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「歳入庁創設」 民主党はどこまで本気か
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32004
2012年03月11日(日)ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
マニフェスト破りを得意とする民主党政権が、珍しく「歳入庁」を具体的に検討し始めた。'09年総選挙のマニフェストにその創設を謳い、政権交代後の同年12月には閣議決定までしていたのだから、「4月に中間報告を出す」などというのは遅すぎるぐらいだが、やらないよりはマシ。ただし、本気度は甚だ疑わしい。
みんなの党の浅尾慶一郎衆議院議員は以前から、国税庁と日本年金機構(旧社会保険庁)の徴収部門を合体させて「歳入庁」を作れば、国税庁が持つ法人データが活用できて保険料の取りっぱぐれがなくなると主張している。なにしろ国税庁が捕捉している法人数は約273万なのに対し、年金機構は約175万しか把握しておらず、両者には98万もの差がある。その結果、年間12兆円も保険料収入が漏れているという。これは消費税5%分に相当するから、徴収漏れをなくせば消費増税はほぼ不要になる計算だ。
この試算に関しては、前提としている平均標準報酬月額(30万円)が高すぎるという批判もあるが、6割に下げても徴収漏れは7兆円程度あることになる。いくら試算にケチを付けたところで、歳入庁を創設しない理由にはならない。
目を世界に向けてみよう。社会保険料は英語でsocial security taxと呼ぶように、すべての人が納めなければならないという点で税金と同じであり、国税庁に相当する機関が徴収するのが普通だ。英国では'99年に国税庁が社会保険庁徴収部門を吸収する形で歳入庁を創設した。オランダでも統合に伴う合理化に労働者が反対していたが、統合は実現された。
両国以外でも、OECD加盟国の中では、米国、カナダ、アイルランド、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、ノルウェーが歳入庁で税と社会保険料の徴収の一元化を行っている。東ヨーロッパの国々でも傾向は同じで、歳入庁による徴収一元化は世界の潮流と言ってよい。政府にとっても二重行政を排除できるから効率的なのだ。
ところが、この合理的な話も財務省にとっては不都合だ。財務省は「少額の保険料を徴収する年金機構と、巨額の脱税摘発までやる国税庁とは文化も違う。効率化できるか、疑問」と反対姿勢。そんな理屈に洗脳されたのだろう、岡田克也副総理も「メリット、デメリットを議論する中で、歳入庁創設そのものが検討課題」と完全に後ろ向きになっている。
財務省の抵抗は今に始まったことではない。安倍政権時代に社会保険庁を解体して日本年金機構を創設する法案が成立し、悪質な保険料滞納者に対しては国税庁が強制徴収を行うことが決められた。ところが、年金機構は政権交代後の'10年に業務を開始したものの、以来2年間、一度も強制徴収を実施していない。国税庁が年金保険料を徴収することは、年金機構との統合への第一歩になる---そう懸念した財務省は法律を無視する挙に出たわけだ。
財務省が歳入庁創設に反対する理由は単純だ。国税庁を意のままに使いたいのだ。これまで通りに国税庁の幹部ポストを握り、主要国税局長や東京国税局の査察部長などの重要ポストも押さえたい。ところが、歳入庁に統合されれば、年金機構を所管する厚労省キャリアにもポストが配分される。それを阻止したい。
未納や滞納をなくすことより既得権を優先する財務省と、そんな役所と二人三脚の民主党。歳入庁は誕生するだろうか。
「週刊現代」2012年3月17日号より
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