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株式日記と経済展望
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政治家も企業経営者も年金の運用担当者もプロ意識が乏しすぎる。みな
半径3メートルほどのことにしか興味がなく、本当の責任を果たしていない。
2012年3月4日 日曜日
◆エルピーダメモリの破綻が示唆する日本の問題 3月3日 川嶋諭
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34677
エルピーダを破綻させた円高政策
湯之上さんは「経営破綻のトリガーにすぎない」と言うが、円高の問題もエルピーダメモリの破綻を機に、私たちは認識を新たにすべきだろう。
5年前に1円が約8ウォンだった日韓の為替レートはいま、13.67(3月2日午後4時)ウォンとなっている。ウォンに対しては実に7割もの円高となっている。
ここに国策で日本の半分以下に設定されている電力料金(「電力がぶ飲み大国・韓国の現実」)と低い法人税という条件が加わって、日本の半導体メーカー、電機メーカーは韓国勢と戦わなければならないのだ。
米国、欧州など世界中が通貨安政策を取る中、日本が円高を放置してきたことがエルピーダメモリの破綻につながったことは確かである。いや、「放置」というのは正しくない表現かもしれない。積極的な円高政策と呼んだ方がいい。
デフレ政策を続ける方が、日銀が金科玉条としている物価の安定を守ることができ、また名目金利が上がらないために、膨大な赤字を続ける日本政府が金利地獄による破綻から延命できるからである。
一方、金融機関にとっては実質金利が高いために、国民から預かった資金を国債で運用すれば何もせずに巨額の利益が転がり込んでくる。
日本の金融村にとって、現状維持こそが最善の策であり、エルピーダメモリなど産業界はどうなってもいいのである。「いやなら勝手に倒産するか日本から出ていけ」ということだろう。
さて、AIJ投資顧問が受託していた約2000億円の年金資金の約9割が消失した事件も日本が抱える重要な問題が含まれている。この記事(「日本の企業年金基金が危ない! AIJの破たんで明らかになったお粗末な実態」)がそれを指摘している。
日本ユニシスやコスモ石油、大日本印刷も
AIJが運用成績を虚偽記載していた疑いが浮上し、昨年12月末時点でAIJに運用委託していた企業には、日本ユニシス、コスモ石油、ライオン、大日本印刷などの大手企業も含まれていることが明らかになったと共同通信が伝えている。
『日本の企業年金基金が危ない!』の筆者、福原正大(まさひろ)氏は、AIJが標榜していたような運用実績、特にリーマン・ショックの前も後もプラスというのは神様以外にはあり得ない運用成績だとしている。
それなのに、プロであるべき年金基金運用担当者がこうした不可解な運用成績を信じたのはなぜなのか。福原氏は次の3つの理由を上げている。
第1に、こうした膨大な資金を運用する年金基金の運用担当者が投資について素人である場合が多いこと。企業の人事異動の一環として年金運用担当者になるわけだ。
第2には、「ヘッジファンド」という言葉に幻想を抱いている人が多いこと。ヘッジファンドの運用の仕組みやリスクを正しく理解せず、漠然とリターンの良さに期待するケースが多い。
第3は、年金基金の運用担当者が、現在の経済金融情勢ではあり得ないリターンを、企業の経営者から求められているという点。こうした状況で「一発逆転」を狙いたい年金運用者は、AIJの「見せかけの」運用成績に目がくらんでしまうのだろう。
しかし、企業年金連合会の調査による2000年度以降の実現リターンを基にした試算の結論について筆者の福原氏は、「誤解を恐れず簡単に言えば、現在多くの年金基金の試算では、将来の年金給付が賄えない状況になっている。ある種の破綻状態にあるのです」と述べている。
金融庁はAIJの問題を重く見て、投資顧問会社の一斉調査に乗り出すのは当然だが、こうしたずさんな投資顧問会社を野放しにしたお上を批判するのは少し筋違いだ。
政治家も企業経営者も年金の運用担当者もプロ意識が乏しすぎる。みな半径3メートルほどのことにしか興味がなく、本当の責任を果たしていない。AIJの事件で明らかになったなったのはこの点にほかならない。
(私のコメント)
AIJの事件にしても福島第一原発事故にしても、資金運用の専門家や原子力発電所の専門家がきちんと監視して運用されているものと思われていましたが、どちらも素人と変わらぬ人たちによって運用されてきたことが分ってきました。私自身はビル設備管理の仕事をしていますが、弁の開閉操作が分らないというのは考えられないことだ。普段から定期点検中などの期間中にそれらの操作を自動であれ手動であれ動作確認をするのが常識だ。それらがされていなかったことが記事から分る。
投資顧問会社の事件にしても、リーマンショック後では7%の運用利回りなど出来るはずがないのに、投資運用の嘘を見抜けなかった。魔法のような投資運用のノウハウなどあるわけが無く、リーマンブラザースのような投資銀行をじめとして多くのヘッジファンドが潰れている。高い配当利回りにはリスクの高い分野にレバレッジをかけた運用しかありませんが、外れれば委託資金が全部吹き飛んでしまう。
これらの年金基金には社会保険庁のOBが多く天下っていましたが、彼らは資金運用の専門家ではなく、天下りを受け入れなければ年金基金としての認可が下りないから社会保険庁のOBを理事として受け入れていたのだろう。その中には年金運用コンサルタントとして年に数百万円も手数料をもらっている人がいた。そのコンサルタントがAIJを紹介していたのだから、いかに無責任であるかが分る。
バブル以前も、単なる経理社員が財務運用の担当者として財テクなどをしていましたが、バブル崩壊でほとんどの資金運用を焦げ付かせてしまった。生き残ったのは国債運用一点張りの超堅実なところだけであり、国債だけが超高値を保っている。いずれ国債も暴落する時がくるのでしょうが、金利が上昇する時は国債は暴落する。
「株式日記」でも銀行が国債運用で0、8%の利鞘を稼いでいることを書きましたが、超低金利時代でデフレなら0,8%の利鞘でも実質利回りはそれ以上になる。日銀も銀行もそのような体制どっぷりと浸かっているから、インフレターゲット政策などとんでもないという事なのだろう。しかしエルビータメモリの破綻はその犠牲にあったというようなものであり、韓国ウォンは7割も値下がりして、電気代は日本の半分ではとてもかなわないだろう。
韓国の大企業は国策会社であり、国家が輸出企業に対して有形無形の政策支援をしている。それに対して日本は韓国や中国を支援するかのような円高政策をとって、日本の輸出企業は倒産の危機に直面している。日本も韓国のように通貨安政策をとって行けば状況も違っていたのでしょうが、日銀はインフレを恐れて頑なに金融緩和を拒否した。それが1%のインフレターゲット発言で円は76円から81円にまで下落している。
確かにエルビータメモリは湯之上氏が言うような、高コスト体質や過剰品質も原因の一つですが、7割も韓国が通貨を切り下げたらどんな会社も参ってしまう。パソコンや液晶テレビなど3,4年で買い換えていくようなものだから、品質よりも価格が勝負になる。しかし自動車や大型汎用コンピューターなどは単価も高くて3,4年で故障したら使い物にならない。
だからパソコンや液晶テレビなど単価の安い民生品は韓国や中国に任せて、日本の電気産業は単価の高い電気自動車などや発電プラントにシフトすべきなのだ。既存の自動車産業はハイブリッドカーにシフトしている。同じ半導体でもPCに使う半導体と自動車などに使う半導体とは信頼性が命に関わるから全く別物だ。にも拘らずエルビータは韓国や中国とコスト競争してしまった。IBMの半導体工場はそれに特化しているから生き残っているのはその証拠になる。
エルビータメモリの破綻もAIJの破綻も福島原発の事故も、根底には本当の意味でのプロの専門家がおらず目先のことしか分らない素人ばかりになってしまったから破綻したのだ。どうしてプロの専門家がいなくなってしまったのだろうか? 巨大企業の破綻や巨大プラントの事故は年中あるものではないから、素人でも従来どおりやっていれば務まってしまう。しかし異常事態が起きると何をどうしていいか素人では分らない。
日本の電気産業がアップルのような製品が出来ないのは、製品作りのプロがいないためであり、時代のトレンドが分からないのだろう。超円高で家電産業はどこも海外に工場を移転させているが、超円安になっても国内には工場が無くて円安がプラスにならない事になっているようだ。HITACHIもHDDを作っていたはずなのにタイに工場を移してしまったから、タイの洪水でHDD生産に対応が出来ない。だから円安になっても輸出産業は儲からない。円高で大変だというのは企業業績の低迷の言い訳に過ぎないマネジメントが悪すぎるのだ。
日本企業の一番の弱点は年功序列人事による素人経営にあり、自分の社長任期中の事だけしか考えない社長が多すぎる。福島原発の事故も東電の清水社長は資材畑の社長であり原発の事が分からない。素人の社長が東日本全体を人の住めない地域にしかねない原発の最高責任者だった。東電は政界や官界を金や天下りで買収して原発安全政策を骨抜きにしてしまった。素人だからそんなことが出来るのでしょうが、事故が起きると何も出来ない。
AIJの破綻も金融のプロなら、こんな高利回りなどおかしいと気が付くはずだ。「株式日記」ではアメリカのヘッジファンドのやっていることは「ねずみ講」とたいして変わりがないと書いてきました。資金運用も拡大している時は高配当も可能ですが、タコ足配当で誤魔化すことができる。タコ足がばれたときはもぬけの殻でAIJの2000億円は消えてしまっていた。騙された素人の年金担当者が悪いのだ。
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