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なめるな東電!「川口市の中小企業が(電気代)不払い運動」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32168
2012年04月01日(日)フライデー :現代ビジネス
吉永小百合主演の映画『キューポラのある街』の舞台で、鋳物の街として知られる埼玉県川口市。当地の鋳造業「児玉鋳物」の4代目社長・児玉洋介氏(68)は、東京電力から届いた1枚の紙を手にしながら、怒りを露にした。
「年間361万7000円もの出費ですよ。町工場は、中国との価格競争もあり厳しい状況の中、リーマンショック以降様々な経営努力をして、何とか持ち直したんです。東電の実施するリストラ策は、ハッキリ言って甘い。給与をカットしても、同じ規模の会社の平均給与よりも2割も高いし、渋谷や内幸町といった都心の一等地に、大きなビルを持ったままじゃないですか。それなのに、従来の電気料金での契約期間が残っている企業に対しても、特別に申し出なければ4月から値上げを適用しようとしているんです」
東電管内での平均17%にも及ぶ企業向け電気料金の値上げが、4月1日から実施される。政府や各自治体は、1月17日の値上げ発表時から猛反発し、東電の体質改善がなされていないと批判している。
電力市場の自由化の流れの中で、'05年に特定規模電気事業者が50kW以上の電力を使う法人に対し、電力を売ることが許可された。それに伴い、東電がそれら法人に対し独自で電気料金を設定できることになった。今回はそれを適用した料金改訂であるため、東電は問題はないとして値上げを強行するのだ。
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東電からの通達を見ると(写真)、児玉鋳物は1kWあたり2・61円の増額となり値上げ率は14・1%、1年で360万円超の出費となる。中小企業に重くのしかかることは容易に想像がつく。
「今回の値上げで従業員の給料は上げられなくなるし、ボーナスも払えなくなってしまう。余力のない会社は、倒産や廃業してしまうかもしれません」(児玉氏)
3月2日、児玉氏が会頭を務め、約7600社が名を連ねる川口商工会議所は、東電に対しNOを突きつけた。加盟企業に実施したアンケートで値上げ反対が回答の7割超を占めたため、「電気料金不払い運動」を行う決定を下したのだ。
「新料金は容認できないので、再考するよう東電と交渉中です。決裂したら法務局のような第三者機関に、値上げ分を引いた金額を供託金として預けます。払うおカネはあるが、値上げ分は払わないという姿勢を見せるつもりです」(児玉氏)
同商工会議所は値上げが独占禁止法に抵触するとして、公正取引委員会に訴えることも検討中で、同じ埼玉県の春日部市と熊谷市の商工会議所も同調している。
埼玉県も、東電に対してNOを突きつけた。上田清司知事(63)は、定例記者会見などで再三にわたり、「計画停電に協力した相手に対して、『値上げは権利だ』という言葉が出てくる。東電は、国民に迷惑をかけたという自覚に欠けている」と批判している。
埼玉県庁でこの問題を担当する、総務部行政監察幹は、こう語る。
「値上げには算定根拠がなく、具体的な経営合理化策も不明瞭。値上げのベースとしている現行料金の妥当性にすら疑問がある。この状態で県内の中小企業を圧迫する値上げに賛成できるはずがない」
埼玉県が疑問を呈する現行料金の前提は、'08年度の為替レート(107円/ドル)と原油価格(93ドル/バレル)だ。これを基に東電が試算した'12年度の燃料調達費は9170億円。しかし、'11年度の為替レート(80円/ドル)と原油価格(112ドル/バレル)で埼玉県が試算すると8256億円となり、914億円も少なくなる。
それに加えて埼玉県は、東電が現在実施している社員の給与削減を2割から3割に増やせば、値上げ幅を6%程度に抑えられるという試算を発表し、東電にぶつけたが、東電は明確な回答を避けている。そもそも東電は、電力会社の高コスト体質を助長していた総括原価方式(注)を死守することに必死で、この制度を見直そうともしていない。
国会の原発事故調査委員会設立に携わり、東電の責任を追及する自民党の塩崎恭久元官房長官は、こう斬り捨てる。
「今回の値上げは、原発事故の発生と収束・賠償に関して、東電とその利害関係者が責任を果たしていない結果、生じたものです。東電は火力発電にかかる経費と言いながら、実際は賠償の原資を集めにかかっています。中小・零細企業に負担をかけるのは許せない」
いつものことだが、東電に見解を聞いても「電気料金値上げをご了承頂けるように、誠心誠意お願いしていくしかない」(広報部)と、何ら具体性のない回答が返ってくるのみだった。
誠意の欠片も見られない東電は、7月に家庭用電気料金の値上げを画策している。塩崎氏は、「一般家庭への値上げには経産相の許可が必要となるため、未然に厳しく追及する」と語るが、狡猾に自己保身を謀る東電を叩き直すためには、今回の値上げから断じて許すべきではない。
「フライデー」2012年4月6日号より
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