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日銀の「市場との対話」に危うさ、政策の判断基準に悩むマーケット
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE82D06720120314
2012年 03月 14日 19:49 JST ロイター
[東京 14日 ロイター] 市場の意表を突いた2月の日銀追加緩和は株高・円安をもたらし、ひとまず効果を上げているが、日銀からの発信情報だけでは先行きの政策を見通しづらくなったという「負の側面」を指摘する声がある。
サプライズの余韻から追加緩和期待が高まった今月12─13日の決定会合では、市場は肩透かしを食らった。米国が追加緩和を見送るなかで一歩抜け出したかたちの日銀だが、政策スタンスを確認する手段が白川方明総裁会見などに狭まり、「市場との対話」に危うさも漂っている。
「日銀が年数をかけて積み上げてきた従来のコミュニケーション政策は、2月14日の金融政策会合でいったん崩壊した」と東短リサーチ・チーフエコノミストの加藤出氏は指摘する。景気が比較的堅調で、株高、円安が進むなかでの追加金融緩和は市場にインパクトを与え、さらなる株高と円安をもたらしているが、市場では「何をみて日銀の政策を予想すればいいのかわからなくなった」(外資系証券エコノミスト)と不安視する声が出ている。
その不安が如実に表れたのが13日の東京市場だった。日銀決定会合の結果発表の時間が想定より遅くなり、追加緩和の思惑から株買い・円売りが進行。日銀が追加緩和を見送ったことで失望の株売り・円買いが出て、その後、白川総裁の発言内容が伝わると一転、円売りの動きが強まるなど不安定な動きになった。会見では相場に影響を与えるような発言はなかったというのが市場の見方だが、白川総裁があらためて金融緩和の推進を表明したことで、緩和方向の発言を待ち構えていた海外勢の円売りを誘った。「海外勢は総裁発言から緩和スタンスを確認できれば、円売りの口実にしようと、虎視眈々(たんたん)と狙っていた」(外銀)という。
かつてはサプライズを演出することで、市場の期待や金利をコントロールすることが多かった中央銀行だが、現在は市場とコミュニケーションをとる手法に変わってきている。中央銀行の考えを事前にマーケットへ刷り込むことで、突発的な金利変動などを防ぐ手法だ。日銀も早期の議事録公開や数多くの講演などを通じて、経済・物価情勢をめぐる判断や、金融政策運営に関する基本的な考え方などを発信することで、「市場との対話」を行っている。しかし、2月の緩和は、直前までの情報発信から読み取ることはできなかった。
日銀が緩和期待の維持に成功し、株高・円安・低金利が続いていることで、市場では「対話」がうまくいっていると受け取る向きもあるが、公表された情報から政策が見通せなくなったら、政策変更のタイミングは日銀のさじ加減ひとつとの受け止めも出ている。そのさじ加減は「政治の圧力で決まる」(外資系証券)と揶揄する声もあり、マーケットは何を判断基準にすべきか悩んでいる。
東短リサーチの加藤氏は「問題なのは、経済のダウンサイド・リスクが高まらなくても日銀が追加緩和を行っていく場合、それが今後どのような基準で決定されるのか、市場にとって予測不能となっている点だ」と指摘。「中長期的な政策運営の判断基準を市場とシェアできていないと、中央銀行は市場の期待をコントロールすることが難しくなる」と懸念を示す。
白川総裁は「われわれ自身のデフレ脱却に対する構えは一貫して真剣だ」とし、日銀の基本的な政策姿勢に変化はないと説明しているが、政策をめぐる市場の期待や予想が不安定になれば、予期しないかたちでの急激な金利上昇などを引き起こしかねないリスクをはらむ。
(ロイターニュース 志田義寧 編集:伊賀大記、石田仁志)
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