、いきなり貯蓄不足になることを前提にしないと、成り立たない。この意見は、日本の民間部門の貯蓄過剰と、民間に政府を加えた日本国内の貯蓄過剰の話を単純に同一視し、財政赤字が国内の貯蓄・投資バランスに与える影響を過大評価しているのかもしれない。
繰り返しになるが、デフレ不況の現況をきちんと考慮するためには、計画段階での貯蓄・投資バランスに注目する必要がある。基本原理は単純だ。貯蓄・投資バランスだけで言えば、経常収支黒字が赤字に転じたとしても、それが日本国債の暴落にはむすびつきにくい、というのが筆者の見解である。貯蓄・投資バランスを軸にした分析では、インフレギャップ(景気過熱の原因)が生まれない限り、金利は上昇に転じないからである。
もちろん、金利や国債価格は他の要因からも影響を受ける。長期国債の金利や価格は、心理的なインパクトに影響されやすい面がある。だから、経常収支の黒字基調が長く続いた日本が経常収支赤字に転じれば、金融市場に心理ショックを与える可能性があるだろう。そこで次回は、国際収支統計の中でもこの議論のポイントになる、所得収支の今後を、貯蓄・投資バランスの分析に絡めて考えることにする。
このコラムについて
ホント?−−経常収支が赤字化し、財政赤字を支えられなくなる
2011年の貿易収支が赤字になった。月単位では時々、赤字になることがあった。だが、年単位で赤字になったのは31年ぶりのことだ。2012年に入っても、1月の貿易収支が過去最大の赤字になったと騒がれた。
しかし、なぜ騒がれるのだろうか? 世界のすべての国の貿易収支を合計すれば、理論上は、ゼロになる。だから、黒字の国もあれば赤字の国もあるのが当然だ。経常収支も同様である。
どうやら「日本の経常収支がやがて赤字化する」。すると「日本国内で貯蓄が不足し、日本政府の財政赤字がファイナンスしにくくなる」。「日本国債が暴落するのではないか」との懸念がある……ということらしい。
正直なところ、この論理は、私には支離滅裂にしか思えない。しかし、いろいろなメディアで論じられている。せっかくの機会だから、貿易収支や経常収支と財政赤字の関係について、きちんと考えてみよう。
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著者プロフィール
吉本 佳生(よしもと・よしお)
経済学者(エコノミスト)。1963年三重県紀伊長島町生まれ。名古屋市立大学経済学部卒業後、住友銀行勤務を経て、名古屋市立大学大学院経済学研究科満期退学。広島市立大学と南山大学での専任教員を経て、2009年4月からフリーランスになり、著述業を中心に活動。2012年4月から関西大学会計専門職大学院特任教授に就任予定(2014年度まで)。著書に、『家計を蝕む「金融詐術」の恐怖』(講談社)、『日本経済の奇妙な常識』(講談社)、『出社が楽しい経済学 DVDブック』(全4巻、日経BP社)、『スタバではグランデを買え!』(ダイヤモンド社)など。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120321/230113/?ST=print
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