07. 2012年3月25日 18:13:40
: KwR5ke2HnM
格付け会社は、高品質・高価格の日本国債を、英国債より低くし、いつアイルランドと抱き合い心中でお陀仏になるか知れず、10年債が2.5%の高金利で流通している英国債よりも低くしているのだから、そもそも格付け会社など信用してはいけないのである。 国債の格付けが下がることなど、今の日本では何の意味も持っていない。世界最高品質だからこそ最低の利回り=最高の価格で流通している日本国債が、欧米の格付け会社によって、今や10年債でも4%近い利回りの中国と同じ格付けにされてしまっているのだ。S&P、ムーディーズともに、日本を先進国中で最低の格付けとしている。 2002年に、今注目のギリシャ、あるいはボツワナと同じ格付けをされているのだから、今更どこまで下げようと驚きはしない。そして、格付け会社がどこまで日本の格付けを下げようと、日本国債の金利は上がらず、価格は下がらない。つまり、格付け会社がどう悪あがきしようと日本国債は世界最高品質、これが、マーケットの出した結論だ。 不思議なことに、格付け会社は過去20年間にわたって「日本は弱い、日本の為替は下がる(円安になる)、金利は上がる(国債価格は下落する)」と繰り返しアピールし続けてきた。 さて、この予測は的中したのだろうか? 見事に大外れである。これだけ当たらないのも見事なものだ。20年近く同じことを言ってきたのだから、まぐれでも一度くらいは当たってもよさそうなものだ。どうも、単に下駄の投げ方が下手なのではなく、理路整然と間違った前提から間違った結論を引き出しているとしか考えられない。 一方、2001年12月、負債総額は少なくとも310億ドル(当時)、隠していたオフバランス(簿外債務)を含めれば400億ドルと言われたアメリカのエネルギー会社エンロンなど、破綻直前まで、S&P、ムーディーズ、フィッチが揃って「AAA」の格付けを与えていた。結局、総額655億ドルという大型倒産になった。 2008年10月、リーマン・ショック直撃で破綻した北大西洋のアイスランド共和国債はソブリン・リスクのはしりともいうべき国債だったけれども、このアイスランド国債が売れに売れた理由は、格付け会社が破綻直前まで「AAA」の格付けをしていたからに他ならない。 破綻直前にならないと実態がつかめないとは、一体どんな方法で格付けをしているのか、これまた不思議でならない。恐らく、それだけは門外不出のトップシークレットなのだろう。現代数学の粋を極めた立派なモデルだからではない。もしこんなものを公開したら、お客は誰も格付け会社に依頼しなくなると思うほどお粗末なしろもので、恥ずかしくて出せないからだ。 その程度のものでなければ、ここまでひどい格付けをしてのうのうとしていられるはずがない。というか、もし改善の余地があるものなら、とっくの昔に改善していたはずだと断言できるほど、日本国債のような高級高額商品にありもしないケチをつけ続け、どうしようもない与太話のような企業や国に最高級の格付けを与え続けてきたのだ。 そもそも格付け会社は、債券を発行する会社の依頼に応じて格付けを行っている。債券発行時に格付けを取る事が法律で義務付けられているからしょうがない。つまり、発注主=スポンサーは格付けを受ける会社ということだ。となれば、スポンサーが渋るような厳しい格付けができるのだろうか。できるはずがない。これはアメリカ金融業の根本を問う疑問でもある。株と違って比較的客観的な評価がしやすいはずの債券でも、露骨に商売の絡んだ営業努力による格付けになってしまうのだ。 国債などはいわゆる勝手格付けだ。日本政府が格付けしてくれ、と依頼したわけではない。もし正式に依頼したら、お客様だから格付けはもっと高くなるはずだ。 いや、勝手格付けだからこそ、お客様である企業の社債を格付けする時には付けられない低い格付けをすることで、普段社債で正直な格付けができない欲求不満の憂さ晴らしをしているのかもしれない。 だが、連中は絶対に欧米諸国をその欲求不満のはけ口にすることはない。アジア人だけで運営している国家のくせに、叩いても叩いても安定的に経常黒字を出し続ける、憎っくき日本をはけ口にするのだ。 いずれにしても、この世の中に偏見で凝り固まった欧米人の牛耳る格付け会社ほど当てにならないものはないのである。 2011年8月5日(アメリカ時間)、S&Pが米国債の格付けを「AAA(トリプルA)」という最上級格付けから一段下の「AA+(ダブルAプラス)」に下げた。 米国債が「AAA」から転落したことは前代未聞だからインパクトは強い。だが、実際上は「AAA」も「AA+」も等級としてはほとんど変わらない。そもそも米国債など、リーマン・ショック時に格下げされていなければならなかったのだから、市場はとっくの昔に織り込み済みだったはずだ。 この米国債格下げ劇で唯一面白いと感じたことは、米国債を格下げした時に、これで「AAA」を付ける国債は地上から消えた、とでも宣言するかと思いきや、S&Pもムーディーズもそうはしなかった。米国債よりもはるかにリスクの高いドイツ国債やフランス国債、はてはイギリス国債で「AAA」のまま据え置いていた。 格付け会社と自称する連中の、「ヨーロッパは世界を指導し続けてきた白人キリスト教徒が作った国ばかりだ。だから、アジア・アフリカ・中南米の国より偉いのだ。誰が何と言っても、偉いんだから、偉いの」という感覚が噴飯ものなのである。 日本のマスメディアの特徴は、日本経済について悪いニュースが出れば喜んではやし立てるところだから、欧米の格付け会社が日本国債を下げたりすると鬼の首でも取ったかのように喜んで報道する。米国債格下げのあと、8月24日にムーディーズは日本国債の格付けを上から三番目の「Aa2」から四番目の「Aa3」へと一段下げているが、この時もいつもの調子で「日本経済はお先真っ暗」といった論調ばかりだった。 この大騒ぎも、全くのから騒ぎに過ぎないのである。米国債の格付けが下がったということに唯一意味があるとすれば、債券のポート・フォーリオの弁解や責任転嫁に利用されるということだ。もともと、格付けにはその程度の使い道しかないのである。 市場は損得で判断する場所だから、普通は日本国債のように圧倒的に低い利回り(=高い価格)の債券が流通するはずはないのだ。ところが現実には日本国債の人気は高く、いつも高倍率で消化されている。 アメリカの金融市場で今最も深刻なことは、株式市場のパフォーマンスではなく、米国債の利回り低下に歯止めがかからないことだ。米国債の10年物の金利も、ピークを打ってから11年以上も過ぎているのに下げ止まりの気配が全くない。一見しただけだと、アメリカの国債金利低下も、日本と同じような現象と錯覚してしまう人がいるかもしれない。 だが、背景となる貨幣価値の動向がまるっきり違うのだ。日本は経済全体が年率0.3〜0.5%の穏やかなデフレとなっているので、10年物日本国債が生み出す1.0%前後の名目金利は、実質1.3〜1.7%の金利となり、決して低すぎることはない。 だからこそ、日本国債の新発債はだいたい3〜5倍の応募があって、市場での吸収に何の不安もないという状態が続いているわけだ。 一方、米国債(10年物)の2.0%前後という名目金利は、政府が公式に発表しているかなりうさんくさいインフレ率でも、ぎりぎり実質金利がプラスになるかならないかという水準なのだ。これは政府公式統計を監視している民間調査機関(例えば、シャドウ・ガバメント・スタティスティクス)が発表するインフレ率で計算すれば、実質金利がかなり大幅なマイナスになってしまう。つまり、長期間持てば持つほど金利を稼げるどころか、持ち出しになってしまうのである。 日本国債の保有者中95%は日本国籍の個人、民間企業、公的機関である。彼らは経済評論家が何を言おうと、マスメディアが何を報道しようと、現在の円レートは実力から見ればまだ少し割安であり、今後も円高は続くに違いない、ということを本能的に知っている。だから、高い名目金利につられて海外の債券を買ったりしたら最後、為替でやられて結局、惨憺たるパフォーマンスに終わることも承知している。 当然、確定利付き商品同士の比較では、為替リスクのない日本国債や日本の地方自治体債、日本企業の社債の方が有利だと分かっている。 ところが、米国債需要の30〜40%は外国人投資家が担っている。彼らにとっては、まずアメリカ国内のインフレで実質金利はゼロから若干のマイナス、その上、慢性的なドル安で為替でも損失を計上するようになったら、米国債を持つ理由は全く見い出せなくなる。 そういう意味でも、今の米国債(10年物)の低金利は嵐の前の静けさという感が強い。 「日本経済は国債残高の対GDP比率が世界一高いから、これから金融恐慌に見舞われたら危機的状況なるぞ」と荒唐無稽な議論をする人たちが今なお後を絶たない。 まず確認しておきたいのは、日本国債がいかに極端な内需型金融商品かという点である。 日本国債は、ほぼ純粋に日本国民が日本政府に貸しているおカネのことである。官民合わせて海外の投資家の持ち分は、5%に過ぎない。アイルランドの83%、ギリシャの65%は言うまでもないけれども、アメリカ国債の31%と比べても雲泥の差がある。 これだけ国内で消化されていると、突然、海外から取り立てが入って、カネがなければ現物資産だろうと何だろうと持っていくぞと脅される危険は皆無である。 そして、国債の財政負担となるのは残高ではなく、あくまで金利なのだ。ここを忘れてはならない。ほとんどのマスメディア、特にテレビは完全にこの部分を無視している。金利は10年債でもわずか1.0%前後である。普通の先進国の1/2〜1/3止まりである。 比較的経済の強いドイツやアメリカと比べても、半分なのだ。一体、どこに金融破綻のきっかけが隠れているというのだろう。 今まで国債を買い支えてくれていた国内投資家の資金が枯渇して、彼らにも買えなくなったら、世界中探してもこんな高額商品を買える投資家は他にいないから、今は金利が低く、価格が高い日本国債の価格は底なしに暴落する」といった世迷言を言う人もいるかもしれない。 日本の生保や郵貯、年金や銀行のファンドマネージャーは、他にいくらでも儲け口があるにもかかわらず、日本経済を支えるために仕方なく金利1%前後の国債を買っているわけではない。他の金融資産を買うよりも、はるかに安定してプラスの運用ができる資産だからこそしがみついているのだ。 だいたい日本の機関投資家は今よりずっと安定した相場だった頃から、自分の才覚でポートフォーリオを組んで運用しては大赤字を出してきたのである。彼らにとって為替リスクもなく、安定して1%の収益を計算できる日本国債はこの金融危機の真っ只中で、地獄で仏ともいうべきありがたい投資対象なのだ。 これから世界経済がますます深く金融危機の泥沼に沈みこんでいく展開となれば、低利でも安全にプラスのリターンが見込める日本国債の組み入れ比率を上げることはあっても、下げることはありえない。 国の負債にしたところで、900兆円を上回っているとか、ついに1000兆円の大台乗せとか大騒ぎしているが、負債の平均利回りは1%程度で、利払い費は年間10兆円にすぎない。税収が減ったとはいえ40兆円はあるのだから、利払い費は税収の1/4程度で安定しているのだ。 |