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「ベーシックインカム」の誤解を解く
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投稿者 MR 日時 2012 年 3 月 21 日 00:31:56: cT5Wxjlo3Xe3.
 

山崎元のマルチスコープ

【第224回】 2012年3月21日
山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]


「ベーシックインカム」の誤解を解く 


関心高い「ベーシックインカム」
正しい理解を共有することの価値

 本連載の拙稿「橋下徹氏が手に入れたベーシックインカムという新兵器」(2012年2月22日掲載)は、お陰様で非常に多くの読者の閲覧をいただいた(通常の筆者コラムの数倍)。

 もちろん、時の人、橋下徹氏に関連するテーマであることが読者の興味を惹いた面もあろうが、ベーシックインカム自体にも高い関心が寄せられていることを実感した。

 前回拙稿でも書いた通り、筆者は、ベーシックインカムが技術的あるいは経済的な理由ではなく、政治的な理由から日本では実現しにくいと考えているが、ベーシックインカムの正しい理解を共有することの価値は高いし、制度としてのベーシックインカムの実現を完全に諦める必要もない、とも思っている。

 ベーシックインカムについては、筆者に対しても、ブログやツイッターなどを通じて今回も、またこれまでにも、様々な反応やご意見が寄せられているが、先週たまたま、作家の村上龍氏が主宰されている「JMM」(購読無料)で、ベーシックインカムについて「他の寄稿家の皆さんは、どのようにお考えをお持ちでしょうか」という問いに対する回答が(筆者のものを除いて8件)掲載された。

 回答者は、現役金融プレーヤーや経済評論家、大学教師など広い意味で「経済の専門家」に属する方々だが、これらの方々の回答文を見ると、ベーシックインカムがどのように理解されているか、今後正しく、あるいは有意義に理解されるためには何が必要なのかに関して、有益な情報が得られた。

 以下、主にJMM寄稿者の回答を参照しながら、ベーシックインカムの理解にあって現在重要だと思うポイントについて述べてみたい。

次のページ>> ベーシックインカムの考察で多い「財源論の呪縛」

「JMM」で村上編集長への回答執筆が最も早いのは、多くの場合、信州大学教授の真壁昭夫氏だ。傾向として、バランスの取れた用語解説的な回答を書かれることが多い。他の寄稿者の中には、真壁氏の回答を解説代わりに参考にして回答を書く人もいる。

 真壁氏の考察で目に付いたのは、財源に関する心配だ。「現行の制度でも、我が国の財政状況はかなり悪化しています。それ以上にコストのかかる制度を導入することは、現実問題として難しいことになります」とあり、現行の生活保護との比較で「現在、所得制限によって給付を受けていない人たちに給付する分は、当然、増えることになります」と心配されている。

回答に見られる「財源論の呪縛」
見落としやすい3つのポイント

 ベーシックインカムに関して財源に関する懸念の声は以前から少なくないのだが、割合見落としやすいポイントが3つある。

 1つは、ベーシックインカムは全ての人に支払われるので、ベーシックインカムのための財源を負担する国民は、同時にベーシックインカムを受け取っている人でもあるということだ。

 これは、受け取りと支払いが相殺されるということなので、一件無駄であるように見え、支出額の点で「大きな政府」を招くのではないかと思われがちなのだが、税金を支払う人の負担がベーシックインカムの分だけ軽減されていることが、見落とされやすい。

 また、富の再配分の仕組みを考えると、受給額と負担額の両方を動かして調整しなくても、受給額を一定として負担額を調整すれば、実質的な再配分がよりシンプルに達成可能だということがわかる。

 仮に「理想的に公平な税制」を常に作ることができるなら、ベーシックインカムの問題は、その規模をどれだけにすればいいかということだけになる。

次のページ>> 今の支出をBIに置き換えても、 現状以上の財源不安はなし


 こうした「受給額」−「負担額」=「再配分額」として実質的な再配分の効果を見る考え方は、かつての子ども手当の議論(親の所得制限が随分議論された)を振り返っても、盲点になりやすいことがわかる。
 現在の我が国の制度を考えるとしても、受給にあれこれ条件が付く生活保護制度があり、完全積立方式ではない年金制度を通じた大きな富の移転があり、さらに複雑な税制を通じた富の再配分があり、全体の効果がわかりにくくなっているのと共に、それぞれの制度の手続きと複雑さに国民は多大なコストを払っている。その分、官僚の仕事と収入が増え、税理士や社労士のような職業の収入も増えることになっている。
今の支出をBIに置き換えても、
現状以上に財源を心配する必要なし
 また、次のポイントは、「ベーシックインカム」という言葉が持つ意味に引っ張られて、多くの論者(時には筆者自身も)が陥りやすい先入観の問題だ。
 ベーシックインカムを「生活に必要な最低額を支給される、国による絶対的な保証」と考えて財源問題を論じてしまうと、現在の制度との比較が非常に難しくなってしまう。
 しかし、たとえば、現状でも年金、生活保護、雇用保険など、富の再配分を行なう制度はあるわけで、検討の第一歩として、これらの支出をベーシックインカムに置き換えると考えるなら、財源の問題を少なくとも規模的には現状の諸制度以上に大きく心配する必要はない。
 厚労省のホームページで、社会保障給付費を見ると、平成21年度で総額が約99兆8500億円であり、ここから「医療」の約30兆8400億円を差し引くとざっと69兆円となるが、これを人口を1億2500万人として単純に割り算すると、すでに月に4万6000円くらいのベーシックインカムに相当する(75兆円あれば、「1月5万円」になる)。4人家族なら、18万4000円だ。すでにそこそこのレベルに達していると思われないか。

次のページ>> 感情的な抵抗を覚える、「現金給付」の居心地の悪さ


 後は、現在、保険料の形になっているものや各種の税金になっているものの(もちろん借金の償還も含めて)、負担をどう公平かつ簡素なものにするかを考えたらいい。

 ベーシックインカムが「これでは足りない」ということであれば、現行の制度でも再配分が不十分である可能性が大きいと筆者は思うし、特定の社会的弱者に対して(なるべくシンプルな基準がいいが)給付を増額する措置を考えることもできるだろう。

 また、ベーシックインカムは、大幅な行政の簡素化(たとえば社保庁は廃止可能かも知れないし、自治体は生活保護に関する業務が要らなくなるなど)を意図する仕組みでもあるので、現在の制度運営コストよりもコストを下げた分も、負担の軽減またはベーシックインカムの追加財源として投入可能だ。

 ベーシックインカムは、どの道すぐに実現する制度ではない。「やれば、できる」という見当さえついていれば、今、詳細な財源論に立ち入る必要はない。

「現金給付」の居心地の悪さ
どこに感情的な抵抗を覚えるか

 筆者の立場からすると、「感情的な反発」と思える意見も少なからずあった。それは、ベーシックインカムの長所を認めつつも、「何やら気持ちが悪い」と判断を留保したいとするものだ。

 もっとも、人間は最終的には感情によって物事を決めて行動する主体なので、ベーシックインカムのどこに感情的な抵抗を覚えるのかという問題は極めて重要だ。

 評論家の水牛健太郎氏は、「今の日本では怒りや嫉妬の感情を起こすばかりで、決していい結果にはならない」とお考えで、「ベーシックインカムは、今の日本にとって『良すぎる』制度だ」と結論された。

次のページ>> 経済的には効率的な BIが伴う「突き放した」感じ

 嫉妬や怒りの感情は、現在の生活保護にも向けられることがあり、再分配問題を考える場合に、根の深い問題だ。

 JPモルガン証券のストラテジストでJMM初期からの寄稿家である北野一氏は、独自の視点から切れ味の鋭いエッセイを書かれるが、ベーシックインカムの「財源」と「バラマキ」の問題について、前者は現状の社会保障の置き換えなので本質的な問題はなく、後者は人権が全ての人になるなら当然だとスッキリ片付けた上で、ベーシックインカムと「労働意欲」の問題について、ベーシックインカムの推進論者であるゲッツ・ヴェルナーの著作『全ての人にベーシックインカムを』(現代書館)を引いて検討されている。

 北野氏は、ヴェルナーが労働意欲の問題について反論した際の「自発性のない人間は、これまでにも常に存在したし、今後も存在するであろう。そのような人間を社会はいつも我慢してきたのだし、今後も彼らを我慢しなければならないだろう。私たちがどんなに努力をしても、仕事嫌いの、内的無気力に襲われた人間を意欲的な人間に変えることは出来ないのです」という「あからさま」な言葉に、「興ざめした」という。

選択に非介入で経済的に効率的
BIが伴う「突き放した」感じ

 ベーシックインカムが長年議論されながら実現しないのは、「人権擁護でありながら、やや突き放した感じがするからではないか」という北野氏の推測も、重要なポイントを突いている。

「現金を平等に給付するから後は自分で何とかしろ」というベーシックインカムの考え方は、個々人の選択に対して非介入的で経済的には効率的(各自が効用を追求しやすいという点で)だが、一方で確かに「突き放した」感じを伴う。

 BNPパリバ証券のクレジット調査部長である中空麻奈氏は、「なぜか空恐ろしい感覚に囚われる」と言い、評論家の津田栄氏は欧州でベーシックインカムが実現しない理由について「かつての古代ローマが、『パンとサーカス』から食べることに不自由しなくなると欲求が増えて、それが結果的に働かず怠惰になり、勢いを失って、没落していったように、そうした人間の持つ影の側面を恐れているからかもしれません」と結ぶ。

次のページ>> 「ベーシックインカム」 という言葉に、問題あり?

 評論家の立原遼氏の論考にも、角度は違うが、「貨幣」に対する拒否の感覚が現れる。氏は、世界の「消費に対する疲れ」と取り混ぜながら、「BIは資本主義が今後行き着いていく或る種の理想社会を実現する制度ではあると思いますが、実は既にBIを次の世界、次のシステムが乗り越えようとしているその萌芽も見える」と、貨幣的ではないシステムへの期待を語る。立原氏も、ベーシックインカムが好きであるように見えない。

 ベーシックインカムに対する感情的な拒否の多くは、ベーシックインカムが「お金のやりとり」であることに付随する感覚によるものなのだろう。

「何の対価でもなく」お金を受け取ることに対する居心地の悪さや、嫉妬、怒り、あるいは、お金が人を堕落させるのではないかというお金の魔性への恐怖、さらにお金のシステムに人の生活が包摂されることに対する忌避感など、人は「お金」に対して色々な感情を抱く。

 筆者もお金に対して様々な感情を抱くことはあるが、「お金」はその持ち主が後から自由に使い道や使うタイミングを決めることができる点の自由度の大きさ、便利さが、現実的な長所だと考えている。ベーシックインカムのお金による経済力の再配分は、自由を重んじる立場からすると、ベストかどうかはともかく、望ましくて、現実的なものだろう。

「ベーシックインカム」
という言葉に問題あり

 慶応大学教授で財政の専門家である土居丈朗氏と筆者は、「JMM」誌上では財政再建を巡ってしばしば意見が対立することがあるが(土居氏は消費税率の早期引き上げを提唱されている)、土居氏の回答は今回の回答の中でも特に興味深いものだった。

 土井氏の回答で特に重要だと思うのは、「ベーシックインカム」という言葉が「概念として一意的に定義できない」という問題指摘だ。

次のページ>> 賛否いずれの立場でも、言葉の意味を明確に議論すべき

「『ベーシックインカム』は、最低限として保障する所得水準だけを規定するものなのか、さらにそれを担保する制度まで含んだものなのか、さらにそれを導入することによって何を目的にするのか、人によって異なる」と言い、さらに「政治というものは、洋の東西を問わず、しばしば同床異夢的に同じ言葉で政治的支持を増やす誘惑に負けて当初の(純粋な)アイディアがねじ曲げられ、妥協の産物に堕してしまいます」と付け加える。

 確かに、土居氏の言う「左派」と「右派」(筆者は右派に分類されている)が別々のイメージを持ちながら、共に「ベーシックインカム」という言葉を使う状況は、相当に紛らわしく、正確な議論がしにくいケースがある。

賛否いずれの立場に立っても
言葉の意味を明確に議論すべき

 ベーシックインカムは、ある人にとっては、基本的人権に根ざした生存・生活の保障であることが本質的だし、別の人にとっては、定額で一律の公的な現金給付制度であるにすぎない。

 たとえば、筆者は、主に後者の意味で「ベーシックインカム」という言葉を使い、その実質的な効果を検討すればいいと思っているが、この際に、ベーシックインカムという言葉が持っている「万人が持つ権利に基づいた生活保障」といったニュアンスは邪魔になる。

 ただちにベストな言い換えが思いつかないのは残念だが、ベーシックインカムの代わりに「共通定額給付制度」といった言葉を使う方が、正確な議論ができるのかも知れない。

 しかし、斬新なアイディアである「負の所得税」も、これを「給付付き税額控除」などと言い換えると随分冴えない残念な感じがするように、「ベーシックインカム」も、この言葉をそのまま使うことができると嬉しいという気持ちになる。

 政治家である橋下徹氏もたぶん同様に感じることだろうし、今後も「ベーシックインカム」という言葉は使われるだろう。賛否いずれの立場に立つとしても、この言葉の意味を明確にして議論することが重要だ。


質問1 やはり「ベーシックインカム」の実現は必要だと思う?
思う
思わない
どちらとも言えない

http://diamond.jp/articles/-/16672  

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コメント
 
01. 2012年3月21日 05:28:38 : 2PrRxkiGWU
ベーシックインカムの趣旨は賛成。
ベーシックインカムや負の所得税といった類の制度は、基本所得保障制度と呼称すればよいと思う。

ベーシックインカムという発想の根本にあるのは、主に、
 ・セーフティネットがあることを信じてチャレンジする社会にしたい
 ・政府の裁量をできる限り小さくしたい
 ・複雑怪奇な社会保障制度を簡素化したい
という3点。
■ベーシックインカム7つの長所(山崎元)
( http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/7f640fc7b0ab91928d1e5f19de43871e )
(1)BIは、コスト(特に官僚や業者による中抜き)の小さい富の再配分だ。
(2)BIは、手続きが単純だ。
(3)BIは、使途が自由で、国の介入が少ない。
(4)BIは、先の見通しが立ちやすい。
(5)BIは、働くインセンティブを阻害しない。
(6)BIは、恥ずかしくない。
(7)BIは、徐々に、部分的に、実現できる。
行政のムダなコストを削減して、その分の予算を平等な給付にすると、「BI的な政策」が部分的に実現する。
BIは、一気にではなく、少しずつ実現することが出来る。
■BIには官僚の裁量が殆どありません。
加えて、BIは多くの行政機能を置き換えて不要にしてしまいます。
国民の味方で、官僚組織の敵です。
RT @Ketakin2000: なぜ官僚は嫌うのですか?利権?
http://twitter.com/#!/junsaito0529/status/172958071616847872

現実的な問題として、官僚や業者(要はレントシーカー達)にとって行政のムダのムダの部分こそが生活の糧であり人生のビジネスモデルでもあるので、
BIの一気の実現は、殆ど可能性がない。
しかし、制度や政策をBIを基準に評価して、少しずつBI的にすることで、政府、ひいては社会が効率化されるのではないか。
BIは、即効性のある成長戦略や景気対策になるようなものではないが、効率の改善を通じて社会に貢献する有効な仕組みの一つであり、
その「考え方」を理解することは、政府・社会のあるべき姿に対する理解も改善するように思う。
「これは、BI的か?」という価値軸で、多くの政策を評価することができる。(山崎元氏)

ベーシックインカムは一気に実現できないので、
ベーシックインカムより効率性は劣るが、
実現性の観点から、負の所得税を推す。
負の所得税(+負の消費税)なら、制度設計・給付水準如何だが、2兆円〜5兆円程度あれば実現できる。

負の所得税は、給付付き税額控除という部分的な形で、他の先進国において導入例がある。
■ミルトン・フリードマンが提唱した負の所得税が有名である。
実際にはイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで一部導入され、拡大されつつある。
アメリカ合衆国における勤労税額控除もこの負の所得税のバリエーションだと評価される。
日本においては小沢一郎が党首を務めた自由党が負の所得税に近い政策を掲げていた。
また、小沢が民主党の代表選挙に出馬する際に、再びこの公約が掲げられた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0
■給付付き税額控除 具体案の提言
〜バラマキではない「強い社会保障」実現に向けて〜
【導入国】イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、カナダ、ニュージーランド、アメリカ等
日本は、バブルの崩壊からようやく立ち直ったかと思うと、今また、グローバルな経済危機に直面しています。
この20年の間に、雇用については非正規雇用労働者の比率が増え、これまで
「会社」が正社員・終身雇用・年功制というかたちで果たしてきたセーフティネットから漏れる人々が増えてきました。
また、子育ての問題など、人間が生きる上で基本的な、生活や人生設計に直結した部分での将来不安が国民を覆っています。
このような重大な時期に政治は機能不全をきたしています。現在の日本が抱える課題の解決のためには、
物事の本質をしっかりと見極め、的確な政策を打ち出していく必要があります。
しかし、残念ながらこれらの問題に関する政策論議の多くは、対症療法的な既存政策の微修正が中心です。
わが国は厳しい財政制約の中で、格差問題や生活に対する不安といった問題に対処していかなければなりません。
そうなると必然的に、税と社会保障を別々に議論するのではなく、両者を一体にした仕組みを考えていかざるを得ません。
そうした要請を具体化するのが本提言で掲げる「給付付き税額控除」です。
東京財団では2007年よりその必要性を提唱し、近年はメディア等でも頻繁に取り上げられるまでになりました。
本提言では、より詳細な制度設計の論点、海外の導入事例に加え、日本における具体的な導入モデルを提示しています。
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/2010-07.pdf
http://www.tkfd.or.jp/research/project/project.php?id=12
小沢一郎は、自由党時代から唱えていたというのだから、先見性がある。

段階的に導入するのが現実的。
まずは、給付付き税額控除、そして徐々に負の所得税に進化させていく。。。
■私が考えてたのはまさにこの流れ。
@forumdrei: 小沢修司さん的BI俯瞰図:
所得控除→税額控除→給付付税額控除→負の所得税→ベーシックインカム
http://twitter.com/birdtaka/statuses/9651666109
■負の所得税とベーシックインカムの対比図
http://newworldorder.tumblr.com/post/702950538
■【研究メモ】ベーシックインカムと負の所得税の関係
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20100514#p1

【負の所得税】
所得が一定額に達しない者に対し、政府が給付金を支払う制度。
課税最低限との差額の一定割合の金を給付する。
http://kotobank.jp/word/%E8%B2%A0%E3%81%AE%E6%89%80%E5%BE%97%E7%A8%8E
■そろそろ「負の所得税」をまじめに考えてもいいのではないか(山口浩/駒澤大学教授)
http://www.h-yamaguchi.net/2005/07/post_01a6.html

負の所得税とは、いかなる制度か。
例えば基準額が300万円で助成率が20%だとすると、
年収が0円なら(300万円−0)×20%で年間60万円もらえる。
つまり年収60万円のベーシックインカムと同じ事を意味する。
年収が50万円なら、(300万円−50万円)×20%で年間50万円もらえることになる。

基準額が150万円で助成率が40%だとすると、
年収が0円なら(150万円−0)×40%で年間60万円もらえる。
つまり年収60万円のベーシックインカムと同じ事を意味する。
年収が50万円なら、(150万円−50万円)×40%で年間40万円もらえることになる。

こうすることによって、役人の裁量権を極力減らし、
つまり、一定のルールに沿って所得税を徴収(または、負の所得税を給付)することを提案している。
「負の所得税」とは、所得ゼロの人よりも、100万円の所得のある人のほうが、
結果的に受け取り総額が増えるようにして、働くことのインセンティブをつけようとしたものである。
生活保護制度を負の所得税に置き換えれば、不公正もこれで解消される。
(障害者や難病・重病人には、別途、手当てを加算すればよい)

そして、この基準額や助成率は、いかようにも変更してもよい。
また、いかなる税制と組み合わせるのも自由。(フリードマンのフラット税制にこだわる必要なし)
したがって、基準額、助成率、税制如何によって、低所得者層により有利な制度設計ができる。
制度設計如何で、格差是正・貧困撲滅、つまり強力な再分配政策になり得るのだ。

設定次第では、所得再配分の効果/金額は全く同じなのに、
負の所得税なら数兆円、 月額5万〜7万ベーシックインカムなら70〜80兆円の財源。
ベーシックインカムに比べれば現実的な政策である。
負の所得税は、自ら稼ぐインセンティブを削がずに一定の生活保障をするための優れた方法といえよう。

■三つのベーシックインカム
ベーシックインカムの手法としては、具体的には以下の三つがある。
(1)完全ベーシックインカム: 属性や所得の壁を完全に取り払い、国民全員に一律に同等の金銭給付を行うもの。
この立場は、ベーシックインカムを純粋に政治哲学として議論している人に多いが、
大和総研チーフエコノミストの原田泰氏のように政策論的に推進しようしている人も登場。
小さな行政組織で効果を最大限発揮する組織を目指すという目的にもっともかなうのがベーシックインカム。

(2)負の所得税: 所得税の課税最低限を下回る所得の人には、所得水準に応じて金銭を直接給付するというもの。
この立場は、ベーシックインカムを政策論的に推進しようとする人(特に経済学者)に多い。
ベーシックインカムより現実的。

(3)給付つき税額控除: 減税政策や消費税の増税などを行った際に、一定の所得以下の人に減税分や増税分を直接給付するというもの。
これは一部の国では既に導入されている。

まず(3)の「給付付き税額控除」からだろう。
そして、徐々に生活保護制度やその他アドホックな福祉支出制度を統合して、
(2)の「負の所得税」に近づけていけばよい。


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