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【検証 年金危機】「代行返上」から始まる連鎖倒産
http://gendai.net/articles/view/syakai/135525
2012年3月7日 掲載 日刊ゲンダイ
<年金基金抜けられない中小企業>
「次はどこが潰れるのか」――。兵庫県内のタクシー業界が「連鎖倒産」の恐怖に震えている。問題のきっかけとなったのは「企業年金」の破綻だ。2月9日に破産手続きが開始された神戸市の「日の出タクシー」。約50社でつくる「兵庫県乗用自動車厚生年金基金」に加入していたが、基金は06年1月、運用利回りの低迷を理由に解散した。破産は、そのあおりだ。
「厚生年金基金は国の厚生年金の報酬比例部分の運用・給付を代行しています。運用利回りが当初の予定利率(多くは5.5%)を超えていた場合は利ざやを稼げたが、バブル崩壊以降、運用はマイナス続きで『代行割れ』が続出。『兵庫県乗用自動車厚生年金基金』が解散し、代行部分の返上を決めたのも予定利率に届かなくなったためです。不足分は母体企業が穴埋めしなければならず、経営に与える影響は大きいのです」(経済ジャーナリスト)
基金は不足額の約80億円を加盟各社で分担(1社平均約1.6億円)し、「一括」か「分割」(10年)で国に返済することを決めた。だが、分割負担に耐え切れず、倒産する会社が相次いだのだ。
「大手企業なら余力があるから一括返済の代行返上も可能だが、中小企業はそうはいきません。兵庫の場合、中小企業が集まった『総合型』の基金だったため、倒産会社の負担分を残りの会社で面倒を見る必要に迫られた。倒産が倒産を呼ぶ悪循環で、分割を選んだ約30社のうち、『日の出タクシー』を含む半数近くが破綻しました」(前出のジャーナリスト)
厚労省によると、全国の595基金のうち、積み立て不足(代行割れ)は445基金と7割超。不足額は1兆5525億円にも上る。約8割の基金は「総合型」だから、兵庫のタクシー会社のような連鎖倒産が全国で勃発してもおかしくないのだ。
年金評論家の田中章二氏はこう言う。
「5人ほどの小さな会社でも、一括で代行返上する場合、ざっと5000万円は必要でしょう。中小企業がそんな負担をできるはずがありません。『総合型』に加入している会社は基金をやめたくてもやめられないのです。予定利率の運用利回りは到底ムリだから、母体企業の負担は今後、ますます増える。企業年金は今やどうにもならない状況になっているのです」
だから半ば“ウソ”と分かっても、高利回りに手を出してしまう。AIJの年金消失事件は、単なるインチキ投資会社の問題では終わりそうにない。 .
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