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榊原元財務官:消費増税、今は議論凍結すべき−将来税率20%必要(1)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M19RNR0YHQ0X01.html
2012/03/23 12:52 JST ブルームバーグ
3月23日(ブルームバーグ):青山学院大学教授の榊原英資元財務官は、日本経済が本格的な回復に至らない中、消費税率の引き上げ実施はもちろん、増税に向けた議論すらも控えるべきだと主張する。国債増発を伴う財政出動などで景気を十分押し上げた後で、消費増税による財政再建を図る必要があるという。
榊原氏(70)は21日のインタビューで、景気回復が不十分なうちに「増税の議論はまずい」と発言。消費税率が「将来上がると思うと景気にマイナスの影響が出る」ため、「当面は議論自体も止めるべきだ」と説明。ましてや、法案に追加増税の条項を盛り込むのは「本当にまずい」と批判した。
野田佳彦内閣は2月17日、消費税率を現在の5%から2014年4月に8%、15年10月に10%へ2段階で引き上げることを盛り込んだ社会保障・税の一体改革の大綱を閣議決定した。ただ、通常国会への関連法案提出に向けた民主党内の調整は難航。反対・慎重派は増税実施の条件とする成長率などの明確化や、追加増税条項の削除を求めている。自民・公明両党は与野党協議に応じていない。
榊原氏は「財務官僚が増税を推進するのは当然」だが、政治家が「あまりにも『財務省的』になり過ぎると失格だ」と指摘。野田首相の「生真面目な姿勢は評価する」が、景気動向を踏まえた総合的な判断で一日の長があるのは小沢一郎元代表だと述べた。「中長期的には消費増税が必要なのは小沢氏も分かっている。だが、今やってはいけないという話だ」と説明した。
■将来は15%に引き上げ必要
榊原氏は、早期の増税は避けるべきだとしながらも、「中長期的には消費税率の引き上げできちんと財政再建を図らなくてはならないのは明らかだ」と指摘。高度経済成長期のような「5−6%の物価上昇はあり得ない」ため、「インフレによる(実質的な)債務帳消しは無理だ」と強調した。消費税率は「中長期的に15%くらいまで」引き上げる必要があると分析。その上で、日本は「ヨーロッパ型の福祉国家にすべきだ。福祉を拡大するなら、将来は20%もあり得る」と語った。
日本の公的債務残高は国内総生産(GDP)の約2倍と主要国で最悪の状況だ。財務省によると、国債・借入金・国庫短期証券を合わせた国の債務残高は12年度末に1085兆5072億円に達する見通し。昨年は内外の大手格付け会社からの格下げが相次いだ。
しかし、いわゆる国債暴落説については「あり得ない」と、榊原氏は一蹴。日本には累積債務を上回る家計の金融資産があり、「少なくとも、あと4−5年は国債の大量発行が可能だ」と述べた。国債の国内消化余力を支える貿易収支の黒字は「傾向的に減ってはいくが、最近の赤字は一時的だ」と分析。景気は力強さを欠き、日本銀行の「金融緩和で資金は潤沢にある」中で、国債利回りは急騰しないと強調した。
■デフレではなく、物価安定
与野党の一部には、デフレ・円高の克服に加え、消費増税の環境整備の意味でも積極的な金融緩和が必要だとし、日銀法改正を求める意見が根強い。榊原氏は「日銀の独立性は守るべきだ。政治的な意向で金融政策を曲げるのは最悪だ」と批判。白川方明総裁は「よくやっている。さらなる緩和余地も残している」と評価した。
榊原氏は、日本はさまざまな財・サービスの価格が持続的に下落する「デフレではなく、『物価安定』だ」と指摘。経済のグローバル化を背景に「先進国は軒並みディスインフレ(物価上昇率の鈍化)、新興市場国はインフレで、物価水準が緩やかに収れんしている。決して悪いことではない」と述べた。日銀は2月に「中長期的な物価安定のめど」を導入したが、榊原氏は中央銀行が目標とする物価上昇率を示して金融政策を運営する「インフレターゲットは必要ない」と語った。
円相場に関しては「通貨が急激に上がるのは問題だ」と断った上で、中長期的な緩やかな円高は「国の価値が高まる」ため、「一国にとってプラスだ」と話した。2月から円安が進んだが、今後は「当面は1ドル=80−85円程度を中心としたレンジ相場になり、その後は再び80円を割り込む可能性の方が90円台に入るより高い」と予想。米大統領選後の米景気腰折れや欧州債務危機再燃の恐れがあると語った。
榊原氏は1965年に大蔵省(現・財務省)に入省。国際通貨基金(IMF)出向や米ハーバード大客員準教授などを経て、95年に国際金融局長。円売り介入に加え、米国や日本銀行との政策協調も講じて円高・ドル安を是正した。アジア経済危機が発生した97年7月からは財務官を務め「ミスター円」の異名を取った。99年7月に退任。2010年4月、青山学院大学教授に就任した。
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