http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/451.html
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http://www.mag2.com/o/kinyukeizai/2012/0323.html
今週は、CDSに関するいくつかのトピックを拾ってみたいと思います。
まず、金融派生商品(デリバティブ)の取引慣行などを決める国際スワップデリバティブズ協会は、全会一致でギリシャ政府の債務再編がクレジット・デフォル ト・スワップ(CDS)の損失補填の支払いが発生する「クレジット・イベント(清算事由)」に該当すると発表しました。
これで、事実上ギリシャはデフォルトしたことになります。昨年秋以来、ずっとお話ししていますが、ギリシャは、外から半ば強制的にデフォルトと認定され、しかし、ユーロそのものは分断しないことなるとお話ししてきましたが、これは、そのひとつの着地点とも言うべきものです。(予断は許さない状況だとは思いますが)
先進国のCDSが清算されるのは初めてのことですが、この数ヶ月で欧州中央銀行(ECB)が百兆円を超えるお金をバラまいていますので、市場の混乱は、ありません。むしろ巨額な資金を市場に投入していますので、信用不安は一時的に解消し、通貨ユーロは上がり、余波で世界中の株価を押し上げています。モチロン、日本の株価も同様です。
しかし一方、日本国債は海外ファンド主導で相場が急落、一時停止措置寸前にまでなりました。ユーロ一服感で行き場をなくなった金融モンスターであるヘッジファンドが、次の標的を求めて、世界を徘徊しているのは確かで、その矛先のひとつが日本であることも確かです。
日本国債がギリシャ国債と違うのは、国内で消化されている点です。ギリシャは、デフォルトしてもお金を貸しているのがほとんどは諸外国ですが、日本国債の場合は、ゆうちょや年金などを通じ、事実上国民の貯蓄が支えている構造になっています。
いまから25年前には、「日本の地価は下がらない」という土地神話がありました。その過信が、その後の失われた20年と呼ばれる今日まで連なる時期を作ったのは間違いありません。
いまも同じように「日本国債は問題ない」と言う人たちを多くみかけます。そして、それはどこかのタイミングで国内の問題ではなく、国際的な圧力によってはじまるのです。
何度もお話ししますが、変化は突然やってきます。
当面、CDSも含めた日本国債の動きに注視しなくてはなりません。
『高城未来研究所「Future Report」』03/16号より抜粋
▓ 高城 剛
日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオ・ビエンナーレ」でグランプリを受賞。総務省情報通信審議会専門委員などの要職を歴任。メルマガ「高城未来研究所」では実際に海外を飛び回って入手した世界情勢や経済情報など豊富な内容で配信。
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2012/03/16
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(1)〜3Dゲームの高級志向〜
ビジネスワイヤニュースを見ていたら、任天堂の記事が出ていた。
http://www.businesswire.com/news/ulletjp/20120306005532/ja
任天堂は、映画などの3D映像を本格的に作成できるツールを持つ会社と、契約をしたという。これにより、ゲーム開発者はより高品質な3D映画のようなゲームを作成出来るようになるのだという。確かに、「マトリックス」や「3丁目の夕日」のように、ここ数年の映画業界の特撮技術あるいは3D技術は、飛躍的に伸びた。しかしながら、その技術をゲーム業界に持ち込むことによって、よりユーザに魅力的なゲームが作れるかというと、必ずしもそうではないような気がする。
過去を振り返ってみると、ソニーのPlayStationでもゲーム開発者自身が有名になり、ゲームのクオリティにこだわった作品を世に出したが、全く売れなかったケースもある。あるいは、総工費数十億円という映画も含めたゲーム製作をして、会社を経営危機に追いやってしまったケースもある。一昔前まで、任天堂は脳トレやダイエットといった比較的シンプルなゲームをWiiから出していた。
しかしながら、今回のこの契約は真逆の方針ではないだろうか?それこそ、一昔前のPlayStationの戦略とよく似ているのではないだろうか?
(2)〜今のゲーム業界は?〜
WiiとPlayStationについて書いてきたが、これはやはり一昔前のゲーム業界の縮図であり、競合他社ということであろう。今は、iphoneアプリや、アンドロイドアプリ、ソーシャルゲームといった、さらに様々な競合他社が現れたのだ。簡単なゲームであれば、iPhoneアプリやアンドロイドアプリで、個人でも開発出来るし、それを公開することも出来る。
そして、無料もしくは自分で値段をつけて販売することも出来るのだ。また、ソーシャルゲームと呼ばれるGreeやDeNAが展開しているモバイルゲームは、ユーザは無料でゲームに参加することが出来て、アイテムなどをゲットする時だけお金を払うという仕組みだ。これらは、今までのゲーム業界のセオリーとは全く違う形のビジネスモデルであり、このマーケットが小さければ、任天堂もこれらに対して危機感を持たないだろう。
しかしながら、一番手ごわい問題は、この業界の売り上げ規模ということよりも、ユーザの時間の奪い合いということだ。例えば、これまで通勤あるいは通学中にNintendoDSをやっていたユーザが、時間つぶしにお金のかからないスマートフォンアプリの携帯ゲームにはまったら、わざわざNintendoDSを持ち歩いてまで、遊ぶことをしなくなる。その上、続きをやるにも時間つぶしにはスマートフォンアプリあるいは携帯ゲームの方が手軽であり、お金もあまりかからない。そうなると、どんなに魅力的なソフトがあっても、わざわざハードとソフトを買い揃えてゲームをするのは、よほどゲーマーとしてこだわりがあるか、あるゲームに関しては熱狂的なファンがいて彼らがプレイするためにわざわざハードとソフトを購入する場合ということになるのだろう。
つまり、ハードとソフトの両方でビジネスモデルが成り立っているのが、任天堂の大きな強みだったのだが、インターネット上でゲームを公開しプレイするインフラが整ってしまうと、任天堂にとっては、その強みが却って、ハードを捨てることが出来ずに身動きがとれなくなるという弱みとなってしまっているように見える。
(3)〜任天堂の財務〜
では、現状の任天堂の財務はどのような状況なのか見ていこうと思う。まずは、貸借対照表(BS)から見てみよう。相変わらず現金主義を貫いているBSである。資産の3分の2以上が現預金等である。また、固定負債(紫色)も殆どなく、これは大きなお金を借りて長期に返済するものがないということであり、銀行などに頼らずとも経営が成り立っていると言えるだろう。しかしながら、2009年3月期と2011年3月期を比べると、2000億円ほど総資産が減っていることが気なる。
言うわけで、総資産が減っている理由を探るべく、損益計算書(PL)を見ていこうと思う。
2009年3月期と2011年3月期を比較すると、売上が8000億円ほど減少している。従って、黒字ではあるが、現預金等として入ってくる当期純利益も減少している。ここで、おやっ?と思う方もいらっしゃると思うので、解説しておこうと思う。 8000億円も売上が減少してなぜ黒字を保てるのか?不思議ではないだろうか?通常は工場を抱え人件費がかかるため、商品が売れなければ瞬く間に赤字に転落してしまう。しかしながら、任天堂の場合は工場を自社では持っておらず、いわゆるファブレス企業なのである。 商品を開発して製造、販売をしているのだが、工場を持たないで委託することによりコスト管理をしやすくしているのだろう。これは、これだけの儲けを確保するための「儲けのしくみ」として、重要なポイントであろう。従って、生産量を調整することにより、売上げは減少しても利益を確保することは、ある程度出来るのだと予想される。損益分岐点を1.8兆円よりもかなり低いところに設定することが出来ているのだろう。しかしながら、あまりにも売上高が落ち込んでしまうとやはり赤字になってしまうのではないだろうか?
そこで、更に詳しく分析するために、四半期の損益計算書(PL)リンクを見てみようと思う。
2011年6月期、9月期は当期純利益(紫色)は、右側に食い込んでしまっている。これは、赤字を表している。さらに、2010年9月期と2011年9月期を比較すると、2010年9月期はしっかりと利益が出ている。しかし、2011年9月期は赤字となってしまっている。つまり、いくらファブレス企業として、コストカット、コスト管理が出来たとしても、そもそもある一定量の商品が売れなければ赤字になってしまうということである。儲けのしくみとして、利益を確保し、人件費を固定費ではなく変動費として扱うというテクニックは、売上があってこそ活きるものであろう。新聞などでは、為替の影響で業績が回復する可能性もあるといわれている任天堂であるが、果たして本当にそうなのであろうか?
(4)〜これからの戦略〜
花札などの玩具メーカーからスタートした任天堂が、今やデジタルゲーム機のリーディングカンパニーまでに成長した。これだけ、時代のニーズにあった商品を供給し続けた企業もめずらしいかもしれない。しかし、世の中が大きく変化しようとしている。
一番大きな衝撃を与えたのは、やはりスティーブジョブズのiPhoneではないだろうか?これは、ゲーム業界だけに限ったことではないかもしれないが、少なくともユーザがゲームと日常生活の中でどう触れ合うのかを大きく変えたに違いない。
NintendoDSやWiiといった「専用ゲーム機」で遊ぶということが絶対ではなくなってしまったのだ。第3のハードゲーム機が出てきて、しかもそれはインターネットで繋がっていて誰でもゲームを作ることが出来、そして誰でもゲームで遊ぶことが出来るようになったのだ。ここで、任天堂は大きな決断を迫られるだろう。つまり「ハードとソフトの両方を供給することが出来る任天堂」に固執するのか、「エンターテイメントを提供する企業」として、今までのやり方に拘らず、今のコンテンツの強みに特化して、ネットワーク化されたゲームのインフラに打って出るべきなのかを迫られているのだ。
しかし、後者を選んだ場合には、確実にハードの売上は失われてしまう。携帯電話にカメラが付いたとき、NintendoDSにもカメラが付いた。そこまでは、追っかけることが出来ただろう。しかし、任天堂が今からiPhoneのような端末を開発することは難しいのではないだろうか?
今回のビジネスワイヤニュースを読む限りではまだまだ、自社のハード路線でより品質の高いゲームをユーザに提供していくようだが、それも一つの戦略である。しかし、どれがどのくらいニーズがあるものなのかは、疑問の残るところである。今年は、任天堂にとって間違いなく大きな決断をする年になることが予想されるだろう。
『【就職】Dr. 西野の 失敗しない会社えらび【投資】』03/12号より抜粋
▓ 西野 嘉之
企業プロファイリングのプロフェッショナル。企業価値検索サービス「Ullet(ユーレット)」を開発し、無料公開。プレジデント、日経マネー、アエラ、日刊ゲンダイなどで執筆、テレビ東京のワールドビジネスサテライトなどにも出演。
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【就職】Dr. 西野の 失敗しない会社えらび【投資】
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キーエンスを知っている人?とある大学で聞いてみると、トヨタやシャープほど一般的には知られていないせいか、手を挙げた学生は──
2012/03/19
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みなさん、こんにちは。石田和靖です。
トルコ・マレーシア・ポーランド・韓国・ブラジル。これら5カ国がいま、世界の運用業界から注目されています。さてこの5カ国、どんな共通項があるのか調べてみました。
ざっくりと一言で言うと、
1)金融危機・通貨危機などの余波を受けながらも
2)独自のユニークな政策と国の将来像を掲げ
3)昨今の世界的な経済不安の下にも比較的安定した成長率を維持する新興国
そんな5カ国だそうです。
韓国・マレーシアは1997年のアジア通貨危機
ブラジルは1999年のブラジル通貨危機
トルコは2000年のトルコ通貨危機
そしてポーランドは、現在の欧州通貨危機
ヨーロッパ域内各国においては軒並み大幅なマイナス成長が見込まれている中ポーランドは、国内人口が大きいため(約4000万人弱)、元々の輸出依存度が比較的低く、国内需要が大きいという特徴がありましたが、ポーランド通貨ズロチの下落によって輸出競争力が回復。
輸出産業に焦点をあて、この景気後退をうまく切り抜けると、各方面のアナリストたちに予想されており、ヨーロッパの国々のうちでは最も高い数値の成長率予測が出ている国です。
低い賃金水準やポーランドズロチの通貨安から、「EUの工場」としての投資を受けていたポーランドですが、さらに現在ではその高い教育水準を生かして研究開発施設をポーランドに設けようとする企業も多いようです。
ECER(European Conference on Educational Research)という公的機関が、世界18カ国37都市の17万人の経営者層を対象に調査したところ、欧州で最もビジネスに適した都市の第3位にポーランドの首都ワルシャワがランクインしています。ちなみに、第1位はフランクフルト(ドイツ)、第2位はマルメ(スウェーデン)、第4位はロンドン(英国)
ポーランドはいま、「欧州の製造業・研究開発ハブ」として邁進しています。同様に韓国も、東アジアのビジネスハブの座を、東京や上海から奪取しようとしています。以前、私のメルマガ(⇒http://a.mag2.jp/F3Hk)でもお伝えしましたが、韓国、盧武鉉(ノムヒョン)前大統領の「BRICs外交」。そして、李明博(イミョンバク)大統領の「グローバル・コリア」。韓国において2トップのスローガンを具体的なカタチにしているのが「ペンタポート(五角形の港)」という5港を統合した新たな都市モデル。
・エアポート(空港)
・シーポート(港湾)
・テレポート(通信)
・ビジネスポート(ビジネス)
・レジャーポート(レジャー)
5つの港を統合させた複合都市、エコノミックフリーゾーン。首都ソウル近郊の仁川広域市の沿岸部「ペンタポートインチョン」が有名ですが、現在、以下6つのペンタポートが開業に向けて開発が進んでいます。
<2020年までに完成予定>
◆Incheon Free Economic Zone
◆Busan Jinhae Free Economic Zone
◆Gwangyang Bay Area Free Economic Zone
◆Daegu Gyeongbuk Free Economic Zone
<2025年までに完成予定>
◆Yellow Sea Free Economic Zone
<2030年までに完成予定>
◆Saemangeum Gunsan Free Economic Zone
ブラジルのベロオリゾンテにある国際空港「タンクレドネヴェス国際空港」。こちらは、2007年から2010年にかけて利用者数が、なんと7割増を記録しました。現在、同空港は名実ともにアジアのハブである、シンガポールのチャンギ国際空港のノウハウ・サポートの下で、空港拡張計画に取り組み、ブラジル唯一の工業空港として、「国際物流のハブ」に向かおうとしています。トルコのババジャン副首相は昨年末、日本経済新聞社とトルコ政府との共催で開催された、「日本・トルコ経済フォーラム 〜トルコビジネスの未来〜」で「イスタンブールは国際企業の地域中核拠点になっている」と強調しました。
トルコはエジプト、イスラエルなど周辺国を中心に21力国とFTA(自由貿易協定)を締結するなど、非常に積極的な戦略を進めており、韓国やマレーシアとも交渉中。EUとはFTAがさらに進んだ形の関税同盟を結んでいます。マレーシアは、急激に増加するイスラム教徒向け金融システムである「イスラム金融センターのハブ」となっています。2008年にバチカン市国が発表した統計によると、イスラム教徒の数はカトリック教徒の数を抜き、世界で最大の宗教になった。と言われています。イスラム教徒は世界の人口の19%強を占め、その数は約16億人とも言われ、いま世界人口の5人に1人はイスラム教徒であるという状況です。そんな中マレーシアは、彼らにとって必要不可欠な金融システムである、「イスラム金融のハブ市場の育成」を目指して税制・法制面の整備を進める一方でスクーク(イスラム債券)の発行を促進するためにインターナショナル・イスラミック・フィナンシャル・センターの建設。
何が言いたいか?
国・企業・ヒトは「ハブ&スポーク」で成長する。
グローバル化が急速に進んでいく中、お金・人・モノ・情報などのリソースはいまや瞬時に動きます。お金の移動はインターネットでワンクリックなんていう状況の中、魅力的なほうへとすぐに何でも動いてしまうのです。これら5カ国が成長してきた理由は様々ありますが、5カ国の共通項は「ハブ&スポーク」として、周辺国との関係を強化し、その中心(ハブ)に位置してきたということです。これら5カ国すべての国債に投資ができるETFが、3月30日に東京証券取引所に上場される予定です。ぜひチェックしておきたいですね。
『〜動画連動ハイブリッドメルマガ〜冒険投資家・石田和靖の「日本人の知らない海外投資ビジネス」』03/16号より抜粋
▓ 石田 和靖
冒険投資家。ワールドインベスターズTVを運営に携わり自らも出演。香港やドバイ、サウジアラビアの証券会社、政府系ファンドなどに太いパイプを持つ新進気鋭の投資家。
Mail-Magazine
動画連動ハイブリッドメルマガ:冒険投資家・石田和靖の「日本人の知らない海外投資・ビジネス」
2,980 円/ 月額
先日、「トルコ」「マレーシア」「ポーランド」「韓国」「ブラジル」のお話をしました。通貨危機後、金融危機後、各国色々独特の政策の中にある──
2012/03/16
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欧米諸国の石油輸入禁止及び経済制裁に対し、イランの切り札はまさにホルムズ海峡封鎖である。しばらくの前、イラン側は欧米諸国がイランの原油輸出に制裁を科せば、「悪い結果を招く」と警告した。イランはホルムズ海峡封鎖を報復手段として、「原油は一滴も通さない」。また、決心を知らしめるため、去年12月24日から、ホルムズ海峡で10日間の日程で海上軍事演習「ヴェラーヤト90」が開始された。ホルムズ海峡東部から、オマーン海をまたがり、東は北インド洋の公海まで、西はアデン湾、2,000平方キロメートルの広範な地域で行う記録的な海上軍事演習である。
ホルムズ海峡はアラビア半島とイラン南部の間にあり、人字型に似ている。ペルシア湾からインド洋への唯一の輸出ルートである。東西に約150km、最も狭いところでの幅は約38.9kmである。ホルムズ海峡こそ中東地域の「原油タンクのメインバルブだ」といっても過言ではない。毎日、何百万バレルもの石油はこの航路を通し、世界各地へ輸送される。米国エネルギー情報局(EIA)の統計によると、ホルムズ海峡は世界の40%近くの石油輸出供給を担い、5分間に一隻の原油タンカーが出入りするそうである。ホルムズ海峡経由の原油は毎日1,340万バレルに達している。また、毎日約200万バレルのガソリンや液化天然ガスなど他の原油産品も当航路を利用している。
< 図:ホルムズ海峡 >
ホルムズ海峡はペルシア湾地区石油輸出の大動脈であり、欧米諸国に「戦略的要所」とみなされている。ホルムズ海峡がイランに封鎖されれば、国際の石油供給の「生命線を断たれ」、国際原油価格は大幅に高騰するだろう。債務危機で手を焼いているEU諸国の実態経済に深刻なダメージを与えるのみでなく、ペルシア湾地域の石油輸出に依存するアジア諸国にとっても、大きな影響を受けるだろう。
イラン側では、ホルムズ海峡封鎖は「水を飲むより簡単」だと述べたものの、実際に実施する場合は困難だろう。現在イランは艦隊を改編しているが、ホルムズ海峡を封鎖する実力はない。なぜかというと、艦船の容積トン数が小さく、何日にもわたって船団を組んで広い水面にとどまることができないからである。一方、アメリカの軍事実力も軽視できない。米「世界安全」サイトによると、バ.レ.ンに駐在する米第五艦隊は航空母艦、水陸両用作戦艦、水上戦闘艦、ミサイル駆逐艦、補助艦、潜水艦など、各種の艦艇や海洋哨戒航空機から成っているそうである。ホルムズ海峡の西側に常駐する主戦闘艦は15隻程度である。イランは軍事行動を開始し、ホルムズ海峡の石油輸送を破壊する可能性があるものの、ホルムズ海峡を封鎖する能力がないだろう。
しかし、上述のように、石油はイラン経済の大動脈であり、一旦、ホルムズ海峡が封鎖され、イランの石油輸出ルートも塞がれる。よって、イランとしては安易にホルムズ海峡を封鎖しないと予想される。イランとしては、欧米諸国と協力しない姿勢さえ見せれば、市場は政治リスクを懸念し、原油価格を引き上げ、イランは利益を獲得できる。
要するに、EUのイラン石油輸入禁止策が実施されば、共倒れになる。現在、イランは客観的にホルムズ海峡を封鎖する能力がなく、主観的にも自国の大動脈を断ち切りたくないだろう。イランの政策は実に欧米諸国と心理戦をすること、また、今後の核問題談判の駆け引きの道具にするだろうと予想される。緊張感が高まるペルシア湾情勢は原油価格を押し上げるが、原油の需給不足によるものでないので、一時的な現象ではないかと予想されている。両方が談判に戻る前、原油価格は20-30ドル上昇するのは合理的であるが、現在の価格の倍まで高騰する可能性は低いだろう。
▓ 東岳(とうがく)証券
東岳とは中国一の霊峰、泰山(世界遺産)の別名で日本では富士山に当ります。当社はアジアを中心としたネットワ─クを活用し投資家に貢献できる証券会社を目指しております。米ドル建の取引が可能なパーフェクト米ドル口座も好評提供中。
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