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プロもだまされたAIJ投資顧問にひっかからなかったナニワ金融道「3つの掟」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31957
2012年03月04日(日)藤野 英人 :現代ビジネス
AIJ投資顧問による巨大な年金損失事件は、その金額の巨大さ(2,000億円)ということとそれが個人投資家による詐欺事件ではなく、プロとみなされる年金基金に対して行われたことが驚きでした。今回の事件は、私ども投信や投資顧問業に関わるものにとっても衝撃であり、また今回の件で投資に対するイメージがさらに悪化することをとても恐れています。
さらに今回は高いパフォーマンスを継続的にあげていたところでそのような問題が起きたわけです。私たち独立系投資顧問業者としては、既存の運用会社に対して高い運用成績をあげることがある意味、存在意義なのです。「そのように高い成績をあげるとひょっとしたら詐欺かもしれない」と思われてしまうことはかなり残念な気持ちになります。
私どもが運用をしている「ひふみ投信」も非常に守りが強く、リーマンショックや東日本大震災の影響を短期的には受けても、同期間で高い成績をあげているので、それがAIJ投資顧問のような詐欺ではないかと思われてしまうのもかなり悔しい思いがします。
ただ正直、2,000億円を消失させてしまうことはプロのファンドマネジャーとして驚きです。もしこれが運用で飛ばしてしまうとしたならば余程の「天才的下手糞」としかいいようがありません。
またこれが実際に詐欺的な手法で、お金を抜き取っていたとしたらこれは非常に邪悪な話としかいいようがありません。なににせよ、少し硬めの豆腐の角でその人たちの頭をポコポコとやりたい衝動にかられます。
AIJ投資顧問は某年金関連の情報誌でみると、各地域でとても高い評価を受けていて、代替投資(AIJ投資顧問の投資ジャンル)部門での評価や採用でもトップの人気でした。ある地域を除いては。
その地域はタイトルにあるように大阪です。もちろん関西地域でひっかかった年金基金はあるでしょうが、他地域に比べてとても少ないのです。これは振り込め詐欺でも顕著でした。振り込め詐欺の被害件数や金額の1位は東京、そして全都道府県でもっとも被害件数が少ないのが大阪なのと関係があるのではないかと思います。
少し古いですが、2005年の毎日新聞の記事によると、振り込め詐欺は東京で1,758件で約36億円、大阪は53件で被害総額は1億円を切っていて、わずか8,000万円でした。この差は東京と大阪と経済規模の差では説明できない差です。この数字は全国歩き回っている私自身も企業の年金担当の方と話をしていてとても理解できます。
関西の年金担当者は非常に手ごわい。なんというか、ある意味、本質にぐいぐい迫っていくのです。コミュニケーション能力が高いんですね。特に関西でも大阪です。 大阪の年金担当者の顕著な特色は以下の3つです。
見栄を張らない
例文:「頭悪いからようわからんわ、ちょっと教えてーや」 関東の人は騙されてはいけません。頭悪いなんてとんでもないです。かなり知っていることをあえてこのように聞いてみる人が多いです。「頭悪いから」と言われたらより慎重にしっかり説明をしたほうがよいと思ったほうがよいでしょう。大阪人はこのような言葉を発してからの相手の対応や表情を非常に見ています。
しつこく聞く
例文:「もうちょっとここわかりやすう説明して」 とにかく、しつこく聞かれます。曖昧なところがあると絶対に先に進めません。とにかく説明あるのみ! 納得いかなければ絶対に意思決定してくれません。
理解できないことはやらない
例文:「ようわからんから今回はやめとくわ」 「今回は」というのは社交辞令です。たぶんもう永遠にないかも。「理解できないものは投資をしない」というのは、投資の大原則です。大阪人はわからないものをわからないまま始めることは少ないように思えます。
特にお金からみは他にもいろいろあります。聞く話によると、AIJ投資顧問の幹部は接待しまくって営業を獲得したり、顧客の維持をはかったそうです。東京や他地域には通用したのでしょうが、大阪人に接待をしても「おおきに。ただな、それと採用とはちゃうで」とそこは相当シビアです。
おそらくそれは金融のプロかどうかいうよりは、そもそもそのような志向が強い土地柄であるというのがあるでしょう。
ナニワ金融道と書きましたが、実際の大阪の金融業者はもっともっとシビアです。そのような大阪のカルチャーは歴史的な背景によるものがあり、もし興味があれば私の「ビジネスに役立つ商売の日本史講義」もぜひ読んでみてください。
AIJ投資顧問の事件の影響はあまりに大きく、おそらく相当大規模な法律の改正、規制の強化などが行われるでしょうが、人間が行っているだけによいものも悪いものも今後ともに出てくるでしょう。
別に日本だけでなく米国ではさらに何十倍もの規模の大きな詐欺事件、マドフ事件が起きています。ということは、やはり自衛することに限るわけです。振り込め詐欺にもAIJ投資顧問事件にもほとんどひっかからない大阪人の知恵はおおいに他地域でも学ぶところがあると思います。
見栄を張らない しつこく聞く 理解できないことはやらない、というのは詐欺に合わないだけでなく成功する投資案件を探す要件でもあります。 ちなみにもうひとつひっかかっていない地域があります。それは名古屋です。名古屋がひっかからない理由は・・・。大阪以上にケチなのと、おそらく企業年金の財務内容が比較的よいので、切羽詰まっていなかったということがあるのでしょうね。
AIJ投資顧問の現在における論点や問題点は山崎元さんの記事に詳しくありますので、それも参考にしてください。
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