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HSBCが4年で「日本撤退」を決めた理由 立ちはだかる高齢層の「慣習の壁」
2012/03/7
英大手金融機関HSBCが、日本で展開していた富裕層向け金融サービス「HSBCプレミア」を終了すると発表した。日本にあるHSBCの6支店で提供されているサービスは段階的に終了していく。
HSBCはすでに日本でのプライベートバンク事業をスイスの金融機関クレディ・スイスに売却すると発表している。これでHSBCは、日本におけるリテール・ビジネスから事実上、完全撤退することになる。
(写真:時事通信)
同社は昨年、スチュアート・ガリバー最高経営責任者(CEO)が、年間35億ドルのコスト削減と、アジア地域の不採算事業の整理を行うと明言した。HSBCプレミアのサービス終了は、HSBCのグローバルビジネス戦略に基づく事業再編の一環といえそうだ。日本以外にも、タイのHSBC個人リテール事業もアユタヤ銀行に売却することが決まっている。
「日本のHSBCプレミアも売却を検討していたが、売却先が見つからなかったようだ」(業界関係者)
2008年の日本上陸からわずか4年。リテール・サービスからの撤退は、日本における富裕層ビジネスの難しさを改めて浮き彫りにした。金融資産1000万円以上という「マス富裕層」を相手にしたサービスは、外資系銀行では、米シティグループや英スタンダードチャータード銀行などが展開しているが、邦銀と取り引きする顧客を獲得することは容易ではない。
高齢層を開拓できないジレンマ
「金融資産を持つ地方在住の高齢者は、外資系金融機関に金を預けることに抵抗感が強い」と外銀の営業担当者はため息をつく。そこで、外銀の富裕層サービスのターゲットは、40代から50代の年齢層に偏り、邦銀よりもひと回り若い世代となる。
だが、日本は高齢者を中心に1400兆円といわれる莫大な個人金融資産を持っている。それだけに「有望市場」とされて、外銀も本腰を入れて乗り込もうとしたのだが、現実には「高齢者の壁」に苦しめられている。
なぜ、高齢層の開拓が難しいのか。理由として考えられるのは、日本の金融サービスが手数料や取り扱い金融商品がほぼ横並びで、しかも金融規制が厳しいため、自由なサービス展開をしてこなかったことがある。こうした金融機関に長年、慣れ親しんできた高齢層は、外銀が提供する個人のライフプランや資金ニーズに応じた商品などに、馴染みが薄い。プライベートバンクに代表される欧米の資産運用ビジネスが、日本の高齢層にはイメージし難いサービスだったことは確かだ。
世界でも指折りの金融機関HSBCが、わずか4年で「日本撤退」となった真因は、この「慣習の壁」にあるのかもしれない。
(武田 安恵)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/NBD/20120306/229534/?ST=pc
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