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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M19QW50YHQ0X01.html
3月26日(ブルームバーグ): 平野英治トヨタフィナンシャルサービス副社長はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、日本銀行が物価上昇1%を目指すと表明して長期国債10兆円の追加購入を決めたことは「非常に絶望的な行為」であり、「ある種のルビコン川を渡ってしまったように見える」と述べた。
平野氏は2002年から06年まで日銀理事を務めた。21日行ったインタビューで、2月14日の決定について「危険なのは、日銀がデフレ脱却の意志を示して行動すれば、円高修正が進み、デフレから脱することができるという、ある種の幻想を助長してしまったことだ」と言明。10兆円の長期国債購入が物価1%上昇という目標達成にどれほど効果があるかについても「極めて限定的だ」と話す。
一方で、「より積極的にデフレ退治をする、そのために国債を買うと受け止められていることに対し、日銀は応えていかざるを得ない」と指摘。「マネタイゼーション(財政の貨幣化)の定義は明確でないが、日銀の国債購入額は国債増発額とほぼ同じ額になった。これを何というのか。日銀はそういう未知の世界に踏み込んでいる」と語る。
日銀は先月14日の金融政策決定会合で、消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率1%が見通せるまで強力に金融緩和を推進していくと表明。10兆円の長期国債買い入れ増額を決定した。これを受けて為替市場で円安が進行。株価はこれを好感して上昇し、日経平均株価は1カ月後の3月14日に7カ月半ぶりの1万円台を回復した。
■ トリプル安の悪夢
平野氏は「日銀の決定は円高修正のサイドファクターであり、メインファクターは欧州債務危機問題の一服と、米国経済に対する見直し機運の2つだ」と指摘。そこで明るいムードが漂い始め、円高修正の流れが始まったところで、「日銀の決定がある種のサプライズをもたらしたので、それに市場が反応した」と言う。
さらに、「日銀は当面1%をゴールとして、その先はもっと上げていくということだろう。蜃気楼(しんきろう)のような感じで、需給ギャップが埋まり物価が1%を超えて2%に近づいていくようなことは、なかなか想像できない」と言明。「むしろあるとすれば、日本に対する悲観論が強まって、円・株・債券のトリプル安になり、物価がどんどん高まっていく悪夢のシナリオも考えられないことはない」と語る。
平野氏は「日本の政策立案能力が落ちており、外部環境も悪い。そうした中で中央銀行に負担がかかっており、日銀は結果として大盤振る舞いを続けざるを得ない」と指摘。近未来に心地よいインフレを達成できるめどが立たない中で、日銀が今回とった政策は「非常にデスパレート(絶望的)な行為だと思う」と語る。そして、「あえて日銀がある種のルビコン川を渡ってしまったのではないか、というふうに設問すると、私には渡ったようにみえる」と話す。
■ 最も不均衡が蓄積しているのは国債市場
日銀は物価上昇1%を目指して強力に緩和を推進すると表明する一方、金融面の不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問題が生じていないことをその例外条件としている。しかし、政府債務残高が対名目GDP(国内総生産)比200%を超える状況でありながら、10年物利回りが1%前後で推移する国債市場こそ不均衡が最も蓄積した市場ではないかとの問いに、平野氏は「そうだ」と答える。
万一、その国債相場が暴落すれば「国債を大量に持っている金融機関は逃げようとするだろうが、当然大きな損失が出て、金融システムがものすごく不安定になる。株価や、国民経済にも大きな下振れショックが加わり、世の中がパニックになる」と語る。
その場合、「日銀が国債を買うか買わないかと問われれば、それは買うだろう。中央銀行は危機の時は何でもする。そうなったらおしまいだから、そうならないよう一生懸命時間を買っているが、展望もなく時間を買っているのに近いかもしれない」と指摘する。日銀が国債の暴落を止められるかどうかは「中央銀行は万能ではないので分からない。しかし、日銀はそれでも止めようとするだろう」と言う。
■ 外債購入も検討すべき
国債以外に買えるものとして、平野氏は外貨建て資産を挙げる。「日銀の資産買い入れ等基金は、できることは何でもやるという枠組みなので、外債だけ線引きする意味はない」と言明。「岩田一政元副総裁が言われるように、政府と協力して基金を作り、外債を買えばいいではないかという意見も、検討の余地がある」と語る。
その上で「ただ、これも時間稼ぎにすぎない。そのコストもどんどん高くなっている。稼いだ時間の中で日本が何をするのかの方が問題であり、日銀の一挙手一投足が過度に世の中で注目されことは、日本全体として本質的な問題から目をそむけることになる」と懸念を表明。「残念ながら、2月14日の決定はそういう傾向を強めてしまった」という。
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