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日銀の物価上昇1%達成でも真のデフレ脱却と言えず−渡辺努東大教授--(ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M1MDTO07SXKX01.html
3月29日(ブルームバーグ):東京大学大学院の渡辺努教授はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、真の物価は総務省の消費者物価指数(CPI)前年比上昇率より1ポイント以上低い可能性があるとし、日本銀行が目標として掲げる1%に達しても、デフレから脱していないという事態が起こり得ると述べた。
渡辺教授は日銀出身で一橋大学教授を経て現職。インタビューは26日に行った。教授が現在取り組んでいるのは、総務省と異なるCPIの算出。同省は調査員をスーパーに派遣し、サンプル調査で集計する。これに対し渡辺教授らは、スーパーのレジにあるスキャン(データ読み取り機)で記録された全ての値段と数量を400店舗分ほど集めた上で、同省と異なる基準でサンプルを抽出する実験を行った。
教授は「サンプル抽出の方法を少し変えることで、出てくる数字がどのくらい振れるのか、総務省の数字をどの程度幅を持って見る必要があるか評価しようとした」という。CPIは過去10−15年ほど毎年1%前後下落しているが、「抽出を変えると物価がより大幅に下がる傾向があり、一番大きいケースだと2%下落になる」という。
日本の物価は品目のウエートを基準年に固定して加重平均する「ラスパイレス指数」を採用しているが、基準年から時間が経つにつれ価格下落を過小評価する傾向がある。同教授は「米国が採用している指数の方が誤差が小さいことが分かっており、指数の作り方まで考えると、2%を上回るデフレになっていたかもしれない」と語る。
1%の根拠
渡辺教授は「仮にCPI上昇率が1%になっても、おそらく真剣に測ったインフレ率、あるいは米国流の方法で測った指数では、まだマイナスである可能性が高い」と指摘。「真実としては、まだデフレが起きているにもかかわらず、数字上は1%になったので、デフレが終わったと判断される可能性がある」という。
日銀は先月14日の金融政策決定会合で、「物価安定のめど」としてCPI前年比上昇率で2%以下のプラスの領域、当面1%と明示。その上で、当面1%が見通せるまで強力に緩和を推進していくと表明した。日銀は数値を示すにあたり、@物価指数の計測誤差A物価下落と景気悪化の悪循環への備え(のりしろ)B家計や企業が物価安定と考える状態(国民の物価観)を踏まえて検討したとしている。
渡辺教授は「1%の根拠は何かをもっと明確にすべきだ。誤差と言っても、私たち以上に踏み込んだ研究をしている例は、私の知る限りない。日銀は何を根拠に、どの数字を見て、どの程度の誤差があるかという説明を一切していない」と語る。
望ましくない物価観を壊すべき
白川方明総裁は2月14日の会見で、国民の物価観について「海外が2%だから日本も2%だと出した場合、それは現実の日本経済の特徴あるいはその下で形成された家計や企業の意識から離れていく」と述べた。しかし、同教授は「だんだん時間が経つうちに、企業も家計も皆、物価が1%下落することを前提に行動するようになった」と指摘。「1%という非常に緩やかなデフレだが、放置したことによって、それに慣れ親しんでしまったことが非常に大きい」という。
その上で「物価観がある意味でゆがんでいるのだとすれば、いつも恒常的にデフレだと思うのは正しくないので、1%、2%へ物価が上がることを前提とした社会を作っていくんだというくらいのところまで、大きく転換していかなければならない」と言明。「望ましくない物価観は積極的に壊していく必要がある」と主張する。
渡辺教授はさらに、購買力平価で考えると、名目の円ドル為替レートは基本的に日米のインフレ格差で決まると説明。「日本の物価目標が1%、米国の物価目標が2%という数字を額面通りに受け取ると、日銀、あるいは米国連銀は円ドルレートをこれから毎年平均的に1%、必ず円高方向に動かすことを決めたことになる」と話す。
一部委員も「2%」を主張
日銀が物価安定のめどを示した2月14日の金融政策決定会合の議事要旨によると、ある委員は「為替相場が長期トレンドとして一方向に傾くことがないよう、長期的には主要国の多くと共通の物価上昇率を目指す必要があり、現状それは『2%』である」と指摘。同じく購買力平価の考え方に基づき、諸外国と同程度の目標設定を主張したが、少数意見として退けられた。
渡辺氏は「四半世紀の長期にわたり円高トレンドが続いている。その裏側では、米国との対比で物価が下落するという現象が続いている」と指摘。「米国と比べて金融緩和の度合いが弱いというのは、別に今始った話ではなく、ずっと続いていることであり、そのためにトレンドとして名目の為替レートの円高が進行してきた」と語る。
15年もの間、デフレに慣れ親しんできた国民の物価観を変えるためには、日銀はより思い切った目標設定が必要だと渡辺教授は主張する。さらに、為替相場が再び急激な円高に向かう局面では、政策意思を鮮明にした上で、介入資金を市場に放置する介入の非不胎化や、スイス国立銀行が行っている無制限介入による為替相場のペッグ(固定)化のような政策も検討すべきだという。
金融政策変更に小売物価が反応
渡辺教授が取り組むもう1つの研究は、金融政策が物価に与える影響。「スキャナーデータにより、これがベストと思えるようなCPIの指数を作った」と指摘。「スーパーだから毎日データが上がってくるので、金融政策の変更により、実際にスーパーの価格や販売数量が動いているかどうかをデイリー単位でみることができる」という。
渡辺教授はブルームバーグが日銀ウオッチャーを対象に行っている金融政策予測調査を活用。「政策変更が予想通りなら既に織り込み済みなので、スーパーの経営者も価格を変えることはないが、予想外の変更であれば価格付けが変わる可能性がある」と指摘。「何らかの金融緩和が行われ、しかもそれが予想外だった場合、物価が反応するという結果が暫定的ながら得られている」という。
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[コメント]
日本の経済、日本の財政、日本の製造業をぶっ壊しているのは、日銀だということがこれでハッキリしました。
経済の分野では物理や数学の世界とは違って物指しが違っても、構わないようです。
昔、日米の経済を比較する際に失業率の集計方法の違いが議論されたことがあり、数字の違いを実際に換算して経済状態の違いが議論され、それはそれなりに効果がありました。
しかし、日銀は物指しが異なる上に他国よりも低い1パーセントのインフレ率でも円高を阻止できると思っているようです。
物指しが異なっているのに、違った物指しで欧米の経済学の研究成果を適用してもうまく行く訳がありません。過去の金融政策が間違っていた可能性もあります。まだ金利を上げる時期でない時期に金利を上げ、迅速に下げなければならない時期に下げなかった可能性もあります。
物指しが、どれくらい異なるのか、それによる欧米との違いを市場に明確に示さないとハゲタカ集団がまたぞろ円を買上げ、格好の餌食になるばかりなのですが・・・・・・・・・・・・・・ただ呆れるばかりです。
中央銀行の総裁のポジションは一国の首相と同じくらい重要な地位であり、中央銀行の政策は国の運命を左右する程重要です。
そのような方々が他国と異なるインフレ率1パーセントの根拠も示さず、根拠のある2パーセントを少数意見として退ける。
これではバーナンキのように市場の方向についてリーダーシップを取ることはできません。
日銀をはじめとする政府関連の機関には東大法学部出身の方が多いようなのですが、法学部などの文系の方は正義や公正、秩序や体裁にこだわり過ぎ、物事の本質や対応が疎かになりやすい傾向があるように感じられます。
経済は生き物です。
通貨の価値が下がっても米国経済は復活しつつあるし、失業は減りつつあるし、その事をバーナンキは政策目標に掲げているし、国民生活は改善しつつある。
日銀はバーナンキのように「失業率の改善」を唱えることができるだろうか。
まあ、無理だろう。
価値が維持されていも、失業とデフレにあえぎ衰退するむようなら、ただの「独りよがり」でしかない。
メンツや体裁に拘って「通貨の番人」を気取って日本丸の沈没に無意識に加担しているのなら、日銀は「タワケ集団」ということになる。
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