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Q:ベーシックインカムをどう考えるか
http://www.asyura2.com/12/hasan75/msg/378.html
投稿者 MR 日時 2012 年 3 月 13 日 22:00:15: cT5Wxjlo3Xe3.
 

 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』

   Q:ベーシックインカムをどう考えるか

   ◇回答
    □山崎元   :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員


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■今回の質問【Q:1255(番外編3)】

 山崎さんが、よくブログなどでお書きになっている「ベーシックインカム」で
すが、他の寄稿家のみなさんは、どのような考えをお持ちでしょうか。 
 
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                                  村上龍
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 ■ 山崎元   :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

「ベーシックインカムを理解する5つの急所」

 ベーシックインカムは「優しい自由主義」を実現する上で有効なツールになる優れ
たアイデアです。しかし、私は、「国民がその気になれば十分実現可能だし、優れた
仕組みだと思うけれども、現実問題としてベーシックインカムは実現しないだろう」
と思っています。それでも、ベーシックインカムについて語りたいと思うのは、ベー
シックインカムが、経済政策を考える上で極めて優れた「補助線」だと思うからです。

 他の寄稿家の皆様がどう思われるか、ということが今回のテーマなので、どうして
もこれだけは分かってから考えて欲しい、と私が思うポイントについて説明したいと
思います。

(1)ベーシックインカムは税金と「合計で」考える

 ベーシックインカムに関する初歩的ではあってもよくある誤解・批判は、「財源上
無理だ」というものです。

 ベーシックインカムは無条件で国民全員に対して支払われる給付です。その財源を
負担する人もこれを受け取ることに注意が必要です。生活保護のように所得や資産の
乏しい人にだけ選別的に支払われるものではありません。

 社会的な富(フローの所得とストックの資産を合わせて「富」という言葉を使うこ
とにします)の再配分を考える場合には、給付側をベーシックインカムで固定して、
負担側がフェアになるように税制を調整すればいい。

 ベーシックインカムだけでは足りないことが社会的に合意されるような人(例えば
重度の障害を持っている方でしょうか)に対して追加的な給付が必要である場合を除
くと、「実質的な再配分」は、税金で調整すればいい。足し算・引き算が分かれば、
誰でも納得できる話です。

 従って、ベーシックインカムが現在の制度運営コストよりも小さいなら、現在程度
の(それが十分かどうかは別として)富の再配分を行うにあたって、現在以上の実質
的な財源が必要ないことは小学生程度の算数が出来れば明らかです。

 この理由と後述の理由もあって、私は、ベーシックインカムの細かな財源論議には
興味がありません。規模に関する合意は必要ですが、たとえば、同規模なら、現在の
制度よりも効率の上で「まし」なものを実現できることは明らかだと思うからです。

 仮に、ベーシックインカムが導入されるなら、これと合算した場合に納得できる税
の取り方を考えたらいいのであり、ただそれだけです。

 私は確かめたことがありませんが、噂では、財務省には賢い人がたくさんいるらし
いので、目的さえ指定すれば、解決策を考えることは容易なのではないでしょうか
(当然のことながら、これは皮肉です)。

(2)「優しい」に賛成するか否か

 「働かざる者、喰うべからず」という言葉があります。「働かないと、喰えないぞ。
だから、頑張れよ」という忠告としてこう言うのならいいのですが、これを、「働か
ないなら、死ね(喰わないと死にますから)」という社会はいかがなものでしょうか。

 仮に、「働かない奴は死ぬ社会」と「働かない奴も生きてはいける社会」との二つ
の社会があれば、どちらがいい社会でしょうか。

 ここは意見が分かれるかも知れません。働くことが人間の価値だと思われる方は前
者を採るでしょう。しかし、私は、それが可能なら、働かないで人も生きてぐらいは
行ける社会の方が、そうでない社会よりもずっといい社会であるように思います。

 尚、ベーシックインカムは、これをあまりに大きなものにしない限り、労働意欲を
削ぐものにはなりません。より稼ぐなら、より多く使えるのです。

 再配分政策としてベーシックインカムは、かつてミルトン・フリードマンらが提唱
した「負の所得税」と似た効果を持っています。いわゆる「新自由主義者」として、
お金持ち優遇の印象を持たれることの多いミルトン・フリードマンですが、効率的な
弱者救済のアイデアも考えていたことは、もっと知られていいと思います。

(3)「非裁量的」な再配分

 ベーシックインカムの大きな長所の一つは、現金の支給にあたって、官僚や政治家
の裁量が一切ないことです。生活保護を受けられずに死ぬ、というようなことがない
し、支給を受けるために特定の政治団体に肩入れする必要もありません。徴税がどれ
だけフェアで効率的かということは相変わらず重要ですが、支給に関してシンプルな
制度です。受け取るにあたって、現在の生活保護のように、(たかだかお金の問題で)
「恥ずかしい」感情を持たずに済むことも長所です。

 俗に、支出規模の大きな政府を「大きな政府」と呼ぶことが多いのですが、支出が、
官僚や政治家の裁量によるものなのか、それとも事前に定められているルールによる
ものかのかの区別をすることが重要です。後者は、支出金額的には大きいとしても
(前記のように、差し引きで大きいかどうかは様々ですが)、官僚・政治家による資
源配分の規模で見ると「小さな政府」といえます。
 
(4)「非介入」的な再配分

 ベーシックインカムは現金給付なので、これをどのように使うかは、受け取った人
の自由です。政府が干渉する所ではありません。自由主義の優位を前提とする厚生経
済学的な観点からは、個々の経済主体が富を自由に処分できることが、個々人の効用
の最大化につながるのではないでしょうか。

 ベーシックインカムとして受け取った現金を、子供の教育費に使おうが、食費に使
おうが、親の気分転換に使おうが、政府の関与すべきところではないと私は考えます。

(5)「効率的」な再配分システム

 ベーシックインカムでは、政府から国民に対する支出サイドはシンプルであり、行
政の手間(と裁量や介入)を殆ど必要としません。年金でいえば、社保庁による保険
料の徴収も不要になりますし、基金による資産運用なども不要です。生活保護に関す
る自治体の手間も大幅に軽減されます。ベーシックインカムは行政の手間(つまりは
コスト)を節約できる点で極めて優れたシステムです。

 尚、徴税と予算編成の大きな権限両方を財務省に持たせることは不健全なので、税
金と社会保険料の徴収を総合的に扱う「歳入庁」を財務省から分離する形で作ること
が望ましいと思います。政治家も、財務省のいいなりになるのではなく、せめて消費
税率引き上げとセットで、歳入庁を作るくらいのことを考えられないものでしょうか。

 以上の5点を考えて頂くと、ベーシックインカムについて「案外悪くない」と思っ
て下さる人(読者も、他の寄稿家も)がいらっしゃるかも知れません。たとえば、年
金・生活保護・雇用保険をベーシックインカムを中心とする制度に置き換えることは、
十分に現実的です。

 しかし、私は、ベーシックインカムが日本に導入されることはないと思っています。

 その理由は、ベーシックインカムが、利権に絡むことでメリットを得ている官僚や
政治家にとって「美味しくない」からです。もちろん、私は実現するといいと思って
いるのですが、「現実問題として」、ベーシックインカムが実現することは多分ない
でしょう。

 それは、ベーシックインカムが、官僚の既得権を損ない、官僚にかけているコスト
を節約できる方策であるからです。

 しかし、上記の(1)〜(5)に対応する論点で政策を評価する場合、国民にとっ
てベーシックインカムは、かなり理想に近い仕組みではないでしょうか。

 当面、ベーシックインカムは、再配分を伴う政策を評価する際の「補助線」として
使えばいいと思います。ある政策をベーシックインカムに置き換えることを考えた時
に、その政策に伴う、不平等や余計な行政コスト、あるいは国民生活に対する政府の
介入(全てが「悪い」わけではないかも知れませんが)などが浮かび上がります。

 政策を評価する場合には、その政策は「BI的か?」を考えてみて下さい。合計の
効果はどうか、優しいか、非裁量的か、非介入的か、コストは効率的か、と問う訳で
す。

 現実の改善のためには、少しずつ「BI的」な政策の比率を上げていくといいと思
います。

              経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員:山崎元
                 ( http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/ )


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■ 水牛健太郎 :日本語学校教師、評論家

 理想的な制度と思いますが、だからこそ、かんたんに導入できるものではないで
しょう。現実的かどうか、疑問を感じます。

 ベーシックインカムを巡る問題は、山崎さんが言われる通り、「働かざる者食うべ
からず」という言葉をどう考えるか、ということだと思います。日本国憲法は国民の
義務の一つとして勤労を挙げています。そして国民は勤労を通して生活の糧を得るこ
とが期待されていますが、現実には心身の状況から働けない人もいますし、失業する
こともあります。そこで「健康で文化的な最低限度の生活」を保証するという生存権
の趣旨に沿って、生活保護その他の福祉制度がある。現在の制度はこう理解できます。

 ベーシックインカムの導入はこの枠組みを改めて、まず生存権を優先することを意
味します。その上で、働くことは国民の義務であるという規定も生きていますが、働
かなければ福祉に頼らない限り生活できない、という前提は取り外すことになります。
単純化して言えば「働かざる者食うべからず」ではない、ということです。

 「働く」ことには実に多様な形があります。工業における作業、営業や事務、専門
職といった典型的な働き方はその一部に過ぎません。最近では対価のない家事労働を
「働く」に含める考え方が主流になっています。対価を得る働き方にも、労働時間を
提供するほかに、時間と関係なく出来高で対価を得る専門職や芸術家もいます。これ
らは量以上に質が問われる仕事でもあります。身体を動かす仕事もあれば、身体より
も精神的な配慮などに重きを置く仕事(「感情労働」と言われます)もあります。現
代では多くの仕事が「感情労働」化しているとはよく言われることです。

 また、ある人が会社の事務所で働いていて、仮に事務のスキルが低く失敗ばかりし
ていたとしても、周りの人を和ませる能力が高く、職場になくてはならない存在に
なっていれば、これも十分働いていると言えるでしょう。会社員の仕事でさえ、数量
で評価できない部分は意外に大きいものです。

 その上で、どんなに定義を広げてみても「働いている」とは言えない人も存在しま
す。障害で寝たきりの人などはこれにあたるでしょう。しかし、たとえば精神科の臨
床医の著書などを読むと、こうした人が家族の絆の中心となっている例もよくあると
いいます。経済的な価値を生むことはできなくても、かけがえのない家族の一員とし
て生き、周囲の人たちに大きな影響を及ぼしています。

 それでは誰にも必要とされず、社会の除け者になっている人には何の価値もないの
かというと、そんなことはありません。民俗学や宗教・民話などの世界には、ふだん
共同体に加わらない神がかりや乞食などが突然予言をしたりして、共同体の危機を救
う話がしばしば見られます。19世紀までのロシアで放浪をしていた「聖痴愚」といわ
れる人たちは、現代の定義で言うならば精神異常に限りなく近い人たちですが、人々
は彼らが神に近い存在と信じ、食物を恵むなどしていました。私は宗教の信者ではあ
りませんが、こうした考え方が迷信だとは思いません。普通の意味でまったくの無価
値とされている人々が、ほかの人たちに見えない大きな価値を担っていることはあり
うると思います。

 世界的に広まっている宗教はほとんどの場合「神の前の平等」をうたいます。現世
の表面的な秩序を超えた世界では、人間の本来の価値は全くの平等であるというのは、
現実には決して実現されない理想ではありますが、同時にある種の真実を示している
と私は考えます。そして人類の歴史は、非常におおざっぱに言えば、現実の世の中に
おいても平等を促進する方向に進んできました。

 かつては一方に奴隷とされた人々がおり、片方に皇帝や王たちがいました。しかし
奴隷は、原則としてはいなくなり(一部の発展途上国ではまだ、政府の手の届かない
ところで奴隷とされている人々がいると言われていますが)、皇帝や王は少なくなり、
かつてよりはるかにつつましい暮らしをするようになりました。

 このような観点から見れば、経済的な生産性とかかわりなく人々が平等に扱われる
べきだということは根本的に正しく、また人類史の発展の方向にも見合っているので
はないでしょうか。ベーシックインカムはそうした理想を体現したアイディアだと思
います。

 しかし、それが理想的であればあるほど、実際に導入する際は慎重である必要があ
ります。ひょっとしたら現状からは進み過ぎた「よすぎる」制度ではないかという疑
問があるからです。

 たとえば民主主義は優れた制度です。私は民主主義の価値を信じています。しかし、
第二次大戦後に民主主義が導入された多くの発展途上国では、うまく制度が機能しな
かったのも事実なのです。そうした国では政治が極端に不安定化し、独裁者や軍部に
よって権力が簒奪されました。その後深刻な人権弾圧やジェノサイドが発生した国も
あります。歴史の流れを見れば、その国の政治文化が一定水準に達するまでは王政の
ような権力の集中が行われた方が国民にとっても幸せなのではないかと思います。民
主主義はこれらの国にとって「よすぎた」のです。

 また、たとえば死刑廃止の問題があります。人が殺された時に、遺族が犯人の死刑
を求める報復感情は、どちらかと言えば「古い」感情であることは確かでしょう。あ
るいはそうした「不合理な」感情はやがては乗り越えていくべきものなのかもしれま
せん。

 しかし、今の日本では、死刑廃止はほとんどの国民が反対です。犯罪者への憎しみ、
遺族の報復感情は非常に強いものがあります。もし無理に死刑を廃止すれば、国民の
不満は高まるでしょうし、「それでは自分の手で犯人を殺す」という人が出てくる可
能性もあります。死刑廃止が仮に「正しい」ことだったとしても、今の日本で死刑を
廃止することは、「正しくない」ことだと私は考えます。死刑廃止は、今の日本に
とっては「よすぎる」のです。
 
 「ベーシックインカム」についての私の判断はこれに近いものです。ベーシックイ
ンカムはおそらく正しい、理想的な制度ですが、今の日本でそれを導入することは、
正しい結果を生むとは考えられません。ほとんどの国民は「働かざる者食うべからず」
という言葉を正しいと信じており、勤勉に働くことが道徳や人生観の基礎になってい
ます。働かなくても収入が得られる、多くの人が「恥」と見なす福祉の世話になると
いうことではなく、正々堂々と収入が得られるということが、今の日本人に受け入れ
られることなのかどうか。それが現実になった時に、ベーシックインカム自体はいく
ら少額であっても、国民の勤労意欲は保てるのかどうか。(正直に言えば私自身、最
低限衣食住がまかなえるのなら、あまり働きたくないのです。他の寄稿家の方々のよ
うな勤勉な人間ではありません。そして私のような人間は、皆さんが思われる以上に
たくさんいます)

 残念ながら人間はそれほど美しくも理想的でもありません。現実の制度設計を考え
る時には、現実の国民の姿を見なければなりません。ベーシックインカムの導入は、
今の日本では怒りや嫉妬の感情を巻き起こすばかりで、決していい結果にならないと
私は考えます。ベーシックインカムは、今の日本にとっては「よすぎる」制度なので
す。

                     日本語学校教師、評論家:水牛健太郎

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 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授

「"ベーシックインカム"に関する考察」

"ベーシックインカム"とは、基本的には、政府が各個人に対して、それぞれが生活
に最低限必要な現金を無条件に給付する仕組みと理解します。この仕組みでは、個別
の収入にまったく関係なく一定に現金を支給することになりますから、一種の所得補
償といえる制度でしょう。この考え方に似た制度は、かなり昔から提唱されていたよ
うです。

"ベーシックインカム"の制度では、生活保護や失業保険などの給付をすべて包摂し
た格好で一定金額を給付することになります。簡単に言うと、社会保障などの様々な
給付を、すべてまとめて"ベーシックインカム"という名称で現金支給するというこ
とです。そのため、既存の社会保障など複雑な制度をすべて清算することができるは
ずです。それには、かなり大きなメリットがあります。

まず、社会保障の給付などに伴う複雑な調査や調整などの手続きが不要となるため、
それらに従事する人が不要になり膨大な費用を節約することができます。また政策当
局からすると、制度のスキームが簡単であるため、その制度に係る歳入と歳出の見積
もりが容易になることが考えられます。ということは、制度自体の管理がかなり明確
になると思います。それは、歳入・歳出を管理する側から見ると、大きなメリットに
なります。

一方、"ベーシックインカム"の給付を受ける側から見ても、一定の給付を受けるこ
とによって、生活に関する不安が相当解消されるはずです。現行の生活保護など難し
い規定に係ることなく、すべての個人が生活に必要な現金を受け取ることができます。
また、給付は、他の収入の額などに関係なく受けることができるため、収入を増やし
たい人はさらに努力して収入を増やすこともできるでしょう。そうした意味では、労
働に対する意欲を低下させる割合が低いとも考えられます。

そのため、それぞれの人は各個人の価値観に従って、自分のやりたいことをやる選択
の余地が高まると考えられます。例えば、ある人は"ベーシックインカム"を受け
取って、好きな美術の世界に没頭することを選ぶかもしれません。またある人は、さら
に頑張って新しく事業を起こしたりすることを選択するなど、より自由に選べる範囲
が広がる可能性が高まると思います。

一方、"ベーシックインカム"の制度を創設するためには、かなりの財源が必要にな
ることは間違いありません。すべての個人に対して、その人が必要とする最小限の現
金給付を行うわけですから、必要となる金額が大きくなることは確かでしょう。問題
は、"ベーシックインカム"制度を導入したときのすべてのコストと、現行の選別的
な給付を行う場合のコストとどちらが大きくなるかということだと思います。

現行の制度でも、わが国の財政状況はかなり悪化しています。それ以上にコストのか
かる制度を導入することは、現実問題として難しいことになります。"ベーシックイ
ンカム"の制度では、個人が得ている収入に関係なく、最低限の生活を必要とするの
に必要な給付を行うことになります。重要なポイントは必要額の算定になりそうです。

現行システムでは、所得水準によって生活保護などの支給を制限しています。一方、
"ベーシックインカム"の制度では、そうした制限なく、すべての人に一定額の現金
支給を行いますから、現在、所得制限によって給付を受けていない人たちに給付する
分は、当然、増えることになります。重要な点は、現行の細かい制限によって支給の
対象になっていない人たちに対する給付額の増加が、当該制度の導入によって削減で
きるコストよりも小さくなるように制度設計をすることが必要になることです。

わが国の人口は減少傾向にあるため、一人一人に給付する"ベースインカム"が、長
い目で見ると減少してくるとはいうものの、生活水準の高いわが国で、すべての人に
一定の現金給付を行うことはかなり難しいのではないかと思います。少なくとも、財
政状況を悪化させない水準の給付額によって、すべての人が生活に必要な現金を手に
する制度設計を考えなければなりません。そうした現実的な状況を検討する必要があ
ると考えます。

                       信州大学経済学部教授:真壁昭夫

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コメント
 
01. 2012年3月13日 23:18:22 : uKFoqoJusE
BIに代案として労働力不況カルテルを提案します
増税も必要なく容易に実施可能
求人倍率1を確保する
▽就職を希望しない失業者のみに失業保険料を給付する(就職希望者を減らす)※現行の正反対
▽給付額は求人倍率1になるように調整する、1を下回れば給付額を増やし上回れば減らす。
▽給付額が決まれば財源として失業保険料納付額が決まる。
ーーーーーーー
▽労働条件は解雇を含めて企業の裁量
▽公務員は失業保険料を払っていないが改める
 ※失業保険料を払わない人は働く権利はない、働く権利の売買だから
※BIの代案と言うよりは資本主義社会に適し、増税も必要なく実施も容易、ゆとりある安心できる社会が構築で来ると思う。

02. 2012年3月14日 00:52:44 : gaeeDI6UKQ
ベーシックインカムの趣旨は賛成。
ベーシックインカムという発想の根本にあるのは、主に、
 ・セーフティネットがあることを信じてチャレンジする社会にしたい
 ・政府の裁量をできる限り小さくしたい
 ・複雑怪奇な社会保障制度を簡素化したい
という3点。
■ベーシックインカム7つの長所(山崎元)
( http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/7f640fc7b0ab91928d1e5f19de43871e )
(1)BIは、コスト(特に官僚や業者による中抜き)の小さい富の再配分だ。
(2)BIは、手続きが単純だ。
(3)BIは、使途が自由で、国の介入が少ない。
(4)BIは、先の見通しが立ちやすい。
(5)BIは、働くインセンティブを阻害しない。
(6)BIは、恥ずかしくない。
(7)BIは、徐々に、部分的に、実現できる。
行政のムダなコストを削減して、その分の予算を平等な給付にすると、「BI的な政策」が部分的に実現する。
BIは、一気にではなく、少しずつ実現することが出来る。

■BIには官僚の裁量が殆どありません。
加えて、BIは多くの行政機能を置き換えて不要にしてしまいます。
国民の味方で、官僚組織の敵です。
RT @Ketakin2000: なぜ官僚は嫌うのですか?利権?
http://twitter.com/#!/junsaito0529/status/172958071616847872

現実的な問題として、官僚や業者(要はレントシーカー達)にとって行政のムダのムダの部分こそが生活の糧であり人生のビジネスモデルでもあるので、
BIの一気の実現は、殆ど可能性がない。
しかし、制度や政策をBIを基準に評価して、少しずつBI的にすることで、政府、ひいては社会が効率化されるのではないか。
BIは、即効性のある成長戦略や景気対策になるようなものではないが、効率の改善を通じて社会に貢献する有効な仕組みの一つであり、
その「考え方」を理解することは、政府・社会のあるべき姿に対する理解も改善するように思う。
「これは、BI的か?」という価値軸で、多くの政策を評価することができる。(山崎元氏)

ベーシックインカムは一気に実現できないので、
ベーシックインカムより効率性は劣るが、
実現性の観点から、負の所得税を推す。
負の所得税(+負の消費税)なら、制度設計・給付水準如何だが、2兆円〜5兆円程度あれば実現できる。

負の所得税は、給付付き税額控除という部分的な形で、他の先進国において導入例がある。
■ミルトン・フリードマンが提唱した負の所得税が有名である。
実際にはイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで一部導入され、拡大されつつある。
アメリカ合衆国における勤労税額控除もこの負の所得税のバリエーションだと評価される。
日本においては小沢一郎が党首を務めた自由党が負の所得税に近い政策を掲げていた。
また、小沢が民主党の代表選挙に出馬する際に、再びこの公約が掲げられた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0
■給付付き税額控除 具体案の提言
〜バラマキではない「強い社会保障」実現に向けて〜
【導入国】イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、カナダ、ニュージーランド、アメリカ等
日本は、バブルの崩壊からようやく立ち直ったかと思うと、今また、グローバルな経済危機に直面しています。
この20年の間に、雇用については非正規雇用労働者の比率が増え、これまで
「会社」が正社員・終身雇用・年功制というかたちで果たしてきたセーフティネットから漏れる人々が増えてきました。
また、子育ての問題など、人間が生きる上で基本的な、生活や人生設計に直結した部分での将来不安が国民を覆っています。
このような重大な時期に政治は機能不全をきたしています。現在の日本が抱える課題の解決のためには、
物事の本質をしっかりと見極め、的確な政策を打ち出していく必要があります。
しかし、残念ながらこれらの問題に関する政策論議の多くは、対症療法的な既存政策の微修正が中心です。
わが国は厳しい財政制約の中で、格差問題や生活に対する不安といった問題に対処していかなければなりません。
そうなると必然的に、税と社会保障を別々に議論するのではなく、両者を一体にした仕組みを考えていかざるを得ません。
そうした要請を具体化するのが本提言で掲げる「給付付き税額控除」です。
東京財団では2007年よりその必要性を提唱し、近年はメディア等でも頻繁に取り上げられるまでになりました。
本提言では、より詳細な制度設計の論点、海外の導入事例に加え、日本における具体的な導入モデルを提示しています。
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/2010-07.pdf
http://www.tkfd.or.jp/research/project/project.php?id=12
小沢一郎は、自由党時代から唱えていたというのだから、先見性がある。

段階的に導入するのが現実的。
まずは、給付付き税額控除、そして徐々に負の所得税に進化させていく。。。
■私が考えてたのはまさにこの流れ。
@forumdrei: 小沢修司さん的BI俯瞰図:
所得控除→税額控除→給付付税額控除→負の所得税→ベーシックインカム
http://twitter.com/birdtaka/statuses/9651666109
■負の所得税とベーシックインカムの対比図
http://newworldorder.tumblr.com/post/702950538
■【研究メモ】ベーシックインカムと負の所得税の関係
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20100514#p1

【負の所得税】
所得が一定額に達しない者に対し、政府が給付金を支払う制度。
課税最低限との差額の一定割合の金を給付する。
http://kotobank.jp/word/%E8%B2%A0%E3%81%AE%E6%89%80%E5%BE%97%E7%A8%8E
■そろそろ「負の所得税」をまじめに考えてもいいのではないか(山口浩/駒澤大学教授)
http://www.h-yamaguchi.net/2005/07/post_01a6.html

負の所得税とは、いかなる制度か。
例えば基準額が300万円で助成率が20%だとすると、
年収が0円なら(300万円−0)×20%で年間60万円もらえる。
つまり年収60万円のベーシックインカムと同じ事を意味する。
年収が50万円なら、(300万円−50万円)×20%で年間50万円もらえることになる。

基準額が150万円で助成率が40%だとすると、
年収が0円なら(150万円−0)×40%で年間60万円もらえる。
つまり年収60万円のベーシックインカムと同じ事を意味する。
年収が50万円なら、(150万円−50万円)×40%で年間40万円もらえることになる。

こうすることによって、役人の裁量権を極力減らし、
つまり、一定のルールに沿って所得税を徴収(または、負の所得税を給付)することを提案している。
「負の所得税」とは、所得ゼロの人よりも、100万円の所得のある人のほうが、
結果的に受け取り総額が増えるようにして、働くことのインセンティブをつけようとしたものである。
生活保護制度を負の所得税に置き換えれば、不公正もこれで解消される。
(障害者や難病・重病人には、別途、手当てを加算すればよい)

そして、この基準額や助成率は、いかようにも変更してもよい。
また、いかなる税制と組み合わせるのも自由。(フリードマンのフラット税制にこだわる必要なし)
したがって、基準額、助成率、税制如何によって、低所得者層により有利な制度設計ができる。
制度設計如何で、格差是正・貧困撲滅、つまり強力な再分配政策になり得るのだ。

設定次第では、所得再配分の効果/金額は全く同じなのに、
負の所得税なら数兆円、 月額5万〜7万ベーシックインカムなら70〜80兆円の財源。
ベーシックインカムに比べれば現実的な政策である。
負の所得税は、自ら稼ぐインセンティブを削がずに一定の生活保障をするための優れた方法といえよう。

■三つのベーシックインカム
ベーシックインカムの手法としては、具体的には以下の三つがある。
(1)完全ベーシックインカム: 属性や所得の壁を完全に取り払い、国民全員に一律に同等の金銭給付を行うもの。
この立場は、ベーシックインカムを純粋に政治哲学として議論している人に多いが、
大和総研チーフエコノミストの原田泰氏のように政策論的に推進しようしている人も登場。
小さな行政組織で効果を最大限発揮する組織を目指すという目的にもっともかなうのがベーシックインカム。

(2)負の所得税: 所得税の課税最低限を下回る所得の人には、所得水準に応じて金銭を直接給付するというもの。
この立場は、ベーシックインカムを政策論的に推進しようとする人(特に経済学者)に多い。
ベーシックインカムより現実的。

(3)給付つき税額控除: 減税政策や消費税の増税などを行った際に、一定の所得以下の人に減税分や増税分を直接給付するというもの。
これは一部の国では既に導入されている。

まず(3)の「給付付き税額控除」からだろう。
そして、徐々に生活保護制度やその他アドホックな福祉支出制度を統合して、
(2)の「負の所得税」に近づけていけばよい


03. 2012年3月14日 01:38:30 : uKFoqoJusE
米国の税制は税額控除ですから負の所得税がありますね、
米国の税制EITCは金持ちに有利な所得控除ではなく貧乏人に有利な税額控除なのです、

EITCの納税額=給与全額×累進税率ー控除税額
納税額がマイナスになればマイナス分の税金が支給される
すなわち課税最低限以下の勤労者全員に現金が支給される
課税最低限は日本より高いのにですよ。

「税の集め方使い方日米比較」より


04. 2012年3月14日 02:36:02 : Pj82T22SRI

>。ヨ働かざる者食うべからず」ではない

生活保護との違いは、簡単に言えば、「働けない人」だけでなく、

「働かないことを意識的に選択した人=寄生者」に対しても

何の道徳的な批判もなしに、公的資金を出すということが大きな違いだな

それで社会がもてばいいが、どうだかね


>正直に言えば私自身、最低限衣食住がまかなえるのなら、あまり働きたくない

私もだw



05. 2012年3月14日 12:12:34 : uKFoqoJusE
>>正直に言えば私自身、最低限衣食住がまかなえるのなら、あまり働きたくない

>私もだw

このような方が増えることを望みます。それより増やすようにすべきですね。
世界中に失業者が増えている。
ロボット電子化の革新で景気で失業が減るとの考えが間違いですね。


06. 2012年3月14日 16:49:03 : AIDI8xf67a
「働かざる者食うべからず」という考えの基本は、みんなが労働に従事出来うる状態(完全雇用)が成り立つ社会が前提であり、そして、その労働すべてに報酬として生きるに足りる労賃が支払われる必用があります。

しかし、オートメ化、ロボット化が進みそれほど多くの労働者を必用としなくなり、さらに労賃を購買原資ではなくコストとする現代社会では、
家族みんなが生きる労賃を得るには問題が生じています。
このような、社会環境にあって、「働ざる者食うべからず」の考えの基、
賃労働に就き自立するように、という社会的圧力下では生きる為だけに働く、
まるで家畜のよう活きる意味を喪失した労働者が溢れることになるでしょう。

現在の経済モデルは、賃労働に就いていない人を「働かざる者食うべからず」
と差別する風潮にありますが、
現在の経済モデルに当てはまらず、生活するに充分な賃労働を得られない労働は
社会にとって本当に不必要なのだろうか?
現在の経済モデルに当てはまらない身体障害者や高齢者とその方を世話する人々は切って捨ててよいのだろうか?
しかし、生産に献身しているのは、オフィスや工場の中だけでなく、生産現場外で行われるあらゆる活動が新しい生産に利用されているかもしれない、
知恵や知的ないし言語的なことであれば高齢者の経験からも生まれる可能性も
ある、
また現在の経済モデル的には非効率ではあっても自然環境に献身しているかも知れない。
そんな様々な人間の活動の成果を通貨を利用して社会全体に帰すことが
ベーシックインカムの胆であると思う。

「生活」とはどちらも「イキル」と読める。つまり何時断たれるかもしれない「生」命を維持するのに「活きる」労働から、
活きること(労働)を楽しむことにも繋がり、その活動から新しいアイディアが生まれる可能性もある。


07. 2012年3月14日 17:19:55 : 7o74UMG0mg
怠け者が言葉を並べても無駄です。
ハンガリーがいい教訓です。
日本は2重課税が結構多い。
地方税の問題もある。
これ以上負担を増やさないで下さい。

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