http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/389.html
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#世界景気が回復し、金利上昇すれば債務超過に陥る国内銀行が貸しはがしにかかり、日本など債務国の景気はさらに悪化する
逆に言えば、これまでの世界的なマネーインバランスの調整過程が日本でも起こり、
そんなに簡単に日本(先進国)一般労働者の実質生活水準は上がらない(下がる)ということ
http://diamond.jp/mwimgs/7/2/600/img_723fe5c01557c71d2863290028b72d0728824.gif
http://diamond.jp/articles/-/16603 【第10回】 2012年3月15日
野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
景気回復すれば国債が暴落するという悪夢
2000年に開始された量的緩和政策は、06年に停止された。日銀が保有する長期国債の残高も、04年をピークとして減少した。
しかし、10年10月に、再び国債購入が開始された。
経済危機による
税収激減に対処
2010年10月5日、日本銀行は「包括的な金融緩和政策」を決定した。
この政策の眼目は、国債、CP(コマーシャル・ペーパー)、社債、ETF(上場投資信託)、J−REIT(不動産投資信託)などの金融資産の買入れを行なうため、臨時の措置として、バランスシート上に基金を創設したことである。
基金買入れで保有する長期国債は、銀行券発行残高を上限に買入れる長期国債と区分のうえ、異なる取り扱いとするとした。
それまであった日銀券ルールでは、購入限度額を恣意的に変えることはできない。しかし、基金の限度は恣意的に変えられる。このため、国債購入の自由度が拡大したわけだ。
なぜ、このタイミングで新しい金融政策が取られたのだろうか?
一般には、景気が回復しないからとか、デフレから脱却しないからなどと言われた。しかし、10年前半は、中国への輸出の回復で、09年の落ち込みからの回復が顕著になりつつある時期だった。マクロ経済はむしろ上向きに転じつつあったのである。
政策が取られた理由は、マクロ経済ではなく、国債発行の急増だ。
08年9月にリーマン危機が発生し、税収が激減した。これによって、国債の発行額が急増したのである。
それまでは、毎年度30兆円台を超えることがなく、06、07年度には20兆円台にまで減少していた新規国債発行額が、09年度にはいきなり52兆円になった。
次のページ>> 「包括的緩和策」の目的は国債価格暴落と長期金利高騰の防止
2000年に開始された量的緩和政策は、06年に停止された。日銀が保有する長期国債の残高も、04年をピークとして減少した。
しかし、10年10月に、再び国債購入が開始された。
経済危機による
税収激減に対処
2010年10月5日、日本銀行は「包括的な金融緩和政策」を決定した。
この政策の眼目は、国債、CP(コマーシャル・ペーパー)、社債、ETF(上場投資信託)、J−REIT(不動産投資信託)などの金融資産の買入れを行なうため、臨時の措置として、バランスシート上に基金を創設したことである。
基金買入れで保有する長期国債は、銀行券発行残高を上限に買入れる長期国債と区分のうえ、異なる取り扱いとするとした。
それまであった日銀券ルールでは、購入限度額を恣意的に変えることはできない。しかし、基金の限度は恣意的に変えられる。このため、国債購入の自由度が拡大したわけだ。
なぜ、このタイミングで新しい金融政策が取られたのだろうか?
一般には、景気が回復しないからとか、デフレから脱却しないからなどと言われた。しかし、10年前半は、中国への輸出の回復で、09年の落ち込みからの回復が顕著になりつつある時期だった。マクロ経済はむしろ上向きに転じつつあったのである。
政策が取られた理由は、マクロ経済ではなく、国債発行の急増だ。
08年9月にリーマン危機が発生し、税収が激減した。これによって、国債の発行額が急増したのである。
それまでは、毎年度30兆円台を超えることがなく、06、07年度には20兆円台にまで減少していた新規国債発行額が、09年度にはいきなり52兆円になった。
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日本経済の潜在的な実質GDP成長率は、2%程度であると考えられる。IMF(国際通貨基金)の世界経済予測でも、今後数年間の実質成長率を2%程度としている。物価上昇率がマイナス1%であるとすれば、リスクフリーの名目利子率は1%程度になる。しかし、日本の財政状況を考えると、国債はかなりのリスクを持っていると考えるべきだ。実際、10年債のリスクを5年間保証するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のスプレッドは1.5%程度である。それを考えると、10年債の利回りが継続して1%未満というのは、異常に低いと考えざるを得ない。これは、「国債バブル」とも言える状況である。
金融緩和政策の目的は、物価であるとされる(http://www.boj.or.jp/mopo/outline/sgp.htm/)。しかし、真の目的は、これまで述べてきたように、国債購入であり、それによって財政が赤字を継続することを支えることなのだ。
銀行収益の4分の1が
国債売却
なぜ銀行は国債を日銀に売るのだろうか?
貸付資金需要がある場合には、これは自然な行動だ。なぜなら、貸付を増やすために必要だからである。
しかし、銀行は過去10年以上の期間にわたって、貸付を減らし続けている。ポートフォリオの収益で言えば、ある程度の利回りがある国債を売って日銀当座預金が増えれば、収益は減ってしまうことになる。それを補うため、現在では日銀当座預金に利子をつけているのだが、それでも足りない。
銀行が国債を売る理由は、キャピタルゲインが得られるからだ。なぜなら、金利が低下している(国債価格が上昇している)からである。
日銀が購入するのは、残存期間が1〜2年のものだ。10年債であれば、9年前のものということになり、【図表3】からもわかるように当時の長期金利はいまより高かったから、売却利益が出る。
キャピタルゲイン+当座利子が国債利回りを上回るならば、銀行は国債を売る。事実、これこそが、現在の銀行が行なっている主要な業務である。
次のページ>> 景気回復すれば日本経済は破滅の可能性
『週刊ダイヤモンド』(3月17日号)によれば、5大銀行グループで、2011年4〜12月の実質業務純益が2兆4565億円であったが、そのうち国債等売買利益が6410億円を占めていた。三菱UFJフィナンシャルグループの場合、実質業務純益が9279億円のうち、国債等売買利益が2800億円を占めた。
誰が銀行から国債を買ったのか? それは日銀である。これが、上で述べた「包括的な金融緩和政策」に他ならない。
日銀は、物価上昇を目途としており、それが達成されるまで、この政策を続けることができる。物価上昇目的は達成できるはずはないので、何時までも維持できることになる。財政当局にとって、インフレターゲット論者の存在は、国債の貨幣化を続けるために、誠に都合がよいわけだ。
景気回復すれば
日本経済は破滅?
では、このメカニズムはどこまで続けられるだろうか?
これまでは、金利が低下してきたから、銀行は国債を売ればキャピタルゲインを得られた。そのため、日銀が買うことができた。それによって国債の需給条件が好転し、金利がさらに低下する。こうして大量の国債発行が、大きな問題を起こすことなく推移してきたのだ。
ところが、いったん金利上昇局面に入ると、事態は逆になる。なぜなら、銀行が国債を売れば、キャピタルロスを被るからだ。日銀が買い上げようとしても、損失が発生するから銀行は国債を売らず、償還まで持ち続けることになる。
銀行が保有する国債は大量なので、これは、深刻な問題となる。
次のページ>> 日本経済は深い谷を超えなければ前に進めない
日銀の白川総裁は、2月23日の衆議院予算委員会で、国内債券の金利が1%上昇すると、債券価格の下落による損失が、大手銀行で3.5兆円になると述べた。これは、国債以外の債券も含むものだが、『週刊ダイヤモンド』(3月17日号)は、国債だけについての試算を行なっており、それによると、金利が1%上昇すると、3メガバンクだけで1.7兆円の評価損が発生する。3%上昇すると、4.2兆円の評価損になる。前述のように、5大グループ全体の実質業務純益が2.45兆円だから、3%の金利上昇では銀行は大幅な赤字になってしまう。
つまり、景気回復すると大変なことになるわけだ。
景気回復は、もちろん望ましいことだが、現在の日本は、そうなると国債が暴落して、金融機関に深刻な問題が発生する。その対処をしてからでないと、成長できない。深い谷を越えなければ前に進めない状態になっているのだ。
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第2章 国債消化はいつ行き詰まるか
第3章 対外資産を売却して復興財源をまかなうべきだった
第4章 歳出の見直しをどう進めるか
第5章 社会保障の見直しこそ最重要
第6章 経済停滞の原因は人口減少ではない
第7章 高齢化がマクロ経済に与えた影響
第8章 介護は日本を支える産業になり得るか?
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