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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE82O00Q20120325
ロイター記事より
[ロンドン 23日 ロイター] イランの核開発をめぐって欧米諸国が同国に科している制裁は、これまでのところ、成功しているとは言い難い。イランは核開発をやめておらず、制裁がもたらした思わぬ副作用により、新たな問題すら生じている。
イラン産原油が減少するとの見通しは、世界経済を脅かすレベルに原油価格を高騰させている。石油コンサルティング会社ペトロロジスティクスや欧州石油会社などの推計によると、すでに3月のイラン産原油輸出は日量30万バレル(14%)程度減少する可能性があるという。
米国と欧州連合(EU)は、イランの中央銀行も対象とする新たな制裁を打ち出しているが、西欧当局者を含むイラン専門家の多くは、経済的圧力の強化がイランをさらに不安定にし、予測不可能な危険な状態に追い込みかねないと懸念している。
ロンドンにある国際戦略研究所(IISS)のリサーチアナリストで、イラン専門家のディナ・エスファンディアリ氏は「制裁は、意図していた影響をイラン政府に与えておらず、予期せぬ効果だけ生み出している」と指摘する。
制裁により、イラン国民は経済的苦痛を負わされているが、他の国の市民もまた、燃料や食料の価格高騰など「波及効果」を感じている。
<袋小路にはまった国際社会>
米国と英国は、戦略石油備蓄放出の検討を始めるとしているが、中東情勢がさらに緊迫化するリスクがある中、現段階で米英に追随する動きはみられない。
米海軍大学のハヤット・アルビ准教授は、制裁が国際社会をどうしようもない状況に陥らせていると指摘。「相互依存する世界で、経済回復に取り組む多くの国々に打撃を与えることになるが、すでに制裁による影響が一部で見え始めている」と語った。
アジアの大国である中国とインドは、制裁強化に反対の意向を示唆している。また、イランの長年の敵であるサウジアラビアは、制裁に伴う原油の供給不足を補うとしているが、市場にはサウジに余剰生産能力が本当にあるのか、懐疑的な見方も広がっている。
しかし、制裁が成功しているか否かにかかわらず、欧米諸国にとって、今さら制裁を解除したり和らげたりするといった大きな方針転換は簡単なことではないだろう。
<イランに与える影響>
専門家らは、制裁がイランにどのような影響を与えるかについて、正確に予測するのは難しいと語るが、国際エネルギー機関(IEA)によると、もしアジアの主要な国々がイラン産原油の禁輸に参加するなら、イランの輸出量は年内に日量100万バレル減少することもあり得るという。
世界的な原油価格の高騰により、イランが1バレル当たりで以前より稼いでいる可能性はあっても、輸出量の減少でそれは相殺されるかもしれない。中には、制裁をイランとの価格交渉に利用する外国のバイヤーもいるという。イランの原油セクターは外国からの投資がなければ、向こう数年にわたり、生産高がさらに劇的に落ち込むことも予想される。
一方、高まる経済的圧力はイラン国内の権力争いを激化させ、在イラン英国大使館へのデモ隊乱入や、グルジアやインドのイスラエル大使館職員を狙った攻撃などは、イランがますます予測不可能になっていることを示しているとの見方もある。
欧米当局者の中には、イランがペルシャ湾で輸送船を攻撃するなどの戦略に出ることを懸念する者もいる。そうなれば、制裁を科すことで避けられるはずだった戦争も起きかねない。
米海軍大学のアルビ氏は、時の経過とともに、制裁がイラン経済と社会に耐えられないほどの打撃を与えるかもしれないと指摘。一方、「ますます苦境に立たされても、イランが戦わずして核開発をやめるとは思えない」と述べた。
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