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石油ショックが繰り返される新時代に備えよ
2012.03.29(木)
Financial Times:プロフィール
原油価格が上昇している。悪いのはバラク・オバマだ。解決策は米国内で油井をもっと掘ることだ――。大統領の政敵がそんな呪文を唱えている。
燃料価格の高騰について非難される傾向は、すべての大統領に見受けられる。しかしガソリン価格が1ガロン=4ドルの大台に近づいていることから、オバマ大統領への批判はかなり激しいものになっている。
米国の議論が馬鹿げている理由
「夫の性器を清めようと・・・」、焼死させた妻 豪州
米国では1ガロン=4ドルに迫るガソリン価格が大きな問題となっている〔AFPBB News〕
このような攻撃は政治的には正しいやり方かもしれないが、議論としては馬鹿げている。原油は天然ガスとは異なり、世界規模で売買されるコモディティー(商品)であり、その価格は世界市場で決定される。
また2010年の米国の産油量は日量780万バレルで、これは世界の供給量の9%に相当する。そして、サウジアラビアとは異なり、米国には余剰生産能力がない。つまり、米国はプライステイカー(価格受容者)なのだ。
上記の批判に対し、オバマ大統領は次のように答えた。「井戸は掘っている。原油は増産している。しかし、国内での増産だけでは、ガソリン価格を一夜にして引き下げられない」
この発言は正しいが、最後の文はそうではない。米国が増産しても、原油価格に及ぶ影響はほぼゼロに等しい。
また、もし原油価格を上昇させている具体的な原因が1つあるとすれば、それはイラン制裁の強化であり、共和党が支持した措置だ。もし、多くの人が望んでいるようにイランに対する軍事行動が行われれば、原油価格と世界経済に及ぶ影響ははるかに大きくなるだろう。
より長期的な観点から言うなら、現在でも世界全体の原油需要の20%を占めている米国の需要が大幅に減れば、原油価格には大きな変化が生じるかもしれない。また、米国は他の高所得国に比べれば石油の使い方にムダが多いため、需要の削減はかなり容易に達成できる。そうするための最良の方法は、税率を上げて価格を引き上げることだろう。
ただ、その政策は非米国的だと見なされている。欧州の弱虫にしか適さないやり方だというのだ。
それでも世界経済の脅威となる原油高
とはいえ、馬鹿げた政治の駆け引きはさておき、高水準の原油価格が経済に及ぼす悪影響については懸念を抱くべきだ。原油価格が1バレル=10ドル上昇すれば、支出の多い消費者から支出の少ない生産者に年間3200億ドルの資金が移転する(国内の移転と国際的な移転の合計)。
2011年12月以降の上昇率は15%に達しているため、この移転の規模は5000億ドル近くに上る。過去の基準に照らしてみても、原油の実質価格はかなり高くなっている。ここからさらに上昇すれば、世界は未知の領域に入る。
要するに、原油価格の上昇は脅威なのだ。では、この先何が起きるのだろうか?
ゴールドマン・サックスは先日発表したリポートで、原油価格が10%上昇すると、米国の国内総生産(GDP)伸び率は1年目に0.2ポイント、2年目に0.4ポイント押し下げられる傾向があると指摘している。欧州連合(EU)への影響はこれよりも小さく、1年目は0.2ポイント下がるが、2年目以降は下がらないという。
昨年12月以降の上昇率が15%に達していることから、米国とEUの向こう1年間のGDP伸び率は、ともに0.3ポイント低下することになるだろう。大きな値ではあるが、壊滅的な大きさではない。
また、この15%の上昇は米国の世帯所得を約0.5%押し下げるだろう。加えて、ガソリン価格が1ガロン=4ドルの大台を突破することは、今のように景況感が弱い時期には大きな意味を持つかもしれない。
ゴールドマンはまた、原油価格上昇の悪影響の大きさを決める要因をいくつか列挙している。
原油高の悪影響の大きさを決める4つの要因
第1の要因は、原油上昇の原因が需要側にあるのか、それとも供給側のショックにあるのかというもので、後者の方が悪影響は大きくなる。ゴールドマンは、重要性はイランへの制裁強化の方が高いのだろうが、現在の原油高の主たる原因は需要側にあると見ている。
パリに本部を構える国際エネルギー機関(IEA)は、最新の月次報告書でこの見方に補足まで行い、「今のところ、イランの『問題』に起因する物理的な供給の混乱は生じていないかもしれない。しかし、石油輸出国機構(OPEC)非加盟国では現在、合計で日量75万バレル前後の生産停止が生じている」と述べている。
2つ目の要因は、余剰生産能力がどれだけ存在しているかというもので、あまりない、というのがその答えだ。高所得国の石油市場では、在庫が少ない。サウジアラビアの生産量は今、30年ぶりの高水準に達しており、この状況は余剰生産能力が限られていることを示唆している。
さらに、世界の原油供給量の伸びは一貫して鈍く、概して原油高なのにもかかわらず、過去10年間の伸び率が年間1%を若干下回る水準にとどまっている。生産能力は構造的にタイトなわけだ。
これで過去10年間の価格の水準と振れ幅の説明がつくだろう。世界経済の潜在成長率が年間4%で、原油供給が1%しか増えず、輸送燃料として容易に石油に代わるものが存在しない状況では、供給は一段と逼迫する可能性が高い。
3つ目の要因は、ほかのコモディティー市場で何が起きているか、だ。この点では、状況は好ましい。天然ガスの価格は下落しており、農産物価格は今年、それほど大きな問題になっていない。これはインフレ圧力を限定するはずだ。
そして最後の要因は金融政策だ。この点でも、好ましい状況が続いている。各国の中央銀行は恐らく、コモディティー価格の動きが賃金に反映されなければ、相場の動きを無視するだろう。相場動向が縮小効果を持つ場合は、特にそうだ。こうした中銀の判断は正しい。
総合すると、原油価格の上昇は成長の「ブレーキ(brake)」であって「断絶(break)」ではないとゴールドマンは結論づけている。
油断は禁物
だが、IEAのチーフエコノミスト、ファティ・ビロル氏は、安心しすぎてはならないと警告する。同氏は、現在の価格ではEUの石油純輸入はGDPの2.8%に上ると指摘する(2000年から2010年にかけての平均は1.7%)。EU経済の脆さを考えると、危険は明白だ。
さらに、今のような緊迫した石油市場では、価格がさらに急騰する可能性が十分ある。イランとの戦争は最も恐ろしい可能性かもしれない。だが、原油が生産される様々な場所で政情が不安定なことから、危険は常に存在する。そのうえ、急成長を遂げる新興国からの石油需要が急増しているため、世界はこの危険地帯から抜け出せない状況が続く。
IEAは、中国の自家用乗用車の販売台数が、エネルギー効率の高いシナリオの下でさえ、2035年までに年間5000万台に達すると見ている。自動車台数のそのような伸びが意味するものは、極めて明白だ。
世界は原油価格の高騰と度重なるショックに見舞われやすい。供給が停滞し、需要が旺盛で、政情不安の可能性が高い限り、要するに、世界が今のような状況であり続ける限りは、そうなる。米国にとって最善の対応策は、経済の石油強度*1を引き下げ、こうしたショックへの脆弱性を低くすることだ。価格の上昇はそれを実現する助けになる。
だが、なぜ米国はすべての収入が外国人の手に渡るのを許すのか? むしろ、輸入に課税し、収入の一部を手に入れる方がはるかに理にかなっている。
*1=エネルギー強度と同じように、GDPを1000ドル生み出すのに必要な石油の量として定義される
By Martin Wolf
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34869?page=3
Financial Times
原発停止の影響に苦しむドイツ
2012.03.28(水)
Financial Times:プロフィール
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ドイツの原子力発電の段階的廃止の第一線にいる人々は、電気が消えないようにするために日々苦労していると話す。
国内にある原子力発電所の半分が閉鎖されてから1年半。政府は今後10年間で進める再生可能資源による電力への転換は、予定通りに進んでいると主張する。だが、多くの専門家は、実際やってみると移行は難しいと言う。
冬は何とか乗り切ったが・・・
ドイツ、長期稼動の原発7基を暫定的に停止
福島の原発事故後、ドイツは一気に脱原発に動いた〔AFPBB News〕
「冬は何とか乗り切った」。ドイツに4つある地域高圧送電網の1つを運営するオランダ企業テネットで、北部コントロールセンターの責任者を務めるフォルカー・ヴァインライヒ氏はこう話す。
「だが我々は幸運だったし、今はもう、できることの限界に近づいている」
ハノーバー郊外にある何の変哲もない低層ビルに拠点を構えるヴァインライヒ氏と同僚たちは2011年に、北海とアルプス山脈を結ぶテネットのケーブルの電圧を維持したり、障害を回避したりするために、合計1024回も出動しなければならなかった。この出動回数は前年実績の4倍近くに上った。
長期的な目標は今も、20ギガワット(GW)の原発の発電能力を代替する持続的な電源を探すことだが、喫緊の問題はドイツの送電線の脆弱性であることが明らかになった。
急な需要に対応できない送電網、あわや停電の危機
エネルギーに関する倫理委員会のメンバーとしてアンゲラ・メルケル首相に助言を与えてきたユルゲン・ハンブレヒト氏は言う。「寒波は乗り切ったものの、大きなダメージを被った。我々にはまだ非常に野心的な目標があるが、どこを見ても、計画の実行、具体的な行動が足りない」
昨年3月の日本の原発事故の直後に、ドイツの原発17基のうち8基が停止されて以来、ドイツの送電線は急な需要に対応するのに腐心してきた。2月初旬には、あわや停電が起きそうになった。
「エコ工場」で再生エネルギー市場をリードするドイツ自動車業界
ドイツ・ノイブルンにある風力発電タービン〔AFPBB News〕
閉鎖された原発の大半はドイツ南部にあったため、シュトゥットガルトとミュンヘン周辺の工業中心地は前例のない量の電力を北部の石炭・ガス火力発電所や風力タービンから調達し始めるようになった。
ところが高圧送電網は、このような北部から南部への供給急増に対応できるようには設計されていなかった。
昨年夏にドイツ政府が(当初目標の2036年ではなく)2022年までに原子力発電を段階的に廃止する計画をまとめると、テネットやアンプリオン、50ヘルツ、EnBWといった送電事業者は、ハンブルクとシュトゥットガルトが弱点になると判断した。
特に、工場の電力需要に加え、家庭の暖房と料理の電力需要が生じる冬場の夜には需給が逼迫する。
欧州各地で「計画停電」の恐れも
2月初旬には、全国規模の停電に対する各社の懸念が欧州レベルにまで膨らんだ。フランスでの価格上昇を受け、折しも寒波がロシアからの天然ガス供給を滞らせた時に、エネルギー商社がドイツの電力を大量に輸出したためだ。
従来であれば、送電網を運営する事業者は、原発事業者に発電量を増やすよう要請していた。だが、総計20GWのうち8GW分の設備が閉鎖された今、これは選択肢にはならなかった。結局、各社は約10日間にわたり、ドイツ南西部とオーストリアにある古い予備のガス火力発電所を利用した。
「我々にはもう、危機時に対策を講じる余地を与えてくれる予備設備がない」とヴァインライヒ氏は言う。「もし大規模な発電所を失っていたらどうなるか?」 そうなれば、欧州全土の特定地域で電気を消す「計画停電」を余儀なくされるという。
南部でのガス火力発電所の増設や北部から電力を運ぶ追加の送電線の敷設をはじめとした解決策には異論がないものの、計画が実行されるかどうかは疑問が残る。
投資家はガス火力発電所を建設したがらない。再生可能エネルギーが法律で優遇されていることから、ガス火力発電所は風力発電を補完するためにたまにしか稼働しないかもしれないからだ。
追加の送電網敷設(政府機関によると、そのコストは電力料金を8%押し上げる可能性がある)は、計画段階で滞っている。
政府は、予備のガス火力発電所を建設するインセンティブを検討していると言う。また、今夏には包括的な送電網計画を明らかにすると約束しており、長期的に電力価格は上昇しないと話している。
だが、ハンブレヒト氏は、計画実行のスピードとユーザーにかかるコストについて心配している。欧州最大の工業国には「信頼でき、クリーンで手頃なエネルギー供給」が必要だと同氏は言う。
再生可能エネルギーへの転換は政治的に実行可能か?
送電網の問題は、最後に残った原発9基が閉鎖し始める2015年までに解決する必要がある。送電線や発電所を計画して建設するには、まだ6〜7年の歳月がかかるとハンブレヒト氏。これを2〜3年に短縮するためには、ドイツには、進捗状況を監視し、次の対策を特定し、実行させる「コントロール・調整センター」が必要だという。
ハンブレヒト氏は、送電線敷設に対する地元の反対に触れ、「エネルギー転換は今なお実行可能ではあるが、政治的に実行可能かどうかは分からない」と指摘。もっと大胆に計画を実行していかなければ、ドイツは一部原発の運転を2022年以降も継続するしかないかもしれないと警鐘を鳴らしている。
By Gerrit Wiesmann
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34860?page=3
電気料金値上げ見直し、平行線 関東知事会と東電
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関東地方知事会との話し合いを終え、記者の質問に答える東京電力の西沢俊夫社長=28日夜、東京都千代田区
関東地方知事20+ 件会(会長・横内正明山梨県知事20+ 件)は28日、東京電力の電気料金値上げの見直しを求め、経営合理化策などについて、都内で同社の西沢俊夫社長らから意見を聴いた。西沢氏は東電福島第1原発事故を謝罪し「値上げの説明が行き届いておらず、この場で誠心誠意答えたい」と述べたが、給与削減の要請に東電側が反論するなど話し合いは平行線だった。
知事20+ 件会は、東電職員の給与を「国家公務員よりも高水準」と指摘して30%以上削減すべきだと主張。子会社や関連会社との随意契約を一般競争入札にすれば、コストを少なくとも20%程度削減できるなどと指摘した。
http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012032801002133.html
米株続落、原油・金属相場下落で商品関連株売られる 6:44am
[ニューヨーク 28日 ロイター] 28日の米国株式市場は続落して終了した。原油や金属相場が下落したことで商品関連株を中心に値を下げた。 記事の全文
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原油先物が続落、欧米の戦略備蓄放出の観測で 3:47am
[28日 ロイター] 28日の取引で、米国、および一部欧州の国が戦略的石油備蓄の放出に踏み切るとの観測が出ていることで、原油先物が続落した。 記事の全文
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