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厚生年金基金 5兆円の"債務超過"でも打つ手なし [検証 年金危機]
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2012/3/16 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
すでに破綻状態も役人は放置
AIJ事件以降、厚生年金基金の「総合型」が話題だ。基金は単独企業による「単独型」、グループ企業で構成する「連合型」、そして同業者を中心とした中小・零細企業が集まる「総合型」と3つある。
厚労省の統計によると、10年度の基金数は595。そのうち総合型が83・2%を占める。なぜ、総合型が突出しているのか。
「単独型や連合型は、国から資産を預かって運用する代行部分を02年以降、次々と返上しました。ただ、代行返上するには代行部分の積立不足金を国に返す必要があります。総合型の場合、加入会社が積立不足金を分担して支払いますが、中小・零細には重たい負担です。総合型だけが代行返上できず、取り残されてしまったのです」(経済ジャーナリスト)
15年前には、単独型、連合型、総合型がほぼ3分の1ずつあったが、いまや「基金=総合型」に変貌した。しかも財政状況は目も当てられない。火の車どころか、すでに破綻しているといっていい。
お手上げ状態で解散しようにも、基金全体で最低限23・8兆円の資産が必要だ。代行返上に加え、現時点で確定した給付額を取り崩さないといけないためだ。ところが、厚労省によると基金全体の総資産額は17・6兆円。約5兆円の“債務超過”になる。平均すると1基金あたり84億円の不足額だ。
さらに09年度以降、収支の逆転現象も起きている。加入者が納める掛け金より、受給者に支払う給付額のほうが多いのだ。収支バランスが崩れ、赤字タレ流しの状態にある。
経済評論家の山崎元氏が言う。
「そもそも基金が公的年金の一部を預かって運用していること自体がおかしい。代行返上するのが一番です。ただ中小・零細企業は、代行返上の負担金に耐えられず倒産する恐れがあります。基金の惨状を放置してきた国にも責任がありますから、何らかの援助が必要になってくるでしょう」
この国の年金役人は、基金の惨状に目をつぶってまで、天下り先を確保したいのか。
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